IFRS - Financial Instruments Newsletter - Issue 35 | KPMG | JP

IFRS - Financial Instruments Newsletter - Issue 35 金融商品会計の動向

IFRS - Financial Instruments Newsletter - Issue 35

IFRS - 金融商品ニューズレターでは、IASBの金融商品に関するプロジェクトの動向について最新情報を提供しています。Issue35では、資本の特徴を有する金融商品のプロジェクトについて、2016年12月に行われたIASBの審議を取り上げています。

関連するコンテンツ

ウィンドサーフィン

「『残余金額』の定義付けに基づく分類原則の開発にはさらなる取組みを必要とするが、企業自身の資本に係るデリバティブの分類における整合性を高めるうえで役立つと考えられる。」

KPMGグローバル
IFRS金融商品リーダー
Chris Spall


IASBは、前回の会議において、IAS第32号における現行のプッタブル金融商品の例外に該当する商品のガンマ・アプローチに基づく分類、及びこの例外規定を引き継ぐことの利点について検討したことをうけて、資本の特徴を有する金融商品に関する審議を継続した。

概要

IASBは、12月の会議において、企業自身の資本に係るデリバティブへのガンマ・アプローチの適用について審議した。特に、IAS第32号における固定対固定の条件を適用する際に実務上で生じるいくつかの論点に焦点を当てた。

プロジェクトの次のステップは、以下について検討することである。

  • 契約における権利及び義務の実質、並びに法律及び規制上の要求事項との関係
  • 資本性金融商品の認識、認識の中止及び分類変更

また、IASBは、対称的な損失補償(symmetric make - whole)を伴う期限前償還オプション付金融資産のIFRS第9号「金融商品」に基づく分類についての範囲限定的なプロジェクトを、アジェンダに追加することに合意した。IASBは、2017年1月にこのトピックについて審議を行う予定である。

マクロヘッジ会計のプロジェクトについての審議は、12月の会議では行われなかった。

資本の特徴を有する金融商品

これまでの経緯

IAS第32号「金融商品:表示」には、負債と資本に金融商品を分類する規定が含まれており、この規定を資本の特徴を有する多くの金融商品に適用した場合、重要な実務上の論点が生じる。過去において、IFRS解釈指針委員会にはこの分野に関する複数の質問が寄せられ、それらのうちのいくつかについては、IFRSの基礎的な概念の検討を要するため、IASBに議論が委ねられた。
 
IASBは2008年にディスカッション・ペーパー(DP)「資本の特徴を有する金融商品」を公表した。その後、IASBは「財務報告に関する概念フレームワーク」 ※1プロジェクトの一環で、一部の課題について審議した。
 
2015年5月、IASBは資本の特徴を有する金融商品に関するプロジェクトを正式に再開し、プロジェクトを2つ(分類、並びに表示及び開示)に分けることを決定した。
 
会議開催
時期
審議内容
2015年
5月
負債と資本を区別する際の概念上及び適用上の課題
2015年
6月
請求権の測定及び資本と負債の区別に関連する特性
2015年
7月
財務諸表利用者が財政状態計算書及び業績における情報を用いて行う可能性のある評価における、これらの特性の関連性
2015年
9月
  • デリバティブ以外の金融商品の分類
  • IAS第32号の規定が、財務諸表利用者の評価に必要な特性をどの程度捕捉しているか
  • 3つの取りうる分類のアプローチ(アルファ、ベータ、ガンマ)
2015年
10月
「企業自身の資本」に係るデリバティブの分類及び会計処理の課題、並びにIAS第32号がこれらの課題にどのように対処しているか
2016年
2月
  • 金融負債の内訳分類を用いて財務成績及び財政状態を評価するための追加的情報を提供すること、及び資本の部の内訳分類を用いて関連する特性についての追加的情報を提供すること
  • 条件付きの代替的な決済結果を伴う請求権
2016年
4月
  • 残余金額に依存する負債の別個の表示に関する規定の適用範囲
  • 普通株式以外の資本に対する請求権(非デリバティブ及びデリバティブの両方を含む)に純損益及びその他の包括利益(OCI)を割当てる方法
2016年
5月
純損益及びOCIをデリバティブに該当する資本に対する請求権に割当てるために取りうる別の方法を含む割当てのアプローチ
2016年
7月
企業自身の資本に係るデリバティブの分類、資産と負債を交換するデリバティブ、及び負債と資本を交換するデリバティブにガンマ・アプローチをどのように適用するか
2016年
9月

