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German Business Bulletin Vol.93

German Business Bulletin Vol.93

ドイツニューズレターでは、ドイツにおける会計、税務、法務、労務環境等の最新動向をテーマとしています。今号のGerman Business Bulletin Vol.93では、国際課税(EU加盟国の租税回避、欧州関税法等)、税務実務(Brexitによる日系企業への影響、BEPS措置のドイツ国内法への導入等)などを盛り込んで解説します。

関連するコンテンツ

今号の掲載コンテンツは、国際課税、税務実務、といった2つの大きなテーマを中心に解説します。
国際税務では、EU加盟国による租税回避に対する新規定への取組、欧州関税法の改正、ドイツ移転価格税制と欧州法との適合性について解説します。
また、税務実務のテーマでは、Brexit(英国におけるEUの離脱)、新日独租税協定、BEPS(税源浸食と利益移転)措置のドイツ国内方への導入、法人税、租税通則法第153条の適用について解説します。
また、KPMGドイツ・デュッセルドルフ事務所に駐在する木村シニア・マネジャーへのショート・インタビューとして、現地における役割や、さまざまな日系企業案件に取り組んできた実績の中で在独日系企業が共通して直面している事業推進上の課題などについて掲載しています。
このほか、ドイツにおけるの最新の法規制環境ニュースの掲載に加えて、巻末では、ドイツ全土における日系企業の支援体制についてご紹介します。本解説資料は日英対訳となります。

I. 国際課税

1. EU加盟国が租税回避に対する新規定に合意

はじめに
租税回避対策指令(ATAD)は、OECD BEPS(税源浸食と利益移転)の結果を受け、EU委員会が2016年1月28日に提示した租税回避対策パッケージの一部です。本指令は、租税回避メカニズムへの最低限の対応策について、加盟国への法的拘束力を伴う規定を含んでいます。条項の多くは、2018年12月31日までに導入され、2019年1月1日以降に適用されることになります。


概要
ハイブリッド・ミスマッチ規定(ATAD第9条)

ハイブリッド・ミスマッチは、1)(金融商品に係る)支払または、2)企業/恒久的施設に関する、2つの国における法律上および税務上の取扱いの相違により生じます。

本相違により、ケースa「二国における税務控除(二重控除)」、あるいはケースb「他方の国の課税標準への算入なしでの、もう一方の国における税務控除」が生じることがあります。

新ATAD規定では、ケースaでは「税務控除は、源泉国のみで可能」とし、ケースbでは「欧州の税制間の調和を目的とし、支払側加盟国の税務控除を否認」されることとなります。


CFC規則(ATAD第7条並びに第8条)
外国子会社(CFC)に関する規則は、軽課税国への所得移転に対する取り組みです。加盟国は、外国子会社(企業並びに恒久的施設)において低率での課税後に留保されている受動的所得について、利益分配がない場合でも(親会社の)課税標準に含めることとなります。

受動的収入には、利子、ロイヤリティ、配当金、並びに親会社へのサービスに係る所得等が含まれます。実質的な経済活動が証明される場合には、CFC規則からの除外が認められます。本証明は、EUに居を構える企業に限定することもできます。


出国課税規定(ATAD第5条)
出国税は、納税者が資産や税務上の居住地を他国に移す場合、移動により今後の課税標準を喪失する国において含み益への課税を担保するものです(本規定はドイツ税法上規定済み)。今後は本指令により、出国課税の実例、割り当てられる価値、EU内の取扱いが規制されます。
出国課税規定は次のような事例を対象とします。例えば:

  • 企業の本社から外国の恒久的施設への資産の移転
  • 恒久的施設の他国への移転
  • 税務上の居住地の他国への移転(従来の加盟国の恒久的施設に実質的継続的に紐付けられる資産を除く)

加えて、以下が規定されています。

  • 税金支払に関して、納税者は5年間の分割払いの権利を有すこと。
  • 税額算定は、移転資産の出国時の『市場価格』を基準とし、EU内移転の場合、受入側の加盟国は当該価値で受け入れること。
  • 資産の移転が一時的な性質である場合、出国税は課されないこと。


