FASB - ASU第2016-16号「法人所得税 - 棚卸資産以外の資産のグループ内の移転」を公表 | KPMG | JP

FASB - ASU第2016-16号「法人所得税 - 棚卸資産以外の資産のグループ内の移転」を公表

FASB - ASU第2016-16号「法人所得税 - 棚卸資産以外の資産のグループ内の移転」を公表

Defining Issues 16-34 - このDefining Issuesは、FASBが簡素化イニシアティブの一環として2016年10月24日に公表したASU第2016-16号「法人所得税 - 棚卸資産以外の資産の企業内の移転」※1に関する情報を記載しています。

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※1 FASB ASU第2016-16号「法人所得税 - 棚卸資産以外の資産のグループ内の移転」2016年10月24日。 www.fasb.orgより入手可能。

主な内容

グループ内での資産の移転の会計処理

現行のU.S. GAAP 本ASU
売手と買手は棚卸資産以外の資産のグループ内での移転の連結税効果を、移転が行われた期間から将来の期間へと繰り延べ、それらの税効果を一定の期間にわたって償却する。 売手と買手は当期税効果及び繰延税効果を即時に認識する
売手と買手はグループ内での棚卸資産の移転に係る税効果を、当該棚卸資産を第三者に販売した時点で認識する。 変更なし

主な影響

  • 棚卸資産以外の資産のグループ内での移転の税効果の即時認識が要求されることにより、特に無形資産を国外の子会社に経常的に移転している企業は、収益の変動性が高まる。
  • 子会社間で資産を移転する企業は、税率にばらつきがある理由を開示することが必要となる。
  • 企業は、これらの取引から頻繁に生じる新たな繰延税金資産の測定及び評価のプロセスを再設計することが必要となり得る。現行のU.S. GAAPではこれらの繰延税金資産の認識が禁止されている。

グループ内での資産の移転に関する税効果の認識

連結の際に、企業はグループ内の残高、取引及び資産の移転に係る利得または損失を(それらがグループ内に残存している場合は)消去しなければならず、利得または損失はすべて即時に認識しない※2。ただし、異なる課税管轄地域間での棚卸資産、減価償却資産または知的財産の販売のようなグループ内の資産の移転は税効果を伴う。一般的に、当該移転は売手(通常、課税所得が生じる)及び買手(通常、新たな税務基準額が生じる)にとって課税事象である。

現行のU.S. GAAPでは、企業はグループ内での資産の移転に係る税効果を認識することが禁止されている※3。売手は税効果の純額を繰り延べる。また、買手は当該資産についてその課税管轄地域において新たに創出された税務基準額と、連結財務諸表上で報告される帳簿価額との差異について繰延税金資産を認識することが禁止されている。

本ASUは、これらの税効果を移転が生じた期間に認識することを企業に要求している(ただし、棚卸資産の移転は除外される)。売手と買手の課税管轄地域における税率が異なる場合、即時に利益に影響が生じる。

 

設例:グループ内の完全子会社間での資産の移転
企業ABCと企業DEFは親会社Zの完全子会社である。ABC社とDEF社は別の課税管轄地域で別々に税務申告を行っている。ABC社は無形資産をDEF社に150ドルで売却する。当該資産の売却日における帳簿価額及び税務基準額は100ドルである。ABC社とDEF社の課税管轄地域の税率はそれぞれ、20%と40%である。

新たなガイダンスのもとでは、ABC社は当該売却に係るグループ内利益について当期税金費用10ドル(総利益50ドル×税率20%)を認識する。

売却日において帳簿価額と税務基準額が等しいため、ABC社は繰延税金費用または収益を認識しない。ただし、ABC社が当該無形資産について既存の繰延税金資産または繰延税金負債を有している場合、売却日に繰延税金費用または繰延税金利益と相殺することにより、当該繰延項目を戻し入れる。

DEF社が評価性引当金の計上を必要としないと仮定すると、DEF社は繰延税金利益20ドル(一時差異50ドル×税率40%)を認識する。

DEF社は無形資産の税務基準額150ドル(DEF社の課税管轄地域におけるDEF社の購入価格)を親会社Zによるグループ内利益の消去後の連結財務諸表上の帳簿価額100ドルと比較し、一時差異を50ドルと算定する。

