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IFRS実務トピックニューズレター~銀行業~(2016-01)予想信用損失に関する最近の論点とIFRS第9号の影響に関する開示

IFRS実務トピックニューズレター~銀行業~(2016-01)

「IFRS実務トピックニューズレター~銀行業~」(2016-01)は、KPMG IFRG Limitedが発行したThe BANK STATEMENT(銀行向けIFRS関連ニュースレター)の2016年Q1版をベースに作成しています。

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本ニューズレターでは、予想信用損失に関する最近の論点及びIFRS第9号の影響に関する開示について記載している。

1. 予想信用損失に関する最近の論点

IFRS第9号の発効まで残り2年を切った今、ほとんどの銀行が、発生損失の測定に基づく「旧式」の減損モデルを、(たとえ損失が発生するのが遠い将来であるとしても)予想信用損失(ECL)を測定する新モデルに置き換えるといった、導入プロジェクトにおいて最も難しく手間のかかる作業に取り組んでいる。銀行は、開始当初より、莫大な労力とシステム及びモデルの適用が必要になると認識していた。しかし、2015年12月に金融商品の減損に関するIFRS移行リソース・グループ(ITG)が、経済シナリオの使用に関するIFRS第9号の要件について詳細に議論しており、それは、モデルの洗練性に関する期待を何段階も高めるものであった。

定義によれば、ECLの見積りには、起こり得る将来の経済状況及びそれらの状況がポートフォリオの信用の質にどのような影響を及ぼすかについての見通しが必要となる。また、見積りの質は、シナリオ分析の精度並びにモデル及びインプットの複雑性を高めることによって常に改善可能であるとの主張もある。他方では、こうした考え方は、理解し難い情報を生み出し、その実効性や有用性が疑問視される不透明かつ扱いにくいモデルにつながると考える意見もある。どちらの見解も完全に正しいとも間違っているとも言えないというのが賢明な見方であろう。

ITGは、2015年12月の会合において、12ヵ月から全期間のECLへのエクスポージャーの移動についての評価及びそれら損失の測定が、合理的かつ裏付可能な情報(過大なコスト及び労力をかけずに入手可能な、複数の経済シナリオ及びそれらの起こり得る可能性を表す幅に関する情報)に基づくものになると期待していることを明確にした。

(1)IFRS第9号は何を要求しているのか

ECLは以下を反映するように測定される。

  • 異なる結果の範囲を検討することによって導き出される、偏りのない、確率加重された見積り
  • 貨幣の時間的価値
  • 報告日現在で過大なコスト及び労力をかけずに入手可能な、過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測に関する合理的かつ裏付可能な情報※1

これらの簡潔な用語が持つ会計上の意味合い、特に将来の経済状況に関しては、難解である。将来の経済シナリオ及びそれが及ぼすポートフォリオの将来の信用状況に対する影響は、「将来を見据えた情報」として言及されている。この情報は、以下でなければならない。

  • 偏りがなく、確率加重されている
  • 合理的かつ裏付可能である


※1 IFRS第9号第5.5.17項を参照。

(2)偏りがなく、確率加重された情報

「偏りがない」とは、通常、中立かつ均衡のとれた見積り(必要以上に慎重でもなければ、必要以上に楽観的でもない)を意味すると理解されている。IFRSの「財務報告に関する概念フレームワーク」が言及している※2中立な情報は以下のとおりである。

「中立的な描写は、財務情報の選択または表示に偏りがない。中立的な描写は、財務情報が利用者に有利または不利に受け取られる確率を増大させるような、歪曲、ウェイトづけ、強調、軽視、その他の操作が行われていない。中立的な情報とは、その情報に目的がないことや行動に影響しないことを意味しない。その反対に、目的適合性のある財務情報は、定義上、利用者の意思決定に相違を生じさせることができるものである」

バーゼル銀行監督委員会は、信用リスク及び予想信用損失会計に関するガイダンス※3(GCRAECL)において、将来を見据えた情報の偏りのない考慮とは、推測ではないという見解を示しており、将来のシナリオを検討し、事象が発生した場合または発生しない場合に想定し得る結果及びその結果としてECLの測定に及ぼす影響を考慮するために、経営陣が経験に基づく与信判断を行うことを期待している。

