KPMGベトナムニューズレター 2016年5月号 - 1 | KPMG | JP
close
Share with your friends

KPMGベトナムニューズレター 2016年5月号 - 1

KPMGベトナムニューズレター 2016年5月号 - 1

2015年11月20日、国会はLaw on Accounting 03/2003/QH11(2003年会計法)に代わり、2017年1月1日より有効となるLaw on Accounting88/2015/QH13(2015年会計法)を可決しました。

関連するコンテンツ

2003年会計法からの主な変更点は以下のとおりです。

1. 公正価値会計の導入

2015年会計法では、資産負債の当初認識時は取得価格で評価し、市場価格と連動して価値が変動しかつ信頼できる価値測定が可能な資産負債については、その後財務報告日時点の公正価値で再評価されることになります。これは、取得価格を基本とし、その他の法規制に規定が無い限り再評価を認めなかった2003年会計法との根本的な相違点です。

2015年会計法では公正価値を、測定日時点で資産を売却するために受け取るであろうまたは負債を移転するために支払うであろう市場価格に基づく価値と定義しています。

また、金融商品、実際の為替レートで換算される外貨建貨幣性項目、常に価値が変動する性質のその他の資産負債などを含む、財務報告日に公正価値で測定・認識される資産負債の範囲も示されています。
資産負債の公正価値評価においては、検証可能な根拠が必要となります。信頼できる価値を決定できない場合、これらの資産負債は取得価格で認識しなければなりません。財政省は、公正価値で測定・認識する資産負債に関する会計処理及び測定方法のガイダンスを発行します。

2. 実質優先主義の導入

2015年会計法では、財務諸表は取引の形式ではなく実質を反映して作成及び表示されなければならないと規定されています。これは、国際会計基準(IFRS)における重要な原則の1つであり、過去に発行された2003年会計法、会計基準及び関連規制には含まれていませんでした。

当該実質優先主義が法律に含められたことは、経済実態と異なる契約形態を取る会計取引に対して非常に大きな影響があります。例えば経済実態はファイナンスリースだが、契約上ファイナンスリースになっていないような場合などです(リスクと経済的便益の全てが借手に移転するにもかかわらず契約書にはファイナンスリースではなくオペレーティングリースのように書かれている)。また、新しく発行された基本法の下位規則の整備が追いついていない場合、企業は新しい基本法の要求を実質優先主義に基づき直接適用すべきかそれとも下位規則の整備を待つべきか、といった問題が生じる可能性があります。

3. 適用される機能通貨及び為替レート

2003年会計法と同様、2015年会計法も機能通貨を原則VNDと定めています。ただし代金の受け取り及び支払いを主に特定の外貨で行う企業は、会計上の機能通貨に当該外貨を選択することもできます。

2015年会計法では、経済的にも財務的にも外貨建ての取引については、企業は取引日の実際の為替レートでVNDに換算しなければなりません。2003年会計法では実際の為替レートまたはベトナム中央銀行が公表する為替レートのいずれかの選択適用とされていました。

2015年会計法では、企業は財務諸表の表示通貨のVNDへの換算についても、実際の為替レートを適用することが要求されます。2003年会計法ではベトナム中央銀行が公表する為替レートとされていました。

4. 会計調査

2015年会計法は、会計調査決定権限及び会計調査実施権限を有する機関の詳細を規定しています。まず、会計調査決定権限を有する機関は財政省となります。その他の省庁、政府機関、中央機関は、管轄する企業の調査決定権限を有し、地方においては企業の属する省の人民委員会が調査決定権限を有します。調査実施権限を有する機関は、上述の機関、国家査察機関、財政査察機関、公監査機関及び税務当局となります。2003年会計法同様、2015年会計法でも、会計調査は法律に規定される管轄当局による決定下においてのみ実施されます。しかし2003年会計法に規定されていた、同一の内容に対しては1年に1回までしか調査を受けないとの規定は2015年会計法で削除されました。会計調査期間は調査権限を有する当局によって決定されますが、労働法に定められた休日・祝日を除き最長10営業日までとされています。調査事象が複雑で状況確認、判断、結論に至るまでに時間がかかる場合には調査期間の延長が可能ですが、最長で労働法に定めた休日・祝日を除き最大5営業日までとされています。

