地方銀行の経営統合 - 連結納税制度の導入

地方銀行の経営統合 - 連結納税制度の導入

地方銀行の経営統合時に検討される連結納税制度の考え方についてご紹介いたします。

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地方銀行の経営統合スキームとして、持株会社形態を採用する場合、持株会社において税務上の繰越欠損金が累積する傾向になるため、連結納税制度を採用ないし検討している金融機関が増えてきています。

連結納税制度を導入した場合、国税である法人税について、連結納税グループに属する持株会社、銀行及びその他の100%グループ会社(日本法人に限る)において連結納税導入後に発生した所得と損失を相殺することが可能となりますが、連結納税導入時及び新たに他の金融機関が連結納税グループに加入する場合に以下の点について留意する必要があります。

1. 時価評価課税

連結納税導入時及び加入時において、以下に記載する法人以外の連結納税グループ法人が所有する一定の資産について連結納税開始ないし加入前に時価評価し、その含み損益について課税されてから連結納税グループに加入する必要があります。

1)連結納税親法人(持株会社形態における持株会社)
2)株式移転による直接子法人(持株会社形態における銀行)
3)税制適格株式交換による直接子法人(持株会社形態における銀行)
4)長期保有子法人等(持株会社形態における銀行ないし銀行の子会社)
(a)親法人が連結納税開始前より直接・間接的に5年超100%保有している法人
(b)設立時より親法人ないし100%子法人に100%保有されている法人
(c)税制適格合併による被合併法人、税制適格株式交換による直接子法人及び税制適格株式移転による直接子法人が保有する子法人のうち上記(a)及び(b)に該当する法人
5)単元未満株式の買取り等により100%子会社となった法人

したがって、経営統合に際して銀行が保有するグループ会社を100%子会社化する場合には、グループ会社が保有する一定の資産について時価評価課税が発生する可能性があります。また、時価評価対象法人であるグループにおいて持ち合っている株式についても時価評価課税の対象となる場合がありますので、経営統合前に持ち合いを解消し時価評価対象外法人に集約する必要があります。

2. 繰越欠損金の切り捨て

連結納税制度を導入した場合、原則として連結納税開始前ないし加入前において各社が有していた法人税法上の繰越欠損金は切り捨てられることになり、連結納税グループに持ち込むことができなくなります。ただし、例外として、以下に記載する法人に限り、その法人が連結納税開始ないし加入前に有していた繰越欠損金を連結納税グループに持ち込むことが可能となります。

1)連結納税親法人
2)株式移転により連結納税親法人を設立した場合の直接子法人(株式移転直前に他の法人に50%超保有されておらず、株式移転後に100%直接保有されている法人に限ります)。ただし、税制非適格株式移転となる場合には、その株式移転前の事業年度の繰越欠損金については、他の法人において発生した所得とは相殺できません。
3)税制適格合併における被合併法人
4)連結納税導入時・加入時において上記に記載する時価評価対象外となる法人。ただし、他の法人において発生した所得とは相殺できません。

したがって、将来において回収可能と見込んでいた法人税法上の繰越欠損金を有する場合には、連結納税制度導入によって切り捨てられる可能性があるため、留意する必要があります。

執筆者

KPMG税理士法人
パートナー 古田 哲也

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