ECLを測定するに当たって、企業は起こり得る全ての結果について特定する必要はなく、その代わりに、起こり得る可能性について、異なる結果ごとに加重すべきであるとしている。定式化する方法及び確率加重によって起こり得る結果は、重要な判断分野となる。結果は、各銀行のポートフォリオ、入手可能な情報の水準及び経済状況の将来の展開の可能性に関する経営陣の見通しに応じて、銀行ごとに異なる可能性がある。

※2 「概念フレームワーク」QC14項を参照。
※3 ウェブサイトにて入手可能

(3)合理的かつ裏付可能な情報

「過大なコスト及び労力」というIFRS第9号の概念は、「合理的かつ裏付可能な情報」という関連する概念と結び付けられている。将来の期間が長くなればなるほど、詳細な情報を入手できる可能性は低下し、信用損失の見積りにおける判断の度合いは増加する。

減損は、企業特有の測定であるため、各企業は、将来を見据えた情報を特定するために企業特有の具体的なアプローチを設定しなければならない。ITGは、ECLが予想損失(予想外の損失ではない)を反映すべきであり、よって、ストレス・テストのように悪化シナリオに対する偏りを生じないものであると指摘した。

重要な点は、企業が合理的な見積りを行う際に用いる基礎が不十分である場合に、そうした情報が合理的かつ裏付可能であるとみなされないことである。ただし、銀行はこれを狭く解釈することを期待されているのではなく、関連する全ての合理的かつ裏付可能な情報を使用することができるシステム及びプロセスを構築することが期待されている。

(4)12月のITG会議による明確化

2015年12月の会議でITGは、企業がECLの測定において、将来を見据えた情報をどのように取り込むか(特に、企業が1つの将来の経済シナリオを用いることができるか、または複数の経済シナリオを取り込まなければならないのか、複数の経済シナリオを取り込まなければならない場合にはどのように取り込むのか)についてのガイドラインを提示することを求められた。

ITGは、ECLの見積りが、単に1つのマクロ経済シナリオ(例えば、1つの最善の見積り)を利用する場合、または複数の当事者のインプットの最善の見積りの平均値を使用する場合、もし可能性のある複数のシナリオにおけるマクロ経済指標と関連する信用損失との間に非線形の関係が存在すると、IFRS第9号の目的を達成できないことに着目した。本質的にECLは、経済変数の上方遷移及び下方遷移に比例的には反応しない。

ITGがIFRS第9号の要件の影響を強調した結果、将来を見据えた単一のシナリオを使用する計画を立てていた企業は、その計画を再考しなければならない可能性がある。

(5)非線形の問題

ITGは、将来を見据えた単一の経済シナリオ(無調整)を使用することにより、ECLの測定に内在する非線形または特有のリスクを取り込むことができなくなることを強調した。マクロ経済状況(例えば、GDP成長率、失業率、不動産価格等)の変化とECL算定において使用するパラメータ(例えば、デフォルト確率(PD)及びデフォルト時損失率(LGD))の変動の関係が、通常、直線的ではなく、増加と減少の関係も対称ではないため、この問題が提起されている。これは、特に悪化シナリオ(すなわち、状況が悪化する場合)に関係している。

例えば、以下の図において、GDP成長率の0.5%ポイントの下落(基本的なケースである1.0%から0.5%への下落の場合)は、PDの15%ポイントの増加(15%から30%へ増加)につながる。しかしGDP成長率の0.5%ポイントの増加(1.0%から1.5%へ増加)は、PDの僅か7.5%ポイントの減少(15%から7.5%へ減少)につながる。

PDモデルにおける非線形

実際、単一の予測シナリオを使用することは、経済状況を予測するための感応度の非線形分布と、そのモデルに使用されるさまざまなパラメータ(すなわち、PDとLGD)に内在する非線形の両方を無視することとなる。

一般に、非線形の論点は、多くの問題を提起している。例えば、グローバル・ベースで1つのシナリオを保持しながら、PDモデルにおける非線形にどのように対応するか、特定の場所では手作業による何らかの調整が必要となるのか、それは適切か、実行可能か、重要か、どうのように管理されるのか、過去または予測情報に反映されている以外のより極端な事象または特有の事象にどのように対処するか(例えば英国がEUを離脱する場合、または、特定の地域において、国と国との間で政治的かつ軍事的緊張が著しく高まっている場合)、といった問題である。

