IASB、「株式に基づく報酬取引の分類及び測定(IFRS第2号の改訂)」を公表 | KPMG | JP

IASB、「株式に基づく報酬取引の分類及び測定(IFRS第2号の改訂)」を公表

IASB、「株式に基づく報酬取引の分類及び測定(IFRS第2号の改訂)」を公表

IFRSニュースフラッシュ - IASBは2016年6月20日、改訂基準書「株式に基づく報酬取引の分類及び測定(IFRS第2号の改訂)」を公表しました。

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本改訂は、以下の3つの論点に関するIFRS第2号の規定を明確にし、基準書の付属文書に設例を追加して明確化された基準の適用に関するガイダンスを提供している。

  • 現金決済型の株式に基づく報酬取引の測定(権利確定条件及び権利確定条件以外の条件の取扱い)
  • 源泉徴収義務に関する純額決済条項を有する株式に基づく報酬取引の分類
  • 現金決済型から持分決済型への分類変更となる株式に基づく報酬取引の条件変更の会計処理

本改訂は、2018年1月1日以降に開始する会計年度より適用される。早期適用は認められる。

要約

本改訂は、株式に基づく報酬取引の会計処理に関する論点について、以下のとおり明確化している。

  • 現金決済型の株式に基づく報酬取引の測定に、持分決済型の株式に基づく報酬取引と同じアプローチを用いて権利確定条件及び権利確定条件以外の条件を取り扱う。
  • 源泉徴収義務に関する純額決済条項を有する株式報酬取引が一定の条件を満たす場合、その株式報酬取引全体を持分決済型の株式に基づく報酬取引に分類する。
  • 契約条件の変更によって現金決済型から持分決済型の株式に基づく報酬取引に変更する場合、条件変更日から持分決済型として会計処理し、現金決済型の株式に基づく報酬取引として認識された負債と持分決済型の株式に基づく報酬取引として認識される資本の増加の差額はただちに当期純損益に含めて認識する。

改訂の背景

2010年から2013年にかけて、IFRS解釈指針委員会(IFRS-IC)にIFRS第2号「株式に基づく報酬」に関する4つの論点が寄せられた。IFRS-IC会議での審議を経たのち、IASB会議で審議を行った結果、決済方法が将来の事象に依存する株式に基づく報酬取引に関する論点を除き、冒頭に掲げた3つの論点に関する基準の明確化が2014年11月に提案され、今回の限定的な改訂に至った。

改訂の内容

1. 現金決済型の株式に基づく報酬取引の測定(権利確定条件及び権利確定条件以外の条件の取扱い)

IFRS第2号は、株式に基づく報酬取引の公正価値を、IFRS第2号が定める「公正価値」の概念に従って測定することを求めている。

IFRS第2号は、持分決済型の株式に基づく報酬取引について、付与した資本性金融商品の公正価値を参照して測定する際に、「権利確定条件」及び「権利確定条件以外の条件」をどのように考慮すべきかのガイダンスを提供している。一方、現金決済型の株式に基づく報酬取引から生じる負債について、IFRS第2号は、オプション価格算定モデルを適用し、契約条件及び測定日現在までに従業員によって提供されたサービスの範囲を考慮に入れながら、当初認識日及び各報告期間の末日において公正価値で測定することを規定しているものの、「権利確定条件」及び「権利確定条件以外の条件」を負債の測定にどう考慮すべきかについては明確に定めていなかった。

本改訂は、現金決済型の株式に基づく報酬取引から生じる負債の公正価値測定にあたり、持分決済型の株式に基づく報酬取引において付与した資本性金融商品の公正価値を参照して測定する場合と同様のアプローチを適用することを明確化した。すなわち、「権利確定条件」及び「権利確定条件以外の条件」は次のように取り扱う。

  • 権利確定条件のうち、「勤務条件」及び「株式市場条件以外の業績条件」は、測定日現在の公正価値の見積りにあたり考慮しない。その代わり、報酬費用の測定に反映する報酬の数を調整することによって考慮し、最終的に権利が確定し決済される報酬の数と整合するように見積りを修正する。
  • 権利確定条件である「株式市場条件」及び「権利確定条件以外の条件」は、測定日現在の公正価値を見積る際に考慮する。

本改訂はまた、権利確定条件である株式市場条件以外の業績条件が付される現金決済型の株式に基づく報酬取引の会計処理を例示する設例を基準書の付属文書において追加し、明確化された規定がどのように適用されるかについてのガイダンスを提供している。

2. 源泉徴収義務に関する純額決済条項を有する株式に基づく報酬取引

税法または規制により、企業が、株式に基づく報酬取引に関連して従業員に課される税金債務相当額を源泉徴収し、(通常は現金で)税務当局に支払うことが求められていることがある。この義務を履行するために、持分決済型の株式に基づく報酬契約において、引き渡される資本性金融商品の総数から、税金債務の価値と同じ価値だけの資本性金融商品を控除することができる純額決済条項が含まれている場合、その控除される部分を持分決済型と現金決済型のいずれに分類すべきかがIFRS第2号上は明確ではなかった。

