India Topics - 2016年12月号 | KPMG | JP
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India Topics - 2016年12月号

India Topics - 2016年12月号

India News - 2016年12月におけるインドの会計・税務に関するトピックスを要約しています。

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1. 物品サービス税(Goods & Service Tax)導入に関するアップデート

物品サービス税協議会(GST Council;以下GST協議会)は、2016年11月26日付でモデルGST改正法案を公表しました。従来の法案から変更された重要な項目は以下の通りです。

  • 無償での提供(free of cost supplies)については、関連当事者取引であるなど特定のケースを除き、GSTの課税対象外である。
  • 不当利得を防止する条項が導入された。この点から中央政府は、税額控除や税率の減免によりGST登録販売業者に発生する利得が、消費者に移転されているか否かについて、機関に任命して監視させることができる。
  • 現行のサービス税法上の仲介(intermediary)サービスの概念が引き継がれる。サービス税の課税対象か否かは、サービス提供地が課税区域内であるか否かで判断されるが、仲介サービスの概念とは、対象取引が仲介とみなされる場合、サービス提供者の所在地がサービス提供地とみなされるというものである。GSTにおいて、この仲介の概念は国際取引に対してのみ適用されることとなった。このため、インド国内業者が国をまたいで仲介サービスを提供する場合には、現行のサービス税と同様にGSTでも課税対象となる。
  • 中央政府から課されるGST(Central GST;以下CGST)と、州政府から課されるGST(State GST;以下SGST)の最高税率は、それぞれ14%とされた。したがって、CGSTとSGSTの合計税率は28%が上限となる。ただし、健康・環境によくない物品には追加税率が課される可能性がある。

さらにGST協議会は4回の会合を通じて、以下のような重要項目について検討しました。

  • 197の条項と5つのスケジュールから成るCGST、SGST法案が州補償法(the State Compensation law)とともに承認された。
  • 公海における課税について詳しく議論がなされたが、合意に至らなかった。
  • 中央政府と州政府の税務行政における役割分担等、重要であり賛否両論ある中央と州の二元管理(dual control)の問題は、合意に至っていない。

このような未解決の問題は、2017年1月16日に開催される次回のGST協議会で検討される予定です。

2016年11月から開催された冬季国会にはモデルGST改正法案は提出できませんでしたので、次に審議が可能なのは2017年1月下旬から開始予定の予算案国会となります。このため、間接税制改革であるGSTの導入予定日は、当初目標だった2017年4月1日から、2017年7月1日に延期される見通しです。

2. 2013年会社法の合併、減資等に関する条項が2016年12月15日に発効

2016年12月7日、インド企業省(Ministry of Corporate Affairs)は、2013年会社法の一部の条項が2016年12月15日付で施行されるとの通達を発行しました。対象となる条項とその主な規定は以下の通りです。

減資(2013年会社法第66条他)

  • 会社は、預り金(deposit)の払戻や利息の支払に遅延がある場合は、減資することができない。
  • 減資は会社法審判所(National Company Law Tribunal)の承認のもと、株主総会の特別決議を経た上で行うことができる。会社法審判所は、中央政府、会社登記局(Registrar of Companies)、会社債権者、上場会社の場合にはそれらに加えてインド証券取引委員会に、減資について通知するよう義務付けられている。減資の通知後3ヵ月以内に異議申立てがなければ、減資に反対しないものとみなされる。
  • 会社債権者の対する減資に関する通知は、資本の払戻が発生するか否かにかかわらず、全てのケースにおいて必須である。
  • 会社は、減資に関する会計処理が、所定の会計基準に準拠しているとの監査人からの証明書を提出するよう義務付けられている。

なお、さらに細かい減資の手続については、施行規則National Company Law Tribunal(Procedure for reduction of share capital of Company) Rules, 2016が12月15日に公表されており、今後官報に掲載される日を以って施行されます。

株主権の多様性(2013年会社法第48条他)

  • 会社の発行する株式が複数の異なるクラスに分かれている場合、1つのクラスの中で配当や議決権に関して株主権に多様性をもたせるには、当該クラスの発行済株式の4分の3以上の合意を得るか、当該クラスの株主による会議での特別決議により承認されることが必要である。
  • 1つのクラスの配当や議決権に関する株主権の多様性が、他のクラスの株主権に何らかの影響を及ぼすようであれば、他のクラスの株主からも合意を得ることが必要である。
  • 1つのクラスの発行済株式の10%以上を保有する株主が、株主権に多様性を持たせることに反対である場合、会社法審判所に対して株主権の多様性の中止を申請することができる。

和解、和議、合併(2013年会社法第15章第230条(11項及び12項を除く)から第233条及び第235条から第240条他)