ガンマ・アプローチに基づく企業自身の資本に係るデリバティブに関する以下の事項

  • 負債として分類された特定の種類のデリバティブの表示
  • 開示によって分類及び表示のアプローチがどのように補完されるか
2016年
10月
発行企業が代替的な決済結果の中から選択できるような請求権、及び経済的なインセンティブは分類に影響を及ぼすべきか否か
2016年
11月
IAS第32号における既存のプッタブル金融商品の例外に該当する商品のガンマ・アプローチに基づく分類、及びこの例外規定を引き継ぐことの利点
 
※1 IASBは、2015年5月にED「 財務報告に関する概念フレームワーク(ED/2015/3)」を公表した。本ニューズレターにおける概念フレームワークは、別途記載のない限り、現行の財務報告に関する概念フレームワークを参照している。

企業自身の資本に係るデリバティブへのガンマ・アプローチの適用

 

“IASBは、ガンマ・アプローチがIAS第32号における固定対固定の条件を適用する際に実務上で生じるいくつかの論点にどのように対処するかついて審議した”


問題の所在
IAS第32号に基づいて、発行者が固定額の現金または他の金融資産を固定数の企業自身の資本性金融商品と交換することによってのみ決済されるデリバティブは、資本性金融商品として分類される(固定対固定の条件)。ただし、固定対固定の条件をどのように解釈するかについての追加的なガイダンスはほとんどない。

ガンマ・アプローチは固定対固定の条件を含んでいる。ガンマ・アプローチのもとでは、企業は、以下の条件を満たす場合に、資本性金融商品の引渡しと交換に、現金または他の金融資産の受取り、または金融負債の消滅が生じるデリバティブを資本性金融商品として分類する。

  • 固定対固定の条件を満たしている(すなわち、請求権の金額は残余金額のみに依存している)。
  • 現物決済または純額株式決済されている(すなわち、清算前に経済的資源を移転する義務はない)。

ガンマ・アプローチにおける固定対固定の条件を満たすためには、デリバティブの金額は残余金額のみに依存すべきであるという基本的な原則に焦点を当てるべきだとスタッフは考えている。この結果、契約に含まれる一部の変数が(それらがなければ固定対固定の条件を満たす)、この原則に整合しているか否かについて疑問が生じる。

 

IASBでの審議内容
スタッフは、「残余金額」という用語の定義は分類の重要な要素であると主張した。残余金額は、企業の経済的資源と、企業の経済的資源に依存しない特定の金額を有する、企業に対する請求権の間の差異である。

ガンマ・アプローチの目的は、以下の程度について容易に評価できるようにすることである。

  • 企業に対する請求権総額を充足するのに十分な経済的資源を企業が有している。
  • 企業に対する請求権に関する約束されたリターンを充足するのに十分な経済的資源に関するリターンを企業が生成している。

請求権の金額が残余金額に依存している場合、このような商品は、その金額が利用可能な経済的資源の金額に依存しているため、上記の評価の対象とならない(すなわち、依存しない金額の請求権を充足した後に利用可能となる金額がない場合、このような請求権の金額はゼロである)。

スタッフは、IASBがデリバティブは受取り部分と支払い部分の両方を考慮したうえで全体として分類すべきであることを暫定的に決定したことに言及した。したがって、企業の資源に依存しない金額と残余金額に依存する金額の両方を含んでいるデリバティブは、(当該デリバティブの金額全体が残余金額のみに基づくことを前提として)資本として分類されうる。これは、例えば、受取り部分が固定額の現金であり、支払い部分が固定数の持分株式であるような場合に該当する。

デリバティブの条件は、請求権の金額に影響を及ぼす複数の変数をもたらす可能性がある。これらの変数は残余金額に依存するものもあれば、依存しないものもある。したがって、デリバティブの金額全体(現物決済されるものか、または、純額株式決済されるもの)は、すべての変数が残余金額のみに依存する場合に限り、資本として分類される。スタッフは、この原則を運用可能とする方法の1つは、デリバティブが、残余金額に依存しない金額に変更をもたらすような変数を含んでいるか否かについて検討することであると考えている。スタッフは、請求権の金額は契約上特定された金額であり、様々な要因(例:請求権の金額及び信用リスク)によって影響を受ける請求権の価値とは区別すべきであると説明した。

