IAISがICS Version 1.0を公表 | KPMG | JP

IAISがICS Version 1.0を公表

IAISがICS Version 1.0を公表

2017年7月21日、保険監督者国際機構(IAIS)は、国際的に活動する保険グループ(IAIGs)に対するリスクベースでグローバルな保険資本基準(ICS)Version 1.0を公表しました。また、合わせて2017年度のフィールドテストについての実施についても公表されており、現在世界の約50の大手保険グループが参加しています。

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ICS Version1.0

ICSは、IAIGsの監督のための共通の枠組み(ComFrame)の一環として開発されるものです。2014年12月17日の1stコンサルテーション・ペーパー、2015年のフィールドテスト及び2016年の2ndコンサルテーション・ペーパーとフィールドテストの結果を踏まえて開発が進められ、2017年7月21日にICS Version 1.0が公表されました。

また、2017年以降も毎年フィールドテストが継続的に実施され、2019年のICS Version 2.0の完成に向けた開発が進められます。2017年のフィールドテストには世界約50の大手保険グループが参加しています。

ICSの計算方法

ICSの全体像は以下のとおりであり、2016年度のコンサルテーション・ペーパーから変更はありません。

  • ICS比率(ICS Ratio)は次の算式で計算され、少なくとも100%以上であることが必要とされます。
    ICS比率=適格資本量(Qualifying Capital Resources)/ICS資本要件(ICS Capital Requirement)
  • ICSの計算にはトータルバランスシートアプローチが採用されます。資産・負債の評価は市場整合的な評価が基本とされており、市場調整(MAV: Market Adjusted Valuation)アプローチと調整GAAP(GAAP Plus: GAAP with Adjustments valuation)アプローチの2つの手法が採用されています。
  • 適格資本量は少なくともTier1とTier2の2つに資本に分類され、Tier1資本は制限の有無、Tier2資本は払込済であるか否かによってそれぞれ2区分に分類されます。
  • ICS資本要件は、IAIGが晒されている全ての重要なリスクを反映するものとされており、リスクカテゴリーとして保険リスク、市場リスク、信用リスク、オペレーショナルリスクが挙げられています。リスクの計測期間は1年、リスク尺度は99.5%VaRです。

ただし、今回公表されたICS Version 1.0では現在推計(Current Estimate)の計算方法等に見直しが行われており、その主な変更点について以下でご紹介します。

2016年フィールドテストからの見直し(主な変更点)

(1)割引率
2016年のフィールドテストでは手法の差異や影響分析のため、6種類の金利シナリオでの計算が求められましたが、ICS Version 1.0では3種類となりました。3種類の手法は、それぞれ、Blended、HQA、OAGと呼ばれています。

  • Blended:2016年のフィールドテストで使用された2種類の手法の組み合わせ
  • HQA(High Quality Assets option):通貨毎にAA格以上のスプレッドを使用する
  • OAG(Own Assets with Guardrails option):IAIG固有のポートフォリオのBBB以上のスプレッドを使用する


(2)資本コスト率
2016年のフィールドテストと同様に、現在推計に上乗せするマージン(MOCE)の計算手法として、P-MOCE(現在推計の保守的計算等による簡便計算によるMOCE)とC-MOCE(資本コスト法によるMOCE)が示されている点は同様です。このうち、C-MOCEの資本コスト率について、2016年のフィールドテストでは5%のみでしたが、ICS Version 1.0では5%と3%+10年のリスクフリー金利(合計で10%を上限、3%を下限)の2つの手法で計算することが求められています。


(3)適格資本量
相互会社の資本調達手段等、幾つかの資本の要素の適格性については引き続き検討されることとなっています。また、2016年度のフィールドテストでは、制限のあるTier1資本、Tier2資本全体、未払込のTier2資本のそれぞれに算入額の制限がありましたが、ICS Version 1.0では適格資本の要件の最終化後に検討されることとされ、今回は制限が適用されないこととなっています。


(4)ICS資本要件
個別のリスク量の計算方法やリスク係数について、2016年のフィールドテストから変更されている点があります。例えば、死亡リスクのうちパラメータリスクについてリスク係数が10%から12.5%への引き上げ、罹患/障害リスクについて損保系商品を対象から除外し計算手法を新たなアプローチに変更、金利リスクの計測手法が主成分分析(PCA)から動的ネルソンシーゲル法(DNS)に変更等の変更点があります。

ICSの開発スケジュール

ICS Version2.0採択に向けた今後の開発スケジュールは以下のとおりとなっています。

  • 2017年9月:2017年フィールドテスト締切、ICS Version 2.0の議論開始
  • 2018年4-6月:2018年フィールドテスト開始
  • 2018年中旬:包括的なComFrameコンサルテーション(ICS Version 2.0を含む)
  • 2018年7-9月:2018年フィールドテスト締切
  • 2018年下旬:ComFrame及びICS Version 2.0のコンサルテーションへのコメント締切
  • 2019年3-4月:2019年フィールドテスト開始
  • 2019年7-9月:2019年フィールドテスト締切
  • 2019年11月:IAIS年次大会でComFrameの採択(ICS Version 2.0を含む)

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