(6)大きなジレンマ:モデルの洗練性vs理解可能性

将来を見据えたシナリオを創出する、全ての状況に通用する単一のアプローチは存在しない。また、必要とされるモデルの洗練性は、企業及びアプローチが変われば、異なるであろう。GCRAECLにおいて、バーゼル委員会は、銀行が、そのエクスポージャーの規模、複雑さ、構造、経済的重要性及びリスク・プロファイルに見合った健全なECL手法を採用することが必要となることを確認した。通常、ポートフォリオまたは企業が大規模かつより複雑であればあるほど、また、予想されるECLがより多額かつより変動し易いほど、企業のアプローチはより高度化されなければならない可能性がある。したがって、特定の状況においては、比較的簡便なアプローチで十分であり、それ以外の場合には、より複雑かつ高度な知識を要するアプローチが必要となる。

ただし、銀行またはポートフォリオの規模及び複雑さは、将来を見据えた情報を取り込むための適切な手法を選定する上で検討される唯一の要素ではない。その他の考慮すべき要素は、商品の複雑性、規制目的で使用されるモデルの洗練性(先進的な規制モデルを使用する銀行が、ECLの算定において簡便なモデルを使用することは正当化されにくい)、過去の情報の入手可能性及び重要性の検討である。

KPMGの経験では、業界内で最もよく議論される可能性のあるアプローチは、通常、以下のように要約できる。

  • オーバーレイ・アプローチ(overlay approaches)
  • シナリオに基づくアプローチ(scenarios-based approaches)
  • モンテ・カルロ・シミュレーション


実際には、上記の3つのアプローチを組み合わせて使用する可能性もある。モデルの洗練性の水準は、著しく異なる可能性があり、以下の図がこれを示している。

高度に洗練されたモデルの欠点となり得る点は、当該モデル及びインプットの使用に際して、内部統制を整備及び運用するために、また、上級経営陣、監査委員会、アナリスト及び投資家に当該モデルを説明するために、より莫大な労力を必要とする点である。

(7)単純化の幻想

1つのシナリオを作成することは、よりシンプルかつ運用面ではさほど複雑でないとみなされる場合がある。というのも、その他のシナリオの明確な確率加重を必要としないためである。ただし、この単純さは、大部分が幻想にすぎない。なぜなら、良識ある予測の専門家は、「最善の見積り」を公表する前に、必然的に複数の将来の結果の可能性を検討しなければならないし、それが実際に発生する可能性が100%ではないことを認識しているからである。

実際、IFRS第9号の目的は、ECLの偏りのない確率加重された見積りを達成することであるため、企業はさまざまな結果の可能性を考慮しなければならない。さまざまな結果の可能性を考慮することは(起こり得る可能性の低いシナリオを取り込むためにオーバーレイを適用するか、またはさまざまな感応度をPDに組み込むかに関わらず)、依然として非常に高度な知識の水準が必要となる。

(8)シナリオはいくつ必要か?

複数のシナリオを使用することは、IFRS第9号の精神とより一致しているかのように思われる。ただし、このアプローチもまた、その導入をめぐって、問題を提起することになる。例えば、シナリオはいくつ必要なのか、どのように代替シナリオを決定するのか、シナリオに対してどのように可能性を割り当てるか、何らかの調整が必要か、といった問題である。

最低限、代表的な3つのシナリオを用いることによって明確にモデル化できるはずであるというのが、多くの意見である。具体的には、いわゆるベース・シナリオ、アップサイド・シナリオ(例えば、選択されたパラメータ(GDPや失業率)が期待した以上によい業績となる場合)及びダウンサイド・シナリオである。ただし、特定の事実及び状況によっては、さまざまなシナリオが想定され、その結果に偏りがないことを確実にするために、より多くのシナリオを用いることが適切な場合もある。銀行は、自行の経済予測を用いるか、第三者機関による見積りを用いるかに関わらず、可能性のある全てのシナリオを別個にモデル化する必要はなく、極端なシナリオに対して過度に加重することやバイアスをかけることを回避しなければならない。

一般に、ベース・シナリオでは、その他の内部報告(例えば、予算、資本計画及び予測)に用いるインプットと整合したインプットを用いなければならない。ただし、それらの見積りが、将来の業績に対する経営陣の目標を表すものであり、将来の経済状況の現在における中立の見解を表すというよりむしろ、楽観的傾向を内包しているか、または時代遅れになってしまっている場合、適切な調整が必要となる。

(9)ブラック・ボックス

計画されたアプローチの中で、計算的に最も洗練されたアプローチは、非常に多くのシナリオ(例えば、モンテ・カルロ・シミュレーション)の導入に基づくものである。これらのモデルの潜在的な利点は、起こり得る結果がより広範囲にわたって反映されることである。ただし、これらは高度な作業を必要とするため、導入に費用がかかる可能性がある。

