ASBJ、企業会計基準公開草案第59号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」を公表 | KPMG | JP

ASBJ、企業会計基準公開草案第59号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」を公表

ASBJ、企業会計基準公開草案第59号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」を公表

会計・監査ニュースフラッシュ - 企業会計基準委員会(ASBJ)は2016年11月9日、企業会計基準公開草案第59号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」を公表しました。本公開草案のコメント期限は、2017年1月10日までとされています。

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ASBJは2015年12月に企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」を公表し、その後、日本公認会計士協会における税効果会計に関する実務指針のうち当該適用指針に含まれないものについて、ASBJに移管するための審議を重ねている。
これを受け、ASBJは2016年11月9日、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」を公表した。

我が国における税効果会計に関する会計基準として、「税効果会計に係る会計基準」があり、これを受けて日本公認会計士協会(JICPA)から実務指針が公表されている。ASBJでは、当該実務指針(会計に関する部分)について、JICPAからASBJに移管するための審議を続けており、平成27年12月には企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」を先行して公表した。その後、当該適用指針に含まれない部分についても審議を重ねた結果、監査保証実務指針第63号「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」(以下、「監査保証実務指針第63号」)も税効果会計に関連するため、ASBJの会計基準として開発することとされた。

本公開草案では、監査保証実務指針第63号及びJICPA会計制度委員会「税効果会計に関するQ&A」における税金の会計処理及び開示に関する部分のほか、実務対応報告第12号「法人事業税における外形標準課税部分の損益計算書上の表示についての実務上の取扱い」に定められていた事業税(付加価値割及び資本割)の開示について、基本的にその内容を踏襲した上で表現の見直しや考え方の整理等を行うことを提案しており、実質的な内容の変更は意図していないとしている。

なお、本公開草案に対するコメント期限は平成29年1月10日までである。

ポイント

  • 本公開草案は連結財務諸表及び個別財務諸表における次の事項に適用する。
  1. 法人税、地方法人税、住民税及び事業税に関する会計処理及び開示
  2. 受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税に関する開示
  3. 国内会社が納付する外国法人税に関する開示
  • 会計処理について、従来の取扱いの内容を踏襲した上で考え方を明確化している。具体的には、当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等については、法令に従い算定した額を損益に計上する。また、過年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等については、更生等による追徴及び還付の可能性が高く、追徴税額及び還付税額を合理的に見積ることができる場合には、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」における誤謬に該当する場合を除き、追徴税額及び還付税額を損益に計上する。
  • 適用範囲に含まれた税金の開示については、従来の取扱いの内容を踏襲している。
  • 適用時期は、公表日以後適用することとし、本会計基準の適用については、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当しないものとして取り扱う。

I.本公開草案の概要

適用範囲

監査保証実務指針第63号の適用範囲は、「法人税、都道府県民税及び市町村民税、事業税、事業所税並びに特別土地保有税」とされていたが、本会計基準への移管に際して、金額的な重要性や検討すべき課題の有無等により、実務において会計上の取扱いを明らかにする必要性が高いものとすることが検討された。その結果、法人税、住民税及び事業税等については、一般的に金額的な重要性が高く、追徴税額や還付税額の取扱いを明らかにする必要性が高いと考えられるため、適用範囲に含めている。これに伴い、事業税については、利益に関連する金額を課税所得とする事業税(所得割)だけでなく、それ以外の事業税(付加価値割及び資本割)も適用範囲とし、実務対応報告第12号の内容を本会計基準に統合している。

一方、事業所税及び特別土地保有税については、一般的に金額的重要性が高いとは言えず、営業費用等で会計処理を行っている実務が浸透しており、会計上の取扱いを明らかにする必要性が高くはないことから適用範囲に含めていない。また、消費税についても、JICPAより「消費税の会計処理について(中間報告)」が公表されており、税抜方式による会計処理を行っている実務が浸透していることから適用範囲に含めておらず、固定資産税も同様に適用範囲に含めていない。

