ASBJ、実務対応報告公開草案第47号「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」等を公表 | KPMG | JP

ASBJ、実務対応報告公開草案第47号「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」等を公表

ASBJ、実務対応報告公開草案第47号「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」等を公表

会計・監査ニュースフラッシュ - ASBJは、平成28年6月2日に、実務対応報告公開草案第47号「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」等を公表しました。本公開草案のコメント期限は、平成28年8月2日までとされています。

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平成27年6月30日に閣議決議された「『日本再興戦略』改訂2015」に基づき実施される施策として、新たな確定給付企業年金の仕組みが平成28年度に導入される予定とされている。

これを受けて、ASBJは、「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」等を公表した。

本公開草案は、従来の会計基準等を踏まえて、平成28年度に新たに導入される予定である確定給付企業年金の仕組みであるリスク分担型企業年金(確定給付企業年金法に基づいて実施される年金制度のうち、給付の額の算定に関して、確定給付企業年金法施行規則第25条の2に定める調整率が規約に定められる企業年金制度)について、必要と考えられる会計処理及び開示等を明らかにすることを目的としている。

ポイント

  • 会計処理及び開示
  1. リスク分担型企業年金のうち、企業の拠出義務が、給付に充当する各期の掛金として、制度導入時の規約(または、制度導入後に新たな労使合意に基づいて規約の改訂がなされた場合は改訂後の規約)に定められた標準掛金相当額、特別掛金相当額及びリスク対応掛金相当額の拠出に限定され、企業に当該掛金相当額の他に拠出義務を実質的に負っていないものは、確定拠出制度に分類し、それ以外のリスク分担型企業年金は、確定給付制度に分類する。
  2. 確定拠出制度に分類されたリスク分担型企業年金は、制度導入後、新たな労使合意に基づいて規約の改訂が行われた場合、改訂の都度、会計上の確定給付制度の分類を再判定する。
  3. 確定拠出制度に分類されたリスク分担型企業年金は、規約に基づきあらかじめ定められた各期の掛金の金額を、各期において費用処理する。
  4. 確定給付制度から確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金に移行する場合、退職給付制度の終了として会計処理を行う。
  5. 確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金については、以下を注記する。

・企業の採用するリスク分担型企業年金制度の概要

・リスク分担型企業年金に係る退職給付費用の額

・翌期以降に拠出することが要求されるリスク対応掛金相当額及び当該リスク対応掛金相当額の拠出に関する残存年数

  • 適用時期は、本実務対応報告の公表日以後適用としている。
  • 本公開草案の公表に伴い、企業会計基準第26号「退職給付会計に関する会計基準」(以下「退職給付会計基準」)及び企業会計基準適用指針第1号「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」(以下「制度移行適用指針」)について、所要の改正を行った改正案が公表されている。

I.本公開草案の概要

経緯

平成27年6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」に基づき実施される施策として、新たな確定給付企業年金の仕組みが平成28年度に導入される予定である。ASBJは、これまで公表されている会計基準等における取扱いを踏まえて、当該企業年金の導入にあたり、必要とされる会計処理等の審議を行い、本公開草案を公表した。

会計処理及び開示の概要

(1)分類
ASBJは、本実務対応報告(案)において、以下のとおり、取り扱うことを提案している。

  • リスク分担型企業年金のうち、企業の拠出義務が給付に充当する各期の掛金として、制度の導入時の規約に定められた標準掛金相当額(給付に要する費用に充てるため、事業主が将来にわたって平準的に拠出する掛金に相当する額。以下同じ)、特別掛金相当額(過去勤務債務の償却のために必要な掛金に相当する額。以下同じ)及びリスク対応掛金相当額(財政悪化リスク相当額に対応するために拠出する掛金に相当する額。以下同じ)の拠出に限定され、企業が当該掛金相当額の他に拠出義務を実質的に負っていないものは、退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類する(第3項)。
  • 上記以外のリスク分担型企業年金は、退職給付会計基準第5項に定める確定給付制度に分類する(第4項)。

