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ASBJの中期運営方針

ASBJの中期運営方針

2016年8月12日、企業会計基準委員会(ASBJ)は中期運営方針を公表しました。中期運営方針は、ASBJの今後3年間の日本基準の開発の基本的な方針及び国際的な会計基準の開発に関連する活動を行うにあたっての基本的な方針を示すものです。

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日本基準の開発については、日本基準を国際的に整合性のあるものとするための取組みと、その他の日本基準の開発に関する事項について、ASBJの基本的な方針が示されています。

また、国際的な会計基準の開発に関連する活動については、国際的な意見発信の強化、修正国際基準の開発、国際会計基準に関する解釈の取組み、国際的な会計人材の育成について、ASBJの基本的な方針が示されています。

ポイント

  • 中期運営方針は、ASBJの今後3年間の日本基準の開発の基本的な方針及び国際的な会計基準の開発に関連する活動を行うにあたっての基本的な方針を示すものである。
  • ASBJは、日本基準を国際的に整合性のあるものとする取組みは、国際的な会計基準を自動的に日本基準に採り入れることを意味せず、国際的な会計基準における個々の会計処理について日本基準に採り入れる範囲を適切に決める必要があるとしている。
  • ASBJは、日本基準を高品質で国際的に整合性のあるものとする等の観点から、収益認識に関する包括的な会計基準の開発を行っており、これを最も優先的に検討を進めていくとしている。
  • ASBJは、国際的な会計基準の開発に関連する活動として、わが国の考えを国際的な会計基準に反映することが可能となるよう、国際的な会計基準の策定の場におけるわが国のプレゼンスの向上及び影響力の強化を図る必要があるとしている。

I. はじめに

2016年8月12日、企業会計基準委員会(ASBJ)は中期運営方針を公表しました。中期運営方針は、ASBJの今後3年間の日本基準の開発の基本的な方針及び国際的な会計基準の開発に関連する活動を行うにあたっての基本的な方針を示すものです。

本稿では、この中期運営方針の概要について解説いたします。本文中、意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りします。

II. 日本基準の開発

1. 開発に関する方針

ASBJは、会計基準は金融資本市場の重要なインフラであり、投資家の意思決定に資する有用な財務情報を提供するためには、わが国の市場で用いられる会計基準が高品質であることが必要であり、また、日本基準と国際的な会計基準との間の整合性を図ることにより、財務情報の比較可能性を高めることも必要であるとしています。

さらに、国際的な会計基準に対する意見発信を行う上では論理的に一貫した主張を行う必要があり、わが国における会計基準に係る基本的な考え方は意見発信の基礎となることからも、日本基準の品質の維持・向上を図る必要があるとしています。

ここでいう、わが国における会計基準に係る基本的な考え方には、企業の総合的な業績指標としての当期純利益の有用性を保つこと、事業活動の性質に応じて適切に資産及び負債の測定を行うこと(適切な公正価値測定の適用範囲)などがあるとしています。

2. 日本基準を国際的に整合性のあるものとするための取組み

(1)これまでの取組み
ASBJでは、2005年に国際会計基準審議会(IASB)との間でコンバージェンス・プロジェクトが開始され、2007年にコンバージェンスを加速することの合意(いわゆる「東京合意」)がなされました。東京合意に基づき、まず2008年12月末を目標期日として検討がなされ、工事契約、企業結合(持分プーリング法の廃止等)、資産除去債務、棚卸資産の評価、金融商品の時価開示、賃貸等不動産の時価開示等の会計基準の設定・改正がなされました。これらの取組みの成果の1つとして、2008年に、欧州委員会は、日本基準が米国会計基準とともに、欧州で採用されている国際会計基準と同等である旨を公表しています。

その後、2011年6月末を目標期日とした検討がなされ、過年度遡及修正及び包括利益の表示等の会計基準の設定がなされたものの、のれんの非償却及び開発費の資産計上等については、基準の改訂はなされていません。


(2)今後の取組みに関する方針
ASBJは、日本基準を国際的に整合性のあるものとする取組みは、国際的な会計基準を自動的に日本基準に採り入れることを意味せず、国際的な会計基準における個々の会計処理について日本基準に採り入れる範囲を、適切に決める必要があるとしています。

その際、国際的に整合性のあるものとすることにより、高品質な会計基準となるかどうかを判断する必要があるとしています。また、国際的な会計基準における考え方がわが国における会計基準に係る基本的な考え方と大きく異ならないことも重要であるとしています。