モデル内にこうした複雑な多変数の分布関数を構築することにより、より多くの客観性が提示されるように思われる。ただし、これらの構築の妥当性は、そのプロセスに専門的判断を取り込む経営陣の能力に依拠しており、またそうした経営陣の能力によって補完することが必要な場合もある。さもなければ、大量のデータを利用するこれらの高度に洗練されたモデル(航空機の「ブラック・ボックス」のようなもの)は、IFRS第9号の目的を満たさない可能性がある。また、経営陣はそのモデル及びそれらの仮説を理解し、これを明確にすることができなければならない。これは、経営陣にとっても重要な課題であり、適切なガバナンス及び統制が必要となる。

(10)ガバナンス及び有効なコミュニケーション

IAS第39号の発生損失モデルは、正しいにせよ間違っているにせよ、常に「少なすぎるし遅すぎる」減損会計と結び付けられる。予想信用損失モデルをうまく、かつ透明性を確保しつつ導入することは、銀行の財務諸表に対する信頼を高めるために極めて重要である。したがって、銀行は、適切なレベルでの洗練されたモデルの構築、及びモデル構築に係る内部統制に投資しなければならない。また、銀行は、規制当局、投資家及びその他の市場関係者に対して、このことを明確に伝えられるようにしなければならない。

各銀行の経営陣の判断を反映するECLにおいて企業特有の見積りを重視するIFRS第9号は、多くの点において、規制資本要件(複雑でオーダーメードなモデルからの移行を目指している)に真っ向から反対している。しかしながら、経営陣が減損損失と将来見通しを整合させようとする場合、予想損失モデルには強大な力がある。とはいえ、予想信用損失会計には、適切なガバナンスに関するより多くの労力が必要であり、さらに市場関係者との明確なコミュニケーションも必要である。これらの労力は、どれくらい多くの経済シナリオがブラック・ボックスにおいて検討されているかよりも、IFRS第9号の成功により大きな関係を与える可能性がある。

2. IFRS第9号の影響に関する開示

(1)開示の詳細さは、銀行ごとに著しく異なる

IASBは、2014年7月にIFRS第9号を公表し、2018年1月1日以降開始する事業年度から適用される。IFRS第9号は早期適用が認められているが、地域によっては(例えば、EU)、適用可能となる前に承認されなければならない場合がある。

IFRS第9号の影響を理解することに、財務諸表利用者の関心は高くなっている。以下では、欧州銀行の数行がこのニーズにどのように対応しているかについての考察を示している。

(2)銀行は何を開示する必要があるか?

IAS第8号は、公表されているものの発効されていない新基準または解釈指針について、それらをまだ適用していない企業に、その事実及び適用年度における潜在的な影響の評価に関連した既知の情報または合理的に見積り可能な情報を開示するよう求めている※4

また、開示強化タスクフォース(EDTF)は、IFRS第9号のECLモデル導入に係る2015年11月の報告書※5で、「利用者にとっては漸進的かつ段階的なアプローチが最も有用である」と述べており、このアプローチというのは、「(a)定性的であれ定量的であれ、提供される情報のタイミングを、情報の信頼性よりも重視し、そして(b)開示内容及び範囲は、徐々に拡充していく」ものであることを意味すると追加している。


※4 IAS第8号第30項を参照。
※5 ウェブサイトにて入手可能

(3)銀行はこれまで何を開示しているか?

KPMGは、IFRSに基づいて開示を行っている8つの主要な欧州の銀行の2015年12月31日現在の決算書を調査した。

どの銀行もIFRS第9号に関する何らかの情報を提供しているが、詳細については、銀行ごとに著しく異なっていた。KPMGは、以下の図に示されているとおり、この開示の内容を8つのカテゴリーに区分している。

(4)各銀行が開示している内容

(5)IFRS第9号の規定の要約

調査対象に含まれた全ての銀行は、IFRS第9号の主要な規定について詳述していた。例えば、IFRS第9号は、新たな金融資産及び金融負債の分類及び測定、並びに金融資産の減損及びヘッジ会計に関する新規定を導入している。いくつかの銀行は、分類及び測定に関する事業モデル及びSPPI要件、並びに新しい予想損失減損モデルのステージ区分を含む、より詳細な説明を提供していた。

