Brexitが及ぼす影響と英国の離脱シナリオとは(2) - EU離脱のシナリオと特徴 | KPMG | JP

Brexitが及ぼす影響と英国の離脱シナリオとは(2) - EU離脱のシナリオと特徴

Brexitが及ぼす影響と英国の離脱シナリオとは(2) - EU離脱のシナリオと特徴

英国は今後2年間のタイムラインを目途に離脱交渉を行うことになります。対EU貿易関係がどのようになるのかが注目され、その選択肢としてさまざまなシナリオが検討されています。本編では、「離脱のシナリオと特徴」に焦点を当て、英国が今後模索する交易モデルの選択肢および特徴について解説するほか、英国財務相が発表したマクロ経済分析についても言及します。

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ノルウェー・モデル(欧州経済領域 - EEAに加盟)

EU市場に関税なしでアクセスできるもののEUが締結した自由貿易協定(FTA)へのアクセスはありません。1994年に発効した欧州自由貿易連合(EFTA)に加盟することになり、物品・サービス・人・資本の移動の自由が保障されます。また、規制、雇用法などについて一定のEU法の原則が適用されますが、EUのVAT圏には属しません。英国のEUに対する拠出金の9%の削減効果が見込まれます。

スイス・モデル(EFTAに加盟)

EFTAへの参加になり、EUと二国間協定を交渉します。一定のEU法の原則が適用されますが、EUのVAT圏には属しません。英国のEUに対する拠出金の55%の削減効果が見込まれます。EUは英国の「いいとこ取り」を警戒しています。EFTAの代表国であるスイスの例では、単独で日本や中国とのFTAを締結している反面、EUとの関係ではサービスや金融分野などの協定が不十分で、手続きに時間がかかるといったデメリットも指摘されています。

トルコ・モデル(関税同盟)

EUの製品規制を適用して、EUとの間に関税障壁はなくなります。英国はEUの対外的な共通関税(Common Custom Tariff)設定に基づく合同関税品目分類表を使用しなくてはなりません。また、EUのVAT圏には属しません。EUに対する拠出金は支払わなくてよいことになります。

自由貿易協定

EUおよび他の第三国と二国間協定を交渉します。非関税協定もしくは貿易協定に属さない上、EUのVAT圏にも属しません。EUおよびEFTAが締結したFTAに参加することはできません。EUに対する拠出金は支払わなくてよいことになります。

世界貿易機関(WTO)協定モデル(WTO加盟国)

非関税協定または貿易協定に属さない上、EUのVAT圏にも属さないのが特徴です。第三国と独立して二国間相互貿易協定を締結することになります。EUおよびEFTAが締結したFTAに参加することはできません。EUに対する拠出金は支払わなくてよいことになります。各国との貿易にはWTO協定に基づく関税が発生し、例えば自動車では平均税率が9.7%と設定されています。WTOのアゼベド事務局長は、英国の輸出者は関税として年間56億ポンド(1ポンド=150円で換算すると約8,400億円)を支払うリスクを抱えると述べています。したがって、WTO協定についても慎重な交渉が求められます。

 

英国財務省はマクロ経済の観点から、長期分析として15年後の英国経済への影響の試算値を公表しています。最も影響が少ないと想定されるEEAに加盟した場合でも、国内総生産(GDP)の減少率は3.8%、1人当たりGDPの年間損失額は1,100ポンド(約14万円)、家計当たりGDPの年間損失額は2,600ポンド(約33万円)、税収純減は200億ポンド(約2兆5,500億円)と試算されました。WTOモデルに加盟した場合はEEA加盟と比較すると影響額はほぼ2倍となり、GDPの減少率は7.5%、1人当たりGDPの年間損失額は2,100ポンド(約27万円)、家計当たりGDPの年間損失額は5,200ポンド(約66万円)、税収純減は45億ポンド(約5,700億円)と試算されました。一方、二国間協定(スイス・モデルおよびトルコ・モデル)に加盟した場合は、上述のEEAまたはWTO加盟の際の試算値のほぼ中間の値となっています。


KPMGフランス パリ事務所 マネジャー 野間 愛子

本編は、三菱東京UFJ銀行国際業務部が発行した「BTMU Global Business Insight EMEA & Americas 2017年1月20日号 II.Brexitが及ぼす影響と英国の離脱シナリオとは - EUの基本理念を考察する」に掲載されたコンテンツを、一部加筆修正し、転載したものです。

Brexit(英国のEU離脱)に関する解説

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