(3)具体的な課題
1)現在取り組んでいるテーマ

ASBJでは現在、日本基準の体系の整備を図り、日本基準を高品質で国際的に整合性のあるものとする等の観点から、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を踏まえた収益認識に関する包括的な会計基準の開発を行っています。

ASBJは、2016年2月に「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」を公表しており、この意見募集に対して寄せられた意見や適用上の課題を踏まえ、基準開発を行う予定ですが、収益認識に関する包括的な会計基準については、2018年1月1日以後開始する事業年度に適用が可能となることを当面の目標として、最も優先的に検討を進めていくとしています。


2)今後の検討課題
(i)東京合意に基づく検討において対象とした会計基準
これまで東京合意に基づきASBJが検討を行ってきたものの、国際会計基準のうち、日本基準に取り入れていない主なものは次のとおりです。

  • 有形固定資産、無形資産の再評価モデル(IAS第16号「有形固定資産」、IAS第38号「無形資産」)
  • 投資不動産の公正価値モデル(IAS第40号「投資不動産」)
  • のれんの非償却(IFRS第3号「企業結合」)
  • 開発費の資産計上(IAS第38号「無形資産」)

これらの会計基準については、IFRSのエンドースメント手続を行った際に、国際会計基準における考え方がわが国における会計基準に係る基本的な考え方と大きく異なるものであるとしており、国際的な整合性を図る必要性は乏しいとしています。

なお、引当金についてASBJは2009年に、当時IASBにより行われていたIAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」の改訂作業への対応も含めた論点整理を公表していますが、その後、IASBにおける改訂作業は実質的に中止され、ASBJでも検討を行っていません。このような中、今般、中期運営方針を策定する過程で、引当金について包括的な会計基準を開発すべきではないかとの意見が、市場関係者の一部で聞かれているとしています。引当金に関するIFRSの取扱いは、現在、IASBにおいて行われている概念フレームワークの見直し及びIAS第37号のリサーチ・プロジェクトに関係するため、IASBによるこれらの審議の完了後、わが国における会計基準の開発に向けた検討に着手するかどうかの検討を行うことが考えられるとしています。


(ii)東京合意に基づく検討において対象とした会計基準より後にIASBにより公表された会計基準
中期運営方針では、東京合意に基づく検討において対象とされた会計基準より後にIASBにより公表された会計基準のうち、企業の財務情報に大きな影響を与えるものの今後の対応について、次のように記載しています。

 

a. IFRS第9号「金融商品」(分類及び測定、減損、一般ヘッジ)
金融商品に関する会計基準については、これまで、日本基準、国際会計基準及び米国会計基準が類似の内容の会計基準を定めていましたが、IFRS第9号では日本基準と一部異なる考え方が導入されています。

ASBJは、金融商品に関する会計基準は、特に金融機関に大きな影響を与えるものであるものの、すべての企業に適用される基幹となる会計基準であり、国際的な整合性を図る必要性が比較的高い項目と考えられるとしています。

一方、IFRS第9号の内容のうち、特に金融資産の減損会計については、わが国で採り入れる場合、相対的アプローチの適用について実務上の懸念があり、また、中小の金融機関に配慮することも必要であるとの意見が聞かれているとしています。また、金融商品会計に関連する実務指針は、業種別の取扱いも含めると多数定められており、これらに対する影響も検討する必要があるとしています。

IFRS第9号は、金融資産及び金融負債の分類及び測定、金融資産の減損会計、並びに一般ヘッジ会計の3つの領域に分けて開発されています。ASBJは、金融資産の減損会計に関する懸念を踏まえ、他の領域からわが国における会計基準の改訂に向けた検討に着手する方法も考えられるものの、3つの領域は相互に関連している点も勘案する必要があるとしています。

以上を踏まえ、ASBJはこの項目の今後の対応について、次のように考えています。


当面、IFRS第9号の適用に関する実務上の懸念の把握や着手するとした場合に3つの領域を同時に扱うべきか等の検討を金融商品専門委員会において行うこととし、その後、わが国における会計基準の改訂に向けた検討に着手するかどうかの検討を行う。


b. IFRS第10号「連結財務諸表」(連結範囲)(IFRS第11号「共同支配の取決め」及びIFRS第12号「他の企業への関与の開示」を含む。)
連結範囲に関する会計基準については、日本基準において実質支配力基準の考えが広く反映された基準が整備されていますが、IFRS第10号では同じ実質支配力基準の考えが採用されながら、日本基準と一部異なる考え方が導入されています。また、IFRS第11号では、共同支配についてわが国と異なる考えが導入されています。

