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German Business Bulletin Vol.92

German Business Bulletin Vol.92

German Business Bulletin Vol.92では、国際課税、付加価値税、不動産取得税、欧州法または短信(租税条約状況等)などについて詳しく解説しています。

関連するコンテンツ

I. 国際課税

1. 憲法裁判所が条約のオーバーライド(給与所得)について決定

当ニューズレター Vol.88第6章『BFH(連邦租税裁判所)- 条約オーバーライドの合憲性についての疑問』もご参照ください。


はじめに
2016年2月の報道発表において、ドイツ連邦憲法裁判所は、国家制定法によるいわゆる『条約のオーバーライド(treaty override)』は、ドイツ憲法のもとで容認できるものと発表しました。


概要
例え特定の租税条約において、ドイツでの国内課税対象から給与所得を免除すべきであると規定していても、この免税が自動的にドイツ税務当局によって認められることにはなりません。法律上、一般的には個人が海外で支払った税金額に対する証拠『外国課税の証拠(proof of foreign taxation)』を提出した場合にのみ、ドイツでの免税が認められることになります。証拠によって立証できない場合は、租税条約において原則として免税とされる旨が規定されていても、当該給与所得はドイツ所得税の課税対象となります(『条約のオーバーライド』)。

実務上、当該『条約のオーバーライド』の影響により、出向元国と出向受入国の双方における納税者や雇用主、並びに税務顧問の事務作業(ドイツ以外の国での所得税申告書や税額通知書の翻訳や説明等)が増えることが良くありますが、今や間接的に、この手間のかかるアプローチはドイツ憲法裁判所のお墨付きとなったことになります。2004年1月1日以前に締結された租税条約については、当該租税条約とは関係なく『条約のオーバーライド』が合憲となります。


ご提案
2004年1月1日以降に締結された租税条約(ドイツとスペイン、ルクセンブルグ、アイルランドあるいはオランダとの間の租税条約等)について『条約のオーバーライド』が合憲であるかどうかについては、依然として討議中の状況です。

いかなる状況にあっても、必要な場合はドイツ国外で実際に課税されたことを立証する資料をドイツ税務当局に提出することで、ドイツにおける『裏口課税』を避けることが推奨されます。

KPMGでは、貴社が関連するケースを特定の上で点検を実施し、どの程度の『外国課税の証拠』資料が必要かを見定めるサポートをします。

2. 関連企業グループ内で『ブランド・ネーム』を利用する際は、許諾対価は不要

概要
関連企業による関連当事者間において、『ブランド・ネーム』を無償で(すなわち、ロイヤルティやライセンス料なしで)使用する許可を与える場合であっても、それのみで自動的に移転価格税制に基づく利益調整が必要となるわけではありません。単に関連企業内でブランド・ネームを無報酬で利用することだけでは、ドイツ外国税法(AStG)第1条第4項で言うところの「取引関係」にはなりません。

一方で、2016年1月21日付の連邦税務判決(IR 22/14)に基づくと、登録商標に関するライセンス合意書が締結されており、グループ企業名や企業のロゴ、登録商標等を販売製品に対して使用する権利を認めており、それらが分離不可能な関係にあり、かつそれぞれの独立価値を判定できる場合であれば、アームスレングス原則に応じた対価を帰属させることになります。


ご提案
関連企業グループのブランド・ネームや企業ロゴ、登録商標等を販売製品に使用する権利を認める合意書について、それによって意図せざる移転価格税制に基づく利益調整を受けることにならないよう、税務アドバイザーによる再点検を受けられることを推奨します。

KPMGでは、貴社が移転価格税制の観点から個々の合意書を見直し、適切な移転価格設定プロセスを構築できるよう、サポートします。

II. 付加価値税

既存の判例法に反し、パートナーシップも一定の条件を満たす場合に付加価値税(VAT)グループ企業に含めることが可能に

はじめに
ドイツ連邦税務裁判所(BFH)による2015年12月の判決(2016年1月28日公表)によると、ドイツの現行税法では、パートナーシップをVATグループに含めることが容認されるものとされています。