現行の退職給付会計基準においては、確定拠出制度を「一定の掛金を外部に積み立て、事業主である企業が、当該掛金以外に退職給付に係る追加的な拠出を行わない退職給付制度」と定義していることから、リスク分担型企業年金について、次の2点を判断基準として分類することとされた。

  • 事業主である企業が一定の掛金以外に退職給付に係る追加的な拠出義務を負うか否か
  • 一定の掛金を外部に積み立てているか否か

この点に関し、リスク分担型企業年金は、毎事業年度の財政状態に応じて、自動的に給付額が増減して財政の均衡が図られるよう設計されており、企業に追加の掛金拠出が要求されていないことが想定されているため、基本的に、企業は追加的な拠出義務を負っていないと考えられる。また、リスク分担型企業年金は、リスク対応掛金相当額の拠出方法があらかじめ定められ、各期におけるリスク対応掛金相当額が制度導入時にあらかじめ規約に定められているため、一定の掛金を外部に積み立てているものと考えられる。


(2)再分類
ASBJは、本実務対応報告(案)において、以下のとおり、取り扱うことを提案している。

退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金は、制度の導入後、新たな労使合意に基づく規約の改訂の都度、本実務対応報告第3項及び第4項に従い、会計上の退職給付制度の分類を再判定する。当該分類の再判定にあたっては、本実務対応第3項の「制度の導入時の規約」を「直近の規約の改訂時における改訂後の規約」と読み替える(第5項)。

これは、制度の導入後、新たな労使合意に基づく規約の改訂がなされた場合、実務対応報告第3項の要件を満たさなくなる可能性があることから、規約の改訂の都度、会計上の分類を再判定することとされた。


(3)確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金の会計処理
ASBJは、本実務対応報告(案)において、以下のとおり、取り扱うことを提案している。

退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金については、規約に基づきあらかじめ定められた各期の掛金の金額(本実務対応報告第10項(3)に基づき未払金等を計上した特別掛金相当額を除く)を、各期において費用として処理する(第7項)。

リスク分担型企業年金が会計上、確定拠出制度に分類される場合、要拠出額を費用処理することになるが(退職給付会計基準第31項)、リスク対応掛金相当額については一定の範囲内で拠出する方法が認められているため、費用配分の観点から、各期の費用処理額が論点となった。

この点に関し、財政悪化リスク相当額に対応するために拠出するリスク対応掛金相当額は、拠出の総額は決まっているものの、各期における労働サービスの提供との対応関係は必ずしも明確でなく、その価値も信頼性をもって測定することは不可能であることから、一般に、支払額をもって報酬費用としてみなされていることを踏まえ、規約に基づきあらかじめ定められた各期の掛金の金額(本実務対応報告第10項(3)に基づき未払金等を計上した特別掛金相当額を除く)を、各期において費用として処理することとされた。

なお、リスク対応掛金相当額について、制度の導入時に総額が算定され拠出の義務を負っていることから、制度の導入時に、総額を負債として全額計上すべきかが論点となったが、リスク対応掛金相当額の総額を負債として計上する必要はないものとされた。


(4)確定給付制度から確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金に移行する場合の会計処理
ASBJは、本実務対応報告(案)において、以下のとおり、取り扱うことを提案している。

退職給付会計基準第5項に定める確定給付制度に分類される退職給付制度から退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金に移行する場合、退職給付制度の終了に該当する(第9項)。

この場合、次の会計処理を行う(第10項(1)から(4))

(1)リスク分担型企業年金への移行時点で、移行した部分に係る退職給付債務と、その減少分相当額に係るリスク分担型企業年金に移行した資産の差額を、損益として認識し、移行した部分に係る退職給付債務は、移行前の計算基礎に基づいて数理計算した退職給付債務と、移行後の計算基礎に基づいて数理計算した退職給付債務との差額として算定する。

(2)移行した部分に係る未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異は、損益として認識する。なお、移行部分に係る金額は、移行時における退職給付債務の比率その他合理的な方法により算定する。