(6)導入スケジュール

2つの銀行が、IFRS第9号導入プロジェクトのスケジュールの概要を開示していた。2行とも2016年から2017年にかけて導入作業を実施し、2017年に並行導入を行うことを計画している。1行は、2015年は、主に分類及び測定要件の影響の評価に尽力し、2016年の計画では主に減損モデルの策定に焦点を当て、同年末までに完了を目指すと説明していた。もう1行は、2015年中は、分類及び測定並びに減損要件の影響の評価に焦点を当てるというプロジェクトを開示していた。

(7)プロジェクト・ガバナンス

調査対象の銀行の多くは、IFRS第9号の導入に特化したインフラを整備していることを開示していた。これには通常、中央管理チーム、数多くのワーキング・グループ及びワーク・ストリームが含まれる。銀行の中には、ガバナンスの観点からそのプロジェクトがどのように構築され、さまざまなタスクが作業グループにどのように割り当てられるかについて説明した銀行もあった。

3つの銀行が、このプロジェクトは、各銀行のリスク及び財務部門が共同で主導していると開示していた。

(8)ヘッジ会計の選択

IFRS第9号には、IASBの動的リスク管理の会計処理に関するプロジェクトの成果物である基準書が有効になるまで、企業に対し、新しい一般的なヘッジ・モデルの適用を延期することを認めるという会計方針の選択が含まれている。3つの銀行は、この選択の存在について言及していた。3行のうち1行は、IAS第39号に基づくヘッジ会計を継続的に適用する予定であると開示していた。他の2行は、引き続き選択肢を検討していると開示していた。

(9)IFRS第9号による分類変更

1つの銀行が、IFRS第9号への移行により、金融資産の分類及び測定がどのように変更されるかについて開示していた。

  • IAS第39号に基づき貸付金及び債権に分類される顧客及び銀行に対する貸付金及び債権、並びにトレーディング目的ではないリバース・レポ契約は、IFRS第9号のもとでは、償却原価で測定される
  • 満期保有目的に分類される負債証券は、償却原価で測定される
  • 売却可能に分類される負債証券は、主として、償却原価またはFVOCIで測定され、ごく一部は、契約上のキャッシュ・フローの特性またはそれらが保有されている事業モデルのいずれかにより、FVTPLで測定される
  • 売却可能に分類される財務省短期証券及びその他の適格手形は、それらが保有されている事業モデルに応じて、償却原価またはFVOCIで測定される
  • FVTPLで測定する区分に指定された金融資産は、それがIFRS第9号のもとで要求されているか、あるいはその指定が継続するかのいずれかにより、引き続きFVTPLで測定される
  • 全ての持分証券は、引き続き公正価値で測定される。大部分は、公正価値の変動が純損益に表示され、一部は、公正価値の変動がその他包括利益に表示される

(10)分類及び測定

2つの銀行が、この分野における重要な影響は予想していないと記載し、金融資産の大部分の測定の基礎は変更すべきではないと記載していた。

(11)ECL

調査対象の銀行の多くは、ECLモデル導入の何らかの方向性効果を提示していた。大半は、減損の合計水準が増加または大幅に増加する結果となるであろうことを報告していた。1つの銀行が、ボラティリティの増加を予想していると開示していた。また、1つの銀行では、資本への影響は、CET1(普通株式等Tier 1)の算定に含まれる「減損に対する予想損失の超過分」によって軽減されるであろうことを報告していた。

定量的情報を提示した銀行はなかった。ただし、1つの銀行は、2017年度の年次決算書がリリースされるまでにIFRS第9号の適用に関する定量的情報を開示することを計画していると記載していた。

(12)規制モデルのレバレッジ

2つの銀行が、IFRSに基づくECLを算定するためにバーゼルECLモデルを活用することを意図していると記載していた。2行とも、IFRS第9号と規制要件とは異なることに言及していた。

1つの銀行は、「債務不履行」の定義は、規制上の定義が180日超延滞とされるリテール・ポートフォリオを除き、可能な限り規制上の定義に合わせる意向であることを開示していた。

(13)その他の情報

1つの銀行は、IFRS第9号の減損規定の適用に関するさらなる見識を示していた。これには、貸出金が信用減損しているか否かの評価基準、90日超延滞となっている貸出金は債務不履行に該当するという反証可能な推定、契約条件の変更による影響、信用リスクの著しい増加、IFRS第9号の債務不履行の定義を規制当局の定義と一致させること、及び規制当局の要件との相違が含まれる。

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