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消費税 - 軽減税率・インボイス制度の導入

消費税 - 軽減税率・インボイス制度の導入

2016年11月18日、臨時国会において、消費税率引上げ時期を延期するための税制改正法案が可決・成立し、消費税率の8%から10%への引上げ時期が2019年10月1日まで2年半延期されることになりました。また、この消費税率引上げの際には、飲食料品の譲渡等について軽減税率を適用する複数税率制度が導入されることになりました。

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さらに、複数税率制度のもとで仕入税額控除を適正に行うため、インボイス制度も導入されますが、一定の準備期間が必要であることを踏まえ、こちらは軽減税率の導入から4年後の2023年10月1日に適用が開始される予定です。

このニューズレターでは、軽減税率、インボイス制度及び軽減税率導入後インボイス制度が導入されるまでの4年間の期間(経過的軽減税率期間)における留意点等の概要をご紹介いたします。

 

英語コンテンツ
Consumption Tax - Introduction of Reduced Tax Rate & Invoicing System

I. 制度見直しのタイムスケジュール

消費税率の引上げ、軽減税率・インボイス制度の導入のタイミング及び仕入税額控除の方法を図で示すと、以下のようになります。

II. 軽減税率の導入

1. 消費税率の引上げと軽減税率の導入

2019年9月30日まで 2019年10月1日以後
8%
国:6.3%
地方:1.7%
  • 飲食料品の譲渡
  • 一定の新聞の定期購読契約に基づく譲渡
8%
国:6.24%
地方:1.76%
上記以外 10%
国:7.8%
地方:2.2%

 

消費税率は、当初、2014年4月1日に5%から8%へ引き上げられ、2015年10月1日に8%から10%へ引き上げられる予定でした。しかし、5%から8%への引上げは予定どおり行われたものの、8%から10%への引上げ時期は、いったん1年半延期されたのち、今年11月の臨時国会で成立した改正法案(正式名称:「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案」及び「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案」)により2年半の再延期が行われたため、当初の予定と比べて4年間延期されることになりました。

なお、消費税率引上げに伴う経過措置(一定の要件のもと、2019年10月以降も8%の税率が適用される措置)が適用される取引のうち、予約販売(書籍等)、特定新聞の譲渡又は通信販売が、軽減税率の対象取引である場合には、軽減税率対象としての8%(国:6.24%、地方:1.76%)が適用されることとされています。

2. 軽減税率の対象取引

課税資産の譲渡等のうち、以下のもの(軽減対象課税資産の譲渡等)については、軽減税率が適用されます。


(1)飲食料品の譲渡

飲食料品 食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く。)

食品と食品以外の資産との一体資産(あらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであって、その一の資産に係る価格のみが提示されているもの)のうち、以下のいずれにも該当するものを含む。

  • 税抜対価が1万円以下
  • 食品に係る部分の価格の占める割合が2/3以上
飲食料品の
譲渡

× 外食・・・飲食店営業、喫茶店営業その他の飲食料品をその場で飲食させる事業を営む者が行う食事の提供(テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供)

○ テイクアウト・・・飲食料品を持帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う譲渡

× ケータリング・出張料理・・・課税資産の譲渡等の相手方が指定した場所において行う加熱、調理又は給仕等の役務を伴う飲食料品の提供

○ 有料老人ホーム、幼稚園、小中学校等における一定の飲食料品の提供

(2)一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する新聞(週2回以上発行されるものに限る)の定期購読契約に基づく譲渡


なお、保税地域から引き取られる課税貨物のうち飲食料品についても、軽減税率が適用されます。

III. 経過的軽減税率期間の取扱い

経過的軽減税率期間(軽減税率の導入後インボイス制度が導入されるまでの4年間、2019年10月1日~2023年9月30日)においては、以下の経過措置が設けられています。

1. 仕入税額控除の適用要件

現行制度の「請求書等保存方式」においては、一定の事項が掲載された「帳簿」及び「請求書等」の保存が、仕入税額控除の適用要件とされています。経過的軽減税率期間においては、現行制度を基本的に踏襲し、「帳簿」及び「請求書等」に記載すべき事項に下記の下線部分が加えられた「区分記載請求書等保存方式」が適用されることになります。


