IASB、公開草案「事業の定義及びすでに保有している持分の会計処理」を公表 | KPMG | JP

IASB、公開草案「事業の定義及びすでに保有している持分の会計処理(IFRS第3号及びIFRS第11号の改訂案)」を公表

IASB、公開草案「事業の定義及びすでに保有している持分の会計処理」を公表

IFRSニュースフラッシュ - 国際会計基準審議会(IASB)は、2016年6月28日、公開草案「事業の定義及びすでに保有している持分の会計処理(IFRS第3号及びIFRS第11号の改訂案)」を公表しました。

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本公開草案では、以下の2つの論点に関する明確化を提案している。

  • IFRS第3号の適用にあたり、事業と資産グループとをどのように区別すべきか。
  • 共同支配事業の支配または共同支配を獲得した場合に、すでに保有している持分についてどのような会計処理をすべきか。

コメント期限は2016年10月31日である。

要約

本公開草案では、以下の明確化を提案している。

  • 事業とみなすための最低限の要求事項、アウトプットの定義の改訂、設例の追加等を行い、何が事業と考えられるのかを明確化するIFRS第3号の改訂を提案している。
  • 事業の定義を満たす共同支配事業の支配を獲得する取引は、段階的に達成される企業結合であり、すでに保有している共同支配事業に対する持分を再測定することを明確化するIFRS第3号の改訂を提案している。
  • これまで共同支配事業に対する共同支配を有していなかった企業が、事業の定義を満たす共同支配事業に対する共同支配を獲得する場合には、すでに保有している持分を再測定しないことを明確化するIFRS第11号の改訂を提案している。

改訂の背景

2014年から2015年にかけて、IASBはIFRS第3号の適用後レビューを実施した。適用後レビューでは、基準に対する全体的な支持は得られたものの、事業の定義を適用することの困難さ等、検討を要するいくつかの領域も識別された。なお、IFRS第3号は、IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)との共同プロジェクトの成果であり、FASBは、FASB基準書第141号(2007年改訂)の適用後レビューを実施した。FASBの適用後レビューにおいても、事業の定義に関する論点が識別され、FASBは、2015年11月に事業の定義の明確化に関するASU案を公表している。

また、すでに保有している持分の会計処理は、IFRS解釈指針委員会(IFRS-IC)からの報告を受けて議論されたものであり、企業が共同支配事業である事業に対する支配を獲得したとき及び共同支配を獲得したときの2種類の取引について、すでに保有している共同支配事業の資産及び負債に対する持分の会計処理に、ばらつきが生じていることに対応したものである。

改訂の内容

1.事業の定義

IFRS第3号は、企業結合を、取得企業が1つまたは複数の事業の支配を獲得する取引またはその事象と定義している。

IFRS第3号において、事業を取得する取引に対して要求されている会計処理は、事業を構成しない資産グループの取得の場合の会計処理と異なるため、事業の定義は重要である。本公開草案では、企業が事業と資産グループとを区別するにあたっての助けとなるような、より明確な適用ガイダンスを提供することを意図している。

本公開草案では以下のIFRS第3号の改訂を提案している。


1)事業の最低限の要求事項(B8)

事業と資産グループを区別するものはプロセスの存在であり、事業の取得と考えられるためには、最低限、アウトプットの創出にともに貢献するインプット及び実質的なプロセスを含んでいなければならないとすることを提案している。なお、アウトプットを創出するために必要なすべてのプロセスを含んでいる必要はない。


2)欠けている要素を置きかえることができる市場参加者(B8)
IFRS第3号では、市場参加者が、欠けている要素を置きかえて、引き続きアウトプットを創出することができる場合には、取得した活動及び資産の組合せは事業であるとされている。しかしながら、市場参加者の能力を評価することは困難な場合があると考えられた。事業を取得したか否かの判断は、市場参加者が取得した資産及び活動を統合することが可能か否かよりも、何を取得したかに基づいて行うべきであると考えられることから、欠けている要素を置きかえることができる市場参加者に関する要求事項を削除することを提案している。


3)アウトプットの定義(B7)
アウトプットの定義について、コストの削減という形でのリターンを提供するという記述、及びその他の所有者、構成員または参加者に対しその他の経済的便益を提供するという記述を削除したうえで、顧客への財またはサービスの提供という記述を追加することにより、定義を狭めることを提案している。


4)公正価値が単一の資産に集中するか否かの評価(B8A - B11C)

取引日時点において、取得した資産全体の公正価値のほぼすべてが、単一の識別可能資産または類似の識別可能資産のグループに集中している場合、資産及び活動の組合せは事業ではないとする判定基準を提供することを提案している。また、いくつかの設例を提供している。この判定基準により、いくつかのケースでは、それ以上の分析が不要となり、簡略化されると考えられる。


5)取得したプロセスが実質的か否かのガイダンス(B12 - B12C)
資産及び活動の組合せが、実質的なプロセスを含んでいるか否かを評価するにあたっては、重要でないとはいえない金額ののれんが存在することは、プロセスが実質的であることの指標となり、資産及び活動の組合せが事業であると考えられるとすることを提案している。ただし、事業にのれんが存在する必要はない。

本公開草案では、資産及び活動の組合せにアウトプットがない場合(例えば、営業活動をまだ開始していない設立間もない会社)、及び資産及び活動の組合せにアウトプットがある場合(例えば、取得前から営業活動を行っている会社)の2つの異なるケースについて、実質的なプロセスを含んでいるか否かについて考慮する評価基準を提供している。


6)移行措置
本公開草案では、取得日が改訂案の適用日以後最初の年次報告期間の期首以後となる企業結合から適用することを提案している。早期適用は認められる。早期適用した場合は、その旨を開示することを提案している。

2.すでに保有している持分の会計処理

IASBは、IFRS-ICから、企業が共同支配事業である事業に対する支配を獲得したとき及び共同支配を獲得したときの2種類の取引について、すでに保有している共同支配事業の資産及び負債に対する持分の会計処理に、ばらつきが生じているという報告を受けた。


1)事業の定義を満たす共同支配事業の支配を獲得する場合(IFRS3,42A)

IFRS第3号では、段階的に達成される企業結合においては、取得企業は、すでに保有している被取得企業の持分を取得日に公正価値で再測定することを要求している。IFRS第3号で使用されている「持分」という用語について、ある企業は、「持分」には、共同支配事業の資産及び負債は含まないと考え、すでに保有している持分の再評価は行わないと考えるが、別の企業は、共同支配事業が事業であれば、すでに保有している持分の再評価が要求されると考えている。

本公開草案では、事業の定義を満たす共同支配事業に対する支配を獲得する取引は、段階的に達成される企業結合であり、すでに保有している共同支配事業の持分を再測定することを明確化するIFRS第3号の改訂を提案している。


2)共同支配事業に対する共同支配を獲得する場合(IFRS11,B33C)
これまで共同支配事業に対する当事者であった企業が、事業の定義を満たす共同支配事業に対する共同支配を獲得する場合に、段階的に達成される企業結合の取扱いを適用するか否かについての見解が分かれていた。

本公開草案では、これまで共同支配事業に対する共同支配を有していなかった企業が、事業の定義を満たす共同支配事業に対する共同支配を獲得する場合には、すでに保有している持分を再測定しないことを明確化するIFRS第11号の改訂を提案している。


3)移行措置
本公開草案は、適用日以後開始する最初の年次報告期間の期首から適用することを提案している。早期適用は認められる。早期適用した場合は、その旨を開示することを提案している。

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