「ITの発展が金融機関にもたらす構造的転換」(日経研月報2017年1月号) | KPMG | JP

「ITの発展が金融機関にもたらす構造的転換」(日経研月報2017年1月号)

「ITの発展が金融機関にもたらす構造的転換」(日経研月報2017年1月号)

IT(情報技術)の発展が、銀行をはじめとする金融機関にこれまで経験したことのない大きな構造的転換をもたらしています。この構造的転換をもたらしている原動力は、FinTech(フィンテック)と呼ばれるITを活用した革新的な金融サービスの台頭、仮想通貨の登場およびその基盤技術であるブロックチェーン技術だけではありません。

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人々のライフスタイルとビジネスの基盤を変えるスマートフォンの普及、ビジネスに価値ある情報を生み出すIoT(Internet of Things)および情報を生み出すだけでなく高度な情報処理と企業のコスト構造を変える人工知能(AI:Artificial Intelligence)の発展も金融機関に構造的な転換をもたらしています。
本稿では、この大きな構造的転換をもたらしている原動力とそれらが金融機関にどのような影響を及ぼしていくかについて考察していきます。
なお、本文中の意見に関する部分については筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。

I.ITの発展がもたらす社会構造の変化

ITの発展が金融機関にもたらす構造的転換は、FinTechだけがもたらすものではありません。ITの発展が社会経済構造を大きく変化させ、企業全体を取り巻く環境を大きく転換させる中で金融機関にも影響が及ぶ場合があります。

IT(情報技術)の発展が金融ビジネスに影響を与える2つの経路

1.スマートフォンの普及

スマートフォンの普及は消費者のライフスタイル及びビジネスの基盤を大きく変えました。

 

個別化する顧客ニーズ
スマートフォンは、PC経由と異なりインターネットへのアクセスをほぼ常時可能としたほか、インターネット利用の個人化を促進しながら、その普及によってインターネットがもたらした社会経済構造の変化を「加速」させる役割を果たしました。
インターネットがもたらした変化としては、企業と顧客の情報格差、いわゆる「情報の非対称性」の減少が挙げられます。消費者は、インターネット経由で多くの情報を入手できるようになり、商品選択における主導権が企業から顧客にシフトしました。
また、商品を選択するプロセスも大きく変わりました。主たる情報収集が、スマートフォンを通じて行われるようになり、供給者や販売業者から提供される情報の商品選択における重要度が低下したほか、人によって参考とする情報が異なる「個別化」の傾向が強まりました。結果、消費者の購買行動は、広がった選択肢の中から最も「顧客ニーズ」を満たす商品を選択するように変わりました。
したがって、金融機関を含めた企業は、「顧客ニーズ」を基点に顧客ごとに商品をカスタマイズするビジネスモデルに変えていかざるを得なくなると考えられます。
このことは、顧客がどのようなニーズを持っているかということが分かる「顧客ニーズ」を把握するために有用な情報の価値を高めます。
そして、ITの発展は、この顧客ニーズを把握するために有用な情報・データの出所も大きく変えています。

 

