離脱交渉の合意に向けて | KPMG | JP

離脱交渉の合意に向けて

離脱交渉の合意に向けて

The Brexit Column - KPMG英国のMark Essex(パブリック・ポリシー部門担当ディレクター)は、Brexit(英国のEU離脱)に関連して、英国はEUとの離脱交渉は可能であるものの、英国側とEU側が双方合意に至るのは並大抵のことではなく、双方が提案する解決策は大局的な見地から考慮される必要がある、としています。

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簡単ではないことは誰もがわかっています。しかしながら、Brexitに端を発する緊張が高まっている今日、英国側とEU側は、大陸を隔てた壮大な綱引きに巻き込まれているのではないでしょうか。


個人的には、どのチームが最強であるかというテストよりもはるかに微妙な違いがある、と感じています。相反する2つの勢力が互いに「レッドゾーン」に引き込もうとしているというより、私たちが目のあたりにしていることは、歴史的にみても最も繊細なバランスで成り立つ状況の1つです。英国のデイビッド・デイビス氏(離脱担当大臣)とEUの交渉責任者を務めるミシェル・バルニエ氏は、互いに手を差し伸べコンセンサスを得ようとしているだけでなく、それぞれの置かれた立場で、広く意見をまとめようと努力しています。今、Brexitの交渉は不安定な平衡状態にあります。


想像してみてください。デイビッド・デイビス氏とミシェル・バルニエ氏は、崖の両側に立ち、お互いがそれぞれにもたれかかり、彼らの背後にいるさまざまな団体が「安定」を生み出そうと圧力をかけているのです。そのバランスが少しでも崩れれば、鎖(とそれを繋ぐ橋)が決壊するのです。


私たち(英国民)は皆、英国内において相反する意見があることを認識しています。これまでEU27ヵ国は驚くほど統合されていました。しかしながら、離脱交渉の速やかな成立に向けて、双方は一蓮托生でなければなりません。KPMGが開発したBrexit Navigatorでは、多くの企業は、株主や顧客の期待にこたえられるような確固とした結論に至るのに3ヵ月の時間を要する、としています。

交渉にあたる者たちは、専門家からの助言を十分に受け、熟慮しています。自社のリスクと今後発生する混乱ばかり見ていると、大局的な影響の分析をせず、あらゆる事象をリスクとして認識しがちです。私は、こうしたことが重要局面に際しての優先順位付けを阻害してしまう可能性があると考えています。結局のところ、政府が決定することは、全ての人々を常に満足させることができないのです。


完ぺきではないけれど…
その代わりに、自身にとって最も重要なニーズを満たしながらも、脆弱な均衡を保つためには、交渉条件全体のうち、どの部分を変更(譲歩)しなければならないかを考えてみましょう。私は、顧客への提案をする際に、2つの質問をしています。まず、英国国会議員の大多数が賛同しうるか?そして、ヨーロッパ側にはメリットがありうるか?


最適な解決策ではなく、実現可能なものに焦点を当てる時が来たのです。これは、EUの4つの基本的自由と同様に、英国側の離脱交渉において「いいとこ取り」をしてはならないのです。もし、デイビッド・デイビス氏とミシェル・バルニエ氏が交渉条件を最大限に引き出そうとするのであれば、不可能な要求事項に振り回されずに、交渉シナリオを後押しする「大きな連携」が必要です。私たちには、確固として意思を貫くというより、柔軟性が高い創造的思考が必要なのです。交渉の際に、潜在的に合意できそうな領域を見つけることが必要なのです。


また、技術的に実現できそうなことは、政治的にも達成可能でなければなりません。私はこの部分を楽観的に見ています。仏マクロン大統領と独メルケル首相の支持率が高く、経済指標の改善とポピュリズムの潮流の転換もあって、交渉条件がEU内における明らかな信頼感によって促進されていると感じます。1年前のヨーロッパよりも、自信を持って肩に力の入っていない交渉相手の方が良いのです。交渉過程でEU側が半分歩み寄ってくることが今の私たちに見えるでしょうか。


バルニエ氏が注目しているように、英国のEU離脱まで刻々と時間が迫っています。事業会社にとっては、遅くとも2017年の秋までに何らかの進展が欲しいところです。今こそ、英国が合意条件を探るために柔軟性を示して欧州委員会を引き込む時なのです。すなわち、ポシティブなトーンで主張を続け、要求事項が一貫していることを示し、そしてなによりも交渉事項の期待値が現実的であることを示す必要があります。完璧なものに固執して求めても決して良い結果は得られないのですから。


本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。
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