税務・法務に関するアップデート

税務・法務に関するアップデート

税務・法務に関するアップデートと最近のタイでの不正事例について報告します。

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1.新規固定資産に係る減価償却費の二重の所得控除(追加情報)

(1)勅令No.622の公布
2016年5月に財務省は、勅令No.604及び歳入局規則No.266を公布しました。その内容は以下のとおりです。

 

二重の所得控除の対象となる固定資産(勅令No.604)

  • 機械装置、そのスペアパーツ、工具、器具、備品
  • コンピュータープログラム(ソフトウェア)
  • 車両(乗用車及び定員10名未満のバスは除く
  • 建物(土地及び居住用建物は除く)
  • 上記1.~4.の既存の固定資産に対する資本的支出(現状回復費は対象外)

*乗用車及び定員10名未満のバスであっても、レンタル事業に供するものは対象となります。


二重の所得控除の対象となる要件(勅令No.604, 歳入局規則No.266)

  • 新品であること(中古は不可)
  • 2016年12月31日までに事業供用し、歳入法に従い減価償却がされること
  • 2016年12月31日までに固定資産の取得価額の支払いが完了していること
  • 2015年11月3日から2016年12月31日までの間に固定資産の取得に関して、発注・契約手続きがされたものであること
  • タイに所在するものであること(車両は除く)
  • 歳入法の他の勅令に基づく税務優遇措置を受けていないこと
  • その全部または一部がタイ投資委員会(BOI)の投資奨励事業の用に供されていないこと

上記2.の要件について、財務省は2016年9月に勅令No.622を公布し、機械装置及び建物には適用しない(つまり、機械装置及び建物に限っては、その事業供用が2016年12月31日後となっても差し支えない)こととされました。これは、大型の機械装置や建物は、通常、発注から据付や建築完了までに相当の期間を要することに配慮したものです。

なお、建物については、2016年12月31日までに所轄当局に建築許可の申請書を提出することが要求されることと、機械装置及び建物についても引き続き、2016年12月31日までに取得価額の支払いが完了することが要求される点にご留意ください。場合によっては、発注先との間で、機械装置や建物の引渡しを待たずに代金完済(本年中)という条件にしてもらう必要があります。

 

(2)関連するタックスルーリング
上記の勅令No.604に関して、タイのハイヤーパーチェス協会が、歳入局に対して以下のルーリング申請(書面による照会)を行いました。

(i)リース事業に供するリース資産の取得価額について、賃貸人が本件の二重の所得控除を適用できるか

(ii)ハイヤーパーチェス(分割払い購入)により取得した資産も本件の二重の所得控除を適用できるか

これに対して、歳入局は2016年8月に、(i)と(ii)のいずれのケースも勅令No.604に定める要件を満たす限りにおいては、二重の所得控除を適用できる旨の見解を示しました。(i)については、ファイナンス・リースかオペレーティング・リースの別は議論されていませんが、税務上は全てのリース取引をレンタル取引(オペレーティング・リース)として取り扱うことを考えれば、その区分は議論不要といえます。(ii)については、ハイヤーパーチェス取引であっても、本年中にその資産の取得価額相当の分割払いが完済する限りにおいては、本件の二重の所得控除が適用できることが明らかにされています。

 

(3)その他
減価償却費の二重の所得控除とは、(a)会計上の減価償却費に加え、(b)法人税の申告書上でさらにその減価償却費相当を所得減算をするというものです。歳入局規則No.266によれば、上記(b)の法人税の申告書上で所得減算する金額は、上記(a)の会計上の減価償却費に関わらず、その資産を事業供用した会計年度から5年均等償却(ソフトウェアは3年均等償却、建物は20年均等償却)した金額とされています。

従って、会計年度の途中(期中)に事業供用した資産については、上記(a)の会計上の減価償却費(日数または月数按分が必要)と、上記(b)の法人税の申告書上で所得減算する金額(日数または月数按分の必要なし)が異なる点にご留意ください。

2.IHQの税務優遇措置(追加情報)

2016年9月に歳入局は、InternationalHeadquarters(“IHQ”)とInternationalTradingCenters(“ITC”)の税務恩典に関して、歳入局長官告示を公布しました。その主な内容は、以下の通りです。

 

(1)IHQの事業から生じた繰越欠損金
IHQの事業範囲は、関係会社に対するサービス提供事業となりますが、以下の区分によってそれぞれ法人税の適用税率が異なることになります。

(a)タイ国外の関係会社から受け取るサービスフィーやロイヤリティ:0%

(b)タイ国内の関係会社から受け取るサービスフィーやロイヤリティ:10%(上記(i)の金額を限度とし、それを超える金額は通常税率20%)

(c)上記以外の収入:通常税率20%

IHQの税務恩典を利用する会社は、上記(a),(b),(c)の区分に従って、それぞれ所得計算を行うことが要求されますが、今回の歳入局長官告示において、各区分で生じた欠損金は、他の区分の所得と相殺が出来ないことが明らかにされました。つまり、(a)の区分から生じた欠損金は、(b)もしくは(c)の区分から生じた所得との相殺は認められません(結果、(a)から生じた欠損金は切り捨て)。また、(b)の区分から生じた欠損金は((c)の区分から生じた所得と相殺が出来ないため)繰越欠損金として、翌年以降の(b)の所得と相殺することになります。

 

