ルワンダの現状とビジネスでの活用 | KPMG | JP

ルワンダの現状とビジネスでの活用

ルワンダの現状とビジネスでの活用

本稿では、ルワンダがどのような産業構造を目指し、日本企業がアフリカでの事業に活用する可能性があるのかについて解説します。

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昨年8月に日本政府主導の第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)が初めてアフリカのケニアの首都ナイロビで開催されました。その前後から日本企業のアフリカへの関心がまた徐々に高まってきています。特に東部アフリカは日本企業が既に多く進出するインドや中東のドバイから比較的近く、この地域への事業展開を検討する企業が少しずつ出てきています。東部アフリカにありケニアに隣接する内陸国ルワンダは日本では一般的には殆ど関心を持たれていない国ですが、悲惨な過去を乗り越えて、アフリカで独自の国造りを進めています(図表1参照)。

図表1 東アフリカ諸国の比較

出所:数値は世界銀行2015年データ、民族数・宗教は各種情報の集約/腐敗認識指数はTransparency International 2016年データ

本稿では、資源に恵まれないルワンダがどのような新しい産業構造を目指しているのか、また、日本企業はルワンダをどのようにアフリカでの事業に活用する可能性があるのかについて解説します。

なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。

ポイント

  • ルワンダは1994年に発生した部族間対立を原因とするジェノサイドという悲しい過去を持つ国である。それ以降、日本企業のアフリカ事業では話題に登らなかったが、独裁者との批判のあるポール・カガメ大統領の就任以降、国の発展と国民の融和を目指した国造りが進められている。
  • アフリカの奇跡と評されるルワンダの復興・経済成長は、国民の融和と強い目的意識、ポール・カガメ大統領のリーダーシップと国家戦略などで達成されてきている。また、他のアフリカ諸国に比して、治安の良さと汚職の少なさは特筆される。
  • 従来からルワンダは茶・コーヒーが主要輸出品であり、レアメタルも産出しているが、持続的成長のためにVISION2 0 2 0 でICT立国を目指してインターネット環境などを整備している。国際機関や欧米をはじめとする世界各国がルワンダのICT産業の発展や人材育成を支援している。
  • 内陸国で物流には難点のあるルワンダの利点を活かすには、ルワンダをアフリカでの事業展開のリサーチやICT関連の実証実験場として利用することが考えられる。東アフリカにあって、仏語圏西アフリカとの関係も利用できる。

I. ルワンダとはどのような国か

ルワンダはアフリカのケニアの西側に隣接する面積2.63万平方キロメートルと四国の1.4倍位の小さな国です。人口は約1,161万人で、アフリカでは最も人口密度の高い国です。熱帯雨林の森、火山、サバンナ、湿地帯、湖などの多様な自然環境と、そこに住むたくさんの貴重な動植物、そして1350年頃から始まったと伝承され1962年に廃止された王国時代から続く伝統的な文化を首都キガリから3時間以内で体験できます。アフリカの人々の暮らしや自然をコンパクトに満喫できる国といえるでしょう。そして、現在、世界中でルワンダ、ウガンダ、コンゴ民主共和国の森に、約7百頭しか生息していない絶滅危惧種であるマウンテンゴリラを最も安全・快適に観察できる国として動物好きには有名です。マウンテンゴリラは人間に最も近い霊長類の一種で、DNAの約97%をヒトと共有していると言われています。国中に小さな丘が存在し、どこへ行ってもアップダウンの道が続きます。首都キガリもいたるところに丘が広がり、映画の世界のような独特の風景といえます。また、1年を通して気温は20℃前後で2回の雨期がありますが、暮らしやすい気候で、標高約1,500メートルのキガリは夏の軽井沢のように過ごし易いところです。

しかし、悲しいことにルワンダは20世紀最後のジェノサイドが起きた国として世界規模で注目を集めることになりました。フツ族のルワンダ大統領を乗せた飛行機が何者かに撃墜されたことを機に1994年4月6日、フツ族によるツチ族の大量虐殺が始まりました。わずか3ヵ月足らずで100万人もの人間が虐殺されたこの歴史的事件は世界中に衝撃を与えました。この事件を扱った映画「ホテル・ルワンダ」は日本でも話題になりました。

II. ルワンダが「アフリカの奇跡」と評される理由

ところが近年、ルワンダはアフリカの奇跡と呼ばれ驚異の経済成長を遂げています。ジェノサイドから20年以上を経過し、過去10年間の平均GDP成長率は毎年8%前後と高い経済成長率で発展しています。内陸国というハンディキャップを抱えながらの成長は「アフリカの奇跡」と評されています。その経済成長にはいくつかの理由があります。

