新リース会計「IFRS第16号」の概要 | KPMG | JP

新リース会計「IFRS第16号」の概要

新リース会計「IFRS第16号」の概要

2016年1月13日、国際会計基準審議会(IASB)は米国財務会計基準審議会(FASB)と共同で5年以上にわたって進められてきたリース会計基準の改訂プロジェクトの最終成果物として、IFRS第16号「リース」を公表しました。

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IFRS第16号では、短期のリース及び少額資産のリースを除くすべてのリース取引において、借手は使用権を資産として認識すると共にリース負債を計上します。他方、貸手は、従前のIAS第17号「リース」の処理がほぼそのまま引き継がれ、微修正に留まることになりました。

本稿では、IFRS第16号の概要について、解説します。

ポイント

IFRS第16号の骨子は以下のとおりです。

  • リースの定義について、支配の概念に基づく考え方が導入されました。
  • 借手にとってのリース取引は、原則として資金調達を伴う使用権資産の取得として会計処理されます。すべてのリースは、賃借した資産を使用する権利(使用権資産)とその対価を支払う義務(リース負債)をリース開始日に認識します(シングルモデル)。以後、使用権資産の減価償却費とリース負債に係る支払利息が計上され、一般に、リース負債残高が大きいリース期間の前半により多くの費用が計上されます。ただし、短期のリースや少額資産のリースについては免除規定があり、従来のオペレーティング・リースに準じた会計処理(使用権資産及びリース負債の計上を行わず、リース期間にわたって原則として定額のリース費用を計上すること)も認められます。
  • リースにおける貸手とは原資産の使用権を借手に譲渡した当事者をいいます。しかし、今回のリース会計基準の改訂において、貸手の会計処理は、借手の取引相手としてよりも、貸手自身にとっての収益取引としての側面が重視され、借手会計の改訂と平仄を合わせた貸手会計の改訂は必ずしも必要ではないとされました。この結果、借手会計ほどの問題点が指摘されていなかった貸手の会計処理についてはIAS第17号におけるファイナンス・リース、及びオペレーティング・リースの会計処理がほぼ踏襲され、重要な改訂は行われませんでした(デュアルモデル)。したがって、借手会計と貸手会計の整合性は必ずしも図られていません。
  • 借手は、1.契約変更があった場合、2.リース期間が変更された場合、及び3.購入オプションの行使可能性に関する想定が見直された場合、のいずれかに該当するときには、リース負債を再測定し、使用権資産計上額を調整します。さらに、一定の要件を満たす変動リース料の見直しや、残価保証に基づく支払予想額の見積りの変更についても、その影響をリース負債及び使用権資産に反映します。一方、貸手は、契約変更があった場合を除き、ファイナンス・リースで計上したリース債権の見直しを行いません。
  • 借手・貸手ともに、開示について拡充が図られました。
  • 新リース会計基準の開発にあたり、米国基準との完全なコンバージェンスは達成されませんでした。貸手の会計処理に大きな違いはありませんが、米国基準での借手会計では、改訂公開草案をベースとしたデュアルモデルが堅持されています。即ち、使用権資産とリース負債を原則としてすべてのリースにつき認識するという点はIFRSと同じですが、オペレーティング・リースに該当するリースについては、リース期間にわたって定額のリース費用が発生する仕組みが採用されています。

内容

  1. 背景
  2. 新たに導入される会計モデルの概観(イメージ)
  3. 適用範囲とリースの定義
    1. 適用範囲
    2. リースの定義
  4. 会計処理
    1. 借手の会計処理
    2. 貸手の会計処理
  5. 会計処理の基礎となる事項
    1. リース料総額
    2. リース期間
    3. 変動リース料
    4. 購入オプション
    5. 残価保証
    6. 割引率
    7. 当初直接コスト
    8. 契約の変更
  6. リースバック&サブリース
    1. セール・アンド・リースバック取引
    2. サブリース
  7. 表示・開示
    1. 借手
    2. 貸手
  8. 適用・経過措置
    1. 適用日
    2. 移行措置
    3. 初度適用
  9. 米国基準との差異

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
IFRSアドバイザリー室
テクニカル・ディレクター 植木 惠
マネジャー 小林 央子

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