2016年6月に開催された保険契約に関するIASB会議の概要 | KPMG | JP

2016年6月に開催された保険契約に関するIASB会議の概要

2016年6月に開催された保険契約に関するIASB会議の概要

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2016年6月、IASBは、新しい保険契約に関する基準書の投票プロセスを進める過程で生じた、以下の論点に関する審議を行いました。

  • 集約レベル:契約上のサービス・マージンの事後測定
  • 保険金融収益又は費用
  • その他の論点

1. 集約レベル:契約上のサービス・マージンの事後測定

2014年6月にIASBは、新しい保険契約に関する基準書の目的は、個別保険契約の測定の原則を提供することであることを明確化しました。

2016年6月のIASB会議では、当該原則がもたらす結果について例示に基づく検討が行われました。例示において、契約上のサービス・マージン(CSM)を、個別契約レベル又はグループ・レベルで測定することによって、各報告期間のCSMの変動額及び報告期間末におけるCSM残高に差異が生じる可能性があることが示されました。

IASBスタッフはこのような差異は意図せざるものであると考え、以下を提案しました。
  • 測定はグループ・レベルで行われるべきであることを明確化する
また、IASBスタッフは、2016年1月に使用された収益性という記述に関して以下を提案しました。
  • 収益性とは、予想保険契約収益合計に対するCSMの割合をいう。ただし、類似の予想保険料を使用して簡便的に評価することも認められる
さらにIASBスタッフは、当初認識時において契約を既存のグループに追加できることについても明確化しました。
 
IASBは、以下について決定しました。
 
明確化された領域 IASBの決定
CSMの調整及び解放の目的 報告日におけるCSMは、契約グループについて提供される将来サービスに係る利益を表す。
CSMの測定に使用される契約グループ

CSMの測定に使用される契約グループは、契約が不利になる時点を決定する際に使用されるグループと同一となる。

従って、企業は、当初認識時において以下に該当する保険契約のグループごとにCSMを測定する。

  • 企業が予想する将来キャッシュ・フローは、金額及び時期に関する重要な仮定の変更に対して同じように反応する

簡便法として、企業は保険料に対する期待利益の評価(すなわち、期待保険料に対するCSMの割合)を使用することができる。

契約グループのCSMを純損益に配分する方法 契約グループのCSMを純損益に配分する際、企業は報告期間の末日における残存契約の予想デュレーション及び契約規模を反映しなければならない。

2.保険金融収益又は費用

(1)表示及び開示

2015年9月に、IASBは以下について合意しています。

  • 金融変数の仮定の変更から生じる保険契約の測定の変更を、純損益とその他の包括利益に分解する目的(すなわち、原価測定ベースで純損益に保険金融収益(insurance finance income)又は保険金融費用(insurance finance expenses)を表示すること)
  • 保険金融収益又は保険金融費用を原価測定ベースで測定する具体的な方法は規定しないこと
  • 原価測定ベースの定義(すなわち、保険金融収益又は保険金融費用を契約の存続期間にわたり規則的に配分すること)