本改訂は、源泉徴収義務に関する純額決済条項を有する株式に基づく報酬取引の会計処理を次のとおり明確化し、これらの規定がどのように適用されるかについて基準書の付属文書に設例を設けてガイダンスを提供している。

  • 純額決済条項がなかったならば報酬取引が持分決済型の株式に基づく報酬取引に分類される場合は、例外的に、その報酬取引全体を持分決済型の株式に基づく報酬取引に分類する。ただし、企業に源泉徴収義務がない純額決済条項を有する株式に基づく報酬契約、及び株式に基づく報酬取引に関連して従業員に課される税金債務を超えて企業が控除した資本性金融商品については、当該例外規定は適用されない。
  • 株式に基づく報酬取引に関連して従業員に課される税金債務相当額を税務当局に支払うために控除した資本性金融商品は、IFRS第2号第29項に従って会計処理する。
    すなわち、控除した資本性金融商品の純額決済日の公正価値を超えない範囲で、税務当局への支払額を控除した資本性金融商品の資本から減額する。

本改訂はまた、企業が上記の例外規定を適用する場合で、その株式に基づく報酬取引に関連した将来キャッシュフローの影響に関する情報を財務諸表利用者に提供する必要があると判断する状況において、企業が従業員の税金債務を決済するために税務当局に支払う予定の見積額を開示することを要求している。

3. 現金決済型から持分決済型への分類変更となる株式に基づく報酬取引の条件変更

IFRS第2号は、現金決済型の株式に基づく報酬取引に関する契約条件の変更の会計処理について定めていない。しかし、現金決済型の株式に基づく報酬取引から生じる負債は、各報告日と決済日において公正価値により再測定され、そこから生じた変動は当期純利益に含めて認識されることから、契約条件の変更の影響も再測定の中で考慮され得る。一方、再測定されない持分決済型の株式の基づく報酬取引に関しては、契約条件の変更に関する詳細な規定が設けられている。

現金決済型から(再測定を行わない)持分決済型の株式に基づく報酬取引に変更されるような契約条件の変更(特に、清算された現金決済型の株式に基づく報酬取引に関して認識された報酬と、置き換えられた持分決済型の株式に基づく報酬取引に基づく代替報酬が異なる場合)の会計処理については、IFRS第2号は具体的なガイダンスを提供しておらず、実務において大きなばらつきが生じていた。

本改訂は、契約条件の変更によって現金決済型から持分決済型の株式に基づく報酬取引に変更する場合の会計処理について次のとおり明確化し、これらの規定がどのように適用されるかについて基準書の付属文書に設例を設けてガイダンスを提供している。

  • その報酬取引を条件変更日から持分決済型として会計処理する。
  • その持分決済型の株式に基づく報酬取引を、付与された資本性金融商品の条件変更日現在における公正価値により測定し、そのうちすでに財やサービスを受け取っている部分は、資本の増加として処理する。
  • 現金決済型の株式に基づく報酬取引に係る負債は認識を中止し、その認識中止額と資本の増加額の差額を、ただちに当期純利益に含めて認識する。

本改訂は、条件変更により権利確定期間が延長または短縮される場合、また、条件変更が権利確定後に生じた場合にも、これらの会計処理を適用することを明確化している。

また、本改訂は、現金決済型の株式に基づく報酬取引が取消され(または清算され)(権利確定条件を満たさないことにより失効する場合を除く)、その代替として資本性金融商品が付与されたと企業が判断する場合にも、これらの会計処理を適用することを明確化している。

移行措置

本改訂は、以下の移行措置に従い将来に向かって適用される。過年度の修正再表示は求められない。

  • 現金決済型の株式に基づく報酬取引の測定に関する改訂は、企業が本改訂を初めて適用する日(以下、当初適用日)に権利が未確定の株式に基づく報酬取引、及び当初適用日以降に付与された株式に基づく報酬取引に適用する。当初適用日に権利が未確定の株式に基づく報酬取引に係る負債は当初適用日に再測定し、再測定による影響額を当初適用日が含まれる報告期間の期首剰余金に含めて認識する。
  • 源泉徴収義務に関する純額決済条項を有する株式に基づく報酬取引に関する改訂は、当初適用日に権利が未確定の(または、権利は確定しているが行使されていない)株式に基づく報酬取引、及び当初適用日以降に付与された株式に基づく報酬取引に適用する。本改訂により現金決済型から持分決済型となった、権利が未確定の(または、権利は確定しているが行使されていない)株式に基づく報酬取引について、当初適用日に株式に基づく報酬取引に係る負債の帳簿価額を資本に振り替える。
  • 現金決済型から持分決済型への分類変更となる株式に基づく報酬取引の条件変更に関する改訂は、当初適用以降に生じた条件変更に適用する。

これらの移行措置にかかわらず、遡及適用に必要な情報が後知恵(hindsight)なしに入手できる場合には、IFRS第2号第53項から59項の既存の移行措置の規定及びIAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」の規定に従い、本改訂を遡及適用することができる。

適用日

本改訂は、2018年1月1日以降に開始する会計年度より適用される。早期適用は認められる。早期適用をした場合にはその旨を開示する。

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