ASBJは、連結範囲に関する会計基準は、企業集団の範囲を画定するという意味で基幹となる会計基準であり、国際的な比較可能性の観点や企業の投資行動に与える影響の観点から、国際的な整合性を図る必要性が比較的高い項目と考えられるとしています。

一方、日本基準と国際会計基準は、支配力基準に基づく点では同様であり、より一層の国際的な整合性を図る緊急性はさほど高くないとの意見も聞かれるとしています。また、IASBは、今後、IFRS第10号等の適用後レビューを予定しており、会計基準の内容が変わる可能性があります。

以上を踏まえ、ASBJはこの項目の今後の対応について、次のように考えています。

 

日本基準とIFRSの実務上の差異の程度を検討した上で、国際的な会計基準と整合性を図ることに対する必要性に関する検討を連結・特別目的会社専門委員会において行うこととし、その後、わが国における会計基準の改訂に向けた検討に着手するかどうかの検討を行う。


c. IFRS第13号「公正価値測定」

国際会計基準及び米国会計基準では、公正価値測定についてほぼ同じ内容のガイダンスを定めていますが、これらの会計基準は、どのような項目について公正価値により測定するのかを定めるものではなく、他の会計基準に従い公正価値により測定することが要求又は容認されている場合の測定の方法や開示を定めるものとなっています。日本基準は、公正価値に相当する時価(公正な評価額)についての詳細なガイダンスを定めていません。

ASBJでは、2010年にIFRS第13号との整合性を図ることを提案する公開草案を公表したものの、その公開草案が金融商品以外の資産及び負債を含む広範なものであったこともあり、最終化をするに至らず、その検討は中断されています。

ASBJは、日本基準において金融商品以外の資産及び負債について時価により測定することが要求される状況は、企業結合時等に限定されており、時価について詳細なガイダンスを求める意見は多くは聞かれておらず、国際的な整合性を図る必要性はさほど高くないと考えられるとしています。

一方、IFRS第13号が要求している、金融商品の公正価値に関するレベル別開示について、国際会計基準及び米国会計基準における開示との差異が生じており、特に金融商品を多数保有する金融機関において比較可能性が損なわれているとの意見が聞かれているとしています。

以上を踏まえ、ASBJはこの項目の今後の対応について、次のように考えています。

 

国際的な会計基準と整合性を図ることに対する必要性に関する検討を金融商品専門委員会において行うこととし、その後、基準開発に向けた検討に着手するかどうかの検討を行う。


d. IFRS第16号「リース」

リースに関する会計基準については、これまで、日本基準、国際会計基準及び米国会計基準が同様の内容の基準を定めていましたが、2016年1月に国際会計基準、2016年2月に米国会計基準におけるリースに関する会計基準の改正がなされました。

ASBJは、改正後の国際会計基準と米国会計基準は、借手の会計処理について、費用の計上パターンが異なるものの、すべてのリース取引を原則としてオンバランスする点では同様となっており、日本基準とは特に負債の認識において違いが生じることとなり、追加的にオンバランスが必要となるリース取引について金額的な重要性がある場合には、国際的な比較において議論となる可能性があるとしています。

一方で、国際会計基準と米国会計基準の新基準が適用される取引の範囲等について適用上の懸念が国際的に聞かれているとしています。

以上を踏まえ、ASBJはこの項目の今後の対応について、次のように考えています。


国際的な会計基準と整合性を図ることに対する必要性及び懸念に関する検討をリース会計専門委員会において行うこととし、その後、わが国における会計基準の改訂に向けた検討に着手するかどうかの検討を行う。

3. その他の日本基準の開発に関する事項

(1)これまでの取組み
ASBJは、日本基準の開発においては、国際的に整合性のあるものとする取組みのほか、市場関係者のニーズを反映して日本基準を高品質なものとする取組みも行われているとしています。

日本基準の開発を行う上では、テーマの選定が公正性、透明性の観点から重要と考えられるため、ASBJとしては、基本的に基準諮問会議からの新規テーマの提言を尊重することとしており、この点は今後も同様であるとしています。