「帳簿」の記載事項
(a)課税仕入れの相手方の氏名又は名称
(b)課税仕入れを行った年月日
(c)課税仕入れに係る資産又は役務の内容
(軽減対象資産に係るものについては、その旨)
(d)課税仕入れに係る支払対価の額


「請求書等」の記載事項
(a)書類の作成者の氏名又は名称
(b)課税資産の譲渡等を行った年月日
(c)課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
(軽減対象資産に係るものについては、その旨)
(d)税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等に係る税込対価の額
(e)書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

 

  • 3万円未満の取引、自動販売機からの購入、入場券、乗車券等については、「請求書等」の保存は不要とされています。(現行制度と同様。)
  • 不特定かつ多数の者に対して課税資産の譲渡等を行う一定の事業(小売業、飲食店業、タクシー業又は駐車場業等)を行う事業者が交付する「請求書等」については、記載事項(e)の記載は不要とされています。(現行制度と同様。)
  • 「請求書等」の記載事項(c)及び(d)の下線部分については、課税仕入れを行った事業者が、事実に基づき、請求書等に追記することも認められます。
  • 「請求書等」には、売手が交付する書類(請求書、納品書又は領収書等)のほか、課税仕入れを行った事業者が作成する書類(仕入明細書、仕入計算書等)で、課税仕入れの相手方の確認を受けたものが含まれます。(現行制度と同様。)
    (上記の「請求書等」の記載事項は、売手が交付する「請求書等」の記載事項です。)

2. 中小事業者の特例

経過的軽減税率期間において、売上税額・仕入税額を税率の異なるごとに区分することが困難である中小事業者に配慮し、簡便な計算方法を認める特例が用意されています。

売上税額の計算の特例は、以下の2つが用意されており、いずれか一方を適用することができます。

 

特例1

適用対象者 適用対象期間 特例の内容
適用対象期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の税込価額を税率の異なるごとに区分して合計することにつき困難な事情がある課税事業者

以下の全てにあてはまる期間

  • 基準期間(原則として、前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下である課税期間
  • 2019年10月1日から2023年9月30日までの期間

(2)/(1)の割合を用いて計算する方法

(1)通常の事業を行う連続する10営業日における課税資産の譲渡等の税込価額の合計額

(2)(1)のうち、軽減対象資産の譲渡等に係る部分の金額

特例2

適用対象者 適用対象期間 特例の内容
適用対象期間中に国内において行った卸売業及び小売業に係る課税資産の譲渡等の税込価額を税率の異なるごとに区分して合計することにつき困難な事情がある課税事業者

以下の全てにあてはまる期間

  • 基準期間における課税売上高が5,000万円以下である課税期間
  • 簡易課税制度の適用を受けない課税期間
  • 2019年10月1日から2023年9月30日までの期間

(2)/(1)の割合を用いて計算する方法

(1)課税仕入れに係る税込支払対価の額のうち、卸売業・小売業にのみ要するものの金額の合計額

(2)(1)のうち、軽減対象資産の譲渡等にのみ要するものの金額

主として軽減対象資産の譲渡等を行う課税事業者が、「(2)/(1)の割合」の計算につき困難な事情があるときは、「50/100」を適用することができます。


仕入税額の計算の特例は以下の2つがあり、いずれか一方を適用することができますが、売上税額の計算の特例2を適用する場合には、仕入税額の計算の特例はいずれも適用することができません。


特例1

適用対象者 適用対象期間 特例の内容
適用対象期間中に国内において行った卸売業及び小売業に係る課税仕入れに係る税込支払対価の額等を税率の異なるごとに区分して合計することにつき困難な事情がある課税事業者

以下の全てにあてはまる期間

  • 基準期間における課税売上高が5,000万円以下である課税期間
  • 簡易課税制度の適用を受けない課税期間
  • 2019年10月1日から2020年9月30日の属する課税期間の末日までの期間