ビジネス基盤の変化
スマートフォンの普及は、ビジネスの基盤も大きく変えています。
消費者がスマートフォンを通じた情報収集だけでなく、商品の購入といった「経済活動」の相当程度をスマートフォン経由で行うようになったことで、現実の店舗の売り上げが減少する一方、インターネット上の店舗を経由する売り上げが増加するなど「スマートフォン経済圏」が拡大しています。
また、スマートフォンというよりもインターネットにおけるビジネス全体の特徴として、実際に店舗を構える費用や、店舗をオープンするまでにかかる時間といった間接的な費用、さらに実店舗よりもはるかに多くの潜在顧客と接点を持てる可能性がある等起業のハードルが低いということがあります。
「スマートフォン経済圏」では、スマートフォン向けアプリの開発といったビジネスモデルが台頭し、小規模ビジネスが育つ、言い換えれば、顧客ニーズを満たすベンチャー企業が育つ土壌が整備されました。
ただし、金融業界で起業するには、厳格な金融規制を遵守するためのコンプライアンス・コストと巨額のシステム投資が参入障壁となり、他の業界ほど構造的転換が進んでいませんでした。しかしながら、後述するように、こうしたビジネス環境も徐々に変わりつつあります。
もう一つ「スマートフォンの普及」がもたらした大きなビジネス基盤の変化として、スマートフォンを通じた資金決済の拡大が挙げられます。商品の購入に伴う対価の支払いもスマートフォンを通じて行うようになることは自然の流れですが、資金決済サービスを提供する銀行にとっては、競争の土俵が「スマートフォン経済圏」に移ることになり、満たすべき顧客ニーズの変化に合わせてビジネスモデルも変えていく必要があります。たとえば、支店やATM網よりもスマートフォン操作時の利便性が重視されるかもしれません。
また、商品購入と資金決済が強く結びつくことにより、商品を提供する企業との力関係にも変化が起こります。商品提供者が認める支払手段として選ばれないと顧客に対する決済サービスの提供機会を失うことになります。
より根本的な課題として、銀行口座の保有を前提とする現行の資金決済サービスは、銀行口座以上に普及したスマートフォンの保有者のうち銀行口座を保有しない層の資金決済ニーズを満たせないことから、今後こうしたニーズを満たす代替手段が台頭する可能性が高まっていると考えられます。

2.IoTの拡大と人工知能の発展

顧客ニーズを把握するための情報
「IoT」や「人工知能」がこれまで取得できなかった、あるいは取得することが難しかった情報の収集を容易にするなど「顧客ニーズ」を把握するために有用な情報・データを劇的に増加させています。
IoTは、センサーといったデバイスから収集した情報をインターネットに送る、または、インターネットから受けた情報に基づいて一定の動作をすることが可能になります。一つ一つの機器からもたらされる情報は小さくともさまざまな情報と組み合わせることにより付加価値を持つ情報となり得ます。価値を生み出すからこそ、デバイスの開発が進み、小型化、省電力化、低価格化が進むことでさらにIoTが拡大し、有用な情報も急増しています。
人工知能もまた、音声認識や画像認識能力が向上しこれまでは取得が難しかった情報をデータ化することで、顧客ニーズを把握するために有用な情報を増加させています。
「顧客ニーズ」への対応が競争力に大きな影響を及ぼす中、たとえば移動履歴や画像内の顧客特定といったIoTや人工知能がもたらす顧客ニーズを把握するために有用な情報は、今後金融機関だけでなく、あらゆる業界も含めて今後激しい情報の囲い込みが始まると考えられます。
ただし、自社にしかない情報を持つことも重要ですが、最終的には顧客に選ばれる必要がありますので、自社が持っていない情報や技術が必要と判断すれば、積極的に外部の知見を取り入れていく「オープン・イノベーション」の姿勢が重要です。
まずは、顧客にとって「最も」ニーズを満たす商品を提供すること、そこからすべてが始まります。

 

戦略的な人工知能の活用
現在、人工知能は、部分的とはいえ人間の知能を越え、急速に進化し始める新たな発展段階に入ったといわれています。
ビジネスの観点で見れば、人工知能は既存のコア業務の多くを置き換える可能性を持っています。ただし、留意すべきは最初に考えるべきなのはビジネスモデルであって、そこにどう人工知能を活用していくかという順序です。
業務単位で人工知能の活用を検討するのではなく、顧客を起点とし、さらに業界の枠を超えた活用方法まで踏み込んでビジネスモデルを再定義し、その上で、社内業務フローの改善等に人工知能を活用していくことが重要だと考えます。
人工知能は、音声認識や画像認識能力を生かして顧客ニーズの把握に有用な情報を生み出すことにも活用できる一方、大量の情報から顧客ニーズを見出すことにも活用でき、さらには業務効率化にも活用できるなど、今後金融機関を含めたあらゆる企業がビジネスにおける付加価値を高める上で必要不可欠な技術となっています。

