金融庁、金融審議会「フェア・ディスクロージャー・ルール」導入に向けた報告書を公表 | KPMG | JP

金融庁、金融審議会「フェア・ディスクロージャー・ルール」導入に向けた報告書を公表

金融庁、金融審議会「フェア・ディスクロージャー・ルール」導入に向けた報告書を公表

会計・監査ニュースフラッシュ - 2016年12月22日、金融庁は、金融審議会「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース報告~投資家への公平・適時な情報開示の確保のために~」を公表しました。

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金融審議会「市場ワーキング・グループ」は、2016年5月より、国民の安定的な資産形成に向けた取組みや市場・取引所を巡る制度整備などについて検討及び審議を行い、「市場ワーキング・グループ報告~国民の安定的な資産形成に向けた取組みと市場・取引所を巡る制度整備について~」をとりまとめた。

また、同ワーキング・グループに設置された「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」において、「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース報告~投資家への公平・適時な情報開示の確保のために~」(以下「FD報告」)がとりまとめられ、同ワーキング・グループに報告、了承された。

これらの報告書は、今後、金融審議会総会・金融分科会において報告されることとなる。
FD報告では、フェア・ディスクローシャー・ルールの導入により、発行者による早期の情報開示を促進し、ひいては発行者と投資家との建設的な対話を促進するとの意義が果たされるような環境整備を行うことが重要であるとしている。以下、FD報告の概要について説明する。

ポイント

  • 欧米やアジアの主要国が既に導入しているフェア・ディスクロージャー・ルールの導入が提言されている。これにより、有価証券等の発行者は、証券会社等の情報受領者に対して、未公表の重要な情報提供を行った場合等には、速やかに当該情報について公表すること等が必要となる。
  • フェア・ディスクロージャー・ルールの対象となる情報は、インサイダー取引規制の対象となる情報の範囲をベースとしながらも、それ以外の情報のうち、発行者又は金融商品に関係する未公表の確定的な情報であり、公表されれば発行者の有価証券の価額に重要な影響を及ぼす蓋然性があるものを含めることが提案されている。
  • フェア・ディスクロージャー・ルールの対象となる情報受領者の範囲は、(1)有価証券に係る売買や財務内容等の分析を第三者へ提供することを業として行う者、その役員や従業員、(2)発行者から得られる情報に基づいて発行者の有価証券を売買することが想定される者とされる。

フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース 報告の概要

有価証券等の発行者(以下「発行者」)による適時の情報開示ルールとして、金融商品取引法による臨時報告書制度及び証券取引所規則による適時開示制度が整備されている。一方で、公表前の内部情報を発行者が第三者に提供する場合に当該情報が他の投資家にも提供されることを確保するためのフェア・ディスクロージャー・ルール(以下「FDルール」)は整備されていない。近年、発行者の内部情報を顧客に提供して勧誘を行った証券会社に対する行政処分の事案において、発行者が当該証券会社のアナリストのみに未公表の業績に関する情報を提供していたなどの問題が発生している。

この点、欧米やアジアの主要国では、FDルールが整備されている。例えば、米国、欧州(EU)では次表に示したルールが置かれている。

 

欧米におけるフェア・ディスクロージャー・ルール

米国

有価証券の発行者が、当該発行者または当該有価証券に関する「重要」※1かつ未公表の情報を特定の情報受領者に対して伝達する場合、意図的な伝達の場合は同時に、意図的でない伝達の場合は速やかに、当該情報を公表しなければならない

※1 合理的な株主が投資判断に際して重要と考える相当の蓋然性があること

欧州(EU)

発行者は、「発行者に直接関係する内部情報」※2をできる限り速やかに公衆に開示しなければならないという原則規定を置くとともに、有価証券の発行者が、内部情報を第三者に開示する場合について、米国と同様のルールを規定

※2 発行者または金融商品に直接または間接に関係する未公表の確定的な情報であって、公表されれば金融商品の価額に重要な影響を及ぼす蓋然性があるもの

このような状況を踏まえ、我が国市場においても、個人投資家や海外投資家を含めた投資家に対する公平かつ適時な情報開示を確保し、全ての投資家が安心して取引できるようにするためには、FDルールを導入すべきであるとしている。

また、FDルールの導入により、(1)発行者側の情報開示ルールを整備・明確化することで、発行者による早期の情報開示を促進し、ひいては投資家との対話を促進する、(2)アナリストによる、より客観的で正確な分析及び推奨が行われるための環境を整備する、(3)発行者による情報開示のタイミングを公平にすることで、中長期的な視点に立って投資を行うという投資家の意識変革を促すといった積極的意義があると考えられるとしている。

1.FDルールの対象となる情報の範囲と運用・エンフォースメント

FDルールは、公平かつ適時な情報開示に対する市場の信頼を確保するためのものであるため、投資判断に影響を及ぼす重要な情報が対象となるが、具体的には、「インサイダー取引規制の対象となる情報の範囲と基本的に一致させつつ、それ以外の情報のうち、発行者または金融商品に関係する未公表の確定的な情報であり、公表されれば発行者の有価証券の価額に重要な影響を及ぼす蓋然性があるもの」を含めることが考えられるとしている。

なお、工場見学や事業別説明会で提供されるような情報など、他の情報と組み合わさることによって投資判断に影響を及ぼし得るものの、その情報のみでは、直ちに投資判断に影響を及ぼすとはいえない情報(いわゆるモザイク情報)は、FDルールの対象外とすることが適当であるとしている。

FDルールに抵触した場合、発行者にまずは情報の速やかな公表を促し、これに適切な対応がとられなければ、行政的に指示・命令を行うことによって、FDルールの実効性を確保することが適当であるとしている。

2.FDルールの対象となる情報提供者の範囲

FDルールは、発行者に対して、公平かつ適時な情報開示を求めるもののため、FDルールの対象となる情報提供者の範囲は、発行者の業務遂行において情報提供に関する役割を果たし、それに責任を有する者に限定することが適当であり、具体的には、発行者の役員のほか、従業員、使用人及び代理人のうち、情報受領者へ情報を伝達する業務上の役割が想定される者に限定することが適当であるとしている。

3.FDルールの対象となる情報受領者の範囲

FDルールは、発行者による公平かつ適時な情報開示に対する市場の信頼を確保するためのルールであり、また、金融商品取引法が資本市場に関わる者を律する法律であることも踏まえると、FDルールの対象となる情報受領者の範囲は、有価証券の売買に関与する蓋然性が高いと想定される以下の者とすることが適切であるとしている。

  • 証券会社、投資運用業者、投資顧問業者、投資法人、信用格付業者などの有価証券に係る売買や財務内容等の分析結果を第三者へ提供することを業として行う者、その役員や従業員
  • 発行者から得られる情報に基づいて発行者の有価証券を売買することが想定される者

ただし、発行者が証券会社に資金調達の相談をする場合など、FDルールの対象となるような情報提供を正当な事業活動として行うことが必要な状況で、(1)第三者に伝達しない義務(守秘義務)、及び(2)投資判断に利用しない義務を情報受領者が負っている場合には、公表を必要としないこととなる。

4.情報の公表方法

FDルールに基づく情報の公表方法については、法定開示(EDINET)及び金融商品取引所の規則に基づく適時開示(TDnet)のほか、当該発行者のホームページによる公表を認めることが適当であるとしている。

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