利息損金算入制限規定(ATAD第4条)
税務上の支払利息損金算入に関連する制限規定は、基本的にドイツの利息損金算入制限規定と一致します。とりわけ、支払利息純額は金利、税金および減価償却費控除前利益(EBITDA)の30%を限度として控除可能です。加えて、支払利息純額についての閾値やグループ免税条項、並びに免責条項(自己資本比率比較)が定められています。加盟国は、2016年6月17日以前に締結された融資(既得権者除外条項)から生じる支払利息、または長期公共インフラプロジェクトへの出資用に借り入れた融資から生じる支払利息を対象外とすることができます。しかしながら、指令では株主からの負債による資金調達に関しては規定していません(ドイツ法人税法KStG§8a)。

損金算入限度額に対しての未使用額、損金算入限度を超過した支払利息について、本指令は、加盟国が導入可能な代替規定を定めています(『繰越処理』)。


一般的濫用防止規定(ATAD第6条)
本指令では、適用される税法の趣旨・目的に反する形での税務上の恩典獲得を主目的として実施される調整に対して、一般的濫用防止規定を定めています。このような調整は真正なものではなく、税務上で無視されることとなります(すなわち、ドイツ税法第42節同様、『合法な商業目的』とみなされません)。

法人税納付額算定に際して加盟国は真正でない調整を無視し、国内法に従って税額を算定することになります。


ご提案
ATADの条項の導入は、欧州の税制にきわめて大きな影響を与えます。国際的企業におかれましては、進展を見守るとともに、OECD BEPS(税源浸食と利益移転)/ATADによる影響箇所を識別するために、社内の税務対応について再点検を実施することを推奨します。特に、想定される不具合の解消のため、組織再編成を実施する可能性がある場合、2018年12月31日が期限となる点を念頭にお入れください。

しかしながら、ドイツに関しては、大部分のATAD措置は既に国内法に含まれているか、近々に反映されます。したがって、上述のATAD規定は、他の司法管轄下において、より大きな影響を与えるものとなります。

詳しい情報やご質問につきましてはKPMGまでお問い合わせください。KPMGでは、現状の税務対応の再点検、要改善点およびATADによる影響の識別についてサポートいたします。

2. 欧州関税法の改正

当ニューズレターVol. 92の短信欄もご参照ください。


はじめに
新EU関税法典(UCC)が既存の関税法と差し替わり、2016年5月1日より全面適用されています。この変更により、特定の手続やEEA(欧州経済領域)域内商品の自由な流通、並びに輸出に影響が及びます。


概要
『特定の手続』には以下が含まれます。

  • 関税保税倉庫手続
  • 保税区
  • 入出港手続
  • 内外通過手続
  • 一時利用並びに最終利用手続
    変更事項には、現在廃止されているDタイプ関税倉庫等が含まれます

2016年5月1日以降、税務当局は一般的にいつでも認可の再評価を命ずることができます。例えば、一定の簡易手続による関税認可の確認手続があります。係る再評価により、UCCが適用されることになり、UCCに基づく法的要件への適合性が要求されます。

関税手続に対する既存の認可について税務当局により2019年5月1日まで引き続き確認、再評価されます。再評価完了次第、一定の認可が撤回され、該当がある場合には、再発行されます。有効期限のない既存の認可については、いかなる場合も2019年5月1日までに期限切れとなります。簡易地方通関手続、いわゆる『認定輸出業者』は、UCCの規定に含まれなくなりました。既存の手続は、段階的に『簡易関税申告』の手続に切り替えられます。

一時保管は、通関認可に従うこととなり、通関認可には、全ての保管先を列記する必要があります。加えて、安全規定が必須となります。

認定事業者(AEO)としての立場を付与する慣行は、AEOとしての通関認可に置き換えられます。既に発行されているAEO証明は引き続き有効となりますが、逐次認可に切替えられます。UCCに基づく新AEO規制は、活動に直接関連する『実務専門資格』の試験を提供しています。

