2016年年間IPOレポート(総括) | KPMG | JP
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2016年度のIPO動向について

2016年度のIPO動向について

2016年の新規上場会社数は、7年ぶりに減少し、前年比約10%減(9社減)の83社(プロ向け市場を除く)となりました。株式市場では、年始からの急速な円高の進展等を背景とした株価低迷や長引く原油価格の下落による新興国の景気減速に加え、英国の欧州連合(EU)離脱が決定したことなどによって、投資家のリスク許容度が低下しました。

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概況

その後も円高基調の長期化による企業業績への影響が不安視されましたが、11月には米国の次期大統領の決定を受けて、米国の景気拡大への期待から、円高ドル安の修正が進むなか、年末にかけて堅調に推移しました。
新規上場の審査においては、労務管理等のコンプライアンス面に改めて注目が集まるなか、不適正開示件数が依然として高水準で推移しており、上場申請期の業績の進捗や関連当事者等との取引の必然性等について、より慎重な判断が行われています。IPO市場における特徴としては、以下の点が挙げられます。

 

i)上場申請期のスケジュールにおける直前期末から上場日までの長期化
上場審査における業績確認の厳格化等を受けて、直前期末から9ヶ月以内での上場事例が大幅に減少しました。直前期末から上場日までの日数(中間値)の比較では、290日目(2014年)⇒322日目(2015年)⇒349日目(2016年)へ長期化しています。2016年に新規上場した83社のうち、直前期末から上場日まで期間が12ヶ月以上を要した会社は45社となり、約54%となりました。

 

ii)マザーズの新規上場会社の利益水準にみられる変化
IPOの中心マーケットであるマザーズへ新規上場した会社の利益水準が高まりました。直前期の経常利益は、平均値(335百万円)では2010年以来6年ぶり、中間値(226百万円)でも2012年以来4年ぶりの高い水準となりました。

 

iii)短期間でのマザーズから東証本則市場へのステップアップの増加
2011年3月の東証の上場制度改正によって、マザーズから本則(一部・二部)へ移籍した会社は、過去最大となった前年の20社を上回り、29社となりました。また、短期間のステップアップも多く、29社のうち、前年にIPOした会社の早期のステップアップは14社にのぼりました。

 

新規上場会社数を市場別で見ると、マザーズが約3分の2の市場シェアを占め、2012年以降、5年連続で最大となるも、7年ぶりに前年を下回りました。また、地方証券取引所の新興3市場は、2011年以来、5年ぶりに新規上場の実績がありませんでした。最近5年間の各市場別の新規上場会社数については、以下の通りとなっています。

 

最近5年間の市場別新規上場会社数(単位:社)

  2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 前年
増減
社数 46 54 77 92 83 -9
東証一部 2 6 10 8 8 ±0
東証二部 5 6 10 9 5 -4
マザーズ 23 29 44 61 54 -7
ジャスダック 14 12 11 11 14 +3
名証二部 - - 1 - 2 +2
セントレックス - - 1 1 - -1
福証 - 1 - - - -
Qボード 1 - - 1 - -1
アンビシャス 1 - - 1 - -1


新規上場会社の業種別では、サービス業と情報・通信業の上位2業種で、約6割を占めました。また、長引く低金利を背景として、前年と同様に、不動産業、建設業、その他金融業などの不動産関連事業が目立ちました。尚、業種区分は18業種と多岐にわたり、2007年の20業種以来の広がりをみせました。


新規上場会社の業種別内訳

業種 社数 シェア 業種 社数 シェア
サービス業 24 28.9% 繊維製品 1 1.2%
情報・通信業 24 28.9% 化学 1 1.2%
小売業 8 9.6% 非鉄金属 1 1.2%
不動産業 5 6.0% 電気機器 1 1.2%
建設業 3 3.6% 機械 1 1.2%
卸売業 3 3.6% 精密機器 1 1.2%
その他金融業 3 3.6% その他製品 1 1.2%
食料品 2 2.4% 銀行業 1 1.2%
証券、商品先物取引業 2 2.4% 陸運業 1 1.2%

 

個別のテーマとしては、以下のキーワードに属する企業の上場が注目されました。

 

1. 国内の少子高齢化による労働力不足を背景とする人材の採用ニーズの高まり

  • MS-Japan(M:企業の管理部門、弁護士、公認会計士、税理士等に特化した人材紹介業等)
  • インソース(M:研修をはじめとする社会人向け教育サービス)
  • キャリア(M:シニア人材の活用コンサルティング、看護師や介護士の派遣・紹介)
  • キャリアインデックス(M:人材採用サイトなどを活用した集客プラットフォームの運営)


2. 長引く低金利を背景とした不動産関連サービスへの底堅い需要

  • 日本モーゲージサービス(JQ:住宅金融、住宅瑕疵保険等の住宅事業総合ソリューション)
  • グッドコムアセット(JQ:新築マンションの企画、開発、販売および管理)
  • フォーライフ(M:分譲住宅事業および注文住宅事業)


3. ライフスタイルの変化を受けた消費志向の多様化

  • コメダホールディングス(東1:コメダ珈琲店チェーン等の運営等)
  • デファクトスタンダード(M:ブランドファッションに特化した宅配買取・販売)
  • シンシア(M:各種コンタクトレンズの製造・販売)
  • バリューゴルフ(M:「1人予約ランド」のASPサービス、「月刊バリューゴルフ」の発行等)


4. 投資ファンド等によるEXIT(出口戦略)や資本上位会社を有する企業のIPO案件

  • LINE(東1)[※NAVER Corporation【87.27%】]
    (「LINE」によるコミュニケーション、コンテンツ、広告等のサービスの提供等)
  • バロックジャパンリミテッド(東1)〔※MUTUAL CROWN LIMITED【29.77%】他〕
    (主に女性向けの衣料品および服飾雑貨の企画および販売を行う製造小売業)
  • エイトレッド(M)〔※ソフトクリエイトホールディングス【76.27%】〕
    (ワークフローパッケージ「X-point」等の開発・販売、クラウドサービスの提供)
  • イントラスト(M)〔※Prestige International(s)Pte Ltd.【77.77%】〕
    (家賃債務保証を中心とした総合保証サービス)
    ※上場申請時の筆頭株主ならびに所有株式比率を記載しています。

 

(注)東1は東証一部、Mはマザーズ、JQはジャスダックを、事業内容は中心となる事業を抜粋し記載しています。
尚、プロ投資家向け市場のTOKYO PRO Marketについては記載の対象外としています。

内容

  1. 新規上場会社の分析
  2. 新規上場時の初値状況について(2016/1月~12月)
  3. 主幹事証券会社状況(2016/1月~12月)
  4. 監査法人状況(2016/1月~12月)
  5. 地域別状況(2016/1月~12月)
  6. 上場までの会社設立後経過年数について(2016/1月~12月)
  7. 新規上場会社一覧(2016/1月~12月)

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