人間の進歩と仮想知的労働者(RPA/AIを活用したデジタル・レイバー)の未来 | KPMG | JP

人間の進歩と仮想知的労働者(RPA/AIを活用したデジタル・レイバー)の未来

人間の進歩と仮想知的労働者(RPA/AIを活用したデジタル・レイバー)の未来

人間の進歩と仮想知的労働者(RPA/AIを活用したデジタル・レイバー)の未来および来るべき未来に備えて銀行は今何をすべきかについてご説明いたします。

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テクノロジーの進化により創り出される暗黒の未来。そこではテクノロジーが人類を凌駕し、人は機械の質問に答える。映画で見たり本で読んだり警鐘を聞いたりしたことがあるでしょう。

そんな未来が予想よりも早くやってきそうです。既に対応を始めている金融界の経営者もいます。未来を気に掛ける経営者が答えを出すべき問いは次の通りです。新たなテクノロジーが業界と自社に与える影響について悲観的であるべきか、楽観的であるべきか。その答えは「どちらでもある」のようです。
金融業界の経営者は自社組織に変化をもたらすいくつものファクターに対応しなければなりません。ポジティブもネガティブもあるそうした変化をどう乗り切るかが今日、そして未来のビジネスのやり方に大きく影響します。

1.変化が続くことだけは変わらない

ついこの前までは人間の銀行員が毎日の銀行取引を手助けしてくれました。取引のために銀行に行けば、顧客の名前を知っている窓口係や顧客の家族構成とこれまでの取引を把握しているマネージャーがいました。

2.しかしこうした日々は急速に消え去りつつある

現金自動預け払い機(ATM)、インターネットバンキングをはじめとする自動化サービスの普及に伴い、今ではいつどこにいても銀行取引が可能となり、よほど複雑な取引でない限り実店舗に行く必要はなくなりました。利便性が雇用を奪う、これは進歩の代償ですが、金融業界が直面するこのジレンマは増大しつつあります。

デジタル・レイバーが金融サービス業のワークフォースに与える影響

テクノロジーが進化し機械がよりスマートに、速くそして安価になるにつれ、組織内の自動化可能な他の業務も同様の道をたどることになるでしょう。人間の従業員が自分の仕事を奪うことになるロボットをトレーニングするのです。
これは悲惨なことのように聞こえるかもしれませんが、その一方で職場への新たなテクノロジー導入は、実は雇用増加と生産性向上につながるという専門家もいます。世界経済フォーラムの創設者であるクラウス・シュワブ氏は、我々の社会では既に第4次産業革命が始まっており、人と機械の関係が大きく変わることになると言っています。
シュワブ氏によれば、この新時代においては自動化が容易な職種(銀行窓口係、製造業、コールセンターの顧客サービス担当者等)では、コンピューターやロボットが人に取って代わるのは時間の問題です。カスタマイズされたマーケティングやサービス提案を策定するため、金融機関は顧客、経済、社会をはじめとする内部データを収集する、チャットボットその他のスマート資産を既に開発中です。銀行はさらに進んで、自然言語処理が可能な人工知能資産を活用した銀行サービス提供の機会を模索しています。


このコンバージェンスの先にある現実は以下のようなものです。

  • 英国の中央銀行であるイングランド銀行の推計によれば、ロボットを使った自動化により英国では今後20年間で1,500万人の雇用が失われる
  • 米国の総雇用数の約47%にあたる1億3,000万人の知的労働者の仕事が2025年までにデジタルテクノロジーに置き換えられる

しかしながらこの変化を相殺するポジティブな効果もあると専門家は見ています。金融機関と従業員がワークフォースを再構成・再設計する動きです。これにより従業員は新たなスキルを習得し、より発展的かつおそらくはより高給のポジションが組織内に創出されると考えられます。具体的な肩書きや業務内容は組織によって異なりますが、変化をもたらす主要なドライバーは以下の2つです。


認知(コグニティブ)技術による自動化

  • レバレッジドプロフェッショナル - 低スキルの従業員が、テクノロジーの活用により同一分野の高スキルプロフェッショナルと同じ成果をもたらす。
  • 従業員のネットワーク化 - 特定のグループあるいはビジネスファンクションの全従業員が同一の資料にアクセス可能となることにより、全員がベストの情報を共有する。

コグニティブプロセシングとロボットによる自動化

  • 思考の速度で仕事をする - テクノロジーの活用により、より速くかつ高い生産性で仕事をする。
  • デジタル・ワーカー - より効率的に仕事をこなすロボットその他のテクノロジーが人に完全に取って代わる。

