「日本再興戦略2016」-第4次産業革命に向けて-を閣議決定 | KPMG | JP

「日本再興戦略2016」-第4次産業革命に向けて-を閣議決定

「日本再興戦略2016」-第4次産業革命に向けて-を閣議決定

会計・監査ニュースフラッシュ - 2016年6月2日、「日本再興戦略2016」-第4次産業革命に向けて-が閣議決定されました。「日本再興戦略2016」では、コーポレートガバナンスのさらなる強化が掲げられており、鍵となる施策には、企業と投資家の建設的な対話の基盤となる企業の情報開示の実効性・効率性の向上等、株主総会プロセスの電子化等が含まれています。

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1.日本再興戦略2016の基本的な考え方

「日本再興戦略2016」は、「日本再興戦略」改定2015に続き、成長戦略第二ステージとして位置づけられ、回り始めた経済の好循環を、持続的な成長路線に結び付け、「戦後最大の名目GDP600兆円」の実現を目指している。
 
しかし、我が国は、世界に先駆けて本格的な人口減少社会に突入し、需給両面で大きな課題に直面している。世界では、先進国経済は新たな需要創出も潜在成長力も伸び悩む「長期停滞論」が指摘され、好調であった中国等の新興国経済も勢いを失っているなど、先行きに不透明感が高まっている。
 
これを乗り越えて、GDP600兆円を実現するためには、企業が、豊富な内部留保を設備・イノベーション・人材といった未来への投資に積極果敢に振り向けることが不可欠であるとしている。
 
「日本再興戦略2016」では、上記のような基本的な考え方のもと、以下の鍵となる施策を掲げている。
 
日本再興戦略2016における鍵となる施策

1. GDP600兆円に向けた「官民戦略プロジェクト10」
1-1 新たな有望成長市場の創出
(1)第4次産業革命(IoT、ビッグデータ、人工知能)
(2)世界最先端の健康立国へ
(3)環境・エネルギー制約の克服と投資拡大
(4)スポーツの成長産業化
1-2 ローカルアベノミクスの深化
(5)既存住宅流通・リフォーム市場の活性化
(6)サービス産業の生産性向上
(7)中堅・中小企業・小規模事業者の革新
(8)攻めの農林水産業の展開と輸出力の強化
(9)観光立国
1-3 国内消費マインドの喚起
(10)官民連携による消費マインドの喚起策

2. 生産性革命を実現する規制・制度改革
(1)新たな規制・制度改革メカニズムの導入
(2)国家戦略特区の活用(構造改革の突破口)
(3)未来投資に向けた制度改革
 
3. イノベーションの創出・チャレンジ精神にあふれる人材の創出
(1)イノベーション、ベンチャー創出力の強化
(2)経済成長を切り拓く人材の育成・確保
(3)成長制約打破のための雇用環境整備、多様な働き手の参画
 
4. 海外成長市場の取り込み
 
5. 改革のモメンタムの活用(「改革2020」プロジェクトの推進)

本ニュースフラッシュでは、上記の鍵となる施策の中でも、会計監査に関連する施策、具体的には、「2.生産性革命を実現する規制・制度改革」に含まれる「(3)未来投資に向けた制度改革」について概要を記載する。

2.未来投資に向けた制度改革

アベノミクス第1ステージより、コーポレートガバナンス改革は、成長戦略の最重要課題に位置付けられており、「日本再興戦略2016」においても、その位置付けに変わりはないとしている。GDP600兆円経済の実現に向けた成長市場が顕在化し、第4次産業革命という移り変わりが早い時代を迎えた今こそ、「攻めの経営」が求められ、「企業と投資家の建設的な対話」の実効性を上げていくことが求められており、関係者が、その重要性を認識し、様々な取組を重ねていくことが必要であるとしている。

コーポレートガバナンス改革を「形式」から「実質」へと深化させていくためには、機関投資家サイドから、上場企業に対する働きかけの実効性を高めていくことが有効であり、投資家には、企業側に「気づき」を与える対話を促していくとしている。あわせて、最高経営責任者(CEO)の選解任プロセスや取締役会の構成・運営・評価等に係る上場企業の取組状況を把握、公表していくこと等を通じ、コーポレートガバナンスの実効性向上に向けた上場企業による取組を促していくとしている。

そうした取組を支える基盤として、企業の情報開示の実効性・効率性の向上や株主総会プロセス電子化等を着実に進めていくとしている。企業の情報開示については、「スチュワードシップ・コード」に掲げる企業と投資家の対話を促進する観点から、これまでの検討を土台にしながら2019年前半を目途として、国際的に見て最も実効的・効率的な開示の実現及び株主総会日程・基準日の合理的な設定のための環境整備を目指すこととするとしている。

