金融庁が経済価値ベースの評価・監督手法の検討に関するフィールドテストの結果概要を公表

金融庁が経済価値ベースの評価・監督手法の検討に関するフィールドテストの結果概要を公表

2017年3月28日、金融庁は、すべての保険会社(生保41社、損保51社)を対象に2016年6月から12月にかけて実施した「経済価値ベースの評価・監督手法の検討に関するフィールドテスト(フィールドテスト)」の結果概要を公表しました。

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背景および目的

経済価値ベースのソルベンシー規制は、資産・負債の一体的な経済価値ベース評価を通じ、保険会社の財務状況を的確に把握しようとする枠組みであり、今回のフィールドテストは、2010年6月および2014年6月に全保険会社を対象として実施されたフィールドテストに続き3回目の実施となります。

フィールドテストの目的は、日本における適切な評価・監督手法の検討の一環として、経済価値ベースの資産、保険負債、資本の質、所要資本等の計算について各社の対応状況、直近の低金利下におけるソルベンシーの状況、実務上の課題等を把握するとともに、国際的な議論への貢献・フォロー等の今後の検討に活かしていくことです。

実施内容

単体ベース、連結ベースの両方について、次の各項目を市場整合的な経済価値ベースで計算することとされました。フィールドテストで資産や資本の質の評価、連結ベースの計算が求められるのは今回が初めてとなります。

  • 資産およびその他負債
  • 保険負債の現在推計
  • 適格資本
  • 現在推計を超えるマージン(MOCE)
  • 各リスクの所要資本

計算方法は保険監督者国際機構(IAIS)が開発中の保険資本基準(ICS)のフィールドテスト仕様書における市場調整評価(MAV)手法に基づいたものとされ、計算基準日は2016年3月31日です。
その他、経済前提に対する感応度を把握するためのシナリオ計算、割引金利の補外方法の違いによる影響把握のための計算、内部モデルによる計算とアンケート等も行われました。

結果概要

経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)は、生命保険会社で平均104%、損害保険会社で平均194%となりました。経済前提を2015年3月31日に変更した場合のESRは、生命保険会社で150%、損害保険会社で201%であり、生命保険会社では経済前提(特に、円金利)に対する感応度が大きいことが確認されています。

内部モデルに関するアンケートでは、各社において、リスク管理・経営管理における内部モデルの活用が進められており、当該モデルの検証態勢についても、各社で課題を認識の上、高度化へ向けた不断の取り組みがなされていることが確認されたとのことです。

今回のフィールドテストに対しては、以下のような意見があったと述べられています。

  • ICSは国際的に活動する保険グループ(IAIGs)を対象とした規制であり、国内の規制を考える上では、日本の保険会社の特性を踏まえた規制とすべき
  • ICSは連結ベースの規制であり、単体ベースで適用する場合にはグループ内部取引等について適切に実態を反映すべき

この他、経済価値ベースの指標を規制で用いる場合の懸念点・留意点等に関する意見が多数あったとのことです。

今後の課題

今回のフィールドテストの計算方法では、円金利が低位かつフラット化した状況では将来数十年に亘り金利が低位で推移するという保守的な経済前提に基づいてESRが計算される、と指摘されています。そのため、保険会社の財務状況を検証する際には、ESRの大小だけではなく、リスクとソルベンシーの自己評価(ORSA)や保険計理人の将来収支分析等から得られるリスクテイクや内部管理の状況を踏まえた、多面的な検証が重要であると述べられています。

国内のソルベンシー規制へのESR導入にあたっては、

  • 保険会社の過度なリスク回避行動を惹起し、保険会社の長期的な健全性、金融市場や保険会社の社会的役割等に対して、意図せざる影響をもたらす可能性があること
  • 国際的な動向

を踏まえつつ、関係者との対話を重視して、引き続き検討していく、とされています。

また、仮にソルベンシー規制においても内部モデルを活用する場合には、効率的なモデル審査を行うことや標準モデルとのバランスに配慮することが必要であると、されています。

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