II.FinTechがもたらす金融ビジネスの競争環境の変化

1.FinTechの拡大と規制動向

「アンバンドリング」と「ノンバンク・プレーヤー」
FinTechが台頭した当初、ITを駆使した革新的な金融商品をもたらしたのは、既存の金融機関ではなく、「ノンバンク・プレーヤー」でした。「ノンバンク・プレーヤー」は、金融商品やサービスを幅広く展開するのではなく、「アンバンドリング」(分化)したビジネスの一部に絞って革新的な商品を投入することにより金融業界に台頭して来ました。
インターネットの登場、さらに「スマートフォンの普及」が図らずも莫大なシステム構築と厳格な金融規制によって新規参入者を阻んできた金融業界に、規模が小さくとも技術力を駆使して参入する機会が生まれたのです。「スマートフォンの普及」以前であれば成立しなかったビジネスモデルが「スマートフォン経済圏」の拡大によって可能になったのです。
金融機関にとって重要なことは、多くのFinTechビジネスが顧客と金融機関の間に参入し、金融機関から顧客との接点(インターフェイス)を奪っていることと「金融機関」の概念が広がり潜在的な競争相手が変わってきていることです。
2010年の資金決済に関する法律(以下「資金決済法」という)の改正によって、一定の範囲で銀行でなくとも銀行法上の為替取引に該当する業務を資金移動業として提供できるようになりました。この資金移動業が創設された背景について金融庁の当時のパンフレットには、「インターネットの普及等により、安価で便利な送金サービスのニーズが高まっていること等から、利用者保護を図りつつ、このようなニーズに対応するために、資金移動業を創設しました」と記載されています。何もない所に「アンバンドリング」業務を作り出したのではなく、ニーズが法規制に風穴を開けて銀行でなくとも銀行類似業務をできるようにしたのです。そしてそのニーズはインターネットの普及がもたらしたことが明記されています。

 

続々誕生する新しい「金融機関」
伝統的な金融機関として一般的にイメージされるのは、銀行、証券会社(金融商品取引業者)および保険会社といったところでしょうか。この3業態については長い間大幅な業者の入れ替わりはなく、ネット銀行や証券の登場、あるいは生保および損保の相互乗り入れなど3業態の中の金融機関の子会社として別の3業態に進出するといったことによって一時的に業者数が増加したことはあるものの、全体として長期的に漸減傾向です。
一方で、もともと金融機関でなかった、つまり金融規制に服していなかった業態が金融規制に服する形で「金融機関」となった業態については、近年でも業者数の増加傾向が見られます。代表的な「金融機関」としては、資金決済法上の前払式支払手段発行者や資金移動業者などが挙げられます。こうした業者は近年新たな決済サービスを利用者に提供するとともに、一般の事業会社よりも厳格な金融規制に服することになります。
今後も2016年の資金決済法の改正に伴って、新たに仮想通貨交換業者が金融規制に服するほか、金融審議会において銀行等と利用者の間に立ってサービスを提供する中間的業者のうち、銀行等ではなく顧客からの委託に基づき主導的な立場に立ってサービスを提供する者等を新たに金融規制下に置くことが検討されています。
金融商品・サービスをめぐる規制の範囲は拡大を続けており、従来の金融機関と非金融機関、金融商品やサービスとそれ以外の商品やサービスの垣根が低くなっていることは確実です。金融規制の範囲が変わることは、金融機関にとってはビジネスモデルの前提が変わるということになります。金融機関にとっては、新しく登場した金融機関および金融商品やサービスだけでなく、今後登場することが見込まれる金融機関および金融商品やサービスについても十分な情報・分析を加味したうえでビジネスモデルの見直しを継続的に進めていくことが求められます。