(2)IHQ及びITCで個人所得税の軽減税率が適用される外国籍社員
IHQやITCの業務に従事する外国籍社員については、一定の要件を充足することにより、15%の個人所得税の軽減税率を適用することができますが、「熟練技能者もしくは専門家として、労働局からワークパーミットを取得していること」がその1つの要件となることが明らかにされました。ただし、これはBOIの投資奨励恩典でワークパーミットを取得している場合には、これを満たすと考えられることから、とくに重要な影響があるものではないと考えられます。

3.VATの軽減税率(7%)の継続

1992年のVAT(歳入法で定める税率は10%)導入以来、勅令という時限的措置によって7%の軽減税率が適用されてきました。直近の軽減税率(7%)を定めた勅令No.592は2016年9月30日が期限となっていましたが、タイの景気が磐石でないことを理由に7%の軽減税率をもう1年(2017年9月30日まで)延長することが2016年9月13日に閣議で承認されました。

本ニューズレター発行日時点で、まだ新しい勅令は公布されていませんが、新しい勅令は2016年10月1日に遡って適用される見込みです。

4.関税局と歳入局との間の情報交換

公式な情報ではありませんが、最近、関税局が歳入局のデータベースにアクセスして情報を直接入手しているようです。具体的には、海外への支払いにかかる源泉徴収の情報(PND.54)をもとに、その企業がロイヤリティーを海外に支払っているか否かを事前に情報収集し、そのロイヤリティが輸入品に関連して支払う条件となっているかを関税調査において確認するというものです。

また、歳入局が関税局のデータベースを法人税・VATの税務調査の過程で利用するケースもあるようです。
これまでは、関税局と歳入局との間で適宜情報交換をしている様子は見受けられませんでしたが、今後は、このような当局間での情報交換の事例が増えていくものと考えられます。

5.外国人事業法の改正案

2016年7月に、以下の6つのサービス事業を外国人事業法の規制業種から除外する内容の草案が閣議で承認されました。関連当局によれば、近いうちに法令として公布される見込みです。

(1)商業銀行や一定の事業(保険料の徴収事務代理業やハイヤーパーチェス事業なども含む)に関連もしくは必要とされるサービス事業

(2)法定の資産管理サービス事業

(3)駐在員事務所

(4)地域事務所(駐在員事務所に近いもの)

(5)政府機関との契約に基づく政府機関に対する請負事業

(6)国営企業との契約に基づく政府機関に対する請負事業

上記(1)及び(2)については、銀行業法、保険業法や資産管理業法などの個別法に基づく許認可等が必要な事業であるため、外国人事業法の規制業種から除外されたとしても、大きな影響はないと言えます。

一方、上記(3)及び(4)は、駐在員事務所や地域事務所には営業活動(収益の獲得)が認められないことを考慮して、外国人事業法の規制業種から除外される予定です。これまでは、たとえ営業活動(収益の獲得)を行わなくとも、駐在員事務所や地域事務所の設立には外国人事業ライセンス(ForeignBusinessLicense(“FBL”))が必要でした。法令施行後は、駐在員事務所や地域事務所の設立にFBLは要求されなくなり、これからタイに進出を検討する企業にとっては利便性が高くなりそうです。

上記(5)及び(6)については、これまで外国企業がタイの政府機関や国営企業と契約してタイ現地で請負業務を提供する際に、FBLが要求されていましたが、今後FBLが不要となれば、タイの政府機関や国営企業との契約や請負業務がスムーズに行えるものと考えられます。

6.電子媒体を通じた会議体の効力

2014年6月に国家平和秩序評議会が公布した布告No.74/2557によれば、電子媒体(電話会議やテレビ会議)を通じた会議体(取締役会や株主総会)であっても、以下の全ての要件を充足する場合には、有効に成立したものとみなされます。

(1)少なくとも定足数の3分の1の出席者が同一の場所に居ること

(2)会議中、全ての出席者がタイ国内に居ること

(3)情報通信技術省が定める基準に従った形で、会議中の音声や映像が記録され、情報安全管理がなされていること

このたび商務省事業開発局は、布告No.74/2557の取扱いを明確化する意味合いで、2016年9月に上記と同じ内容の告示を公布しました。ただし、上記の通り、海外からの電話会議やテレビ会議による参加が法的に認められるわけではないため、利便性も限定的といえます。

7.送金詐欺事案に関する注意喚起

昨今、取引先を装った銀行送金に関する詐欺の事例が複数ありましたので、注意喚起のためにご報告します。

具体的な手口としては、企業の取引先に対し、その企業の担当者のメールアドレスに酷似したメールアドレス(例えば、アルファベット1文字違いのアドレス)を使い、取引銀行口座の変更のため、新しい銀行口座に送金するよう依頼します。取引先は不正なメールアドレスと気がつかずに、連絡を受けた指定銀行口座に送金してしまうというものです。なお、取引先の担当者(複数)がメールのCCに入っているかの様に細工されたものや、取引先のレターヘッド付きの案内文が添付さている等、手の込んだものもある様ですので、十分にお気を付けください。
詐欺の被害を未然に防ぐための内部統制の構築・再確認を実施していただく様、推奨させていただきます。

今回の記事に関してご質問等ございましたら、下記までご遠慮なくご相談ください。

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日系企業担当gjp-marketing@kpmg.co.th
If you have any questions, please send an e-mail to info@kpmg.co.th

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