1. 国民の和解と強い目的意識

ルワンダ政府は虐殺後、国民に対し、「フツ」でも「ツチ」でもなく、「ルワンダ人」という意識を持つよう呼びかけました。現在のルワンダ人のIDカードは過去と異なり、「ツチ」や「フツ」といった民族区分についての記載がなくなっています。

「皆で国を再建していく」という明確な目標を掲げたルワンダ。また、虐殺にかかわった人物を裁くために隣国タンザニアに国際法廷が設けられました。国内では罪を告白して裁きを受け、社会奉仕などをする制度もできたとのことです。国を再建するという目的意識を国民全員が持つことが国づくりのベースとなりました。自らの可能性に自信を持った国民の存在が、復興の原動力となりました。

2. ポール・カガメ大統領の強力なリーダーシップと政治的安定

2000年4月から現在のポール・カガメ大統領が大統領に就任し、反体制派への弾圧を行うなど自らの権力基盤を強化するその手法は独裁者との批判もありますが、2015年の憲法改正で2034年まで大統領職にとどまることが可能となっています。今年8月初旬に次回の大統領選挙が予定されていますが、前回同様に現職大統領の圧勝が見込まれています。従来、ルワンダは伝統的にフランス語圏でしたが、英語圏であるウガンダに逃れていたカガメ大統領をはじめとする現政権のルワンダ愛国戦線が主に英語話者であり、現政権と関係の深いアメリカとイギリスの後押しもあって、2008年に公用語に英語が追加され、2009年には英連邦に加盟しました。

大統領は説得力のある明確なビジョンを国民に示し、強力なリーダーシップで政策を実行してきました。

3. ディアスポラの頭脳帰還

半世紀前の独立(1962年)前後から迫害を逃れて世界各地に散らばったルワンダ人は約200万人にのぼりますが、「ディアスポラ(離散者)」とも呼ばれるこれらのルワンダ人が祖国を復興させたいとルワンダに巨額の投資を行うとともに次々と帰還してきたのです。ディアスポラが母国に帰国することは「頭脳帰還」との表現もできると言えます。よく使われる頭脳流出とは逆に頭脳帰還は外国に流出した優秀な人材が母国に帰還するという意味で、ルワンダの驚異的な復興の原動力がこの頭脳帰還です。ウガンダの難民キャンプに逃れて後に米国で軍事訓練を受けてルワンダ愛国戦線の最高司令官となったポール・カガメ大統領自身もディアスポラの頭脳帰還と言えるでしょう。

4. ICT立国を目指す国家戦略

ルワンダの2015年のGDPの産業構成では、農林水産業が32.73%、商業・飲食・宿泊が14.4%、その他サービスが27.5%を占めています。多くの農民が小規模農地を所有しています。コーヒーや茶の小規模生産に適した気候や急斜面の農地が存在するため主要作物はコーヒーおよび茶(輸出収入の約24%)であり、高品質化により国際競争力を強化する政策をとっています。一方で、内陸国のために輸送費が高いという問題も抱えます。ルワンダは天然資源が乏しいですが、レアメタルを産出するため、近年、鉱物産業による外貨収入は高まっています。ただし、隣国はコンゴ民主共和国であり、ルワンダはコンフリクト・ミネラル(紛争鉱物)の対象国として指定されている産出国のひとつです。タンタル、タングステン、錫を産出します。

ジェノサイド後は民間や外部からの投資を誘致する能力を大きく低下させたため、1998年6月には国際通貨基金の構造調整プログラムへの署名を行い、世界銀行とともに野心的な民営化プログラムに着手しました。当時は継続的な経済成長は、国際援助額水準の維持とコーヒーおよび茶の世界価格の状況に依存していました。さらなる発展のために、2000年にICT立国を目指した2020年計画(VISION 2010)が発表されました。ジェノサイドは「無知」から引き起こされたと考え、ルワンダ国民に「情報」の教育を徹底させることにしました。世界銀行もルワンダでのICT分野への支援として2006年9月から「eRwanda」プロジェクトとして資金協力を実施しました。このプロジェクトでは政府機関の情報をインターネット上で発信したり、地方の行政機関とネットワークで接続するようになりました。地方ではネットワーク構築のためのインフラストラクチャー整備も積極的に行われています。携帯電話を活用した病院での情報の送受信なども進められました。パソコンの導入にも積極的で、地方でパソコンを持っていない、ネットワークに接続できない人を対象にした「ICTバス」が地方を回り、バスのなかでパソコンに触れ、メールやインターネットを行う教育によって「デジタル・デバイド」の解消への取組みも実施していました。ルワンダでのICTの急速な普及と国民のリテラシー向上により、海外からのICT分野でのアウトソーシング・ビジネスなども増えています。