このための具体的施策として、以下の4つの項目が掲げられている。

(1)実効的なコーポレートガバナンス改革に向けた取組の深化

1)スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議における取組

  • 機関投資家に対し、企業側に「気づき」を与える対話を促すとともに、顧客・受益者の利益に沿った議決権行使等が確保されるよう、適切な利益相反管理の在り方について検討する。
  • 企業が、資本政策の基本的な方針も含めた経営方針、経営戦略・計画を株主に分かりやすく公表することや、英語により情報発信することなど、対話の基礎となる企業の取組を促す。
  • 最高経営責任者(CEO)の選解任や取締役会の構成・運営・評価等に関する上場企業の取組状況を把握、公表するなど、経営陣や取締役会がその役割・責務を実効的に果たしていくための取組を促す。
  • 政策保有株式の縮減に向けた上場企業の対応状況について分析し、状況をモニタリングしていく。
  • フォローアップ会議における検討や取組の内容を、海外に向けて、適時かつ効果的に情報発信していく。


2)持続的な企業価値の向上、中長期的投資の促進

  • CEOの選解任プロセスを含めて、取締役会のモニタリング機能の強化を目指す。
  • 情報開示を充実させ、株主の議案検討と対話の期間を確保する方策等について、更なる検討や取組を進め、対話型株主総会プロセスの実現を目指す。
    • 株主総会の招集通知添付書類を原則電子提供とする方向で、新たな制度の整備に向けた検討を進める。
    • 株主総会における議決権行使プロセス全体の電子化について、a.議決権行使プロセスのワンストップ化、b.議決権の電子行使に関するプラットフォーム同士の連携、c.当該プラットフォームの適正かつ円滑な利用手続の在り方等について、年度内にその検討状況等を確認するための会合を開催する。
    • 総会日や議決権行使の基準日に係る国際的・実務的対応を踏まえた設定の在り方について、企業・投資家・対話支援産業などの関係者の意識と行動変化を促す。
    • 対話型株主総会プロセスの実現に向けた関係者による取組の進展について内外に情報発信していく。
  • 長期的な経営戦略に基づき人的資本、知的資本、製造資本等への投資の最適化を促すガバナンスの仕組みや経営者の投資判断と投資家の評価の在り方、情報提供の在り方について検討を進め、投資の最適化等を促す政策対応について年度内に結論を出す。

(2)コーポレートガバナンスの実効性を確保するための市場構造の実現

以下の点について金融審議会で検討を行うとともに、証券市場のルールをめぐる国際的な議論にも貢献していく。

  • 実効的なコーポレートガバナンスの確保等に資する取引所の自主規制機能の発揮の在り方
  • 公平かつ効率的な価格発見機能を阻害していないかなどの指摘があるアルゴリズムを用いた高速取引が、市場の公正性・透明性・安定性等に及ぼす影響

(3)情報開示、会計基準及び会計監査の質の向上

1)企業の情報開示の実効性・効率性の向上等

  • 事業報告等と有価証券報告書の一体的開示、並びに関連する年度の決算短信や監査報告の在り方について関係省庁による考え方等を整理し、開示内容の更なる制度的な共通化が可能な項目があれば、必要な作業内容と期限を含め、具体的な共通化の進め方について、本年度中に結論を得る。
  • 四半期開示について、決算短信の見直しの内容、その影響や効果の評価・分析と、今後の必要な改善点等の把握を本年中より順次開始する。
  • 対話を重視する企業が株主総会の日程や基準日を欧米諸国等の状況と比較しても合理的かつ適切に設定する(例えば、諸外国同様、決算日から4ヵ月後に株主総会を開催する、基準日を決算日よりも後に設定して基準日と総会の間の期間を短くする等)ための総合的な環境整備の取組を進める。


2)会計基準の品質向上

  • IFRSの任意適用企業の拡大を促進する。
  • のれんの会計処理やリサイクリング(その他の包括利益に計上した項目を、純利益に振り替える会計処理)等に関して、我が国の考える、あるべきIFRSについての国際的な意見発信をさらに強力に行う。
  • 企業会計基準委員会における我が国の収益認識基準の高品質化に向けた検討が加速されるよう、必要な支援を行う。
  • IFRSに関して国際的な場で意見発信できる人材のプールを構築する。また、日本公認会計士協会を通じて、IFRSに基づく会計監査の実務を担える人材やその育成に係る監査法人の状況について把握し、監査法人に対して適切な取組を促す。


3)会計監査の品質向上・信頼性確保

  • 監査法人の組織的な運営のための原則(監査法人のガバナンス・コード)を策定し、監査法人のマネジメントの強化を図る。
  • 監査法人に対して、ガバナンスの状況や会計監査の品質確保のための取組等について適切に開示・説明することを求め、監査先企業の株主・投資家を含む市場参加者や当局等、外部からのチェックが効きやすいようにする。
  • 監査人の選解任に係る株主の判断が適切に行われるよう、企業等による会計監査に関する開示を充実させ、会計監査に関する株主等への情報提供を充実させる。
  • 当局と大手・準大手監査法人等との間で継続的な対話の場を設け、大手上場企業等の会計監査をめぐる課題等について問題意識の共有を図り、監査業務の水準の向上を図る。

(4)企業と投資家との対話の促進等

  • 企業の中長期的な成長力や収益力の強化に向けて、企業と投資家との対話が積極的に進むように促す。

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