(2)/(1)の割合を用いて計算する方法

(1)卸売業・小売業に係る課税資産の譲渡等の税込価額の合計額

(2)卸売業・小売業に係る軽減対象資産の譲渡等の税込価額の合計額

特例2

適用対象者 適用対象期間 特例の内容
適用対象期間中に国内において行った課税仕入れに係る税込支払対価の額等を税率の異なるごとに区分して合計することにつき困難な事情がある課税事業者

以下の全てにあてはまる期間

  • 基準期間における課税売上高が5,000万円以下である課税期間
  • 簡易課税制度の適用を受けない課税期間
  • 2019年10月1日から2020年9月30日までの日の属する課税期間
その課税期間の末日までに、簡易課税制度適用を受ける旨の届出書を提出した場合には、その提出日の属する課税期間から、簡易課税制度の適用が認められる。

 

なお、システム整備が間に合わない場合を想定して、大規模事業者についても同様の特例が当初用意されていましたが、軽減税率制度の導入時期が2年半延期されたことを受けて、大規模事業者に対する特例は措置されないこととなりました。

IV. インボイス制度

インボイス制度とは、欧州諸国で広く採用されている制度で、複数税率制度のもとで仕入税額控除を適正に行うことを目的として、日本においても、2023年10月1日から導入されることになりました。適格請求書発行事業者として登録された売手から交付される「適格請求書」等の保存が、仕入税額控除の適用要件の1つとなります。

1. 適格請求書発行事業者

適格請求書発行事業者登録制度
「適格請求書」又は「適格簡易請求書」を発行する事業者をあらかじめ登録する登録制度が設けられます。制度の概要は以下のとおりです。

登録申請 課税事業者は、申請書により、適格請求書発行事業者として登録される。
(2023年10月1日に登録を受けたい場合には、6ヵ月前までに申請が必要。)
任意組合等については、その組合員の全てが適格請求書発行事業者である場合には、業務執行組合員による「適格請求書」の交付が認められる。(届出書の提出が必要。)
適格請求書発行事業者登録簿 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号等は、インターネットを通じて登録後速やかに公表される。
免税事業者になることの可否 適格請求書発行事業者は、登録の取消しを求める届出書の提出が行われない限り、免税事業者になることはできない。
登録国外事業者の取扱い 2023年9月1日において登録国外事業者である者については、2023年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなされる。

 

適格請求書発行事業者の義務
適格請求書発行事業者には、以下のように、「適格請求書」又は「適格簡易請求書」の交付・保存義務が課されます。

適格請求書等の交付義務 <原則>
適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合において、他の課税事業者から求められたときは、「適格請求書」を交付しなければならない。
(あらかじめ相手先から承諾を得た場合は、「適格請求書」を交付することに代えて、「適格請求書」の記載事項に係る電磁的記録を提供することができる。)
<特例>
適格請求書発行事業者が不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業(小売業、飲食店業、タクシー業又は駐車場業等)を行う場合には、「適格請求書」に代えて、「適格簡易請求書」を交付することができる。
適格請求書の
交付義務の免除

課税資産の譲渡等のうち、以下のものを含む一定のものについては、「適格請求書」及び「適格簡易請求書」の交付義務が免除される。

  • 公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送として行われるもの(3万円未満のもの)
  • 自動販売機により行われるもの(3万円未満のもの)
  • その他請求書等を交付することが困難な課税資産の譲渡等のうち一定のもの
適格請求書等の保存義務 適格請求書発行事業者は、交付した「適格請求書」又は「適格簡易請求書」の写しを保存しなければならない。

 

適格請求書類似書類等の交付の禁止&罰則
以下の書類の交付は禁止されており、交付した場合には罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)に処されることになります。

適格請求書発行事業者以外の者 適格請求書発行事業者が作成した「適格請求書」又は「適格簡易請求書」であると誤認されるおそれのある表示をした書類
適格請求書発行事業者 偽りを記載した「適格請求書」又は「適格簡易請求書」