2.ブロックチェーン技術の活用と仮想通貨の普及

ブロックチェーン技術の特徴
ブロックチェーン技術とは価値を表象するデータを改ざん・不正されずに移転させたいときに有効な技術です。もともと仮想通貨に使われていた技術として着目された後、仮想通貨とは別途ブロックチェーン技術としてその適用可能性等がさまざまな分野で研究されています。主な方向性は、次の2つと考えられます。
一つは、ブロックチェーン技術を使って移転されるデータを有価証券やローン債権など別のものにするという検討が進められています。
もう一つの活用方法としては、取引情報を共有するネットワークへの参加者を限定するプライベート型ブロックチェーンの構築があります。ビットコインのような仮想通貨は原則として誰でもネットワークに参加可能なのでパブリック型ブロックチェーンと呼ばれています。
プライベート型ブロックチェーンは、参加者を限定するためにパブリック型ブロックチェーンにある信頼できる第三者が不要であるという特徴はありません。ネットワークへの参加に係る管理をはじめ一定の役割を担う必要があります。他方で、参加者を事前に管理できることから、取引情報の正確性を担保する検証作業の厳格性を緩和できたりするほか、用途に合わせたカスタマイズがパブリック型ブロックチェーンと比べて容易になるというメリットがあります。
プライベート型とパブリック型はどちらが優れているというものではなく、ニーズや用途、ブロックチェーンのどの特徴を活用しようとしているのか等によって適切な形態は変わってくるものだと考えます。

 

ブロックチェーン技術の活用が想定される分野
ブロックチェーン技術の金融業界における影響は、ビジネスにおける業務フローのうち、決済業務等のバックオフィスの分野に集中しています。ビジネスにおいて付加価値の源泉となる顧客ニーズの把握と顧客ニーズに即した商品・サービスの開発といった分野においてビジネスモデルを大きく変えるものではなく、照合作業を中心とした業務フローの効率化やシステム投資負担が減少する可能性といったコスト面でのメリットが中心となる技術革新といえます。
なお、コスト削減という観点では、決済業務等の金融機関同士のデータ移転をブロックチェーンに置き換える場合は、ネットワークの参加者が増えるほどネットワークの価値が高まる「ネットワーク効果」についても考慮する必要があると考えます。
また、システム投資負担が減る効果があったとしても、それを他の金融機関も享受することになりますので、ブロックチェーン技術の導入によって相対的な競争力強化にどれだけつながるのかについては留意が必要です。特にネットワーク参加者を拡大する段階では、参加手数料を(高く)設定することによって他のネットワークへの参加につながっては困るため、後発参加者も歓迎的待遇を受けながら参加することが可能になると考えられます。ブロックチェーンのネットワークへの参加ということに限っては、あまり先行者利得はなく、あわてて参加の是非について検討する必要はないかもしれません。

 

銀行業務の公共性
銀行法の第一条及び第二条において、銀行の業務には「公共性」があるとし、銀行の業務の「健全」かつ適切な運営を期す必要があるとし、「免許」を受けなければ銀行業を営んではならないとしています。そして、銀行業には、「預金」の受入れ、資金の「貸付け」および「為替取引」の大きく3つがあります。これらの業務は、銀行にのみ認められる固有業務です。
数ある「金融機関」の中でも免許制であるのは、銀行のほかに保険会社と金融商品取引所などいくつかの業態に限られています。このなかでも銀行は、国際的な合意に基づく厳格な自己資本比率規制などのいわゆるバーゼル規制と呼ばれる一連の「健全」性規制に服し、破たんリスクが低く、破たんしても預金者が預金保険等によって一定額まで保護されたり、破たん処理についても特別な手続きに基づいて行われたりするなど、固有業務を通じた金融システムのインフラとして特別な存在として社会の中で位置づけられてきました。
その銀行が特別の会社ではなくなろうとしています。特別でなくなるとは、すなわち免許制でなくなり、健全性規制に服することがなくなり、銀行の業務が公共性を持っていると言われなくなることを指しています。
アンバンドリングしながら参入してくるフィンッテク・プレーヤーや、プライベート型のブロックチェーン技術の応用が銀行業務に与えるインパクトが大きいからでもなく、「仮想通貨の普及」がこうした銀行に対する規制アプローチの劇的な変化を生み出す原動力となると考えます。

 

仮想通貨の普及が銀行にもたらすインパクト
一般的に仮想通貨は、過去の記録の改ざんや二重譲渡といった不正が事実上不可能であることや、信頼できる第三者が不要になるといった特徴、及びデータを集中管理するサーバが不要になることから来るコスト削減への期待に関心が寄せられています。
しかしながら、資金決済を仮想通貨のようなパブリック型のブロックチェーンを通じて行うことが銀行に与える最大の影響は前述のような特徴ではなく、資金決済が銀行口座を通じて行われないということです。このことはブロックチェーン技術について語られる時に中心の話題となっていることはほとんどありません。