さらに、従来は、ある企業から第三者(売り手を除く)に支払われたライセンス料は、ライセンサーが、取引の当事者に関連している場合にのみ、関税の算定に考慮されていました。2016年5月1日以降、支払が購入取引の条件である場合、全てのライセンス料が関税の算定に考慮されます。


ご提案
想定される変更を考慮し、認可と関連する関税の現状について確認されることを強く推奨します。KPMGは、貴社がUCCによる変更事項を充足し、新しい規制に適合するよう、既存の関税手続および認可を分析される際のサポートをします。

3. 非EU最終株主を含むクロスボーダー合併は税的中立で実行可能

はじめに
デュッセルドルフのドイツ下等税務裁判所は、最終株主(『A』)が米国企業(非EU居住企業)であっても、ドイツとルクセンブルグのクロスボーダー合併(親会社から子会社へのダウンストリーム合併)が税的中立で実行可能であると決定しました。


概要
ドイツの親会社『B』は、ルクセンブルグの子会社『C』に、下流方向(ダウンストリーム)での合併がなされました。ドイツ親会社はクロージング時の税務用貸借対照表において、全資産を簿価のままで記帳しており、それらの資産は、包括承継によりルクセンブルグ子会社に法的に移転されました。子会社株式は、利益/損失の発生なしに、税務用貸借対照表から消滅させていました。

一般的に、合併時の税務用貸借対照表は時価に評価替えされるため、移転企業の勘定科目に含まれていた含み益は課税所得として実現することになります。

しかしながら、資産の含み益に対して、最終的にドイツでの課税が保証されている条件があれば、簿価で移転する選択肢が可能です。主に、以下条件が必要となります:

i. ドイツが、移転対象資産の譲渡によって得たキャピタルゲインに関して全額課税する権利を維持すること。かつ、

ii. 当該資産が、取得企業側において法人税の課税対象となること。

税務当局は、ドイツ親会社Bからルクセンブルグ子会社Cへの下流方向合併の場合、最終株主Aが保有するB社株は公正価値(Fair Market Value)で移転し、実現する含み益の5%に対して課税しなければならないと主張しました。

税務当局の見解は、当該株式に対するドイツ課税権は合併で放棄されることになるため、ドイツ税法で簿価合併が認められるための主要前提条件の1つが侵害されるというものでした。

納税者の反論の結果、税務裁判所は、経済的観点から見ると、Aが保有するB社株式およびB社が保有するC社株式のどちらも、間接的には移転していないものと認めました。加えて、税務上は、法的な合併期日においてC社株式はAに直接割り当てられることになりました。裁判所は、被取得企業が保有する取得企業の株に関する特別規定(ドイツ再編税法第2項第11節)が適用される限り、当該結論が妥当であると結論付けました。ドイツがC社株に関する完全課税権を保持するという前提条件を満たすべきという議論は却下されました。理由は、この前提条件は合併企業間で移転される典型的な資産を意味するに過ぎず、被合併企業『B』が保有する合併企業『C』社の株式に関しては、下流方向の合併時に最終株主『A』に直接割り当てられることから、該当しないとされたことによります。


ご提案
同様の再編事例がある場合、税務当局が税務申告査定時あるいは税務監査時に主張する可能性がある、含み益の5%に対する課税の取扱いについては保留とし、非課税とできる可能性を探ることをお勧めします。今後連邦税務裁判所がどのように決定するかを見守る必要があります。KPMGはこの件に関してどのように取り扱うべきか、という点につき貴社をサポートします。