2015年会計法では、企業は、資産が適切に保全・使用され、財務諸表が合理的且つ適切に成されるように、業務が正当な手続及び承認の下に行われ記録されることを保証する内部統制を構築することが求められます。同法では内部監査の役割も次のように示しています。

  • 内部統制の有効性及び効率性の検証及び評価
  • 承認前の管理会計報告書及び財務情報の信頼性の調査及び検証
  • 法律及び会計基準の遵守、規程やマニュアルの運用、決議及び経営決議の検証
  • 内部統制の不備及び経営者による不正の発見、会社資産の保全
  • 経営管理の改善の提案等

これらの内容は2003年会計法には規定されていませんでしたが、1997年10月28日付の財務省発行のDecision 832-TC/QD-CDKTに規定された国営企業向けの内部監査規制と整合しています。

5. 会計関連サービスに関する規定

2003年会計法では、会計業務資格者に関する要件のみ規定されていましたが、2015年会計法では会計資格者及び会計業務資格者に関する要件が規定されています。

2003年会計法において要求されていた会計や財務に関する最低5年間の実務経験は要求されません。なお、会計資格者は監査業務を実施する資格は無いことに留意する必要があります(公認会計士とは異なります)。

その他2015年会計法では、会計関連サービス業資格を取得するための条件や、同資格を取得するための申請書類についても規定しています。

具体的には、二人以上有限会社、パートナーシップもしくは個人事業者の形態であり、2人以上の会計業務資格者を有することが求められます。これらの要件は2003年会計法においては要求されていませんでしたが、会計業務に関するガイダンス2007年6月27日付のCircular72(Circular No. 72/2007/TT-BTC)と整合しています。

またCircular72において定められている民事責任能力要件や継続的研修制度と別に、2015年会計法では会計サービスを提供する個人の登録要件として、大学卒業後最低36ヶ月の会計及び財務に関する実務経験が必要と規定されています。

6. その他の変更点

IFRSと整合するよう「貸借対照表」の呼び名が「財政状態計算書」に変更されました。
会計基準と共に適用される規定として、会計専門家のための倫理規則が追加されました。
会計専門家のための倫理規則は、経理職員、会計業務資格者、会計サービスを提供する企業及び個人に適用される倫理に関する規則と原則から構成されます。

会計基準と倫理規定は、国際的な基準を参考に、ベトナムの固有の状況に適合するよう財政省によって策定されています。

企業が財務諸表を作成・発行する際に、概数及び単位の数字の使用が認められるようになりました。単位の数字の使用については、2004年5月31日に政府より発行された会計法のガイダンスであるDecree129/2004/ND-CPにも規定されていましたが、連結財務諸表または従属会計主体をまとめた合算財務諸表のみが対象でした。
今回の追加により、財務諸表の数値が9桁以上の場合には、“千”あるいは“百万”単位の数字を使用することが可能となります。

いくつかの禁止事項に関する規定が追加されました。主な追加事項は以下のとおりです。

  • 会計資格及び会計業務資格の賃借及び名義貸し
  • 二重帳簿、同一期間における整合しない複数の財務諸表の公表
  • 会計サービスの提供がライセンス上認められない企業または会計サービスの提供を止めた企業が“会計サービス”という文言を企業名に含めること

2015年会計法は2017年1月1日より有効となります。2015年会計法における公正価値主義の導入及び実質優先主義の適用に伴い、国際的な会計慣行に近づくことになります。しかし、これらの会計原則を適切かつ整合的に適用するために、財政省からの公正価値の認識・測定について詳細なガイダンスの提供が待たれます。現在のところ、財政省からは公正価値主義についての通達Circular210/2014/TT-BTCが発行されています。当該通達に規定された公正価値主義は2015年会計法が有効となるタイミングで同時に有効となります。2015年会計法においては、国家の財務諸表や内部統制、会計の透明性を高めることを意図した会計調査も規定されています。

KPMGベトナムニューズレター/TAX AND CORPORATE SERVICES

お問合せ

 

RFP(提案書依頼)

 

送信