概要
1. VATグループ内の被支配企業としてのパートナーシップ

ドイツVAT法第2条第2項第2号の文言によれば、パートナーシップは被支配企業となり得ません。しかしながらBFHの判決では、パートナーシップの所有者が、VATグループの支配企業に財務上統合されている者のみで構成される場合、例外的にパートナーシップがVATグループの被支配企業となり得るとされています。

当該条件を満たすのは、限られたケースのみと考えられます。VATグループへ含まれる例としては、有限合資会社(GmbH & Co. KG)において、合資会社(KG)の有限パートナーシップ持分を同一の有限責任出資者が100%保有し、その有限責任出資者が同時に有限会社(GmbH)の50%を超えるオーナーであるケースが挙げられます。

 

2. 兄弟企業同士のVATグループ形成は不可
BFHは続いて、財務的および組織的な統合、すなわち支配・従属関係の要件に言及しています。そこでは、単純に密接な関係にあるだけの者の間においてVATグループを形成することは明らかに否定されています。支配企業が、直接あるいは間接的に、被支配会社の株式を過半数保有すること(財務的な統合)が要求されています。そのため、兄弟企業同士のVATグループ形成は引き続き除外されることになります。当該扱いは、既存の判例法および行政的見地と整合的です。

 

3. 非納税者同士のVATグループ形成は不可
BFHはまた、VATグループはVAT納税者のみによって形成できるという見解を保持しています。当該取扱いは、VATグループにおける支配企業と被支配企業の双方に対して適用されます。この取扱いは、税務当局の見解、およびEU法における濫用防止規定に沿うものとなっています。


ご提案
今回のBFH判決に照らして、貴社のVATグループおよび企業グループについて再点検を実施されることを推奨します。確認においては、以下の点をご考慮ください。

  • 再査定未了のVAT申告期間について、BFH判決の影響により、条件を満たすパートナーシップがVATグループへ組み入れられてしまう恐れがあること。
  • 企業グループに対して、自動的に意図と異なるVATグループ化がなされ、結果としてグループ内における供給活動を再分類せざるを得なくなるというリスクもあり得ること。
  • 将来的なVATグループ化を確実にする、あるいは避けるためには、VATグループ形成に関する最新状況を分析する必要があること。

サポートのご依頼、並びにご質問については、KPMGまでお問い合わせください。

III. 不動産取得税

不動産取得税を目的としたグループ免税条項(不動産取得税法 第6a条)は違法な国家補助か?

はじめに
ドイツ不動産取得税法(GrEStG)第6a条のグループ免税条項に則り、一定の企業再編成取引においては、不動産取得税が課税されません。ここでは、他の企業の株式を最低95%、法的取引の前後5年以内の間保持することが要件とされています(支配企業要件)。この点が『違法な国家補助』に関して問題視され、現在EU委員会の調査を受けています。


概要
1. 国家補助手続

EU機能条約(TFEU)第107条第1項において、EU内で反競争的行為を避けるため、加盟国が国家資源から特定の事業に対して補助を与えること(選別性)を基本的に禁じています。加盟国が国家補助を付与する意思がある場合、前もってEU委員会に知らせ、許可を求める必要があり、許可が与えられる前に付与してはなりません。直接の影響を受ける事業それ自体は、国家補助の手続については間接的にのみ関わることになります。

 

2. 最近の事業への影響
グループ免税規定は、非常に厳しい条件を満たす再編に関連した取引のみ優遇します。しかしながら、ドイツ連邦共和国は施行前にEU委員会に対し国家補助を目的とした許可を求めた条文の法令を提出しませんでした。ドイツ連邦財務省(BMF)は、承認手続が実際に行われたかどうかを説明する必要があります。

承認手続が行われていなかった場合、グループ免税規定はEU委員会による正式な調査の対象となる可能性があります。EU委員会がグループ免税規定を違法な国家補助であるとみなした場合、ドイツは供与日時点の利子を含めた国家補助金を、納税者から回収するよう命じられることになります。EU委員会は、供与日より10年後までは、国家補助を回収することができます。これは、拘束力のある情報や、時効後の査定に対してさえも影響します。