親会社Zの連結財務諸表上、当該無形資産のグループ内での売却は10ドル(繰延税金利益20ドル - 当期税金費用10ドル)の純利益をもたらす。


FASBはこのASUにより、実務のばらつきが抑えられ、グループ内での資産の移転に係る税効果をより正確に描写できるようになると考えている。FASBは、当期税金費用を移転が行われた期間に認識することにより、当期税金費用と所得税の支払額とを比較しやすくなるとしている。

このASUにより、グループ内取引に係る税効果の純額を売手が繰り延べ、償却するとした規定が削除されたが、買手は一時差異を測定し、当該一時差異の繰延税効果を会計処理することが要求される。

企業はグループ内取引から生じることになるであろう新たな繰延税金資産の測定及び評価のプロセスを再設計することが必要となり得る。これらの見積りは複雑となる可能性があり、複数の課税管轄地域の相互関係、不明瞭な税法及び将来課税所得に関する不確実性を適宜考慮することになる。

 

※2 FASB ASC Topic 810「連結」www.fasb.orgより入手可能。
※3 FASB ASCパラグラフ810-10-45-8及び740-10-25-3(e)www.fasb.orgより入手可能。

連結グループ内の棚卸資産の移転は本ASUの適用範囲から除外される

本ASUは、棚卸資産のグループ内での移転を適用範囲から明確に除外している。連結グループ内で棚卸資産を移転する企業は、現行のU.S. GAAPを引き続き適用し、当該棚卸資産を第三者に販売した時点で税効果を認識する。この除外規定が設けられたことにより、項目が棚卸資産に該当するかの判断が重要となり得る。

マスター用語集※4では棚卸資産を、以下のいずれかに該当する私有財産としている。

  • 通常の事業の過程において販売を目的として保有される
  • 販売を目的とする生産の過程にある
  • 販売に供される財またはサービスの生産において現在消費されている

移転する資産が売手と買手の両方にとって「棚卸資産」である場合にのみこの除外規定を適用できるとKPMGは考えている。

 

※4 棚卸資産の定義の全文についてはFASB Accounting Standards Codification(ASC)のマスター用語集(Master Glossary)を参照。www.fasb.orgより入手可能。

期中報告に関する論点

 

“1月1日を期首とする公開企業は本ASUを2017年1月1日に適用することができる。”


本ASUでは、企業間の資産の移転の税効果を年次の実効税率の見積りに含めるべきかについてガイダンスが設けられていない。企業は、企業間の移転の税効果が著しく異常な、または稀にしか発生しない項目を表象するか否か(該当する場合、移転が行われた期中期間に独立した項目として認識する)を判定するのに、法人所得税に関する既存のガイダンスを適用する必要がある。FASBは本ASUの結論の背景で、「棚卸以外の資産の企業内での移転の多くは独立した項目として取り扱われると結論付けられることは珍しくない」と考えていることを示している。ただし、FASBは、内容、頻度及びこれらの取引を見積る能力は企業間でばらつきがあることを認めている。したがって、企業はこれらの取引の影響を、年次の実効税率を見積る際に考慮することが適切であると結論付ける場合もあるであろう。

適用日及び移行措置

企業はグループ内での資産の移転の会計処理の変更に関する本ASUを、適用開始期間の期首の利益剰余金で累積影響額を調整する修正遡及適用ベースに基づいて適用しなければならない。累積影響額の調整には、適用日前に生じた棚卸資産以外の資産のグループ内での移転に係る税効果の認識が含まれる。企業は(必要な場合は)本ASUへの移行から生じる繰延税金資産に対する評価性引当金を調整に含める。

(期中期間を含む)適用開始事業年度において、企業は会計方針の変更の内容及び理由を開示することが必要となる。会計処理の変更が適用開始期間の財務諸表に与える影響に関する定量的な情報も提供することが必要となる。本ASUには、新たな独自の開示規定は含まれていない。

 

適用日

  年次期間 期中期間
公開営利企業 2017年12月16日以降開始する事業年度 2017年12月16日以降開始する事業年度に含まれる期中期間
その他すべての企業 2018年12月16日以降開始する事業年度 2019年12月16日以降開始する事業年度に含まれる期中期間

 

企業は、まだ公表されていない、または公表する準備ができていない財務諸表(期中または年次)について年次期間の期首時点にのみ本ASUを早期適用できる。

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