  • 会社法審判所は、和解、和議、合併について、高等裁判所の権限及び役割を担い認可を行う。
  • 和解、和議、合併の手続として、直前決算期の財政状態、監査報告書、進行中の税務調査等などあらゆる重要な情報を、会社法審判所への宣誓供述書という形で開示することが義務付けられている。
  • 和議のスキームについては、金額ベースで合計4分の3以上の債権を保有する会社債権者の承認が必要である。承認方法は会議への出席や代理人の出席、または郵送投票が認められている。
  • 債権価値ベースで合計90%以上の債権を保有する会社債権者が合意していることが宣誓供述書で確認できる場合には、会社法審判所は会議開催の義務を免除することができる。
  • 会議の開催通知は広く回付され、法で定められた関係機関全てと、その他当局宛に発行することが義務付けられている。
  • 和議のスキームにおいて、期日は明確に表示されなければならない。
  • 和議のスキームの一環としての自社株の買取や株主権の多様化は、2013年会社法の特定の条項に準拠している場合にのみ認可される。
  • 10%以上の株式を保有する株主か、未払債務の5%以上を保有する会社債権者だけが和解や和議のスキームに対して異議申立てをすることができる。
  • 二社間、小規模会社間、親会社と100%子会社間の合併については、会社法審判所の承認を必要としない迅速な企業再編についての条項がある。
  • 合併、株式交換、有価証券の転換などを理由として、会社の発行済株式の90%以上を保有する主要株主が少数株主の保有株式を買収するための条項がある。

なお、さらに細かい和解、和議、合併の手続については、会社法施行規則Companies(Compromises, Arrangements and Amalgamations)Rules, 2016が12月14日に公表され、翌15日に施行されています。

3. インドアメリカ間の相互協議における100件以上の事案解決、及び二国間事前確認制度の諸条件に関する史上初の合意

2016年10月最終週に、インドとアメリカの二国間所轄機関(Bilateral Competent Authority)の相互協議(Mutual Agreement Procedure;以下MAP)及び事前確認制度(Advance Pricing Agreement;以下APA)に関する会議がワシントンで開催されました。長らく懸案事項であったMAP事案の解決に焦点があてられたとともに、両国間のAPAプロセスに著しい進展がみられました。

この会議において、移転価格上の論点に関連する66のMAP事案と、租税条約の解釈に関連する44のMAP事案の解決について合意がなされました。さらに両国の所轄機関は史上初めて、インドアメリカ二国間におけるAPAの諸条件について合意に達しました。

こうしたアメリカとのMAP事案や二国間APAへの合意における迅速な対応から、紛争解決の効果的な手段としてMAPとAPAの利用を促進していくというインド政府の前向きな姿勢がうかがえます。

4. 裁判事例

a. 過大計上された無形固定資産の減価償却は認められない

旧三洋電機株式会社とインドの電機メーカーであるBPLグループのジョイントベンチャーであるSanyo BPL Pvt. Ltd.(以下納税者)は、2005年に、売上の不振に伴いBPL Ltd.(以下BPL)からカラーテレビの製造販売事業を取得しました。この取得価額は、独立した登録評価人により算定された評価額に基づいており、減価償却費明細によると無形固定資産には、440百万インドルピーの流通ネットワークが含まれていました。

バンガロール租税裁判所(以下、裁判所)は、製造販売事業を移転したBPLも納税者も、代理店に対して販売権の対価を支払っていなかったことから、流通ネットワークを利用する権利そのものは、なんら無形固定資産を構成しないとの税務調査官の見解を支持しました。したがって裁判所は、流通ネットワーク分過大評価された無形固定資産の減価償却を行うことには、過大な償却費を損金算入し税金の支払を回避するという巧妙な意図がみられると判断しています。

裁判所の判決の主な論拠は以下の通りです。

  • BPLは納税者の50%出資会社であり、BPLという名前がSanyoの名称とともに納税者の会社名に引き継がれていることから、納税者はBPLに流通ネットワークの対価を支払う必要はない。納税者に販売権が移転したことで全く新しい流通ネットワークが構築されたわけではない。
  • インド所得税法43条1項では、経費(cost)という単語の前に実際(actual)という単語が置かれている。これは、減価償却費を過大計上する目的で固定資産の取得価額を過大評価する傾向や違法行為に歯止めをかける一方で、そうではない会社に対しては重大な納税義務を負荷することを回避し、また、共謀して計上された架空経費は排除する意図があることを示している。

インドにおいては2017年度から一般的租税回避行為防止規定(General Anti Avoidance Rule;以下GAAR)の導入が予定されていますので、特にGAAR導入後は、構造改革に係る取引についても、租税回避行為とみなされないよう留意する必要があります。

b. 越境税(Entry tax)の合憲性について

これまでさまざまな州の越境税の合憲性について、高等裁判所に提訴がなされてきましたが、このたびJindal Stainless Ltd. & Anr. vs. State of Haryana and Ors.事案において、越境税の課税の合憲性について、画期的な判断が下されました。

最高裁判所の9名の裁判官は、概ね本件における越境税の合憲性を支持しました。また、最高裁判所は、それぞれの州の越境税法の妥当性を確認する基準を定め、この基準に照らしてそれぞれの州において越境税法の合憲性が検証される必要があり、それによって各州の越境税の妥当性が判断されるべきであることを明確にしました。

つまり、インド最高裁判所は各高等裁判所に、定められた基準に則ってそれぞれの州の越境税法の合憲性について検証することを委ねました。

執筆者

あずさ監査法人
インド事業室

India News

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