2016年6月のIASB会議では、これらの明確化又は変更の必要性に関して、IASBスタッフの提案について審議が行われ、IASBは以下について合意しました。

領域 IASBの決定
原価測定ベースという用語の使用
  • 新しい保険契約に関する基準書において、保険金融収益又は保険金融費用を純損益とその他の包括利益に分解する目的は、原価測定ベースで保険金融収益又は保険金融費用を純損益に表示することが目的であることを明記しない
  • 新しい保険契約に関する基準書において、保険金融収益又は保険金融費用は、それらの総額を保険契約の存続期間にわたって規則的な方法で純損益に表示しなければならないことを明記する
規則的な配分という用語に関するガイダンス
  • 新しい保険契約に関する基準書において、以下のガイダンスを提供する
    • 規則的な配分は、契約の特性を基礎とする(契約のキャッシュ・フローに影響を与えない要因については考慮しない)
    • 契約の終了時にその他の包括利益累計額はゼロとなる
  • 金融変数の仮定の変更が保険契約者に対する支払金額に実質的な影響を与えない保険契約について、規則的な配分は契約の当初認識時に適用される割引率を使用して決定される
  • 金融変数の仮定の変更が保険契約者に対する支払金額に実質的な影響を与える保険契約について、規則的な配分は、以下のいずれかの方法で算定することができる
    • 定率法
    • 保険契約者に支払う金額の算定に保証利回りを使用する契約について、当期における保険契約者に付与する保証額及び将来期間に付与する予定の保証額に基づいて配分。
開示
  • 新しい保険契約に関する基準書において、保険金融収益又は保険金融費用の総額を特定の項目別に分解する開示は要求しない
  • 新しい保険契約に関する基準書において、以下の開示により、報告期間における保険金融収益又は保険金融費用の総額に関する説明を要求する
    • 保険金融収益又は保険金融費用と、企業が保有する裏付資産の投資リターンとの関係(投資家に対して、純損益及びその他の包括利益に認識される保険金融収益又は保険金融費用の純額の源泉を理解するために十分な情報を提供するため)
    • 純損益に表示される保険金融収益又は保険金融費用を計算するために企業が使用した方法
リスク調整の表示
  • 企業は、リスク調整の変動を、金融要素と保険引受要素に分解する必要はない。企業がこれらの要素にリスク調整を分解しない場合、保険引受要素の一部として表示する
  • 企業はいずれの表示方針を採用したかを開示しなければならない

3. その他の論点

(1)契約上のサービス・マージンの調整

2013年6月に公表された公開草案「保険契約」(ED/2013/7)は、将来のサービスに関連する履行キャッシュ・フローの変動に対して契約上のサービス・マージン(CSM)を調整するための一般的な方法については規定していません。

2016年6月のIASB会議において、IASBスタッフは、新しい保険契約に関する基準書において、将来のサービスに関連する履行キャッシュ・フローの変動(CSMを調整する変動)、並びに、現在及び過去のサービスに関連する履行キャッシュ・フローの変動(CSMを調整しない変動)に関するガイダンスを提供することを提案しました。

IASBは以下について決定しました。

  • CSMは予実差異又は金融変数の仮定の変動に起因する将来キャッシュ・フローの現在価値の変動について調整されることはないことを明確化するガイダンスを追加する
  • 一般的に、予実差異は現在又は過去のサービスに関連するものとみなされ、将来キャッシュ・フローの見積りの変動は将来サービスに関連するものとみなされる。しかしながら、以下の例示を含む状況においては当てはまらない
    • 残存カバーに対する負債の変動
      • 将来のサービスに関連する、当期に支払われた保険料から生じる実績調整。これらの実績調整は将来のサービスに関連する
      • 将来キャッシュ・フローの見積りの変動の要因となる実績調整をもたらす事象の影響。合算した影響は将来のサービスに関連するものとみなす。例えば、CSMは投資要素の払戻しの時期が遅れる又は早まることによる影響の純額について調整されることになる。
    • 発生保険金の見積りの変動。これは現在又は過去のサービスに関連する

(2)再保険契約及び変動手数料アプローチの適用範囲

2015年6月、IASBは変動手数料アプローチの適用範囲に含まれる契約について明確にしました。現在の草案では、一部の種類の受再保険契約及び出再保険契約が、変動手数料アプローチの適用要件に該当する可能性があります。

しかしながら、IASBスタッフは、変動手数料アプローチを再保険契約に適用することはIASBの意図とは異なると考え、変動手数料アプローチの適用要件を修正し、再保険契約を適用範囲から除外することを提案しました。

IASBは、IASBスタッフの提案に同意しました。

4. 今後のスケジュール

IASBは、新しい保険契約に関する投票プロセスを継続し、2016年第3四半期に適用日について議論する予定です。最終基準書の公表は2016年の終わり頃になる見込みです。

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