IFRS解釈指針委員会による審議及びこのプロジェクトに関する従前の協議に基づいて、スタッフはデリバティブの金額に変更をもたらす以下の変数を特定し分析を行った。

  • 貨幣の時間価値
  • 通貨
  • 希薄化
  • 資本性金融商品の保有者への分配
  • 残余金額の特定の部分に依存する変数
  • 非支配持分
  • デリバティブの金額に影響を及ぼす偶発事象

以下は、各変数に関するスタッフの分析の概要と、例として取り上げた商品に、基本的な原則をどのように適用することができるかに関する説明である。スタッフは、この分析がガンマ・アプローチの基礎となる原則を説明するものであり、IAS第32号の適用の説明ではないことを強調した。

 

貨幣の時間価値
貨幣の時間価値に関する対価は、定義上、将来の日付で決済されるすべてのデリバティブの構成要素である。したがって、貨幣の時間価値に関する対価が反映された契約条件により、その商品が残余金額のみに依存するとみなされなくなることはない。ただし、貨幣の時間価値の変数がレバレッジされている、またはデリバティブと関連しない場合には、当該デリバティブは資本として分類されない。

商品の例 分類案
オプションの行使価格が、行使日により変化する変数に基づいて変更されるような商品(バミューダ・オプション)
  • 行使価格が、貨幣の時間価値のみを補填するような、関連する市場金利に連動している場合 - 資本に分類されないことはない。
  • 行使価格が外貨、または関連しない、あるいはレバレッジされた金利に連動している場合 - デリバティブは資本性金融商品ではない。

 

通貨
経済的資源の利用可能性及び企業の業績は報告企業の機能通貨で測定されるため、「固定額の現金または他の金融資産」とは、報告企業の機能通貨での固定額である。また、「固定額」とは、受け取ることになっている特定の資産の量や数ではなく、機能通貨単位によって示される金額である。

商品の例 分類案
外貨単位の固定額を企業自身の資本性金融商品の固定数と交換するデリバティブ 金額は残余金額のみに依存していない(為替レートにも依存している)ため、資本として分類されない。
コモディティ価格に連動する金融資産の固定数を企業自身の資本性金融商品の固定数と交換するデリバティブ 金融資産の固定数がコモディティ価格に連動している場合、請求権の金額は残余金額のみに依存していないため、デリバティブは資本として分類されない。

 

希薄化
転換社債に組み込まれたワラント及びオプション等のデリバティブは、デリバティブ保有者を希薄化から保護する希薄化防止条項を含んでいる。希薄化は、デリバティブ保有者の残余金額に対する持分を減少させるために株式総数を増加させるような資本性金融商品の追加発行から生じる。

希薄化防止条項は以下のいずれかの特徴を有している場合がある。

  • 非対称的 - すなわち、発行済株式総数が増加した場合にのみ、発行株式数を調整する。
  • 対称的 - すなわち、残余金額に対する固定割合となるように、発行済株式総数の増加及び減少の両方を調整する。

保有者が残余金額に対する固定割合を持分として確保できるようにするデリバティブ(すなわち、そのクラスの資本性金融商品の総数に対する固定割合を、金融資産の固定額の受取りと交換することが要求される)は、残余金額のみに依存している。

商品の例 分類案
行使価格1ドルで現在発行済株式の2.5%を取得するワラント 現在発行済株式の固定割合は、株式の固定数を表す別の方法である。このような変数により、資本への分類が妨げられることはない。
残余金額に対する固定割合が約束された、支配の変更に関する条項が付されたオプション(すなわち、支配の変更がなかった場合と比較して、転換比率が調整されている) 当該オプションから生じる請求権の金額は残余金額のみに依存する。このような変数により、資本への分類が妨げられることはない。
資本性金融商品の追加発行時に、固定額と同等の株式の可変数の発行を企業に要求する固定額の希薄化防止条項(例:CU100を最低価額とする株式転換オプション) この条項は保有者による企業の経済的資源に依存しない特定の金額の保有を確実にするものである。したがって、この商品は資本性金融商品に該当しない。

 

資本性金融商品の保有者への分配
商品の契約条件により、受け取る権利があるが支払われなかった金額(例:配当金)について、将来の資本性金融商品の保有者に補償を提供するために転換比率または行使価格が調整される場合、残余金額のみに依存する商品という条件に反するものではない。自由裁量による配当は、依存しない金額の一部支払いではなく、残余金額の一部支払いを表している。