4. ドイツ移転価格税制と欧州法との適合性

はじめに
ラインランド・ファルツ下等税務裁判所は、KPMGが申し立てた事例について、欧州連合司法裁判所(CJEU)に委ねました。

当該事例は、ドイツ居住者である納税者の課税所得額を独立企業間原則(arm’s length principles)に基づき調整を行うことに関するものです。本件調整対象となる課税所得は、通常独立当事者間であれば合意がなされないような条件でドイツ国外関連当事者と取引/事業関係の構築がなされた結果、ドイツ納税者の課税所得が低額となったものです。

なおドイツ国内企業間の取引であれば、そのような調整は現状要求されていません。


概要
ドイツ親企業は、外国子会社への融資に関連して銀行に保証書並びにコンフォート・レターを発行しました。これに関し、ドイツ親企業は当該子会社に対していかなる対価も要求していません。これが独立当事者間の取引であれば、対価無しに当該合意を締結することはありません。

下等税務裁判所は、当該取引に関し、ドイツ移転価格税制に基づき収入の帰属先が判定されることが、EU法に基づく設立の自由(EU機能に関する条約第49条)に抵触しないかどうか、疑問を呈しています。

CJEUは同様の事例において、移転価格税制の適用が設立の自由に対する権利への制限となると結論付けています。この制限は、加盟国間での課税権の分配を保護し、租税回避と闘うという理由で正当化されました。当該事例の結果、租税規則により納税者に取引の経済的正当性の根拠を提示する機会が与えられました。

しかし、ドイツ国内規則では、納税者が取引の経済的正当性に基づいて移転価格調整を回避できる例外的取扱いを受けるような、明確な仕組みがありません。

税務裁判所によると、今回の事例では、クロスボーダーの出資ストラクチャーにおける株主の資金調達の自由が制限されるかもしれないとされています。


ご提案
本事例は今後再度評定を受けることになりますが、欧州経済領域(EEA)内子会社に対して(部分的でも)与えた恩恵のうち、移転価格調整がなされた取引全てに関連します。関連する税務査定に対しては、異議申立並びに手続の中断申立が可能となります。KPMGでは、本事例がどの程度、貴社のクロスボーダー取引に関連するか、並びにドイツ税務当局による税務査定に対する異議申立が可能かどうかを分析するサポートを提供します。

II. 税務実務

1. BrExit(ブレグジット):(英国にEU持ち株会社を保有する)日系企業への影響

はじめに
英国がEU離脱について2017年初頭にEUとの交渉に入ることが予定されており、この英国のEU離脱が税務にどのような影響を与えるかについてまとめました。最悪の場合、英国が以下のような状態になることが考えられます。

  • 欧州関税同盟や欧州自由貿易連合にも属さなくなります。
  • EU付加価値税地域に属さなくなります。
  • 貿易先との二国間貿易協定を改めて協議することになります。
  • EU並びにEFTA(欧州自由貿易連合)で合意された全てのFTA(自由貿易協定)の適用対象から除外されます。


概要
一般的に、BrExit交渉内容に関しては順次詳細が明らかになっていくとは考えられるものの、そのスケジュールや結果および英国経済に対する影響については依然不確実性が残ります。

税務の観点からは、以下に掲げるEU指令が継続的に効力を有することになるかどうかが、特に疑問視されています。

  • 親子会社指令
  • 利子&ロイヤリティ指令
  • 合併指令
  • そして最終的には、これらにより既に認められている税金優遇策の継続性

またEU加盟国は欧州司法裁判所CJEUの判例法に従わなければなりませんが、英国に対しては拘束力がなくなります。

以下に掲げられているような法人税の影響を分析する必要があると考えられます:

  • EU子会社の配当金、利子、ロイヤリティの源泉税は、EU親/子会社指令に基づき免除されていたが、この適用が出来なくなる場合、源泉税が追加的なコストとして徴収されてしまう可能性。
  • 一定の企業再編や買収における税金優遇措置の適用を受けられなくなる可能性。例えば、支店への組織変更を絡めたクロスボーダー合併における優遇措置が利用できなくなるかもしれません。
  • Societas Europaea(欧州企業)としての地位。
  • 例えば、現状、英国におけるEU支店は子会社と同様に課税される必要があり、逆の場合も同じですが、英国税法が全てのEU法人を平等に扱わなくなってしまう場合、そのことにつき、CJEUに対し差別申し立てをしたとしても認められない可能性があります。
  • 法人納税者は、『BEPS(税源浸食と利益移転)』パッケージを導入する際に、一括的なEUアプローチではなく、マルチテリトリーアプローチにて対処する必要が生じる恐れがあります。
  • 英国がEU仲裁協定に基づく仲裁手続を利用することができなくなります。その結果、移転価格『TP』争議や相互協議手続『MAP』の交渉等の調整や解決に遅れが生じる恐れがあります。これに伴い、二重課税リスクが増す可能性があります。

間接税について、以下の影響が発生する可能性がありますので、今後の動向にご留意ください。

  • EU内の輸出入に関税が適用されてしまうかもしれません。輸入商品の費用増加、法令順守費用の増加、並びに煩雑な事務手続の増加が懸念されます。
  • 英国がメキシコや南アフリカ、チリ、トルコ、スイス、韓国等の第三国とのEU自由貿易協定『FTA』(並びに日本等との流通経路における協定)の恩恵を受けられなくなるかもしれません。つまり、英国がFTAの適用対象から除外されるために輸出入について著しい関税率を課され、それが貿易障壁となってしまう可能性について留意する必要があります。
  • 英国とEU加盟国との間における商品やサービスの域内供給は、EUとEU域外の日本や米国との間における取引と同様に、通常の輸出入として取り扱う必要が生じる可能性があります。
  • 旧EU加盟国として特権的扱いが二国間で継続される場合であっても、付加価値税はEU全体のルールとして規定されているため、英国とEUとの間で付加価値税について解釈に差異が生じる可能性があります。その一方で、英国法人はEUのVAT原則に基づく保護の対象外となり、CJEUへ申し立てる権利も認められなくなるかもしれない他、付加価値税案件でCJEU並びにEU法に依拠することができなくなります。

法的に以下の影響が発生する可能性があります:

  • とりわけ、特に多国籍企業における従業員の国際間移動に影響を及ぼすことが考えられます。EU国籍の従業員を雇用している英国企業は、その従業員が英国で働く権利を有しているか確認する手続を実施する必要があるかもしれません。


ご提案
今後の交渉の推移を見守る必要があります。類似事例は過去にありませんので、KPMGとしては貴社のご要望に応じ本件への対応をサポートするとともに、社内セミナーやEU事業活動におけるバリューチェーン分析、潜在的なBrExit代案のためのシナリオBプラン策定(最悪事例シミュレーションを含む)等、追加の情報を提供します。

2. 新日独租税協定に基づく源泉税減免のための適用証明

2015年12月17日に署名された新日独租税協定(二重課税防止協定)が2017年1月1日付で施行されました。

 

源泉税率の変更概要
新日独租税協定には、ドイツが課税権を有するドイツから日本へ支払われる配当金やライセンス、利子に関する源泉税率の包括的な変更が含まれます。他方、新源泉税率を適用するための資格要件に関する変更が含まれています。

  2016年12月31日までの税率 2017年1月1日からの新日独租税協定に基づく税率
配当金 最低保有期間12ヵ月(直接・間接)最低保有株式25%の場合、源泉税率15%
  • 株式保有25%で18ヵ月以上の場合、源泉税率0%
  • 最低保有期間6ヵ月、保有割合10 - 24,99%の場合、源泉税率5%
  • その他の場合、源泉税率15%
利子およびロイヤリティ 源泉税率10%(該当ある場合) 源泉税率0%

新日独租税協定の恩恵を享受するための方法として、基本的に以下の二通りの方法があります:

a)親会社の正式な所在確認など資格要件を満たした書面による新申請書(有効期間は通常3年間)あるいは

b)既存の減免適用証明書を単に修正する場合、書面による修正申請書(公的に指定された書式がない場合でも、有効。ただし、既存源泉税の適用証明の残存期間についてのみ)