(2)具体的な課題
1)現在取り組んでいるテーマ

ASBJは、現在、日本公認会計士協会(JICPA)から公表されている税効果会計及び当期税金に関する実務指針について、開示の充実等必要な見直しを行った上で、ASBJの適用指針等に移管する取組みを行っています。これらの実務指針のうち繰延税金資産の回収可能性については、2015年12月に企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」を公表し、現在、その他の実務指針についても、早期に移管を図るべく取り組んでいます。

なお、JICPAには、ASBJが設立される前にJICPAにより開発された実務指針のメンテナンスを依頼していますが、今後、関連する会計基準等の改正の都度等、適切な時期を捉え、ASBJに移管する予定であるとしています。


2)今後の検討課題
日本基準においては、固定資産の減価償却に関する会計基準が存在せず、法人税情報の損金算入について損金経理要件が定められていること等に関連して、いわゆる税法基準が広く用いられています。ASBJは、減価償却に関する会計基準の開発を行うことは、日本基準の体系の整備につながり、日本基準の高品質化につながる可能性があるものの、これまで、法人税法において損金経理要件が定められる中、会計基準の開発を行うことの困難さが指摘されている項目であることを踏まえ、今後、減価償却に関する会計基準の開発に着手することの合意形成に向けた取組みを行う予定であるとしています。


(3)適用後レビューの実施
公益財団法人財務会計基準機構(FASF)の理事会が定める適正手続規則では、ASBJは、重要と認められる新規の企業会計基準等の開発又は既存の企業会計基準等の改正を行ったときは、適用後レビューを実施しなければならないとされており、適用後レビューの計画又は実施の都度、理事会に設置される適正手続監督委員会に対して報告されることとされています。

この定めを踏まえ、ASBJは、適用後レビューの計画を策定するにあたり、今後、これまでASBJが公表した会計基準を対象として、適用後レビューの目的に関連する懸念点の有無に関して広く意見を募る予定であるとしています。その後、その結果を踏まえ適用後レビューを行う範囲を決定し、実施していくとしています。

III. 国際的な会計基準の開発に関連する活動

1. 国際的な意見発信の強化

(1)国際的な会計基準の策定の場におけるわが国のプレゼンスの向上及び影響力の強化
2016年6月30日現在、連結財務諸表に国際会計基準を適用している企業(適用決定及び適用予定を含む。)は141社となり、任意適用の拡大促進に向けた取組みがなされています。

このような状況の中、ASBJは、わが国の上場企業等で用いられる会計基準の質の向上を図るために、国際的な会計基準の質を高めることに貢献すべく意見発信することは重要であるとしています。また、一方的に意見発信を行うだけではなく、わが国の考えを国際的な会計基準に反映することが可能となるよう、国際的な会計基準の策定の場におけるわが国のプレゼンスの向上及び影響力の強化を図る必要があると考えられるとしています。


(2)意見発信の内容
これまでASBJでは、国際的な会計基準に対してわが国の考えを反映すべく、わが国における会計基準に係る基本的な考え方を踏まえ、当期純利益の重要性及びのれんの償却の必要性等に関する意見発信を行っているとしています。

また、わが国の考えを国際的な会計基準に反映するためには、わが国の関係者がワンボイスで発信していくことが効果的であると考えられ、意見発信する内容についても市場関係者の意見を集約することが望まれるとしています。ASBJでは、これまでもそのような取組みを行っており、今後も、同様の活動を行う予定であるとしています。


(3)意見発信の方法
現在、国際的な会計基準に対する意見発信は、主として、国際的な会計基準の公開草案等に対して提出するコメント・レターを通じて、また、12の主要な各国会計基準設定主体及び地域団体がメンバーとなって構成されている会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)会議を通じて行っています。ASAFは、2013年に設置されたIASBの諮問機関であり、年4回開催され、ASBJでは、これまで、概念フレームワークの見直しにおける純損益の定義、のれんの会計処理及び保険会計等の議題に対し、ASAF会議における審議資料を提出し、ASBJの考える方法の提案を、IASB及びASAFのメンバーに対して行っているとしています。

また、ASBJは、ASAFの設置後、国際的な意見発信をより効果的なものとするため、他のASAFのメンバーである会計基準設定主体等との連携の強化を図っているとしています。主要な会計基準設定主体等との関係を発展させ、お互いの意見の異同を確認した上で、共同で意見発信を行っていくことは、国際的な会計基準の設定の場におけるわが国のプレゼンスの向上及び影響力の強化につながると考えられるため、ASBJでは、今後も、さらに連携を強めていくとしています。