支払われなかった配当金の補償は、転換オプションの保有者を残余金額の分配により生じる請求権の減少から保護することを意図している。資本に分類された商品は異なる分配の権利を持つことができるため、このような権利の存在自体により残余金額に依存しないデリバティブの金額の変更となることはない。

商品の例 分類案
持分株式に強制的に転換され、配当金が普通株主に支払われた場合には転換比率が調整される転換社債 支払われなかった配当金の補償は、転換オプションの保有者を残余金額の分配により生じる請求権の減少から保護することを意図している。このような変数により、資本への分類が妨げられることはない。
ベンチマーク金利に連動してクーポンが支払われ、満期時に固定の転換比率に基づいて持分株式に強制的に転換される転換社債。クーポンは、支払われなかった場合は、累積され株式に転換される。 クーポンは残余金額に対する持分を表さない。引き渡される株式数の変動はベンチマーク金利の変動に起因するため、検討すべき変数は貨幣の時間価値である。ベンチマーク金利がレバレッジされているか、当該商品と関連しない場合を除き(これらの場合、引き渡される株式数の変動により、転換義務が残余金額のみに依存しなくなる)、資本への分類が妨げられることはない。

 

残余金額の特定の部分に依存する変数
ある商品が残余金額のみに依存している場合、その金額は残余金額を超過することはないが、残余金額の一部である可能性がある。残余金額に対する持分は、企業の認識済み純資産、未認識純資産、または純損益及びOCI等の変数を参照することによって特定することができる。これは、これらの変数が、残余金額のみに依存しているためである。当該商品の保有者は、発行企業の残余金額を他の資本性金融商品の保有者と共有する。このような変数により、当該商品が資本に分類されないことはない。

商品の例 分類案
金額が利払い・税金・償却前利益(EBITDA)の特定の割合に依存しているデリバティブ EBITDAは残余金額に対する持分ではなく、経済的資源に依存しないすべての関連する請求権または費用を控除前の経済的資源を表す。残余金額にみに依存する変数ではない。このデリバティブは、資本性金融商品に分類されない。
あるクラスの企業自身の資本の固定数の株式(例:非累積優先株式)を他のクラスの固定数の株式(例:普通株式)と交換することを企業に義務付けるデリバティブ 両クラスの資本性金融商品が残余金額のみに依存している場合、このデリバティブも残余金額のみに依存する。資本に分類されるすべての商品が残余金額に対して同様の比例的な持分を有している必要はない。したがって、資本への分類は妨げられない。

 

非支配持分(NCI)
NCIの金額は、子会社の利用可能な経済的資源に依存している(すなわち、子会社の残余金額のみに依存している)。子会社の残余金額は連結グループの残余金額の一部である。

商品の例 分類案
金融資産の固定額を受け取って子会社の資本性金融商品の固定数を発行する売建コール・オプション(行使価格は報告企業である親会社の機能通貨で表示されている) この売建コール・オプションは残余金額のみに依存しているため、資本への分類が妨げられることはない。
自己株式の固定数を子会社株式の固定数と交換することを企業に義務付けるデリバティブ(すなわち、企業は、子会社の追加的な株式を買い戻すことと引き換えに追加的な株式を発行する) このデリバティブから生じる請求権の金額は、連結グループ及び子会社の残余金額に依存しており、他の変数は存在しない。したがって、このデリバティブは残余金額のみに依存し、資本への分類が妨げられることはない。

 

デリバティブの金額に影響を及ぼす偶発事象
現金または他の金融資産の固定額を普通株式の固定数と交換する契約は、企業及び取引相手双方の支配が及ばない事象の発生を条件として行使される場合であっても、資本として分類される。契約は、事象が発生した場合は行使され、事象が発生しない場合は失効する。契約が行使されるか否かは請求権の金額に影響を及ぼさない。ただし、偶発事象が請求権の金額に影響を及ぼす場合には、企業は偶発事象によってもたらされた変動性が残余金額のみに依存しているか否かを判断しなければならない。