新日独租税協定第21条(特典制限条項/主要目的テスト)並びにドイツ所得税法第3項第50節dの必要条件を精査後、完全免税が可能となります。新日独租税協定第21条に基づく精査がどのように行われるかについては、依然としてBMF(財務省)と調整中です。

変更申請や新規申請を行わない場合、これまでに発行された免税証明書に基づく税率がそのまま適用されます。この場合、配当等の支払者はドイツ所得税法第50節aに則り、これまでの税率にて源泉徴収され、税金控除された金額を送金します。既存の免税証明書に従って源泉徴収された源泉税は、後日払い戻し手続を行うことにより還付を受けることが可能です。

ご留意頂きたい点として、処理時間は現状数ヵ月程度必要と考えられます。新日独協定へ対応するために多数の適用申請が見込まれるため、処理日数の増加が予想されます。


ご提案
新しい適用申請書と修正版のどちらを提出すべきかについては、費用対効果を考慮して各企業が検討する必要があります。この点につきまして貴社をサポートします。
既に支払いを2017年第一四半期に計画されている場合、そして低い新源泉率を用いて実施される場合、申請手続に数ヵ月かかりますので、できるだけ早く(一部)免税用の適用申請書を提出ください。

  • 支払時点において有効な(一部)免税適用証明書を保持していることが、新日独租税協定に基づく低源泉税率を適用できることの条件となるため、この点につきご留意ください。

ご質問があれば、ご遠慮なくお問い合わせください。貴社の申請をサポートします。

3. BEPS(税源浸食と利益移転)措置のドイツ国内法への導入

はじめに
2016年12月23日付で連邦法新聞に公布された、いわゆる『BEPS(税源浸食と利益移転)対策法I』を通じて、例えばBEPS(税源浸食と利益移転)行動計画13、すなわち移転価格文書および国別報告書(CbCR)に関し、透明性向上に関するいわゆる『OECD BEPS(税源浸食と利益移転)』プロジェクトの内容が、ドイツ国内法に導入されました。


概要
移転価格の領域におけるグローバルな透明性を高めるため、OECDが提唱する文書化の義務はドイツ税法に現在導入されていて、三層構造となっています。:

  • マスターファイル
  • ローカルファイル(ドイツ国税法§90(3)(『Abgabenordnung租税通則法』AO、全般的およびドイツローカル移転価格(TP)設定を文書化したもの)
  • 国別報告書(CbCR(AO§138a)、企業集団の移転価格方針に関する一定の主要指標を文書化したもの)

AO§90(3)は、いわゆるローカルファイルを対象とする規則を取り入れるために改訂され、それぞれの現地企業毎の取引情報が含まれます。主に旧AO§90(3)に含まれる移転価格の文書化に関する旧条項に相当します。

さらなる修正事項には、いわゆるマスターファイルに関する規則が含まれ、企業集団のグローバルな事業活動の概要やグループ企業間取引価格を決定するために用いられた移転価格設定の方針が盛り込まれています。法律の文言においては、文書化すべき基準を(まだ)示していません。したがって、現在、この点について利益配分の文書化に関するドイツ規制(GAufzV)が更新される予定となっていす。

売上高1億ユーロ以上の多国籍企業グループは、マスターファイルを作成しなければなりません。BEPS(税源浸食と利益移転)行動計画13では、マスターファイルとローカルファイルを年次の税務申告書と共に提出するよう提案しています。OECD推奨と異なり、ドイツの規則ではマスターファイルとローカルファイルを税務調査中に提出しさえすればよいと定めています。当該新しい文書化義務は、2016年12月31日以後開始する事業年度から適用されます。

国内のグループ親会社についてはさらに、連結財務諸表に最低1社外国法人あるいは外国の恒久的施設を含み、前年度の連結売上高が7億5000万ユーロ以上の場合、いわゆる国別報告書(CbCR)を作成することが求められます。国別報告書には、管轄区域に所属する全企業の財務、法務、ビジネスに関する情報(いわゆる主要指標)を含まなければなりません。

