A New Brexit Dawn for the UK Economy | KPMG | JP

A New Brexit Dawn for the UK Economy

A New Brexit Dawn for the UK Economy

英国のEU離脱という国民投票の結果を受け、政府、企業、一般家庭が混乱する中、今後どのようなシナリオや将来に向けたプラニング、新たな機会が考えられるでしょうか。

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本資料では、国内市場の見通し、インフレーションや為替レートの見通しの例示のほか、ストレスシナリオの分析を盛り込んで概説しています。なお、本資料はKPMG英国の現地専門家が作成した英語資料をベースに、専門家が日本語訳をしています。

Brexit後の将来に向けたプランニング

英国のEU離脱という投票結果による当初のショックからビジネスと家計が立ち直り、その関心はその投票結果が英国経済や自分たちの将来に及ぼす影響へと向けられています。夏休みを終え、ビジネスにとっては新たな現実に照らして戦略を見直す良い機会です。
長期的な見通しについては今の段階ではほとんど何もわからない状態です。英国経済がどの程度の影響を受けるかは、英国がEU加盟国や非加盟国と有利な貿易協定を結ぶことができるかどうかにかかっています。その結果が出るのはもう少し先のことになります。しかし、短期的な景況は劇的に変化しており、ビジネスは目前の計画を全面的に見直す必要があります。

メインシナリオ

2016年第2四半期の英国経済は順調で、6月のリテール売上も好調な動きを見せましたが、これが将来の経済情勢の指標になるとは限りません。企業はEUと英国の交渉の行方をじっと見守る姿勢をとっています。2017年3月とも言われていますが英国政府が50条を発動するタイミングが不確実性に影響を及ぼし、より大きくネガティブな影響として、交渉がより混乱し非好意的なものとなる可能性があります。
新首相はすでに、新たな課題が浮上したことを受けて、先の財政目標の達成を断念すると公表しています。これは今後の財政支出の増加を示唆しており、具体的な計画は年末にかけて具現化され、その支出案は2017年から実施となる予定です。
KPMGのメインシナリオでは、英国のEU離脱を取巻く不確実性や、英国に拠点を置く企業向けのより小規模な国内市場の見通しが投資に最も影響を及ぼすことになると考えられます(下図1)。英国のEUとのつながりを前提とした海外直接投資がもっとも影響を受けやすく、他のビジネスは状況がもう少しはっきりするまで成り行きを見守る姿勢をとるようです。

図1:メインシナリオのもとでの短期的鈍化

出典:ONS, KPMG.

わずかな昇給と高いインフレによる家計の購買力の低下により個人消費も低迷する可能性があり(上図1)、脆弱な住宅市場や不安的な年金原資が家計の財産に圧力をかけています。
輸出はポンド安の恩恵を受けて成長することが予想される一方で、輸入もほぼ横ばいになると見られます。全体的には英国のGDPの2016年の成長率は1.5%に留まり(昨年は2.2%)、2017年にはさらに0.5%へと低下する見通しです。
短期的にはポンドは弱く不安定な状態が続くことが想定され、また今後の貿易交渉における紆余曲折の影響や新たな経済・ビジネス関連のデータが公表された場合、国民投票後に見られた急落時よりもさらに下落する可能性もあります(下図2)。
ポンド安により今後数ヵ月にわたり大幅なインフレ率の上昇をもたらされます。インフレ率がどの程度まで上昇するかは、主に企業が輸入コストの増加をどの程度消費者に負担させるかによって決まります。
利益率の圧迫(企業がコストを吸収しようとするため)と製品やサービスの価格上昇の微妙なバランスが生じることになります。経済が弱く需要がより柔軟になれば、より多くの企業がコストの転嫁に慎重になります。そのため、状況は業種によって変わってきます。

図2:インフレと為替レートの見通し

出典:Haver, KPMG.