商品の例
分類案
CU100を普通株式100の発行と交換することが企業に義務付けられ、事象Aが生じた場合に強制的に行使可能となるデリバティブ 偶発事象の発生確率は、デリバティブの価値に影響を及ぼすが、これに伴って生じる請求権の金額には影響を及ぼさない。したがって、偶発事象により資本への分類が妨げられることはない。
偶発事象の発生を条件に、事前に決められた数量及び価格で交換を行う売建コール・オプション(例:事象Bが生じた場合は株式120をCU100と交換し、事象Bが生じなかった場合は株式100をCU100と交換する) 事象Bが株式数の20%の増加である場合を除いて(すなわち、請求権の金額は残余金額の固定割合である)、偶発事象によって企業の経済的資源に依存しない変数がもたらされる。したがって、この商品は資本性金融商品に該当しない。
現金の固定額と同等にするために企業自身の資本性金融商品の変動数を引き渡す転換義務(キャップ及びフロアーが適用される) 1つの可能性のある決済結果に基づいて、企業の経済的資源に依存しない金額に応じて金額が変動することから、このような転換義務は資本性金融商品ではない。株価によって株式数への調整が変動する事実をもって、その商品が資本性金融商品に該当することにはならない。株価と関連している可能性のあるすべての変数が残余金額に依存しているわけではない。キャップやフロアーによって譲渡される株式数が特定の範囲に限定される場合であっても、分類の結果は変わらない。

複数のボードメンバーはスタッフの分析の大まかな方向性を支持した。これには、残余金額への依存性の重要性及び資本への分類を目的とする残余金額の定義付けの必要性を強調することを含んでいた。

一部のボードメンバーは、貨幣の時間価値に基づくキャッシュフローの変動性が残余金額のみに依存することとどのように整合するか、という点について疑問を呈した。また、一部のボードメンバーは、金利または指標は貨幣の時間価値以外の要素(信用リスクの対価等)も含んでいる可能性があると述べた。

ボードメンバーはまた、現金または他の金融資産の固定額は報告企業の機能通貨建での固定額であるとする要件を、機能通貨が異なる複数事業を含む報告企業にどのように適用すべきかについても疑問を呈した。例えば、海外子会社が発行する、その企業自身の機能通貨で表示された資本デリバティブを、機能通貨が異なる親会社の連結財務諸表上でどのように分類するかという議論が生じた。このようなケースでは、報告企業は一種類の機能通貨を有しているわけではない。このような疑問への対処は、報告企業の残余金額の一部の概念と関連しており、それぞれの部分が異なる通貨エクスポージャーを有している可能性があることも指摘された。この概念は、NCIに関するデリバティブをより広範囲に検討する際にも同様に関連する(例:子会社の残余金額は連結グループの残余金額の一部である)。

スタッフは、ボードメンバーが提示した論点について、さらに詳しく検討することで合意した。得にIASBは、行使価格が外貨建てのNCIに関するデリバティブの分類にガンマ・アプローチをどのように適用するかについて検討することをスタッフに求めた。

一部のボードメンバーは、ガンマ・アプローチが現行のIAS第32号の例外規定と整合しているか否かについて尋ねた。IAS第32号の例外規定は、外貨の固定額と引き換えに企業自身の資本性金融商品の固定数を取得する権利について、それらが既存の資本性金融商品の保有者に比例的に付与される場合に資本として分類することを認めている。スタッフは、これらの商品はガンマ・アプローチのもとでは負債として分類されるが、9月のIASBの暫定合意に従って利得及び損失をOCIにおいて別個に表示する必要があるかもしれないと回答した。スタッフはまた、この例外規定が引き継がれるべきか否かについても議論が必要であると述べた。

IASBは、いかなる決定も求められなかった。

KPMGの見解

IAS第32号には、固定対固定の条件をどのように解釈するかに関するガイダンスがほとんどない。このため実務家は、IASBが審議した論点のいくつかに対処する方法を検討し、業務において実践している。

実務上の整合性を高めるためには、より実務に即した適用ガイダンスによって補完される広範囲の基本的な原則が有用であると考えられる。今月のIASBの審議は、デリバティブの金額が残余金額のみに依存するか否かに焦点を当てることを通じて、今後の議論が進展する可能性があることを示唆している。ただし、関連する概念を明確化し、その適用可能性と整合性をテストするといったさらなる取組みが今後必要となるであろう。また、金利に基づく金額の変動が基本的な原則の一部であるか、あるいは基本的な原則の追加または例外事項であるかについては明確化されていない。

英語コンテンツ(原文)

このページに関連する会計トピック

会計トピック別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

このページに関連する会計基準

会計基準別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

IFRS - Financial Instruments Newsletter

お問合せ

 

RFP(提案書依頼)

 

送信