India Topics - 2017年3月号 | KPMG | JP

India Topics - 2017年3月号

India Topics - 2017年3月号

India Topics - 2017年1-3月におけるインドの会計・税務に関するトピックスを要約しています。

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1. 有限責任組合に対する外国直接投資に関するガイドラインの改定

外国投資促進委員会(Foreign Investment Promotion Board;以下FIPB)は、プレスノート12において、有限責任事業組合(Limited Liability Partnership;以下LLP)に対する外国直接投資(Foreign Direct Investment;以下FDI)方針を緩和しています。しかしながら、インド準備銀行(Reserve Bank of India;以下RBI)が行った外国為替管理法のLLPに対するFDIについての附則※1に関する改訂は、上記プレスノート12/2015による変更とは一致していませんでした。

RBIは最近、FEMA 20/2000の付則9に関する通達(No. 385/2017)を発行して更なる改訂を行いました。主な変更点は以下のとおりです。

  • 外国直接投資された会社のLLPへの形態変更が明確化されました。外国直接投資された会社が、自動認可ルートによる外国直接投資が100%まで認められたFDIに関連した業績条件が存在しない事業分野であれば、当該会社のLLPへの形態変更も自動認可されます。FIPBの承認は必要ありません。
  • 従来付則9ではLLPが対外商業借入(ECBローン)を利用することを禁止していましたが、この規定が削除されました。ECB規則に適切な修正が行われれば、LLPはECBローンを利用できることになります。これまで日本企業がLLP設立を検討する際、ECBローンが利用できないことは大きなデメリットの1つと考えられていましたが、ルールの改正によってこのデメリットがなくなります。
  • 指定パートナー(Designed partner;以下DP)に任命される法人は、インドで登記されている会社に限られるという規定が削除されています。これによって、外国企業をDPとして任命することが可能になります。
  • DPに任命される個人について、外国為替管理法に基づく在留要件がなくなりました。

このような改訂により、LLPの利便性は高まることが予想されます。

※1 外国為替管理法(インド非居住者による株式譲渡又は発行)規則 2000 (FEMA 20/2000)付則9

2. 物品・サービス税(GST)導入に関するアップデート

GSTに関するさまざまな問題を解決すべく、物品サービス税協議会(GST Council;以下GST協議会)の会合が幾度か開催されています。財務大臣はGST導入期限を、2017年7月1日まで延期することを正式に発表しました。

このほか、GST協議会による会合のトピックは以下のとおりです。

  • Dual GST(連邦政府と州政府という2つの機関による間接税課税方式)であることによって生じる管轄上の問題が解消されました。
    売上高が15百万ルピー以下の課税事業者については、課税対象額の90%が州で課税され、残りの10%が中央政府の管轄となりました。また、15百万円を超える売上高の課税事業者については、課税対象額への州と中央政府の管轄割合は50:50となります。
  • 国外からの輸入や州をまたいだ物品及びサービスの供給に対して課せられるGST(Integrated GST;以下IGST)の課税徴収権は中央政府にあるとされていますが、法律の特別条項によって、州政府がIGSTを徴収する権限が認められる予定です。
  • インドの領海の12海里以内の課税権は憲法上中央政府にありますが、当該領海内で行われる経済活動に対する課税権は州政府にあります。
  • GST補償法案は2017年2月18日に可決されており、GST移行に伴い各州に生じる5年間の歳入の減少額について補償がなされます。
  • 2017年3月4日及び2017年3月16日に開催された会合において、中央政府によるGSTに係る法(CGST法)、州政府によるGSTに係る法(SGST法)、IGST法(IGST法)及び連邦直轄領GST法(UTGST法)等の主要なGST法律案が承認されました。
  • 高級品に対しては12%の追加目的税が課せられる予定で、その上限は15%となる見込みです。

次のステップとしては、政府はCGST法案を国会に上程する前に、内閣での承認を得るだろうと予想されています。このため、CGST法案は2017年3月27日の国会で審議される見込みです。CGST法案の国会通過後に、SGST法案が各州議会で承認される必要があります。

また、税構成、評価、支払った税額の控除、及び従来の間接税制下での支払・登録・請求・申告・還付が、GST導入による規定の改訂でどのように変更されるかに関する最終規則案が、次回2017年3月31日のGST協議会の会合で検討されることが発表されています。その後、GST協議会は、承認済の4つの税率(5%、12%、18%、28%)がどの物品サービスに適用されるかを決定することになります。

3. 直接税中央委員会と日本企業の子会社との二国間事前確認制度の締結

直接税中央員会(The Central Board of Direct Taxes;以下CBDT)は、2017年3月6日に日本企業の子会社との間でロールバック条項を有する二国間事前確認制度(bilateral Advance Pricing Agreement;以下バイラテラルAPA)を締結しました。これによって、日本の子会社との間で締結されたバイラテラルAPAは5件(すべてロールバック条項あり)になっており、うち4件が今年度に調印されています。

これらの5件のバイラテラルAPAは全て日系総合商社との間で調印されています。上記APAが署名されたことで、CBDTが締結したAPA総数は141件になりました(うち、バイラテラルAPAは11件)。CBDTは、今年度末までにさらに多くのAPAが締結、署名されることになると想定しています。