III. ルワンダの現状

1. アフリカで最も良好な治安と少ない汚職、政治的安定

訪問したルワンダは自然豊かな山々があり、本当に丘が多く、「千の丘の国」の意味が理解できます。首都キガリも丘と緑の多い街で、映画のシーンのような光景が広がっています。キガリの第一印象はとても良いです。

キガリの街中では目立ちませんが、街の周辺や郊外では軍人、警察官、交通警察官が多く配置されています。アフリカでは一般的ですが、オフィスビルやスーパーマーケットでは銃を持つガードマンも多くいます。キガリは東部アフリカ諸国の都市のなかで最も犯罪率が低いとのことです。また、ルワンダの日系企業の日本人や現地人に確認しましたが、政府役人や警察官の汚職はほとんどないようで、政府の積極的な治安維持、汚職防止への取組みは成果を上げています。ポール・カガメ大統領は独裁者との批判もありますが、全体としてはルワンダの発展のためにリーダーシップを発揮していると言えるでしょう。日本企業にとっては、外国で事業展開するに際し、良好な治安、汚職の少なさ、政治の安定は必要条件だと思われます。

2. ビジネスのし易さ Doing Business Ranking

ルワンダは世界銀行の「Doing Business 2017」ではビジネスのし易さのランキングは56位です。アフリカではモーリシャスが49位、南アフリカが74位です。

ルワンダは必要書類が整っていればルワンダ開発局の「ワンストップ・センター」により、インターネットで6時間あれば法人登記が可能と言われています。海外投資の窓口がルワンダ開発局に一本化されていて、投資家の便宜が最大限に図られ、ビジネス環境が整った投資先とのことです。しかし、外国企業が法人登記後に様々な手続きを経なければ、実際の事業はスタートできません。インターネットではなく、役所や税務署で直接に現地人職員から適切な情報を得、相談・交渉をするのは他のアフリカ諸国と同様にある程度の時間や忍耐が必要な様です。入国ビザを日本からインターネットで申請した際に自動返信で申請番号を得ましたが、申請完了の回答がないので直接ルワンダの移民局に電話をしたところ、申請番号が見当たらないとの理由で再申請した経験があり、政府のインターネット利用も必ずしも万全ではありません。

3. ITの普及、インフラ整備の状況

ルワンダは農村地帯でも携帯電話の電波が繋がり、ITのインフラ環境の整備は確かに進んでいます。政府は都市間を光ケーブルで結ぶNBB(The National Back Bone)プロジェクト、キガリ市内のリング網構築KMN(Kigali Metropolitan Network)プロジェクト、そして高速無線アクセス環境の整備Wi Broプロジェクトを実施しました。資金は韓国政府であり、工事も韓国の
通信事業者が契約しました。ブロードバンド政策については、Ministry of Youth and ICT(MYICT)が政策策定を行っており、SMART Rwanda Master Plan 2015-2010が策定されています。

ルワンダにおける4Gインターネットサービスを提供するKorea Telecom Rwanda Network社は、国内の92%において4Gネットワーク接続を提供することを2017年の目標として発表しています。2016年時点では国内のすべての郡で4G接続を提供できましたが、利用できる範囲は国土のまだ62%に限定されているとのことです。

なお、ルワンダ政府が現在値から2020年までに実現する目標値(世界順位)は、以下のとおりです。

 

  • 電子政府開発分野:140位(2013年)⇒70位
  • ICT開発分野:141位(2012年)⇒80位
  • ネッワーク整備分野:88位(2013年)⇒50位

 

また、政府のブロードバンド政策の10の目標は以下のとおりです。

 

  1. 生活の質の向上のための医療、健康サービスの拡大
  2. 教育分野でのICTの利活用促進
  3. 農業分野の生産性向上及び工業化、商業化の促進
  4. 財政基盤の向上(電子財務処理の促進など)
  5. 製品及びサービス向上による企業精神の醸成と事業発展
  6. ICTスキルの革新的能力の向上
  7. 持続可能な都市開発と管理
  8. サービスのための頑健かつ柔軟な共有情報インフラの構築と国家ICT構想の支援
  9. ICTの能力及び効果促進のための国家ICT政府構築への変化
  10. 電子政府による国家統治の促進と都市及び地方への効果的サービスの提供