(3)(1)及び(2)で認識される損益の算定において、退職給付会計基準第5項に定められる確定給付制度に分類される退職給付制度から退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金への移行時点で規約に定める各期の掛金に特別掛金相当額が含まれる場合、当該特別掛金相当額の総額を未払金等として計上する。

(4)(1)から(3)で認識される損益は、原則として、特別損益に純額で表示する。

確定給付制度に分類される退職給付制度から確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金への移行は、退職給付制度間の移行または制度の改訂により退職給付債務がその減少分相当額の支払等を伴って減少するため(制度移行適用指針第4項)、退職給付制度の終了に該当することとされた。

なお、当該移行において、規約に定める掛金に特別掛金相当額が含まれる場合、会計上の確定給付制度から会計上の確定拠出制度への移行という点が、実務対応報告第2号「退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い」(以下「制度移行実務対応報告」のQ11に示されている事項と共通していることから、当該特別掛金相当額のうち移行前の退職給付に係る負債を上限に負債計上する必要があるとの意見があった。これについては、Q11は確定給付制度間の移行における例外的な取扱いを定めているものであること、また、退職給付制度から確定拠出制度に分類されるリスク対応型企業年金への移行は退職給付制度の終了に該当し、特別掛金相当額は過去に発生した積立不足に対応するものであり、移行前の確定給付制度に関する事業主からの支払または現金拠出の確定額(制度移行適用指針第4項(2))に該当し、退職給付制度の終了に伴って当該特別掛金相当額の総額を負債として計上することが適切として、当該特別掛金相当額の総額を未払金等として計上することとされた。


(5)確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金の注記事項
ASBJは、本実務対応報告(案)において、以下のとおり、取り扱うことを提案している。

退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金については、退職給付会計基準第32-2項に定められている注記事項として、次の事項を記載する(第12項(1)から(3))。

(1)企業の採用するリスク分担型企業年金の概要

退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金の概要として、例えば、次の内容を記載する。

1)標準掛金相当額の他に、リスク対応掛金相当額があらかじめ規約に定められること
2)毎事業年度におけるリスク分担型企業年金の財政状態に応じて給付額が増減し、年金に関する財政の均衡が図られること

2)退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金に係る退職給付費用の額

(3)翌期以降に拠出することが要求されるリスク対応掛金相当額及び当該リスク対応掛金相当額の拠出に関する残存年数

リスク分担型企業年金は、退職給付会計基準第4項に定める確定拠出制度に分類される確定拠出年金制度と異なる特徴があることから、標準掛金相当額の他に、リスク対応掛金相当額があらかじめ規約に定められていることや、毎事業年度におけるリスク分担型企業年金の財政状態に応じて給付額が増減し、年金に関する財政の均衡が図られること等が例示として記載されている。なお、リスク分担型企業年金について将来的に内容が周知された場合には、簡略な記載に取扱いを見直すことも考えられている。

また、リスク対応掛金相当額は、制度導入時に総額が算定され拠出の義務を負っていることから、将来キャッシュ・フローの金額、発生時期及び一定の将来の損益の情報を提供できるように、翌期以降に拠出することが要求されるリスク対応掛金相当額及び当該リスク対応掛金相当額の拠出に関する残存年数の注記が求められている。

II.退職給付会計基準の改正案の概要

リスク分担型企業年金が導入されることにより、複数の制度が会計上の確定拠出制度に該当することを受けて、以下のとおり、確定拠出制度に係る注記を整備する改正が提案されている(退職給付会計基準第32-2項)。

確定拠出制度について、次の事項を連結財務諸表及び個別財務諸表に注記する(連結財務諸表に注記する場合は個別財務諸表では注記不要)。

(1)企業の採用する確定拠出制度の概要

(2)確定拠出制度に係る退職給付費用の額

(3)その他の事項

III.適用時期

本実務対応報告等は、公表日以後適用することが提案されている。

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