M&A無形資産と移転価格税制

本稿では、特に税務上問題となりやすいM&Aにおける無形資産の管理について、移転価格税制の観点から説明します。

本稿では、特に税務上問題となりやすいM&Aにおける無形資産の管理について、移転価格税制の観点から説明します。

特に、会計や税務面の整理は、M&A後の体制如何にかかわらず、オペレーションを行ううえで避けては通れません。なかでも日本を含む世界の多くの国々で導入されている移転価格税制においては、買収後のオペレーション上において、関連者間の取引価格を適切に管理することが求められるため、取引フローや費用の負担関係、各国に所在する子会社の機能やリスクの負担関係を整理する必要があります。

本稿では、特に税務上問題となりやすいM&Aにおける無形資産の管理につきまして、国際税務の最重要項目の1つである移転価格税制の観点から説明します。

ポイント

  • 近年の税源浸食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting、以下「BEPS」という)に関する議論を踏まえ、無形資産取引の妥当性に関する説明について、従前以上によく準備しておくことが求められる。
  • 特に、海外M&Aを実施する場合、M&A後の無形資産の位置づけについて整理しておくことが重要である。無形資産管理方法についてもいくつかのパターンがあり、会社の事業管理に合った方法を検討することが望ましい。
  • M&Aを実施する際に税務戦略を長期的な視点で事前に検討していると、M&A後には迅速に事業の方向性に見合った企業形態、取引形態に移行し易くなるため、ビジネスとの親和性を考慮した税務戦略を実現するためにも事前の検討が重要である。

内容

  1. 税務上の無形資産の取り扱い
    1. 税務上の無形資産とは
    2. 無形資産の課題
    3. 無形資産取引に伴う経済実態
  2. 無形資産の所在と管理
    1. 海外M&Aに伴う無形資産の所在
    2. 無形資産管理
    3. コストシェアリング
    4. 日系企業の対応
  3. おわりに

執筆者

KPMG税理士法人
国際事業アドバイザリー
パートナー 田中 淳
マネジャー 森 雅史

KPMG LLP
Economic and Valuation Services
マネージング・ディレクター 仲 知威
シニアマネジャー 岩城 成紀

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