なお、監査保証実務指針第63号において、法人税法等の税額控除に関連し、受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税の表示や国内会社が納付する外国法人税の表示についても定められていたことから、本会計基準においては当該記載内容を踏襲し、適用範囲に含めている。

会計処理

監査保証実務指針第63号では、法人税、住民税及び事業税の会計処理に関する取扱いは記載されていなかったため、当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等についての会計処理に関する取扱いとして、法令に従い算定した額を損益に計上することを明示することを提案している。

更生等による追徴及び還付については、監査保証実務指針第63号の内容を基本的に踏襲している。ただし、追徴の会計処理については、どの時点で認識すべきかについて記載がなかったため、偶発事象を負債として認識する場合の我が国における一般的な考え方を参考に、更生等により追加で徴収される可能性が高く、当該追徴税額を合理的に見積ることができる場合、原則として、当該追徴税額を損益に計上することを提案している。

一方、還付の会計処理については、偶発事象を資産として認識する場合の我が国における一般的な考え方を参考に、還付されることが確実に見込まれ、当該還付税額を合理的に見積ることができる場合、当該還付税額を損益に計上することとしている。この点、国際的な会計基準(米国会計基準、IFRS)では、追徴税額に関する負債の認識の閾値と還付税額に関する資産の認識の閾値を同じものとしているため、本会計基準の記載は国際的な会計基準と相違することとなるが、我が国のこれまでの会計慣行に照らした取扱いを重視し、監査保証実務指針第63号における取扱いを踏襲している。

なお、追徴税額について課税を不服として法的手段を取る場合の取扱いとして、監査保証実務指針第63号において、追徴税額を費用として計上しないケースや納付税額を資産として計上するケースが排除されていない趣旨を踏襲して、「原則として、当該追徴税額を損益として計上する。」との表現を用いている。また、監査保証実務指針第63号では、追徴税額の還付の可能性の判断について、「双方の主張」等監査上の観点から用いられてきた表現があると考えられるため、本公開草案にはこの記載を踏襲していないが、追徴に係る還付税額を損益に計上するにあたっては、従来と同様に企業の置かれた状況を総合的に判断する必要があると考えられるとしている。

開示

法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)は、損益計算書の税引前当期純利益(または損失)の次に、法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目をもって表示する。事業税(付加価値割及び資本割)は、原則として、損益計算書の販売費及び一般管理費として表示する。ただし、合理的な配分方法に基づきその一部を売上原価として表示することができる。

また、法人税、住民税及び事業税等のうち納付されていない税額は、貸借対照表の流動負債の区分に、未払法人税等などその内容を示す科目をもって表示する。一方、法人税、住民税及び事業税等の税額が還付されるとき、当該還付税額のうち受領されていない税額は、貸借対照表の流動資産の区分に、未収還付法人税等などその内容を示す科目をもって表示する。

このほか、受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税のうち法人税法等に基づき税額控除の適用を受けない税額は、原則として、損益計算書の営業外費用として表示する。また、外国法人税のうち法人税法等に基づき税額控除の適用を受けない税額について、利益に関する金額を課税標準とする税額は、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)に含めて表示し、それ以外の税額は、その内容に応じて、損益計算書の売上原価、販売費及び一般管理費または営業外費用として表示する。

さらに、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)の更正等による追徴税額及び還付税額は、重要性が乏しい場合を除き、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)を表示した科目の次に、その内容を示す科目をもって表示する。事業税(付加価値割及び資本割)の更正等による追徴税額及び還付税額は、原則として、損益計算書の販売費及び一般管理費として表示する。ただし、合理的な配分方法に基づきその一部を売上原価として表示することができる。

II.適用時期

本公開草案は、監査保証実務指針第63号等における税金の会計処理及び開示に関する部分について、基本的にその内容を踏襲した上で表現の見直しや考え方の整理等を行っており、実質的な内容の変更は意図していないため、本会計基準は、公表日以後適用することを提案している。また、同様の理由により、本会計基準の適用については、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当しないものとして取り扱うことを提案している。

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