基本金に係る決算上の留意点 | KPMG | JP

基本金に係る決算上の留意点

基本金に係る決算上の留意点

文部科学省所管学校法人では、改正後の学校法人会計基準が平成27年度から適用されています。ただし、「恒常的に保持すべき資金の額」の改正については平成28年度より影響があるため、当該改正の内容及び実務上において論点の多い、基本金に係る留意点をQ&A形式で解説します。

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第1号基本金

未組入高

Q.基本金では、資産を借入金や未払金等で取得した場合、返済・支払が行われるまで基本金の組み入れを行わず、未組入高とすることとされています。
第1号基本金の対象資産を借入金や未払金等で取得した場合、当該借入金や未払金等の金額を未組入高と考えればいいのでしょうか。

A.必ずしも、未組入高=借入金、未払金等にはならない場合があります。
未組入高とは要組入高のうち、借入金、未払金等の返済・支払が未了のため、基本金への組み入れが行われていない額をいいます。このため、要組入高≧未組入高となります。

一方、取替更新の場合、新規取得資産のための要組入高は新規取得資産の取得価額と 既に基本金へ組み入れ済みの額(旧資産に係る基本金額及び当該案件に対する第2号基本金額)の差額となります。
このため、以下のようなケースでは未組入高=借入金とはなりません。

例)校舎の改築を実施。除却旧校舎に係る基本金は600、新築校舎代は1,000
資金の内訳は

  1. 第2号引当特定資産200
  2. 1以外の自己資金500
  3. 借入金300

借入金の返済は毎年30

機器備品の留意点

固定資産の取替更新した場合、原則として個々の固定資産ごとに基本金の要組入高を判断しますが、機器備品については年度の取得・除却を一括して機器備品の取替更新とみなし、両者の差額を基本金の要組入高とする処理が認められています。
このため、年度の取得・除却を一括して機器備品の取替更新みなし、要組入高を算定する場合、当該要組入高≧未組入高になっている必要があるため、リース資産の未払金相当額がある場合も必ずしも未払金相当額が未組入高にならない場合があります。

また、グループ償却を採用し、償却完了年度に除却処理している場合には、その取得価額に相当する額は当該年度の基本金組入れ計算に際し、取替更新の対象となるとされています。

要組入高

Q.基本金明細表の第1号基本金の要組入高の当期末残高は第1号基本金の対象資産の取得価額と一致する必要があるのでしょうか。

A.第1号基本金の要組入高の当期末残高の金額は「第1号基本金の対象資産の取得価額+繰延額」と一致します。

なお、「第1号基本金の対象資産」は教育の用に供される固定資産になりますが、直接教育用に使用する固定資産に限定されてないため、基本的には固定資産から以下を除いたものが該当します。
(第1号基本金の対象とならない資産)

  • 投資を目的とする資産(有価証券、収益事業元入金、長期貸付金等)
  • 特定資産

このため、基本的には有形固定資産及び借地権、電話加入権、ソフトウェア等の無形固定資産等が該当しますが、運用資産に該当するものは、除く必要があります。

「繰延額」とは、過去に第1号基本金を組み入れした資産を除却し、新たに代わりの資産を購入する場合(取替更新)の取得と除却時期にズレがある場合等に除却資産に係る基本金を取崩さず、新規資産の取得時まで繰延べる金額のことです。新規取得時は、当該取得価額と繰延額の差額を基本金組み入れすることになります。このため、校舎の建替等を実施している場合、留意が必要です。

第2号基本金

組み入れ・振替時期

Q.当年度は×1年度であり、将来的に校舎を新築予定です。
新校舎代は1,000、旧校舎(除却予定)に係る基本金は600。
着工は×5年度、完成は×6年度の予定であり、支払予定は×5年度300、×6年度700。
第2号基本金を組み入れ予定の場合に、以下についてどのように考えればよいでしょうか。