あまり話題として取り上げられない理由には、銀行を含めた金融機関が盛んに研究しているプライベート型のブロックチェーンによる資金決済は依然として銀行を通じて行われており、銀行口座が不要になるわけではないことがあります。つまり、ブロックチェーンについて議論が交わされる時は、ほとんどの場合「プライベート型」のブロックチェーンに係る議論であることが多く、このような銀行口座の話は出てきません。あくまでもパブリック型のブロックチェーンによる資金決済、すなわち現時点で最も実用化されているビットコインをはじめとする仮想通貨を取り上げたときにだけ、このような銀行の脅威となる話が出てきます。

仮想通貨とは、「通貨」という名称から、まるで既存の法定通貨を置き換えるかのように捉えられますが、仮想通貨が置き換えようとしているのは既存の法定通貨ではなく、資金決済のプラットフォームそのものだということに注意する必要があります。
仮想通貨は、資金決済機能を提供しているということを理解したうえで対応を検討しなければ銀行は対応の方向性を誤ることにつながります。たとえば、既存の外貨預金の取扱通貨にビットコインといった仮想通貨を加えれば済む話ではありません。

 

コモディティ化する銀行
仮想通貨に資金決済の基盤の役割を奪われた銀行は、単に顧客とのインターフェイスと質の高いデータを失うだけでは済みません。
仮想通貨が普及した場合、エンド・ユーザー同士で資金決済を行うことが可能となり、銀行は決済のファイナリティを担う機関とは言えなくなります。銀行口座を通じて資金決済または送金が行われなくなることは、銀行にとってユーザーを失うだけでなく、銀行は「公共性」のある業務を担い、「健全」性規制に服し、「免許」のような厳格な規制をかける根拠をも失うことを意味します。
厳格な規制が緩和されることは、一義的には規制コストが下がるためメリットに感じられますが、それよりも、公共性を持つ特別な会社でなくなることによる優秀な人材の獲得が困難になるデメリットが中長期的には銀行を弱体化させていくと考えられます。

III.おわりに

金融機関は今後いくつもの課題を乗り越えていくことが求められます。すなわち、ITの発展によってもたらされた企業と消費者との「情報の非対称性」の減少に伴う商品選択に係る主導権の消費者へのシフト、フィンテックの台頭や仮想通貨の普及、スマートフォンを通じた金融サービスへのアクセスの増加を通じた顧客インターフェイスの喪失、商品購入に対する資金決済の影響力の低下からくる収益性の低下、および人工知能の発展による金融ビジネスの競争環境の変化といった課題について、金融機関は戦略的に取り組んでいくことが求められます。
金融機関にとって金融ビジネスを展開するうえで最も重要な課題となるのは、顧客とのインターフェイスをどのように構築し、維持していくかという点になるでしょう。なぜなら、顧客との接点を持つことは、金融商品やサービスを購入してもらうための第一歩であり、実際に商品やサービスを開発する際に最も重要な顧客ニーズを把握するために必要な情報を収集できるかどうかに直結するからです。
ただし、前述のように単純な情報の囲い込みでは顧客が自社の金融商品やサービスを選択する確率を低下させてしまうおそれがあります。重要なことは顧客から見て「最も」顧客ニーズを満たす商品やサービスを提供する「顧客基点」の対応です。「最も」顧客ニーズを満たす商品やサービスを開発するためなら、不足する情報や商品・サービスの開発能力を補うため、他社との提携を含めたオープン・イノベーションを推進することも必要です。そうした金融機関が顧客に提供する「金融商品」や「金融サービス」の内容もこれまでと比べて大きく変化していると考えられます。
金融機関は、ITの発展を活用した革新的な金融商品や金融サービスを提供するフィンテックの台頭がもたらす直接的な影響だけでなく、ITの発展が社会全体にもたらす変化も踏まえて、自らがビジネスの対象とする顧客・市場を見極め、磨き上げた商品・サービスといったコアコンピタンス(競争力)を有し、求められる役割やスキルの変化に果敢に対応していくことが求められます。

日本経済研究所「日経研月報 2017年1月号」に掲載されたものを転載しました。

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