一般的に、外国グループ親企業の国内子会社は国別報告書(CbCR)を作成する必要はありません。しかし、外国グループ親企業から委任された場合、あるいは連邦中央税務局(BZSt)が外国グループ親企業から報告書を受け取らない場合は、国内子会社が報告書を作成しなければなりません。報告書は国内のグループ親会社がます最初に作成し、それを他の国内会社に確認する段取りで、2015年12月31日以後に開始する事業年度から実施することが求められます。外国グループ親企業から報告書が連邦中央税務局(BZSt)に提出されない場合、2016年12月31日以後終了する事業年度について国内グループ企業が報告書を作成しなければなりません。


ご提案
企業のグループ内の立場によって、移転価格の文書化要請が著しく増えることが想定されます。したがって、KPMGとしては、新しい要件に準拠すべく、現状の移転価格の文書および今後の文書化義務を分析されることをお勧めします。

上記について、例えばKPMG CbCR準備状況チェックなどを通じて、皆様をサポートします。このチェックでは、CbCR作成に必要な関連データを特定し、リスクおよびマスターファイルとローカルファイルとの整合性を分析します。

加えて、税務調査未実施、かつ、新たな移転価格規制の対象とされていない事業年度についても、(既存のドイツ文書化規則と新規制との不整合を避けるため)変更可能性を見越しつつ、できるだけ早めの文書化をお勧めします。

4. 法人税欠損金利用規則の拡張

はじめに
法人税欠損金利用規則が、新たな法人所得税法§8d(KStG)により拡張されました。本規則では、法人が一定期間同じ事業を継続していることを条件に、税務上の繰越欠損金の失効および事後の不利益な所有権の変更による当期の税務上の損失と利息相当の繰越免除について、定めています(KStG§8c)。


概要
既存の欠損金失効の免除とは別、すなわち、

  • 含み益規定
  • グループ免税規定

KStG§8dは:

  • 含み益を有していない法人が、
    または
  • グループ内に位置付けられていない法人が、

追加の欠損金失効例外規定の恩恵を受けることができるよう追加しています。立法者が対象として想定しているのは、未使用繰越欠損金の失効が経済的にも形式的な税務見地からも正当化されないような事例です。

新たな規則適用後、法人設立以降または最低3年間同じ事業を継続していることを条件に、欠損金および利息繰越金は、KStG§8cの示す範囲で不利益な所有権の変更である場合にも関わらず維持されることになります。法人の事業活動は、性質の側面に基づいて決定されるべきです。追加要件として、当該機関に以下のような故意の事象が発生しないことが求められます:

  • 法人がその事業を廃止や中止、変更するような場合
  • 事業の提携相手先が税務上のグループ支配企業となる場合
  • 事業資産が公正な市場価値より低い価格で他の法人に移管される場合

申請は、不利益となる所有権の変更が発生した事業年度の年次税務申告と共に行うべきものとなっています。事業は所有権変更後も継続されなければなりません(『事業継続に関連した欠損金繰り越し』)。廃止や中止、事業変更の場合、含み益条項が適用される場合を除き、事業継続に関連した欠損金の繰越は無効となります。事業の提携相手先参画が支配企業になる場合、または事業資産が公正な市場価値より低い価格で他の法人に移管される場合にも、同様に欠損金の繰越は無効となります。

立法手続は2016年内に完了し、本規則は2015年12月31日以降の不利益な所有権の変更について遡及適用されます。


ご提案
税務上の繰越欠損金(TLCF)の取扱に関する検討を要する買収や組織再編を計画されている場合で、既存の規定では欠損金失効の例外には該当しないものでも、新たなKStG§8dによって、未使用の欠損金の維持による便益を得ることができます。KPMGでは、事例の確認、潜在的なTLCFを維持するための税務当局に対する申し立ておよび交渉のお手伝いをします。