ご提案
EU委員会が最終決定するまで、事業投資には法的に不安定な側面が生じることから、グループ再編の際は当該リスクを考慮する必要があります。

不動産を所有する企業を含むグループ再編を計画される場合は、KPMGまでお問い合わせください。課題解決のためのアドバイスをすると同時に、貴社の事業に関わる免税が影響を受けるか否かを判定します。仮に不安定なケースであっても、どのように対処すべきかについて、貴社に寄り添って検討し、解決します。

IV. 欧州法

1. 新欧州商標法の施行

はじめに
新EU商標法(規則(EU)2015/2424)が2016年3月23日に施行されます。新共同体商標規則(CTR)の中には、実務上非常に有用なものがあります。


概要
『欧州共同体商標』(CTM)は『EU商標』に、『商標意匠庁』は『EU知的財産庁』に名称が変更されます。こうした単なる名称変更や公的手数料の見直しに加え、新規則にもさまざまな新しい要件が含まれ、既存の欧州共同体商標の保護範囲に影響するとともに、今後の知的財産の申請並びに戦略において考慮が必要となります。

 

1. 必要となる短期的行動:既存の共同体商標の見直し
共同体商標の所有者は、登録商標の対象となる商品並びに役務のリストの精度についてお見直しください。欧州共同体商標であればニース分類の項目名で商品並びに役務リスト(1957年ニース協定によって制定されたニース分類(NCL))に登録されたら、その登録商標はNice分類に属する全ての商品並びに役務について保護を享受していました。新しい規則の下では、登録商標の保護は、各NCL分類見出しに名前を付けられた商品に明確に属する商品に対してのみとなります。

2012年6月22日以前に登録し、全分類の見出しが明記されている共同体商標の所有者であれば、直接見出しに含まれなくても、ある分類に区分されている商品を追加で明記すれば、遅くとも2016年9月24日までに商品並びに役務リストを1回限り定義することができます。上述した期限までにこの申請を行いませんと、その商標は今後当該見出しに明確に含まれる商品に対する保護を享受するのみとなります。

例えば、ある機器メーカーがその共同体商標を以前のシステムのもとで分類15の『楽器』として登録していた場合、その型の機器としてだけではなく、譜面台等の関連製品についても保護されました。機器メーカーが、この機会を利用して譜面台も2016年9月24日までにその登録商標の保護範囲でカバーされるように保護範囲を定義しなければ、将来、この商標は楽器に対する保護のみを受けることになります。


2. 新EU証明商標
規則のもう1つの新しい特徴は『EU証明商標』で、新たなタイプの商標として導入されます。

これにより、品質証紙と産業標準を乱用から守ることができるようになります。この目的は商標に付帯する法律により、商標のもとで提供される商品や役務によって標準を見守り、いかにこの標準順守を監視するかについて定めてあります。

 

3. 登録手順の簡素化
将来、申請手続において、商標を図示する必要がなくなります(図示は3D商標など、その性質によって難しい場合がありました)。識別性のある商標を登録するには、各商標を示すデータファイルを提出するだけで十分になります。これにより、音標や色標、3D商標のような一定種類の商標を登録する手続が大幅に簡素化されます。

 

4. 商品の通過
新しいCTM規則の施行によっても登録商標保有者の権利が強化されます。以前の法律の下では、EU経由で不正な第三国の商品が直接通過しても登録商標権の侵害とはなりませんでした。現在、不正商品のEU関税圏内への輸入は、登録商標権の侵害とみなされます。


ご提案
EU商標法の改正では、既存の登録商標並びに登録商標戦略に影響を与えるような変更が多岐にわたります。これにより、登録商標保有者は、いかに登録商標ポートフォリオを最適化するかについて留意する必要が生じます。特に、2016年9月24日の期限を念頭に置いてください。詳しい情報やご質問がありましたら、KPMGまでお問い合わせください。