3.未来への備え

金融業界の内外における仕事のやり方がテクノロジーによって将来変化することは否定のしようがありません。しかしそれがどのような形になるのか、そして将来世代の経済機会にどのような影響を与えるかはまだわかりません。
新たな自動化テクノロジーの導入により組織内の中間階層より下に属する従業員はおそらく不要となりますが、この改革を実行する責任は金融機関最高レベルの改革担当者および経営陣にあります。改革が始まったばかりであり、組織内のあらゆる面に先端技術を導入しようとする実験が続いている現時点ではこの点が特に重要です。
今はまだ目にしませんが、銀行がチーフ・オートメーション・オフィサーのような経営幹部ポジションを創設する日が来るかもしれません。その職務は組織を近代化するテクノロジーを特定・導入すると共に、改革実施に伴って発生する組織的ジレンマを解消すべく高い目的意識を持った対話を促進することで、改革プロセスを責任を持って実行することです。
その目標を達成するため事前に答えを出さなければならない問題点がいくつかあります。

  • 将来、自社のワークフォースはどのような形になるか
  • デジタル・レイバーと人間の従業員をどう共存させるか
  • 変革後の社内でのキャリア形成とはどのようなものになるか
  • 業界内で存在感を保ち競争力を維持するには自社のオペレーティングモデルをどう変える必要があるか
  • 雇用確保がますます難しくなる環境の中でいかに従業員を確保し成長させるか

これらの問いにきちんと答えを出した企業だけが「望ましい未来の姿」へと自社の舵を切ることができます。いかにして既存の人的資源を再教育して新たな目標設定を行い、これまで人間がしてきた仕事を代わりに行う機械をどう管理、監督するかを前向きに決めていくことが可能になります。さらにより重要であろう点は、次世代の従業員に必要なトレーニングとは何かを検討することです。
今日誕生する子供の約半数が100歳以上まで生きると想定されており、将来世代は60年から70年働き続ける可能性があります。このことは現在の金融機関と教育制度に別のジレンマをもたらします。今日誕生した子供が就業後60年あるいはそれ以上働き続けられるためには、どのようなスキルとトレーニングが必要かを検討する必要があります。
将来の労働環境において最も高く評価されるスキルを今特定することは困難ですが、1つ確かなことはロボットやテクノロジーがどれほど進化しようとも、まねすることができない重要な人間の特性が存在するということです。このため、企業および教育制度は、既存のルールやプロトコルでは答えが出ないか、あるいは特定の問題に対処できない不確実、不明瞭な状況における創造的思考、イノベーション、そして問題解決能力を重視することになるでしょう。
思考やトレーニングにおけるこの種の地殻変動的な転換は一朝一夕ではできません。そのため新たに自動化された未来においても自社の繁栄を望む事業会社や金融機関の経営者は、デジタル・レイバーが自社のワークフォースに与える影響を精査し、それに備える詳細な計画を策定すべきでしょう。そうした変化に対応するための主要なステップは以下の通りです。

  • ビジネス戦略を人のレベルまで落とし込む - 自社の方向性を見極め、コグニティブテクノロジーが戦略実行にどう役立つかを検討する。
  • 自社ワークフォースの将来あるべき姿を描く - 組織に影響を与える複数のシナリオを描き、可能性が高いシナリオについて対応を検討する。組織内において人とデジタル・レイバーが最適に共存する詳細な計画を策定する。
  • 変革を実行する - 新たに創出される仕事を特定し、既存のスタッフがその職につくためのトレーニング(あるいは再トレーニング)を実施する戦略を策定し実行する。
  • 進捗状況をモニターする - 有能な人材の供給を含め、あらゆるリスクの管理を徹底するために迅速に対応する。

4.先駆者に続く

業界に影響を与えるテクノロジーの変革を先取りし積極的に策を講じている企業にとっては、未来はそれほど不確実なものではありません。なぜなら他の多くの人にはまだ見えていないこと、すなわち先端的なロボットや人工知能の導入により引き起こされる混乱が、実はより高給な新規雇用創出につながりうることを知っているからです。
ロボットその他の先端テクノロジーが自社ワークフォースのより多くのかつ重要な部分に使われるに従って、そのコストは低減します。そして使えば使うほど従業員の生産性は向上し給与も上昇します。これが、機械が人の職を奪う動きを相殺し、実は新たな雇用を創出する2つの要因です。

総括しますと、テクノロジーの採用が組織内にイノベーションの新しい波を引き起こし、そこから新製品・サービスが生み出される可能性が非常に高いのです。その新製品・サービスを構築し、リードし、販売し、維持するためには有能で熟練した人的資源、すなわち人が必要です。金融サービス企業はこうした変革を早めに取り入れることにより、未来の職場環境を見極め、さらに重要な点としては熟練した献身的なワークフォースを確保することによって将来に備え、何世代にもわたって競争力を確保し繁栄することが可能となります。

デジタル・レイバーと貴社ビジネスへの潜在的影響の詳細についてはRise of the humans完全版をダウンロードしてください。

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