4. 裁判事例

a. 非居住者がインド国外で提供したサービスの対価として受領した給与は、インド国外で発生しているため、インドでは課税されない

カルカタ高等裁判所(以下、高等裁判所)は、Utanka Roy(以下、納税者)の事案において、インド国外でのサービス提供の対価として非居住者が受領した給与は、所得の源泉であっても、インド国外で発生しており、インドでは課税されないとの見解を支持しました。高等裁判所は、所得がインド国内で受領された、または受領されたとみなされることだけをもって、当該所得がインド国内での課税対象となることはないとの見解を示しています。所得の発生場所、すなわち、サービスが提供された場所は、所得がインド国内で発生したかどうかの判断根拠となります。本事案では、納税者はインド国外で提供したサービスに対する給与を受領しているため、その給与所得はインド国外で受領した所得とみなされ、上記のように取り扱われました。よって、高等裁判所は、納税者が受領した給与は、インド国外でサービスが提供されたため、インドでは課税されないと判断しました。

b. データセンター、インフラ、接続性、アプリケーション技術の形で提供される技術サービスは、1961年インド所得税法のもと、ロイヤルティとしても、技術サービス料としても課税されない

ムンバイ所得税審判所は、Atos Information Technology HK Ltd.(以下、納税者)の事案において、データセンター、インフラ、接続性、アプリケーション技術の形で技術サービスを提供した対価として納税者に支払われた金額については、インド所得税法(以下、所得税法)第9条1項(vi)に基づき、ロイヤルティとしては課税されないとの見解を支持しました。納税者はインドの銀行へ、コンピュータソフトウェアやハードウェアによって、データプロセスサポートやそのための設備を提供しており、そうした技術サービスの提供のみでは、所得税法第9項1項(vi)のExplanation2で示されている技術、情報、ノウハウほかいかなる定義においてもロイヤルティの対象の移転は認められない、と判断されています。

また、納税者は、人手の介在がないデータ処理用の標準的な設備を提供したに過ぎず、したがって当該支払額は、所得税法第9条1項(vii)に基づく技術サービス料としても課税されないと判断されました。

c. 米印租税条約に基づき、インド国外グループ企業の駐在員事務所が一定の場所PEとして認定され、インド子会社が代理人PEとして認定された

デリー所得税審判所(以下、審判所)は、GE Energy Parts Inc.(以下、納税者)の事案において、米印租税条約に基づき、納税者のインド国外グループ企業の駐在員事務所(Liaison office;以下LO)はインドにおける一定の場所恒久的施設(Permanent Establishment;以下PE)を構成するとの見解を支持しました。これは、LO施設において、LOに認められている単なる準備的、予備的な活動のみならず、実体的で中核的な活動が行われたとの判断に基づくものです。LO施設はリースされていましたが、納税者のインド国外グループ企業のために、インドで働いている駐在員によって常に利用されていました。また、納税者の別のグループ会社の従業員も、駐在員の直接的な管理監督のもと、LO施設で勤務していました。

審判所は、インド国外グループ企業の駐在員とグループ会社の従業員は、複数のGE海外企業の代理人として任命されていたとの見解を示しています。これら駐在員とグループ会社の従業員は、従属的な立場で代理人として行動していました。さらに、GEのインド法人であるGE Indiaはインド国外GEグループ企業の代わりに契約を締結する権限を有しており、インドにおいて代理人PEを構成しているとの結論に至りました。

日印租税条約上は代理人PEの規定はありませんが、一定の場所PEは定められており、日系企業にも同様の概念が適用される可能性があります。

d. 納税者番号なしでも租税条約上規定されている軽減税率が適用される

ハイデラバード所得税審判所の特別法廷は、Nagarjuna Fertilizers and Chemicals Ltd.(以下、納税者)の案件において、所得税法第90条2項※2により納税者が恩恵を得る範囲内では、租税条約の規定が所得税法第206AA条の規定よりも優先されるとの見解を支持しました。

所得税法第206AA条では、源泉徴収が課されている所得の受領者がPAN未取得の場合、高い源泉税率を適用することを規定しています。特別法廷は、この条項に基づいてPAN未取得者に対して高い源泉税率を適用するためには、所得税法第90条2項において、第206AA条が第90条2項よりも優先されると特別に規定されているべきですが、そういった定めがないことで、所得税法第206AA条の規定は関連する租税条約よりも優先されるべきではないという立法側の意図は明確であるという見解を示しています。

アーメダバード所得税審判所は、Unipjos Environtoronic (P.) Ltd.の案件において同様の見解を支持しています。同審判所は、租税条約の納税者に有利な規定に基づいて源泉徴収がなされる場合、所得税法第206AA条の規定は適用されず、租税条約上の軽減源泉税率が適用されると判断しています。

そもそも、2016年財政法で所得税法第206AA条の規定は改訂されています。CBDTは2016年6月24日付通達※3で1962年所得税規則の規則37BCを改正し、インド非居住者である納税者が納税者番号(Permanent Account Number)を保有していない場合であっても、所定の情報や書類を源泉徴収者に提出すれば、所得税法206AA条の規定は適用されないことを定めています。

※2 インド所得税法第90条2項では、租税条約上、税務上の救済措置や二重課税の回避が定められている場合に、租税条約が適用される納税者の有利になる場合に限って、所得税法の規定が適用される旨が定められている。

※3 CBDT Notification No.53/2016, F.No.3 70 142/16/2016 - TPL

執筆者

あずさ監査法人
インド事業室

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