2. 統一欧州データ保護: カウントダウン開始

はじめに
欧州議会は、数年間の法的手続を経て2016年4月14日(一般データ保護規則として知られる)新欧州データ保護法を採択しました。新データ保護法は、2018年から直接EU全域で施行されます。企業はこの移行期間を利用して、自社のデータ保護管理手順を新しい規則に合わせなければなりません。

データ保護への準拠は、CRM(顧客管理システム)データベース並びに社員データの作成・メンテナンスがあるかどうか、データ処理の内部組織や安全対策があるかどうか、サービスプロバイダーや関連会社とのデータのやり取りがあるかどうか、事実上全ての事業領域に影響します。

  • 一般データ保護規則に起因する変更事項

ドイツは、データ保護のレベルが高いことで以前から知られています。データ主体のアクセス権やデータ保護官を指名する義務、プライバシーへの影響査定等を含め、本規則の新しい条文で制定された多くの要件が既にドイツの企業で導入されています。ドイツに原則として既に存在しているこのような権利と義務について、一般データ保護規則でさらに詳しく定義され、詳述されたにすぎません。

しかしながら、本規則には、ドイツ企業にとってデータ保護に関する相当程度の変更を伴う改革が含まれます。

 

1. 情報義務の拡大
企業に多大な変更が必要になるのは、企業のデータ収集について『データ主体』に知らせるための新たな要件のためです。本規則では、データ主体からのデータ収集と他の情報源からのデータ収集とを区別しています。個人データが直接データ主体から収集される場合、データ主体は、データ収集の目的、その他のデータ受け取り先、並びに自己の権利について収集時に包括的に知らされなければなりません。

 

2. プライバシー・バイ・デザイン
本規則第25条の新要件は、新データ処理製品の開発並びに新しいソフトウェアの導入などの今後の事業プロセスに最も大きな影響を及ぼします。この条項により、企業は、新しい技術の開発段階でデータ保護の問題を特定し、データ回避並びにデータ経済のデータ保護原則に見合うよう、(匿名化などの)適切な技術的、組織的手段をとる必要があります。

 

3. ワンストップショップ手続
一般データ保護規則には、データ保護管理を簡素化するのに役立つ条文も含まれます。例:過去、国際的な企業グループにとって、データ保護手続が法に準拠しているか確信するのは不可能でした。というのは、各国のデータ保護当局がデータ処理の合法性についての決定に関与していたからです。したがって拘束力のある企業規則の承認には、ほぼ不可能とも思える程の行政努力と時間が伴っていました。

EU内のグループ本社の管轄当局は、将来国境を超えたデータ処理に対する全責任を負うことになります。これにより、さまざまな国の管轄当局でデータ保護に関して解釈の不一致が起こるのを防ぎ、グループにとって統一され、簡素化された手続ができるようになります。

 

4. ソーシャルメディア並びにデータ保護法:持続的な作業が進行中
過去ドイツにおいて、データ保護当局は特にソーシャルメディアのプロバイダーを絶えず注視してきました。議員は、特にソーシャルメディア・プラットフォームのユーザーの権利を強化する機会として一般データ保護規則をとらえています。忘れ去られる権利に加え、ソーシャルメディア・プラットフォームは、今後、データ可搬性に対する権利も考慮しなければなりません。これにより、データ主体がその個人データを他のプロバイダーに苦労せずに移行できます。

 

5. 罰金に対する新たな枠組み
企業は、データ保護規定に違反した場合、重い罰金を受けることになります。現在の法的状況では最大30万ユーロの罰金が科されますが、一般データ保護規則では2千万ユーロまでの罰金が可能となります。前会計年度における全世界の売上高の4%まで企業に罰金を科すことさえできます。


ご提案
企業の方々には、新しい要件に対応し、自社のシステムを適合させるまで2年あります。この期間を利用して、既存のデータ保護設定を見直し、相応のデータ管理体系を構築されるようお勧めします。その他のご質問、サポートが必要な場合は、KPMGまでお問い合わせください。

執筆者

KPMG Global Japanese Practice in Germany
KPMGドイツ 日系企業担当チーム

German Business Bulletin

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