タイ移転価格税制の法案に関するアップデート

タイ移転価格税制の法案に関するアップデート

タイニューズレター - タイの移転価格税制の法案は、2015年5月に法案の骨子が内閣で可決された後、国策議会(National Council of State)の承認を待つ状況となっていましたが、2017年6月21日からタイ歳入局のウェブサイト上に修正法案の内容が掲載されました。

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タイ移転価格法案の和訳

歳入法 第71条の2(1)
関連者間取引について、納税者が独立した第三者との取引において適用されるであろう、商業上および金融上の条件と乖離した条件で取引を行っていることが税務調査で発見された場合、税務調査官は、納税者の課税所得を独立企業間取引において獲得したであろう金額に更正する権限を有する。
なお、当該更正に際しては、国際基準に沿うことを目的としてタイ国が締結している国々との租税条約を考慮するものとする。

歳入法 第71条の2(2)
歳入法における「関連者」の定義を以下に定める。

  1. 一方の法人が、他方の法人の株式の総数又は出資金額の50%以上を直接又は間接に保有する関係にある法人
  2. 同一の者によってそれぞれの株式の総数又は出資金額の50%以上を直接又は間接に保有される関係にある法人
  3. 一方の法人が資本・経営・支配権の観点において、他方の法人に依存しなければならない関係にある法人で財務省令で定めるもの(実質支配関係にある法人)

歳入法 第71条の2(3)
歳入法では、同条(1)に基づき、税務調査官が納税者の課税所得を更正した場合に、納税者に対して税金の還付申請を認める。納税者は法人税申告書の提出日から3年以内、もしくは税務調査官から更正通知を受けた日から60日以内に税金の還付を申請することができる。

歳入法 第71条の3(1)
関連者間取引を有し、かつ、その事業年度の売上収益の額が省令に定める金額(この省令はまだ公表されていない)を超える法人は、歳入局長が定める書式(この書式はまだ公表されていない)に従って、その事業年度の関連者間取引の金額などの関連者間取引に関する情報を記載した付表を作成し、その事業年度終了日から150日以内(法人税申告書の提出期限)に歳入局へ提出しなければならない。

歳入法 第71条の3(2)
法人税申告書の提出日から5年以内に、タイ歳入局は、関連者間取引を有し、かつ、その事業年度の売上収益の額が省令に定める金額を超える法人に対し、移転価格の算定・分析に必要な文書もしくは証憑の提出を求めることがある。提出を求められた納税者は、その通知を受けた日から60日以内に提出しなければならない。ただし、税務調査官はその裁量により、通知日から120日を超えない範囲でその提出期限を延長することができる。

歳入法 第35条の3
相当の理由なく71条の3に定める書類を提出しない、あるいは提出した書類に不備がある場合には、20万バーツを超えない範囲で罰金を課す。

KPMGのコメント

今回の修正法案により、今まで不明であった点がいくつか明らかになりました。今回のポイントは以下の通りです。

  • 関連者の定義(50%以上の直接又は間接の資本関係がある法人、及び実質支配関係にある法人)が明確になった。
  • 関連者の定義が国外の法人に限定されていないため、タイ国内の関連者間取引も移転価格税制の対象となると考えられる。
  • 移転価格に関する付表の提出、及び移転価格の文書化の義務がある法人は、関連者間取引を有し、かつ、一定額以上の売上収益がある法人に限定される(その具体的な金額はまだ公表されていない)。また、それを怠った場合には、20万バーツ以下の罰金が課される。
  • 法人税申告書と併せて提出が求められるものは「関連者間取引に関する付表」であり、移転価格文書そのものではない。
  • 歳入局は5年間遡って、納税者に移転価格文書の提出を要求することができ、納税者はその要求された日から原則として60日以内に移転価格文書を提出しなければならない。

今回のパブリックヒアリング後、本法案は国民立法議会(National Legislative Assembly)の承認を得て法施行されることになりますが、現時点では、引き続き施行時期は未定です。今回の法案において、移転価格の文書化義務の対象が一定額以上の売上収益がある法人に限定されていますが、その売上規模は決して高いものではないと考えられ、多くの日系企業が対象になると考えられます。

また、来年度より日本本社側の要請(BEPS対応)で、タイ子会社の移転価格文書を日本本社に提出しなければならないケースもありますので、日本本社と協議のうえ、タイ子会社として今後とるべき対応をご検討ください。

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