CRDがMaterialityに関するペーパーを公表しました

CRDがMaterialityに関するペーパーを公表しました

コーポレート・レポーティング・ダイアログ(以下、CRD)は、8つの主要組織(IIRCを中心とするFASB、GRI、SASBといった様々な基準設定機関)から構成されています。それぞれの機関は様々なステークホルダーに向けた企業報告基準/ガイダンスを制定しています。CRDでは各機関が発行した企業報告基準/ガイダンスがより理路整然と一貫したものになり、比較可能性が向上することを目指して活動しています。

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今回公表された、Materialityに関するペーパー「Statement of Common Principles of Materiality(『共通するマテリアリティの原則』に関する意見書)」は、その活動の一環となります。この中で、CRDは、基準設定機関ごとにマテリアリティの定義や報告対象となる範囲などを比較し、その中から、共通する基本的なものを『共通の原則』として述べています。なお、この原則は、各機関が今後の基準改定時において考慮すべきであるのみならず(現在、FASBとIASBが定義を改訂中です)、基準に準拠して報告書を作成する企業も活用することが期待されています。

以下、「Statement of Common Principles of Materiality(『共通するマテリアリティの原則』に関する意見書)」の内容の抜粋となります。なお文中、意訳している箇所がございますが、ご了承ください。

マテリアリティ概論

CRDは、基準設定機関ごとに異なるミッションや基準適用の背景を勘案したうえで、マテリアリティを下記のように概観しています。

 マテリアリティは、一般的に広く浸透した概念で、財務および非財務報告や、その他さまざまなビジネス遂行の目的のために広く利用されている。そのため、マテリアリティの定義は様々(例:監査におけるマテリアリティ、事業契約におけるマテリアリティ、法的な意味でのマテリアリティ等)で、それを「すべてに当てはまる(one size fits all)」のような定量的定義は難しい。
マテリアリティをどのように適用するかについては、報告基準が利用される文脈が異なるため、CRDのなかでもかなり意見が分かれるところである(例:経営者による虚偽の経費精算は財務報告上マテリアルでなくても、倫理的見地からはマテリアルである等。報告の性質により、同じ情報であっても、マテリアルの度合いが異なる)。そのためCRDは、今後、各々の機関がミッションに合った形でマテリアリティの定義を改良していく必要があると考えている。その際、「マテリアルな情報とは、(1)関連する情報をレビューしたときに、(2)その情報ユーザーである(合理的な)ステークホルダーが導き出す結論に影響するもので、(3)(合理的な範囲で)そのような結論に差異をもたらし得る情報」という基本的な考え方を軸に検討されることが推奨される。
さらに、企業報告におけるマテリアリティは、過去の経緯および将来的な状況を鑑みて、分析される必要がある。その理由は企業報告の目的の一つは、今期マテリアルでなかった事象であっても将来、マテリアルな意味を持つ可能性があるためである。

『共通するマテリアリティの原則』

マテリアリティ概論を踏まえ、CRDは参加する8つの主要組織に『共通するマテリアリティの原則』を、コンセプト、適用にあたって、虚偽表示とエラーという3つの観点から、次のようにまとめています。

(コンセプト) 

  • マテリアリティな情報は、「主要なステークホルダー」によって異なる。つまり主要なステークホルダーが必要とする情報に焦点を絞ることで定まるものである。なお、「主要なステークホルダー」とは企業活動を理解し、より深く探求しようとしているグループを指す(※単独あるいは異例なステークホルダーや不当で非合理な行動をとるステークホルダーは含めるべきではない)。
  • マテリアルな情報とは、「ある事象について、正当な評価を行うにあたって、(合理的な範囲で)そのような評価に差異をもたらす可能性のある情報」を指す。したがってマテリアルではない情報の扱いには注意を払う必要がある。どの程度情報をまとめるか、分割して詳細に記載するかは企業の判断に委ねられるが、マテリアルでない情報を含めることでマテリアルな情報が分かりにくくレポート全体が理解しづらくならないようにしたい。さらに、情報がなぜマテリアルなのか、という背後にある文脈を分析し、偏った文脈のみでマテリアリティが用いられていないか留意する。
  • 今後、各基準設定機関で新しい報告基準が開発されたとしても、マテリアリティは、主要なステークホルダーの観点から判断されるものであり、事象がマテリアルでなければ、報告基準の要求事項を必ずしも適用する必要はないという認識は変わらない。

(マテリアリティの適用にあたって)

  • 何がマテリアルであるかの評価は、質的な要素が大きく「判断」が求められるところである。数値による閾値を用いることも考えられるが、法的なマテリアリティの要件・定義がより厳しい場合はCRDの各機関のマテリアリティよりも優先される場合があることに留意されたい。
  • 最終的にどの情報がマテリアルかを判断するのは経営者の責任である。その際、マテリアリティは経営者自身の視点ではなく、主要なステークホルダーが何を期待しているかという視点で検討すべきである。
  • 最もマテリアルな情報はその事象が起こった年である。そしてその情報は時間の経過とともに重要でなくなるため、一度記載した詳細情報をその後も継続して報告する必要はない。
  • マテリアリティの決定やマテリアルな情報のために見積もりが使われた場合は、偏見を除外するよう努めるべきである。利用可能なインプットと証左を客観的に考慮し、また、関連するステークホルダーが必要とするマテリアルな情報を考慮する必要がある。
  • マテリアリティに関する情報に求められる精度は、ある程度合理的に測定できる範囲でよい。

(マテリアリルな虚偽表示とエラー)

  • マテリアルな虚偽表示にはいろいろなケースが考えられるが、例として以下のようなものが挙げられる。
    • 記載漏れ(関連性の高い情報を含めていない等)
    • エラー(情報を正しく用いていない等)
    • 不規則性
    • あいまいな表現
  • もし、虚偽表示やエラーが発見された場合、それが主要なステークホルダーにとって関連があれば、修正をすべきである。
  • もし、ある成果を期待して、意図的に上記のような報告をした場合は、マテリアルなエラーであると考えられる。

なお、このまとめには各機関の比較表は含めておりません。比較表を含めたCRDによるMaterialityに関するペーパー「Statement of Common Principles of Materiality(『共通するマテリアリティの原則』に関する意見書)」の詳細は、こちらをご覧ください。(英語)

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