オーストラリア2016/17年度連邦予算案の解説

オーストラリア2016/17年度連邦予算案の解説

ターンブル政権下での初めての連邦予算案の発表は、2016年5月3日に行われました。連邦政府は、オーストラリア経済の多様化を達成し、長期的な経済成長を支援する施策を目指しています。予算案における2016/17年度(来年度)の経済見通しは、GDP成長率3%、インフレ率2.4%、失業率5.8%です。

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資源業界が投資段階から生産段階へ移行しているため、失業率は、今後2-3年の間5.7%―5.8%ぐらいで推移することが予想されています。
現保守連合政権下で2015年5月に発表された連邦予算案では、2015/16年度(本年度)の財政赤字予想は351億ドルでした。今回発表された本年度の財政赤字予想額は、399億ドル(GDPの約2.4%)で増加しています。また来年度の赤字予想額も、昨年度の予想額から約113億ドル増加して、約371億ドルとなりました。財政が黒字化するのは昨年の予算案では、2019/20年度とされていましたが、今回の予算案では2020/21年度とされました。それでも公的債務残高の対GDP比率は19-20%前後で、オーストラリアは国際的に財政の健全性が高いと言えます(本稿のドル表示はすべて豪ドル)。
本稿では、オーストラリア2016/17年度連邦予算案を解説します。

ポイント

  • オーストラリアの税収は個人所得税および現物給与税の占める割合が多く、来年度も、賃金上昇率の鈍化が予想されていることから、1年前の個人所得税収予想額よりも約60億豪ドルの減収予想となっている。
  • 連邦政府の財政赤字は構造的であるため、長期的な経済成長の観点からも、今後、包括的な税制改革が必要と指摘されている。
  • 連邦政府は、今後11年間にわたり、会社の年間総収入額に応じて法人税率を段階的に25%まで引き下げることを提案しているが、上院で削減・縮小される可能性が高い。
  • 連邦政府はOECDにおけるBEPSの議論の影響を受け、税制整合性の確保のため、迂回利益税を導入する予定である。
  • その他ハイブリッド・ミスマッチ取決めの無効化規定の導入、新しいOECD移転価格ガイドラインの豪州国内法への導入、税務情報の開示および透明性の確保に関する規定の強化など、日系企業が留意すべき諸々の改正が予定されている。

内容

  1. 主要税収の推移
  2. 個人税制
  3. ビジネス税制(一般)
    1. 法人税率の引き下げ
    2. 連結納税 - 損金算入可能負債
    3. 金融商品関連税制(TOFAルール)の簡素化
  4. ビジネス税制(税制整合性パッケージ)
    1. 迂回利益税(DPT)
    2. 密告制度の導入
    3. 租税回避タスク・フォースの設置
    4. ハイブリッド・ミスマッチ取決めの無効化規定
    5. ペナルティーの厳格化
    6. 移転価格税制に関するOECDガイドライン
    7. 税務情報の開示および透明性の確保
    8. 外国投資審査委員会(FIRB)の税務要件

執筆者

KPMGオーストラリア
パートナー 大庭 正之
KPMG 税理士法人
シニアマネジャー 吉岡 伸朗

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