 

なお、ルワンダ政府はIT分野で活躍する人材を育成するため、アメリカ屈指の有名大学・カーネギーメロン大学をアフリカで初めて誘致し、ルワンダにいながらアメリカにいるのと同じレベルの授業を受けることができるようになりました。情報技術、電気・コンピュータエンジニアリングの修士課程で2015年時点では、2期生計43名が修士号を取得しています。

以上のようにルワンダのIT普及はまだまだ途上であり、インフラを整備中です。現状、ICTを目指す国家戦略は明確ですが、自力でできる訳ではありませんので、国際機関や先進諸国の継続的な協力が必要となります。

4. 国民の教育レベル、性格

内陸国で資源の乏しいルワンダにおいて、「人」は最大の資源です。ハイテク産業の育成に必要なのは技術だけではありません。投資を呼び込んだり、起業家が安心してリスクを取れる環境づくりが重要ですが、人材育成の点での課題はまだまだ多いと思われます。依然として国全体の教育水準は低く、識字率も低く、貧困という問題もあり、インターネットの普及率でもケニアやウガンダに後れを取っています。ルワンダが東アフリカのシリコンバレーになれるとしても、それはまだまだ当分先のことと考えられます。

また、外国人からみれば大卒の従業員でも一般常識・社会常識に欠けるため、新社員には手取り足取りの教育が必要で、生産性が低いとの指摘を各所から聞きました。

しかし、一般的には国民は落ち着いた性格で日本人の感性に近いところもあります。知識欲もあると思いますので、もっと技術の取得に貪欲になったら良いと思います。ルワンダではITに力を入れていくことは国の方針になっています。優秀な成績の生徒達を優先的にIT分野に進ませるようになっています。資源の少ない、農業が主体のアフリカの小国が目指しているのは人材育成を通した技術立国です。オープンソースの文化が根付いているソフトウェア開発は、高額の設備投資は不要です。安価なPCと電気とインターネットがあればIT技術の取得は可能であり、途上国の経済発展には適している分野ではないでしょうか。

IV. ビジネスでの活用

ルワンダを今後のビジネスで如何に活用するかを考察してみます。

1. アフリカでのICT関連事業のリサーチや実証実験

神戸市はルワンダとのICT分野における経済・交流連携を進めていて、ルワンダにおけるICT教育人材育成事業を行っています。また、スマートフォンアプリなどを開発する日本のベンチャー企業が世界標準の技術力を持つエンジニアを比較的低コストで起用できる点に注目し、現地に開発業務を委託するオフショア事業を展開しています。ルワンダICT協議会によれば、日本のICT関連の大手企業も現地企業との提携や資本参加で、ルワンダでのビジネスを検討しています。内陸国で物流には難点のあるルワンダの利点を活かすには、日本企業がルワンダをアフリカでの事業展開のリサーチやICT関連の実証実験場として利用することが考えられます。キガリはネット環境が整う小規模な首都であり、政府機関の協力も得て、ICT関連の事業を試験的に実行するには良い都市です。国自体も小規模であり、ブロードバンド環境が整いつつあるため、国全体でもICT関連の事業を試験的に実行することは可能でしょう。

人口が10百万人と市場が小さいのを逆手にとって、今後人口が増大するアフリカでの販売のリサーチや試験販売の場所とすることも考えられます。勿論、ルワンダで売れる商品が必ずしもアフリカの他の国でも売れることにはなりませんが、ICTを利用する販売は今後、アフリカでも大いに検討する必要があり
ます。

今年初めにルワンダ政府とパートナーシップをもつルワンダのIT企業がカメルーンとの間で、同社がキガリ市内で提供する交通機関の運賃支払いのキャッシュレス化を10年にわたって独占的にカメルーンで運営する契約を締結しました。同社はキガリで既に運用されているカードを専用機器にタッチして自動で運賃支払いを行うTop&Goシステムをカメルーンの首都ヤウンデおよび同国最大の商業都市ドゥアラにて導入します。このようなICTを利用した交通システムの輸出などは日本企業がルワンダのIT企業と組めばより洗練されたシステムをアフリカ各国に提案できるはずです。

2. ICTを活用した農業と西アフリカとの貿易

ルワンダは農業国であり、農業人口が圧倒的に多い国です。ガーナのIT企業によって開発されたMfarmsと呼ばれるアプリの機能が拡大され、利用者は農産物の市場価格を含めた幅広い情報を入手することが可能になりました。