2. 適格請求書等

「適格請求書」及び「適格簡易請求書」には、以下の事項を記載することが必要です。
現行制度における「請求書等」の記載事項に、下線部分が追加されることになります。

「適格請求書」の記載事項 「適格簡易請求書」の記載事項

(a)適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

(b)課税資産の譲渡等を行った年月日

(c)課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
(軽減対象資産に係るものについては、その旨)

(d)課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額及び適用税率

(e)消費税額等

(f)書類の交付を受ける事業者(買手)の氏名又は名称

(a)適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

(b)課税資産の譲渡等を行った年月日

(c)課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
(軽減対象資産に係るものについては、その旨)

(d)課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額

(e)消費税額等又は適用税率

3. 仕入税額控除の適用要件

インボイス制度のもとでは、仕入税額控除の適用要件を一定の事項が記載された「帳簿」及び「請求書等」(「適格請求書」等)の保存とする「適格請求書等保存方式」が適用されることになります。

「帳簿」の記載事項は、現行制度における記載事項に下線部分を追加したものであり、経過的軽減税率期間と同様です。


「帳簿」の記載事項
(a)課税仕入れの相手方(売手)の氏名又は名称
(b)課税仕入れを行った年月日
(c)課税仕入れに係る資産又は役務の内容
(軽減対象資産に係るものについては、その旨)
(d)課税仕入れに係る支払対価の額


また、保存すべき「請求書等」は以下のとおりです。

「請求書等」の範囲(主なもの)

  • 「適格請求書」又は「適格簡易請求書」
  • 「適格請求書」の記載事項に係る電磁的記録
  • 課税仕入れを行った事業者が作成する書類(仕入明細書、仕入計算書等)で、「適格請求書」の記載事項が記載されており、適格請求書発行事業者の確認を受けたもの

 

なお、課税仕入れのうち、以下を含む一定のものについては、「請求書等」の保存を要せず、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められることになります。

  • 公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送として行われるもの(3万円未満のもの)
  • 「適格簡易請求書」の要件を満たす入場券等が使用の際に回収されるもの
  • 自動販売機からのもの(3万円未満のもの)
  • その他「適格請求書」等の交付を受けることが困難な一定のもの

(現行制度では、支払対価の額の合計額が3万円未満である場合には帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められていますが、この措置は廃止される予定です。)

4. 適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れ

3.で述べたように、インボイス制度のもとでは、原則として、登録された適格請求書発行事業者が発行した「適格請求書」又は「適格簡易請求書」の保存が仕入税額控除の要件となりますが、当初の6年間においては、以下のように、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについても、一定の要件のもと、一部仕入税額控除が認められます。

適用期間 仕入税額控除の対象とされる金額
2023年10月1日~2026年9月30日 支払対価に係る消費税相当額 x 80%
2026年10月1日~2029年9月30日 支払対価に係る消費税相当額 x 50%

V. 総額表示主義

消費税法上、不特定多数の者に対しあらかじめ価格表示を行う場合(一般的には、消費者に対する値札や広告などにおいて価格表示を行う場合)には、課税事業者は総額表示義務(税込価格を表示する義務)が課されています。

しかし、二度にわたる消費税率の引上げによる値札の貼替え等の事務負担等に配慮する観点から、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(転嫁防止法)により、表示価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じることを要件に、2013年10月1日から2018年9月30日までの間、「総額表示義務の特例」として、税込価格を表示しなくてもよいこととされていました。今年11月の臨時国会で成立した改正法案により、転嫁防止法も改正され、消費税率の引上げの延期と同様に、「総額表示義務の特例」の適用期間も2年半延長され、2021年3月31日までとされました。


参考情報
国税庁は「消費税の軽減税率制度について」というページを作成し、リーフレット、Q&A、関連法令・通達等を掲載しています。

このページは、2016年3月に成立した2016年度税制改正法に基づき作成されたものですので、11月の臨時国会で成立した消費税率引上げの延期等を定めた改正法を受けて、今後改訂されていくものと思われます。

なお、2023年10月に導入されるインボイス制度に関連する規定の詳細を定めた政省令は未公布であるため、このニューズレターには、「平成28年度税制改正大綱」及び「平成28年度税制改正の解説」(財務省)で示された改正内容が含まれています。

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