観光業界に待ったなし | KPMG | JP

観光業界に待ったなし

観光業界に待ったなし

The Brexit Column - KPMG英国のレジャー・ホスピタリティ産業部門のWill Hawkleyは、英国のEU離脱に際し、「当面、観光業界には受難のプロセスが待ち受けているかもしれない。とはいえ、対策を考える時間はまだ残されている」とコメントしています。

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大勢の人々が毎年恒例の海外旅行に出発しようとしている今こそ(行き先の多くは太陽の輝く地中海、あるいはもう少し近場の爽やかなキャンプ場をめざす人もいるかもしれません)、英国のホテルおよび観光業界にとって、Brexitがどのような影響を及ぼすかについて考えるのに適した時期といえるでしょう。

とはいえ、全体像は複雑であり、観光業界というよりむしろ、さらに幅広い経済の問題です。ポンド安は海外からの訪問者を惹きつけ、英国のインバウンド市場は活況を見せています。2017年第2四半期において、ホテルの販売可能客室あたりの客室売上(RevPAR)は2桁増となりました。しかし、ポンドの下落によって、英国の消費者に海外旅行パッケージを売る旅行会社は苦戦を強いられているのです。

「サプライ・チェーンの国内回帰」戦略については、他のセクターと同様、順調にいっています。輸入インフレを回避したいという思いが、「ステイケーショナー(海外ではなく国内の近場で休暇を過ごす人々)」を奨励することにつながっています。つまり、英国の消費者にとって、海外でバケーションを過ごすと出費がかさむため、自国で過ごすバケーションの魅力が高まっているのです。

観光客が帰国した後、何が起こるか?
毎年恒例のホリデー旅行の費用は依然として多くの家計の中心を占めていますが、外食やファミリー・レストランへの支出はやや弱まっているようです。英国のレジャー支出の実質的減少が経済に打撃を与えていることが如実に分かるのは、観光客がキャッシュを自国へ持ち帰ったときです。ロンドンやその他の主要都市以外の地域にあるパブやレストランはそうした打撃を受け始めており、その影響はホテル運営にも予想以上に及んでいます。

物価上昇の圧力が増大するにつれて、こうした事態は一層深刻化すると見られています。年金の新たな受給要件や生活賃金の上昇は人件費の高騰につながり、インフレによる賃金上昇の圧力に拍車をかけていますが、頭痛の種はそれだけにとどまりません。英国のレジャー産業はEU国籍の労働者に深く依存していますが、彼らの中にはEU離脱以降の状況を恐れ、国外での就労を選ぶ人々も出てきているのです。もしもそのような流れが本格化したら、レジャー産業は人材獲得のために他の産業と今以上に激しく競争し、さらに賃金の上昇に歯止めがかからなくなってしまいます。

しかし、舵取りに長けたビジネス経営者であれば、コスト・コントロール、イノベーション、顧客に関する理解によって適応していくことはできるはずです。

今こそ準備すべき時
夏はまだ終わっていません。経営者たちには、まだ準備と適応のための時間が残されています。パブやレストラン経営の機知に富んだオーナーは、小売業のスタイルを真似て商品の調整を行っています。そのような戦略の1つがメニュー・エンジニアリングです。これは食材のサイズを再構成したり、より低価格の原材料を使うようにしたり、手間のかからない調理プロセスを採用したりすることで、利益率と消費者の財布にかかるプレッシャーを和らげようとする試みです。

もしも労働力が確保しにくく、これまで以上にコスト高になるのであれば、生産性の改善を通じて、より少ない労働力で対応できるような方法を考えるのが論理的な次のステップです。例えばレストランでは、コスト削減策として導入されたタブレット・コンピューターが注文に応じるようなケースが今後増えてくるでしょう。お客様がデジタル機器を使って注文するようになれば、給仕係は明らかにこれまでよりも多くのお客様にサービス提供できる余裕が生まれ、さらにそうしたサービスを受けたお客様はより多くのお金を使うようになるのです。

さまざまな研修、機会、報酬、福利厚生をきちんと従業員に提供する企業は、より従業員を確保できる確率が高くなります。そして、スキルを身につけた従業員に長く勤めてもらうことがより効率的であることに気づくはずです。とある有名コーヒー・チェーンのように、社内預金の無利子ローンといったメリットを従業員に提供する企業も今後増えてくるかもしれません。

バリュー・チェーンの始まりから終わりまでの過程をよく観察することも、ホリデー・パッケージを扱う旅行会社には効果的な戦略です。代替商品の発掘に目を光らせる商品バイヤーのような俊敏さが、旅行会社にも求められているのです。彼らは今、ブルガリアなどの新しい旅行先に注目しており、価格に関して安心感を得られるフル・パッケージのサービスを提供し始めています。

英国の独特な天候の影響によって、現実味のない夢のような話に終わる可能性もないとは言えません。しかしながら、観光産業には本当の意味で楽観できる要素が山ほどあります。お客様の満足度を維持するための独創的な手法を生み出すこと。刻々と変化するお客様のニーズやコストを予測し、対応すること。それらができれば見通しは明るいものとなるに違いありません。

本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。

Brexit(英国のEU離脱)に関する解説

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