5. 租税通則法第153条の適用

概要
連邦財務省は、任意の開示による申告修正の差別化についてコメントしています。一定のケースでは、内部統制システム(税務コンプライアンス・マネジメント・システム)が修正の原因が故意によるものか過失によるものかの主張を行うための根拠になりえます。


詳細
近年において企業は次の事項に直面しています:

  • 租税通則法第153条に則り、単なる修正申告通知および訂正だけで十分かどうか。
    あるいは、
  • 納税者自身が、正確でない税務申告であった旨の任意開示を行うことで、刑事責任や罰金からの自己防衛を図らなければならないかどうか。

もし修正申告が25,000ユーロ以上の金額の意図的な租税回避に関する任意開示と認められる場合でも、回避した税金の10~20%の追徴金を支払いさえすれば、税務当局は起訴を差し控えます。追徴金は、それぞれの当事者が支払うことになります。したがって、該当する場合には支払いが複数回となり(例えば、役員全員あるいは代表取締役がそれぞれ支払う)、企業の財政基盤に深刻な損害を与える可能性があります。

納税者が自身で提出した税務申告の不正確さに気が付き、遅滞なく租税通則法第153節に則り通知並びに訂正義務を果たす場合、租税回避行為にも過失による過少申告にもなりません。

申請に関する法令の定めでは、提出した申告書の不正確な納税に伴う影響額や提出した訂正数に基づいて意図的な税逃れや過失による過少申告を最初に疑いが、自動的に決めつけることはできません。しかしながらこの問題はこれまで、法の執行機関の行政的な慣行においてさまざまに扱われています。

不正確な税務申告に関する意図的あるいは重大な過失の疑いに反論するためには、納税義務を果たす目的に役立つ効果的な内部統制システム(税務コンプライアンス・マネジメント・システム)を構築することが通常適しています。内部統制を構築しているにもかかわらず不正確な処理が発生しても、租税通則法第153節に則り『簡単な』修正申告書を提出する義務が生じるだけです。

したがって、全ての企業、特に法人税やVATの申告に責任をもつ会社のみなさまにつきましては、税務コンプライアンス・マネジメント・システムの導入を検討することを強くお勧めします。この点について、根本的なプロセスと統制並びに組織全体が正当に導入される税務コンプライアンス・マネジメント・システムの要件を満たす場合、代表取締役の方は基本的に税務申告で申告された情報が完全で正確であると信用できることを検討する価値があります。

一方、法令の定めでは税務コンプライアンス・マネジメント・システムのデザイン要件に関する詳しい説明をしていません。ドイツ公共監査人機構(IDW)は、税務コンプライアンス・マネジメント・システムを監査する可能性について明確に定めた発表を行うことになります。この監査で正式な証明書が発行されることになりますが、(もし税務調査で重大な事項が検出された場合などには)監査証明が存在することで責任が免除されるといった可能性に関する実務的な方向性が示されることになります。


ご提案
法令では構築すべき税務コンプライアンス・マネジメント・システムの内容に関する詳細な言及はありません。数々の論議すべき事項ついての説明が現状はなされていないため、税務行政がそれぞれのガイドラインを公布するかどうか見守ることになります。

しかしながらまた、IDW PS980に従った監査が行われることによって、企業は税務当局に対し、自社が十分な税務コンプライアンス・マネジメント・システムを構築している確固とした文書を示す、妥当な可能性を提示することができます。

KPMGは、租税通則法第153節に則った訂正や任意開示の提出に関して、並びに意図的あるいは過失の疑いに関して、あるいは起訴に対してどう自己防衛を図れば良いのかについて、予防的なアドバイスをします。

また、税務コンプライアンス・マネジメント・システムの考え方に関する詳しい情報を、またその導入に関するお手伝いも含め、提供します。

執筆者

KPMG Global Japanese Practice in Germany
KPMGドイツ 日系企業担当チーム

German Business Bulletin

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