Brexitが及ぼす影響と英国の離脱シナリオとは(3) - 今後検討すべき対応事項

Brexitが及ぼす影響と英国の離脱シナリオとは(3) - 今後検討すべき対応事項

EUの基本理念である「人・物・資本・サービスの移動の自由」を失いつつある英国がどのような枠組みの下、これらの移動の自由を補完できるよう離脱シナリオを構想、交渉していくのかが今後の鍵となります。本編では、「今後検討すべき対応事項」に焦点を当て、日系企業が検討すべきこと、準備すべきことや、商機の捉え方などについて考察します。

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現時点では経済・政治の点からも不確実性が高い中、日系企業はどのように対応すればよいのでしょうか。英国に所在するサプライチェーン、統括機能の有無など英国ビジネスとの関係性は企業ごとに異なるものの、Brexitによってどのようなインパクトが日系企業に生じるのか、また英国にあるビジネスを欧州大陸へ移管した際のシナリオはどうなるのかなど、メリット・デメリットを税務・法務・労務、さらには会計といった多様な観点から分析することが必要になるでしょう。

このシミュレーション分析のための準備段階として、Brexit対応委員会の社内設置も有効であると考えられます。求められる人材として必要なのは、第一に、問題解決能力があり、マーケットを熟知しており、想像力と帰納的な思考を持っているという点です。第2に、社内事情に精通し、将来計画を策定する上で重要となる政策のフレームワークについて理解があることが重要になります。さらには、集団思考を避ける多様な視点を持っていることも、広範なシナリオケースを分析するためには必要となるでしょう。

こうした中で、もう一方では、これまでの欧州のゲートウェイとしての英国から、以下に一例を述べるように、Brexitによる不確実性を、逆にビジネスチャンスと捉える企業も出てきているようです。こうしたポジティヴな思考と迅速なアクション、それを支えるビジネスインテリジェンスが日系企業にも求められているのかもしれません。

今回の離脱発表を受けて、ポンドが米ドルやユーロに対して弱くなっていることをビジネスチャンスと捉えた米国やドイツなどの大手スーパーやディスカウント系小売業者の中には、英国の農家や漁業関係者らと早速良好な関係を作って、自国に安くて質の良い食品を輸入・販売する新たなサプライチェーンの構築を図る動きに出たところもあると言われています。日系企業にも同様のチャンスがあるのではないでしょうか。

また、投資家の中にはポンド安の状況下で、一般的に居住環境や建物の品質が良いと言われている英国の不動産への投資妙味を、これまで以上に感じている向きもあるようです。加えて、独自の移民政策や英国人労働者への回帰といったが社会・経済政策が執り行われることとなった場合には、こうした流れが中長期的には英国社会の安定をもたらし、文化レベルの高さと治安の良さを大きな魅力として観光業の振興はもちろん、学術研究・金融・ITといった分野で、これまで以上に質の高い人材への求心力が増すかもしれません。

前述の英国財務省の長期分析が示すように悪影響ばかりが注目されがちな昨今ではありますが、Brexitという転換が企業にとって商機になる可能性にも是非、期待したいと思います。


KPMGフランス パリ事務所 マネジャー 野間 愛子

本編は、三菱東京UFJ銀行国際業務部が発行した「BTMU Global Business Insight EMEA & Americas 2017年1月20日号 II.Brexitが及ぼす影響と英国の離脱シナリオとは - EUの基本理念を考察する」に掲載されたコンテンツを、一部加筆修正し、転載したものです。

Brexit(英国のEU離脱)に関する解説

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