従来、ルワンダに限らずアフリカ諸国では、農産物は中間業者が農民から買い取ることが多く、同アプリの機能拡大により買い手と売り手が繋がり、幅広いマーケット情報を入手することが可能となり、農民の収入が増加することが期待されます。このように農業においてもICTの活用が見込めます。

ケニアの農業では、バラの栽培、輸出が世界的に有名です。ルワンダにおいてもケニアと少し種類の異なるバラの栽培やリンドウ栽培事業に関する共同研究が進められています。ルワンダのような熱帯の高原地帯は野菜や花を作るのに適した気候条件ということで注目を浴びており、今さまざまな国が進出し始めています。

日本ブランドの農産物の栽培や農業機械などの技術移転に関する研究、および実証実験に取り組める国です。日本の農業の持続的な発展と、ルワンダの経済的な発展を併せて検討できるでしょう。日本の農業が持つ技術は高いので、ハイグレード・ハイプライスなものを作り、大農場での大量生産とは異なる市場を開拓していくことが重要だと思います。

また、ルワンダには農産物加工業での販路に特色があります。ルワンダは過去のベルギーとの関係から東アフリカでは珍しく仏語が公用語のひとつとなっていますので、従来から農産物加工品を西部アフリカにも輸出しています。今後も新たな農産物加工品の生産ができれば、東アフリカだけでなく、既存のルートを利用して西アフリカにも空路での輸出が可能です。東アフリカ共同体(EAC)に所属しながら、西アフリカともビジネスができる貴重な国とも言えます。

3. 高評価の観光部門のIT化

英国の旅行雑誌「Wanderlust」の読者投票で、ルワンダは新しい旅行先(emerging tourist destination)の部門で1位となりました。同誌の読者の多くはルワンダが1994年のジェノサイド後に大きな復興および躍進を遂げ、観光地としての存在感を増したことを理由として挙げています。米国の雑誌「American Luxury and Travel Magazine」でも、ルワンダは世界14番目に魅力的な観光地として評価されています。各種の動物が生息するアカゲラ国立公園や野生のマウンテンゴリラが生息するヴォルカン国立公園はルワンダ観光のハイライトで、欧米の観光客の人気を博しています。しかし、このような観光事業はまだIT化が遅れています。動物との遭遇まで予想できてしまうのでは楽しくありませんが、観光業のIT化で観光客をさらに増やすこともルワンダとしては検討すべきでしょう。なお、国際的な大手ホテルでもまだまだ従業員の接客サービスが板についていないので、教育していく必要が相当にあります。国全体として、風光明媚で治安が良いので、観光業は有望だと考えられます。

4. 製造業の可能性

昨年12月にフォルクスワーゲンが、ルワンダと「統合モビリティーコンセプト」に関する覚書を締結しました。この内容は、個人の移動性を拡大するために、スマートフォンのアプリなどを利用したカーシェアリングやライドシェアリングのサービスの実現を目指すものです。同社はカーシェアリングなどに利用する自動車組立工場をキガリに設立する計画で、2017年5月までにルワンダの市場調査を終える見込みです。2014年以降アフリカの政府による自動車組立工場の誘致は積極化していて、ナイジェリア、ケニアなどではグローバル自動車メーカーの工場設立が始まりました。フォルクスワーゲンは今回のルワンダに先立ちケニアのナイロビに組立工場を立ち上げ、昨年12月に完成車ができました。ルワンダは内陸国で人口が少なく、ルワンダを拠点として販売できるエリアも限られているため市場としては魅力が薄いですが、ルワンダ国内での自動車販売は増加しています。フォルクスワーゲンとしては、工場設立によってバーターとして完成車輸入関税減税やその他インセンティブ、メカニック始め人材育成や経験の蓄積などを狙っていると思われます。今後は国内のICT環境の整備と相まって、製造業で同様な動きがあるかもしれません。それには、東アフリカ共同体(EAC)の域内貿易の制度や運用状況の進展を注視していく必要があります。

上記のとおり、ルワンダでの今後のビジネスを検討するには、どのような分野においても政府の推進するICTを活用することがポイントと考えられます。小国ルワンダの今後の発展を政府の意向に沿って推進できる事業が、外国企業にとってもメリットを享受できる可能性があります。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
グローバル・ジャパニーズ・プラクティス部
中東・アフリカ事業室 室長
シニアマネジャー 梅澤 浩

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