経済弱体化という予想への対応として、8月4日、イングランド銀行(英国中央銀行)は借入コストの引き下げにより貸付を促進することを目的とした利下げやさらなる量的緩和を含む一連の政策を発表しました。今年の後半にはさらなる政策が発表される可能性があります。しかしイングランド銀行は経済保護に向けた政策の強度を少し緩めにしており、金利は下限よりわずかに高い水準に設定し、低金利により年金、銀行、保険会社に圧力をかけています。

計画にストレスをかける

現在の見通しに伴う不確実性は、これまでに前例のないものです。これからのことについては新政権がどのような路線で進むか、そして今後EU離脱協定についての新たな情報に対して企業や家計がどのような行動を採るかにより大きく左右されます。
Brexitは、英国政府に対して、移民問題に対処し、100,000人という目標を達成することについてさらなるプレッシャーを与えています。移民が労働市場に占める割合が総国民数に占める割合よりも大きいため、純移民数の減少が労働力に与える影響は、全国民数に対する影響よりも大きくなります。国民投票の際に言及された移民問題に関する懸念事項に対して、政府がどの程度、そしてどのくらい早急に着手するかはまだ不明です。KPMGのストレスシナリオにはこれらの可能性に加え、為替レートやリスクプレミアムの今後の変化に関する仮定も組み込まれています。
第1のストレスシナリオでは、個人消費が減少し、投資がさらに大きく減少しています。財政支出はやや持ち直し、輸出は依然として好調ですが、その両者を合わせても需要の減少を相殺するには不十分で、英国経済の成長率は2016年が1.2%で、2017年にはさらに0.7%減少します。このストレスシナリオは1990年代初頭の英国経済の実績に多少類似しています。
第2のストレスシナリオでは、投資がさらに抑制され、消費者がより大幅に節約しています。輸出はポンド安にもかかわらず伸び悩みを見せますが、同時に輸入も国内需要の低迷により減少します。深刻な不景気が財政収入をさらに逼迫し、経済を押し上げるための追加支出を行う余裕がほとんどない状態となっています。景気悪化により、2016年の経済成長率はわずか0.8%で、2017年にはさらに4.8%減少します
このストレスシナリオは経済がさらに後退した場合を想定しており、全体的な経済の実績は2008年から2009年にかけての大不況時のものと類似しています(下図3)。
 

図3:英国GDPの代替的短期シナリオ

出典:ONS, KPMGシナリオ.

今後のチャンス

短期的な課題について計画を立てる場合、新たにもたらされるチャンスを考慮しなければなりません。ポンド安はすでに英国観光産業に恩恵をもたらしており、ホテルやレストラン、小売店などのさまざまなビジネスがその恩恵を受けています。ポンド安は輸出業者の拡大や新たな市場の開拓を後押しし、また輸入品が高価になるため、英国企業の中には国内市場での競争が楽になるケースも見られるでしょう。
低金利が長引くことで、借り換えや長期投資のチャンスが訪れる可能性もあり、その一方で高いインフレ率により負債の実質的負担が減少します。
新しい経済的実態のほかに、新政府には取組むべき新たな優先事項もあり、そこからさまざまな産業にチャンスがもたらされる可能性があります。政府は英国の各地域間の収入格差の縮小を目指しており、中規模都市を支援するための追加的な財政支出が行われるかもしれません(中心部の刺激、地方取引の増強、建築の促進など)。
その他にもチャンスは必ず訪れますが、企業は資金の準備や戦略の見直しなどを行い、そうしたチャンスをつかむための準備をしておくことが重要です。
上記の数値は例示目的の見積りです。不確実性についてはネガティブな要素を強調した潜在的なリスクとして扱っています。ただし、労働力の供給量の減少幅が小さい、または経済の回復力が強いといったその他のシナリオでは、Brexitが英国経済に及ぼす影響は小さくなる可能性があります。そのため、企業はプランニングを行う際にはさまざまな要素を幅広く検討したシナリオを取り入れ、新しいデータが入手された場合には定期的に経済シナリオをアップデートする必要があります。

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