製造業(B2B事業)の「ソリューション」型ビジネスにおける業績評価の在り方 | KPMG | JP

製造業(B2B事業)の「ソリューション」型ビジネスにおける業績評価の在り方

製造業(B2B事業)の「ソリューション」型ビジネスにおける業績評価の在り方

顧客価値、競合環境、テクノロジーなどの変化により、日本の製造業はビジネスモデルの見直しの必要性が叫ばれています。特にB2B事業においては、製品をつくり販売する「製品開発」型ビジネスから、顧客に近いところでそのニーズや課題を理解し、顧客の課題を解決する「ソリューション」型ビジネス※1への転換が求められています。

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「製品開発」型から「ソリューション」型への転換とは、既存のビジネスモデルからの脱却であり、180度価値観の違った転換でもあります。そのため「ソリューション」型ビジネスが遂行可能な新しい組織形態や業績評価の管理手法が必要となります。

本稿では、B2B事業における「ソリューション」型ビジネスへの転換へのステップ、それに伴う新しい組織形態、および業績評価管理の在り方を解説します。

なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。

 

※1 「ソリューション」型ビジネスとは:
例えば家電メーカーであれば、個別機器の提供だけでなく、個別機器にアプリケーションを付加するとともに、ネットワークに接続する機能を組み込み、そのネットワークの設計も含めて提供、付属品や周辺の“他社”の機器も併せて提供、あるいは、機器利用のためのトレーニングや業務プロセスの見直しに関するコンサルティングも併せて提供する等、顧客が抱えている課題そのものの解決を直接支援するビジネスモデルのこと

ポイント

  • 日本の製造業の一部では、多様化した顧客ニーズや技術革新に晒され、急速に製品自体の競争力を失いつつあり、自社製品を活用しながら顧客が求めるニーズを満たす付加価値サービスを提供していかなければ、製品自体の販売もおぼつかない状況になっている。
  • 「ソリューション」型ビジネスで成功するためには、自社に適合する「ソリューション」型ビジネスモデルが採用されること、および、そのビジネスをドライブできる新たな価値観に対応できる組織/業績管理の仕組みを構築することが必要である。
  • 「ソリューション」型ビジネスを適切に管理するためには、バリューチェーン全体をシングルカンパニーのように扱い、インダストリー(アカウント)、またはソリューション事業単位に着目した組織構造/責任体制
    に移行し、最も高い価値を提供できる機能をプロフィットセンターとして指定し、残りをコストセンターとして設定する必要がある。
  • 企業買収は、競合他社の状況によっては、バリューチェーンを完成するまでは利益を計上しにくい状況が想定されるため、価格よりスピードが重視される傾向にある。その際には、バリューチェーン完成後の市場の規模とシェアにより算定される投資額を比較検討し、投資規模や累積赤字等の許容額を設定する必要がある。
  • 「ソリューション」型ビジネスの管理構想を立案する際に、検討すべきポイントは7つある。現在、将来にどのような管理水準が求められるかをそれぞれ検討する必要がある。

内容

I. 必要に迫られた「ソリューション」型ビジネスへの転換
1. 自社技術偏重とマーケティング力の弱さ
2. 市場環境変化をくみ取る製品企画力不足
3. 製品に付随したサービスを事業化(収益化)に結び付ける機能の弱さ
II.「ソリューション」型ビジネスを評価できないジレンマ
III.「ソリューション」型ビジネスへの転換の際に、確認・認識しておくべきポイント
1. 自社にあった「ソリューション」型ビジネスモデルが選択されているか?
2. 価値観の違うモデルへの転換による組織/業績管理への影響を認識しているか?
IV.「ソリューション」型ビジネスを適切に評価するための留意点
1. バリューチェーン全体での評価への変更
2. 評価単位軸と評価時間軸の適切な設定
3. 評価単位軸に応じた組織構造/責任体制の移行
V. 転換期の買収戦略(事業投資)
VI.「ソリューション」型ビジネス見える化のための7つのポイント
VII. おわりに

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
アカウンティングアドバイザリーサービス
パートナー 林 博文
パートナー 鳥生 裕

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