FTA/EPA適用による節税の観点からみた原産地管理の重要性について | KPMG | JP
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FTA/EPA適用による節税の観点からみた原産地管理の重要性について

FTA/EPA適用による節税の観点からみた原産地管理の重要性について

Trade and Customs Newsletter - 2016年11月時点の中国税関最重要政策及び最新動向等、自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)およびその他の関税・間接税に関する最新の情報をお知らせいたします。

関連するコンテンツ

米国を取り巻く環境

1月23日のトランプ米大統領によるTPP離脱に関する大統領令署名後は、米国でのTPPに関する具体的な進捗はありません。
一方で、2月10日に日米首脳会談が行われ、会談内での二国間交渉についての具体的な議論はなかったものの、麻生太郎副総理兼財務大臣とペンス米副大統領をトップとする日米の経済対話を4月から始めることが決定されました。

今後、この対話の中で2国間の貿易枠組みが協議される見込みです。北米自由貿易協定(NAFTA)については、トランプ米大統領は再交渉の必要性に言及しており、再交渉の結果次第では、NAFTAから離脱する意向であると伝えられています。メキシコ側でのNAFTA再交渉に関する動きも加速しており、今後の見通しが立たなくなってきています。

Brexit

前回のニューズレター「原産地規則の原産地基準、特恵関税制度の見直しについて」でお伝えした通り、英国のメイ首相によりEU単一市場からの撤退に係る基本方針が発表され、EU離脱後には各国と個別のFTAを締結する方向性が示されましたが、その後2月8日に英国議会でEU離脱に関する計画の法案が可決されました以外に具体的な進捗はありません。

メガFTA最新動向

  1. 日EU・EPA
    ドイツを訪問した岸田文雄外務大臣は2月17日に、欧州連合のマルムストローム欧州委員(貿易担当)と会談し、日本とEUの経済連携協定(EPA)は早期の大枠合意を目指し、「双方が強い意志を持って交渉を継続する」ことで一致したものの、具体的な進捗はありません。
  2. 日中韓FTA
    1月に北京で開催された第11回交渉会合以降、特に進捗はなく、具体的な枠組み合意には至っていない状況です。
  3. 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)
    経済産業省は2月22日に、RCEP第17回交渉会合が2月27日から3月3日にかけて神戸市で開催されると公表しました。

日本:平成29年度関税改正について

関税改正法案は、2月7日の閣議決定を受けて、2月9日に国会に提出されました。

4月施行に向けて、今後、国会において審議が行われ3月に国会決議される見込みです。

コラム:原産地規則について(その3)

  • FTAによるコスト削減のインパクト
    一般的に輸入貨物に課される関税額は、輸入取引における取引価格(インボイス価格)に、当該貨物の属するHSコード毎に定められている関税率を乗じることにより算出されます。一般的にFTAの適用を受ける場合には、通常の税率よりも低い関税率を適用することができるため、FTAを適用していない取引についてFTAを新たに適用することで、サプライチェーン全体での大幅なコスト削減が可能になります。それにより、輸入国での価格競争力が格段に上昇することも期待できます。

(例)取引価格1,000万円の日本原産の自動車部品(ハンドル)を、日本から輸出しFTA締約国に輸入する場合。

  タイ ベトナム インドネシア
WTO税率*1 30%
(300万円)
25%
(250万円)
10%
(100万円)
FTA税率*2 0%
(0万円)
0%
(0万円)
0%
(0万円)

1 WTO加盟国を原産地とする貨物の輸入に係る税率
2 FTA締約国を原産地とする貨物の輸入に係る税率

  • FTA適用にあたっての原産地管理の重要性
FTAの適用を受けるにあたっては、その適用を受ける貨物が適用を受けるFTAの締結国を原産地とする原産品である必要があります。原産地とは、輸入される貨物の国籍のようなもので、その判定は、協定ごとに定められている基準(原産地基準)に基づいて行うこととされています。貨物の原産地は、通常貨物の輸入時に提示される原産地証明書に記載される形で税関に対して申告が行われます。

FTAの枠組みの中では、その原産地証明書の有効性について疑義がある場合、輸入国側の税関は、直接的又は間接的にその有効性について検認を行うことが認められており、輸出者又はその貨物の生産者は検認が行われた場合には、輸入国側の税関の求めに応じて原産地証明書の有効性を立証するための情報を提供する必要があります。そこで輸出者又は生産者が、その貨物の原産性について輸入国税関がその有効性について納得するような情報を提供することができない場合、当初FTAの適用により軽減されていた関税のみならず、それに対するペナルティも合わせて課税されます。FTAの適用を受ける場合には、輸入国の税関からの検認も視野に入れた原産地管理が非常に重要になってきます。

 

  • プランニングとコンプライアンス両立の重要性

今後FTA・EPAの恩恵を享受するためには、グローバルサプライチェーン全体における現状の関税コスト負担額からどの程度コスト削減が可能か見通しを立てることがその第一歩です。一方で、上述の通りFTAの適用要件としての原産地管理が重要になってきます。つまり、FTA・EPA適用にあたっては、コスト削減の機会を逃さないようにしつつ、コンプライアンス面での管理をしっかりと行う業務管理プロセスの整備が求められてきています。

その他関税・間接税 Topics

中国:2016年11月、税関の重要政策と最新動向

財政部は、2016年11月30日付けで合理的な消費、所得再分配機能の強化、省エネルギー・排出削減を促進させるため国務院承認を得て自動車輸入の段階で消費税を調整する公告「財税〔2016〕129号」を公布しました。同公告によって自動車の課税対象税目に超高級車が追加されました。超高級車とは、1台当たり小売販売価格が130万人民元以上(増値税含まず)の乗用車及び中・軽型商用車を指し、小売段階における通常の税金に加えて販売価格の10%を消費税として徴収されます。

執筆者

KPMG税理士法人
関税・間接税サービス
パートナー 梅辻 雅春
パートナー 神津 隆幸

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