IASB Updateの主要論点 2017年6月号 | KPMG | JP

IASB Updateの主要論点 2017年6月号

IASB Updateの主要論点 2017年6月号

本稿では、2017年6月に開催されたIASB会議の概要をまとめたIASB Updateについて、IFRSを適用している(又はIFRSを適用することを検討している)日本企業の観点から解説しています。

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オリジナルのIASB UpdateはIASBのウェブサイトから入手でき、日本語版もありますのでそちらをご参照ください。

総括

今月のIASB会議は2017年6月21日(水曜日)と6月22日(木曜日)に開催されました。アジェンダは大きく分けて次の8項目でした。

  • 概念フレームワーク
  • 会計方針及び会計上見積り(IAS第8号の改訂案)
  • 基本財務諸表
  • 料金規制活動
  • IFRS基準の導入上の論点
  • 負の補償を伴う期限前償還条項(IFRS第9号の改訂案)
  • 動的リスク管理(教育セッション)
  • 事業の定義

これらのうち、基本財務諸表、負の補償を伴う期限前償還条項、及び動的リスク管理については意思決定が行われていません。概念フレームワーク、会計方針及び会計上の見積り、料金規制活動については意思決定が行われていますが、その内容の重要性はそれほど高くないものと考えられます。

IFRS基準の導入上の論点

IAS第28号の改訂:関連会社及び 共同支配企業に対する長期持分
IAS第28号の改訂に関して、IFRS第1号において既に定められている内容を除き、IFRSの初度適用企業のために追加の規定を定めないことが暫定的に合意されました。
また、IAS第28号の改訂を確定させるにあたり、デュー・プロセスの確認が行われました。

IAS第8号:アジェンダ決定により生じる会計方針の変更
IFRS解釈指針委員会が公表するアジェンダ決定には規範性がありませんが、IFRS基準の適用について明確な方向性を示している場合があります。国によっては、規制当局がアジェンダ決定の内容を斟酌するよう求めていることがあります。
このようなアジェンダ決定の内容に基づいて会計方針を変更した場合、アジェンダ決定には規範性がないため、「自発的な」会計方針の変更として扱うことになります。IAS第8号は、自発的な会計方針は実務上不可能でない限り、遡及適用することとされていますが、、実務において、「実務上不可能」と判断し、遡及適用しないこととするためのハードルは非常に高いものであると考えられています。
今月の会議では、アジェンダ決定に基づいて自発的な会計方針の変更を行った場合には、遡及適用するためのハードルを下げることが暫定的に合意されました。

日本企業への影響
アジェンダ決定に基づいて自発的な会計方針の変更を行った場合に、実務上不可能と判断し、遡及適用しないこととするためのハードルが下がることになり、遡及適用しなくてもよい状況が増加することになる可能性があります。

事業の定義

公開草案「事業の定義及び従来保有していた持分」に対して寄せられたコメントを踏まえ、再審議が行われました。多くの論点について、公開草案において提案された内容が再確認されています。

基本財務諸表

意思決定が行われていないため、IASB Updateには詳細が記載されていませんが、基本財務諸表に関する議論の内容についてご紹介します。
財務業績計算書に表示する小計に関連して、IASBは営業利益が定義できないと結論付け、これに代わるものとして次の2種類の小計を表示する方向で検討を行っています。

  1. 比較可能性を重視し、IASBが定義するEBIT(利息及び税金前利益)
  2. 企業の裁量を重視し、企業が定義する経営者業績指標

今月の会議では、EBITおいて純損益から控除する「利息」の概念について議論が行われました。また、「税金」の概念に関連して、持分法投資損益が投資先の税引後の利益に対する持分相当額を表していることから、これを税金費用の後に表示することが提案されましたが、支持が得られていないようでした。
これらの論点については、引き続き議論していくことになっています。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
パートナー 川西 安喜

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