マレーシア新会計基準対応のポイント - 機能通貨の導入について - | KPMG | JP
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マレーシア新会計基準対応のポイント - 機能通貨の導入について -

マレーシア新会計基準対応のポイント - 機能通貨の導入について -

マレーシアニューズレター - 2016年1月1日以降開始事業年度より、PERSが廃止され、MPERS(Malaysian Private Entities Reporting Standard)と呼ばれる会計基準が新たに導入されました。

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2016年1月1日から導入されたマレーシア新会計基準(MPERS)

マレーシアには従前、マレーシアの上場企業等に強制適用されるIFRS(国際財務報告基準)とほぼ同等の基準であるMFRS(Malaysian Financial Reporting Standards)とそれ以外の企業が任意適用可能な旧IAS(国際会計基準)を部分的に取り込んだローカル基準であるPERS(Private Entity Reporting Standards)の2つの会計基準があり、多くの日系企業はこれまでPERSを適用していました。

しかし、2016年1月1日以降開始事業年度より、PERSが廃止され、MPERS(Malaysian Private Entities Reporting Standard)と呼ばれる中小企業向けIFRSとほぼ同等の基準が新たに導入されました。よって、従前、PERSを適用していた多くの日系企業は、2016年1月1日以降開始事業年度より、MPERSまたはMFRSのいずれかを適用しなければならなくなりました。このため、MPERSまたはMFRS適用に伴う影響については、自社で検討を行うとともに、現地の監査人と確認をとっていただく必要があります。

なお、MPERSまたはMFRSのいずれを適用するにせよ、従前のPERSには存在していなかった「機能通貨の概念」が新たに導入されることから、その検討が必要となっています。よって、本メールでは、MPERSまたはMFRS適用にあたり特に影響が大きいと考えられる論点の1つである機能通貨の導入について記載をしております。

機能通貨を決定するための指標

機能通貨とは、企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨をいいますが、その決定については企業が自由に選択できるわけではなく、販売価格やコストにといった企業の主要な経済活動に関連する指標を重視して決定することになります。

例えば、マレーシアを製造拠点とする日系企業は、輸出入取引により原材料の調達、完成品の販売を行っているケースがあり、その輸出入取引はUSD建で行われ、国内仕入・販売、原材料以外の人件費やその他の経費についてはMYR建で行われているケースが少なくはないと考えられます。この場合、一般的には、企業の機能通貨がUSDなのかMYRなのかという論点が生じることになります。

なお、販売価格やコストといった企業の主要な経済活動に関連する指標で機能通貨が決定できない場合には、資金調達や営業活動で獲得した資金をどの通貨で保有しているかなど財務に関連する追加的な指標も合わせて考慮する必要があるとされています。

例えば以下のようなケースに該当する場合には、MYR以外の外国通貨を機能通貨として選定する論点が発生する可能性があります。

  • 売上高に占める輸出の割合が多く、USDなどの外国通貨で取引されている。
  • 仕入に占める輸入の割合が多く、USDなどの外国通貨で取引されている。
  • 営業活動から得られた資金をUSDなどの外国通貨で運用(預金)している。
  • 借入金など資金調達の多くがUSDなどの外貨で調達されている。

上記はあくまで例示であり、これらに限りません。自社の状況を分析のうえ、早めに現地の監査人に確認を取っていただく必要があります。

機能通貨がMYR以外の外国通貨になった場合の実務上の留意事項

機能通貨に限らず、MFRS/MPERSを初度適用する場合には遡及適用、つまり過去に遡って会計処理を適用する必要があります。機能通貨についても特に、固定資産については取得日まで遡って取得当時の為替レートを適用する必要があるため実務的な負担が発生する可能性があります。

  1. 固定資産の遡及換算換え
    例えば機能通貨がUSDになった場合、移行日時点(適用年度の前期期首時点)のすべての資産・負債について原則、取引日まで遡ってその当時のUSDレートで換算をする必要があります。特に固定資産については取得時のUSD - MYR換算レートでUSDに換算することになりますが、先に述べたとおり昨今のリンギット安の経済環境下においては取得時レートで換算替えしたUSD建の固定資産の簿価が相対的に増加し、将来の減価償却費の負担を増大させ利益を圧迫することが懸念されます。例えば、簿価がMYR 1,200の資産を現状のレート水準である1 USD=4.0MYRで換算した場合、USD建ての簿価は300USDとなります。しかし、仮に当該固定資産の取得当時のレートが1 USD=3.0MYRであった場合、USD建ての簿価は400USDとなり、実際の簿価は相対的に増加することになります。この点、MPERS/MFRSを初度適用する場合の例外措置として取得時の為替レートで換算する代わりに移行日時点の公正価値(移行日時点の公正価値×移行日時点の為替レート)をみなし原価として適用することも可能となっています。
  2. 法人税申告への影響
    機能通貨がUSD等の外国通貨になった場合、その影響は会計のみならず法人税申告にまで波及します。マレーシアでは税務申告はMYRしか認められていないため、機能通貨がUSDの場合にもMYRで申告・納税する必要があります。また、2015年7月にマレーシア税務当局が機能通貨会計にかかるガイドラインを公表し、MYR以外の外貨建取引については取引日の換算レートでMYRに換算した金額を税務申告書において適用すべきという指針を公表したことから、税務上はMYRベースの帳簿をUSDベースの会計帳簿とは別に作成する必要があり、MYRとUSDの二重通貨で取引記録を記帳できるよう、デュアルカレンシーのシステム対応を準備する必要があると考えられます。

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