1)第2号基本金を新校舎代1,000まで組み入れ可能か。

2)第2号基本金の組み入れはいつまで可能か。

3)第2号基本金の第1号基本金への振替時期はどのようにすべきか。

A.第2号基本金は将来高額な固定資産取得の際に取得年度に基本金の組入れが集中しないよう、事前に基本金組入計画を樹立し、取得年度に先行して、段階的に基本金の組み入れ行うことにより、基本金を平準化することを目的としています。
また、理事会(評議員会が決定機関である場合は評議員会を含む)で決議された組入れ計画に基づき組入れを行う必要があります。
このため、以下の点に留意する必要があります。

  1. 第2号基本金の組入予定額≧将来の固定資産取得による第1号基本金の要組入予定額。
    (このため、校舎の建替等の場合は「新規校舎の取得価額 - 旧校舎の取得価額」の範囲となります。)
  2. 第2号基本金の組み入れは、第1号基本金の設定対象の取得年度の前年度まで可能。
  3. 組入れ計画の変更(計画廃止を含む)を行う場合には、理事会等の計画の変更決議が必要。

上記を考慮すると、(1)~(3)は以下のとおりとなります。
1)1,000(新規校舎代) - 600(旧校舎に係る基本金)=400まで組み入れ可能。
2)第1号基本金設定対象資産の取得が×6年度に700予定されているため、第2号基本金の組み入れは×5年度まで可能。
3)第2号基本金引当特定資産を実際に取崩して支払う年度に振替ることになります。

第2号基本金の組入れに係る計画表

Q.基本金明細表の付表として「第2号基本金の組入れに係る計画表」を作成する必要がありますが、作成にあたっての留意点は何でしょうか。

A.「第2号基本金の組入れに係る計画表」の作成にあたっては、以下の点を留意する必要があります。

項目 内容
取得額及び所要見込額 取替更新の場合は「新規資産取得資産の取得価額 - 除却資産の取得価額」の金額を記載しているか。
組入計画年度 対象の固定資産の取得年度の前年度までに完了予定か。
計画変更 計画変更がある場合、理事会等の承認が行われ、変更内容が計画表に記載されているか。
(例)計画廃止、取得予定年度を経過している場合等
内容
内容
内容
内容
取替更新の場合は「新規資産取得資産の取得価額 - 除却資産の取得価額」の金額を記載しているか。
取替更新の場合は「新規資産取得資産の取得価額 - 除却資産の取得価額」の金額を記載しているか。
計画変更がある場合、理事会等の承認が行われ、変更内容が計画表に記載されているか。
(例)計画廃止、取得予定年度を経過している場合等
計画変更がある場合、理事会等の承認が行われ、変更内容が計画表に記載されているか。
(例)計画廃止、取得予定年度を経過している場合等

第4号基本金

恒常的に保持すべき資金の額

Q.平成27年度の学校法人会計基準の改正に伴い、「恒常的に保持すべき資金の額」の改正も行われています。改正による変更点は何ですか。

1.算定式の変更
従来の算定の基礎であった消費収支計算書が事業活動収支計算書に変更になったことに伴う、算定式の用語変更が行われています。改正後の算定式は以下のとおりです。

前年度の事業活動収支計算書における教育活動収支の人件費(退職給与引当金繰入額及び退職金を除く)、教育研究経費(減価償却額を除く)、管理経費(減価償却額を除く)、教育活動外収支の借入金等利息の決算額の合計を12で除した金額。
(百万円未満、端数切り捨て可)

2.「恒常的に保持すべき資金の額」の引き下げ
旧基準では、計算された当年度で保持すべき資金の額が前年度保持すべき金額を下回る場合、前年度の金額を維持する必要がありましたが、当該改正に伴い、学校法人の財政状態等をより適正にあらわすため、支出が大幅に下がった場合には、恒常的に保持すべき資金の額を下げることとなりました。図に表すと以下のとおりです。

ただし、平成28年度(知事所轄学校法人の場合は平成29年度)においては、計算額が平成27年度(知事所轄学校法人の場合は平成28年度)の保持すべき金額を下回る場合、前年度に比べて20%超の減少でない場合も、その差額を取崩し対象としなければならない点に留意する必要があります。

執筆者

あずさ監査法人
第2事業部
マネジャー 酒寄 裕子

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