2016年 世界経営者会議 KPMGセッション | KPMG | JP

2016年 世界経営者会議 KPMGセッション

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KPMGジャパンは、2016年11月8日、9日に開催された第18 回日経フォーラム「世界経営者会議」を特別協賛しました。

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2016年 世界経営者会議

「勝ち抜く企業の条件」をテーマとした本フォーラムでは、各国のトップがイノベーションの創出を強調。その中で、KPMGインターナショナル チェアマンのジョン・ビーマイヤーも「トランスフォーメーションで現状を打破する」と題して登壇し、フィナンシャル・タイムズ 国際金融主席特派員であるヘニー・センダー氏と対談を行いました。以下に当対談を抜粋してお知らせします。

KPMGインターナショナル チェアマン
ジョン・ビーマイヤー(以下JBV)

フィナンシャル・タイムズ 国際金融主席特派員
ヘニー・センダー氏(以下FT)

 

FT
テクノロジーによる事業モデルの変革が世界中の企業で起こっていますが、企業経営者はテクノロジーのリスクとチャンスをどのように捉えれば良いでしょうか。

JBV
KPMGが2016年に主要10カ国および主要11業界のCEO 1,268人に対して実施した「グローバルCEO調査」によると、世界の企業経営者の多くは「現在の事業モデルを数年後には大きく変革しなければならない」と考えています。今後、規制環境の変化に応じて、多くの産業で事業モデルを変える必要が出てくるでしょう。しかしテクノロジーの急速な進化こそが、経営に変革をもたらす主な要因であることは間違いありません。

FT
KPMGでは「グローバル製造業の展望」と題した調査報告を発行しています。製造業―――特に自動車業界について、日本には世界的な企業が多く有利な立場にありますが、どのような変化が起こりつつありますか?

JBV
自動車業界は急速に変化しつつあり、現在企業が有している優位性が数年後にも優位に働くとは限りません。そのため、ハード面での生産設備や生産台数の拡大を求めるのではなく、ソフト面での新しいテクノロジーを求める必要があると感じています。従来は自動車業界に属する企業であれば同業種間だけの競争でしたが、これからは異業種のベンチャー企業が、例えば自動運転のようなテクノロジーに参入してくるかもしれません。自動車業界においては競合企業や、提携先企業そのものが変化してくると考えられます。自動車業界の変化はほとんどの産業に影響しますので、多くの業界がこの動きに対応する形で変化していくでしょう。企業経営者は他業種に起こった抜本的な変革は、いずれ自業種にも起こりうると考えなければいけません。

FT
市場縮小の局面にある自動車業界の経営者にアドバイスをする場合、自業種内で合併・買収(以下、M&A)を行い規模の拡大を狙うのか、今までにない異業種のベンチャー企業と提携すべきなのか、具体的にはどのような手法をとるべきと考えますか。

JBV
各社の状況によりますが、まず3~10年先の自社にとって何が最も必要なのかを検討する必要があります。ある企業にとっては規模の大きさかもしれませんし、ある企業にとってはイノベーションが必要な要素かもしれません。M&Aに関しては、企業規模の拡大や弱点を補完するものではなく、新しいテクノロジーや将来の自社に必要なものを獲得することが成功につながります。

FT
本フォーラムで講演したスイスのビジネススクール、IMDのドミニク・テュルパン学長はM&Aの60%以上が失敗に終わると言及しています。なぜ多くのM&Aがこのような結果になってしまうのでしょうか。

JBV
多くの企業は買収前の事前調査がきちんとできていないと感じます。M&Aにおいては企業の文化を統合することが最も難しいプロセスです。そのため、M&Aを実施する前に各社のテクノロジー、顧客、社内のプロセス、人事をどう統合していくのか考える必要があります。KPMGのCEO調査によると、日本企業は市場拡大を目的として海外進出に積極的ですが、海外の企業とのM&Aを行った場合、文化的背景の違いもありますので、さらに合併後の統合(PMI)は困難になります。M&Aは合併後の統合が最も重要であり、単なる買収だけでは効果は高くないと考えています。また、アライアンス戦略では自社が不足している要素の補完を目的としていますが、M&A戦略では合併後の組織的統合を行う必要があり、難易度が高いため、企業経営者はより慎重な決定を下す必要があります。

FT
統合にあたって、特に製造業では、日本は「質の高さ」、中国は「コスト」を重視する文化があります。こういった文化的背景に基づく特徴は克服できるでしょうか。

JBV
克服できると考えていますが、そのためにはゴールを明確にし、買収側・買収先の両方の企業が変わらなければいけません。買収側が買収先に文化を押し付け、買収先だけが変化しなければいけない状況というのはうまくいきません。買収側は、自社が持っていないテクノロジー等の経営資源を付加するために買収したはずです。合併後のシナジーを最大化し新しい文化を創り出すためには、両方の企業が変わることを前提としなければなりません。

FT
海外と比較して、日本企業は終身雇用制度によって、会社内の様々な事業を異動し自社内部を熟知した人材が多い傾向にありますが、企業経営者に必要なスキルとはどのようなものでしょうか?

JBV
10年前とは全く異なり、今の企業経営者に求められるものは強みと弱みの自己認識であると考えます。例えば5年前は自分たちの業界の中で競争し、市場におけるリーダーとなればよかったかもしれません。しかし、今の顧客は他業界で起こった革新的な顧客体験を自らの業界にも求めています。企業経営者は、業界の専門家だけではなく、様々なスキルをもった人材を確保し、一枚岩となって力を発揮できるようにマネジメントする能力が必要です。

FT
このような変化のスピードが速い時代、企業経営者となりうる人材は、どのような知識を持つべきでしょうか。また、KPMGではどのような人材を採用しているでしょうか。

JBV
今までは会計、税務、ITなどの専門家を多く雇用していましたが、現在では多様な分野からの雇用を行っています。もちろん会計的な知識や経験を持っている職員が多いですが、テクノロジーの変化に応じて、将来的には数学やロボット工学の専門家も雇用する必要があると考えています。また、現在どのようなスキルを持っているかに関わらず、大きな変化があっても対応できる人材が必要です。

FT
20~30年前にインドで業務改善の一環として会計記帳などのアウトソースが始まりました。これからはAI(人工知能)の時代と言われています。AIで人の仕事は置き換わるでしょうか。

JBV
カスタマーセンターの簡単な電話応対など、企業がアウトソースしてきたものは、AIに置き換わると考えられます。KPMGは「IBM Watson(*1)」を活用し、企業変革を促進させる技術であるコグニティブ・テクノロジーを、どのように利用することができるか模索しています。テクノロジーが進歩することでルーティン的な業務はAIに置き換わり、人間が行う仕事内容はより高度で判断的思考が必要なものへ変化していくでしょう。このような環境変化に対していかに自社をトランスフォーメーションしていくか。これが現状を打破するための重要な鍵になってきていると思います。

(*1)IBM Watsonは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。

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