(4)リサーチ活動の強化
ASBJはこれまで、ASBJの考えを適切に国際的に発信するために文書を公表しています。それには次のようなものが含まれます。

  • ディスカッション・ペーパー「のれんはなお償却しなくてよいか 
    - のれんの会計処理及び開示」(2014年7月、EFRAG及びイタリアの会計基準設定主体と共同)
  • ショート・ペーパー・シリーズ第1号「OCIは不要か?」(2014年5月)
  • ショート・ペーパー・シリーズ第2号「概念フレームワークにおける認識規準」(2015年11月)

ASBJは、IASBが証拠に基づく会計基準の開発を志向していることを踏まえ、リサーチ活動の重要性は今後、増すものと考えられるとしています。ASBJでは、リサーチ活動を強化し、IASBで議論されている項目のみならず、プロアクティブなリサーチを行い、国際的な会計基準の開発に貢献していくとしています。

2. 修正国際基準の開発

(1)これまでの活動
ASBJは、企業会計審議会が公表した「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」(2013年)の記載に基づき、IASBにより公表された会計基準及び解釈指針に関するエンドースメント手続を実施し、2015年6月に「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」を公表しました。

2015年6月に公表した修正国際基準において、ASBJは「削除又は修正」は必要最小限とする、すなわち、可能な限り受け入れることとした上で、十分な検討を尽くし、わが国における会計基準に係る基本的な考え方及び実務上の困難さの観点からなお受け入れ難いとの結論に達したもののみを「削除又は修正」することとし、次の2点について「削除又は修正」を行っています。

  • のれんの非償却処理
  • その他の包括利益のノンリサイクリング処理

IFRSのエンドースメント手続を経た修正国際基準は、わが国が考える国際会計基準のあり方を実務的に適用可能な1つのセットの会計基準として示すものであり、わが国のポジションの明確化を図るものであるとしています。


(2)今後の活動
2015年6月に公表した修正国際基準は2012年12月31日までにIASBにより公表された会計基準及び解釈指針をエンドースメント手続の対象としましたが、ASBJは、修正国際会計基準を実務的に適用可能な状態に適切に維持するためには、適時に更新していく必要があるとしています。

2016年7月に公表した改正修正国際基準は、2013年中にIASBにより公表された会計基準及び解釈指針をエンドースメント手続の対象としており、今後、2014年以後にIASBにより公表された会計基準及び解釈指針に関するエンドースメント手続を実施する予定であるとしています。

3. 国際会計基準に関する解釈の取組み

わが国において国際会計基準の任意適用が拡大している中、IFRS解釈指針委員会により公表される解釈指針等の実務における重要性が高まってきており、ASBJは、2015年8月、IFRS適用課題対応専門委員会を設置しました。

IFRS適用課題対応専門委員会では、IFRS解釈指針委員会において議論されている内容についてわが国の市場関係者の意見を取りまとめ、意見発信を行っていますが、今後は、わが国における国際会計基準の適用上の課題についても検討を行い、次のような取組みを行う予定であるとしています。

  • IFRS適用上の課題に関する主な関係者による理解の共有を促し、適用上の課題の内容や影響度合い等を分析すること
  • IFRS解釈指針委員会に対し、IFRS適用上の課題について要望書の提出の要否を検討すること
  • IFRS解釈指針委員会が検討した結果、各国において個別対応がなされるべきとされた場合等において、わが国における個別対応を検討すること

4. 国際的な会計人材の育成

ASBJは、わが国では、任意適用の拡大促進に向けた取組みがなされるとともに、国際会計基準の適用が広がっているものの、国際的な会計基準の策定の場において意見発信できる人材及び国際的な会計基準の策定に直接関与できる人材は十分ではなく、国際的な会計人材の開発は喫緊の課題であると考えられるとしています。国際的な会計人材の開発の目的は、このような人材を育成し、人材のプールを形成することにあるとしています。

この目的を達成するため、ASBJ及びFASFは、市場関係者の協力を得て、「会計人材開発支援プログラム」の第1期と第2期をこれまでに遂行しており、今後、第3期を開講する予定であるとしています。

また、現在、IASBに対しASBJから2名の研究員を派遣しており、これらの派遣者は、将来的に、国際的な会計基準の開発やわが国からの意見発信等において中心的な役割を担うことが期待されているため、今後も引き続き派遣を行っていく予定であるとしています。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
パートナー 川西 安喜

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