気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォースによるPhase I Report | KPMG | JP

気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォースによるPhase I Report

気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォースによるPhase I Report

金融安定理事会、気候変動情報開示の検討へ向けたタスクフォースを設立。今後のガイダンス策定に向けた方向性を提示。

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気候変動は、金融システムの安定性に対する脅威であると認識されるようになっています。G20財務相・中央銀行総裁会議は、2015年4月、G20首脳会議の下に設けられた金融安定理事会(Financial Stability Board: FSB)に対し、気候変動に伴う課題を金融機関がどのように考慮すればよいかを検討することを求めました。

投資家、銀行、保険会社などが、投資、貸付、保険引受などに関する意思決定を行うにあたり、気候変動に伴う課題を考慮できるようになるためには、関連する情報が企業から開示されている必要があります。しかし、現時点では、企業が気候変動に関連する財務リスクを特定し、定量化し、報告するための確立されたベストプラクティスは存在しません。

2015年12月4日、FSB議長であるマーク・カーニーは、気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures: TCFD)の設立を公表しました。TCFDは、金融の安定性という文脈から気候変動問題が議論される初めての国際的なイニシアチブです。マイケル・ブルームバークを委員長とするTCFDには、金融機関や証券取引所、格付け機関等の代表者がメンバーとして参加しており、KPMGからもサステナビリティ報告・保証のグローバルヘッドであるヴィム・バーテルズが参加しています。

TCFDは、企業や金融機関が気候変動に関連する財務リスクや潜在的な影響に関する首尾一貫した情報を開示するための明確な提言を示すことを目指しています。この提言は、制度開示書類(メインストリーム・レポート)における自主的な開示に対して適用されることが想定されています。

TCFDは、2016年末までにPhase I ReportとPhase II Reportの2つの報告書をFSBに対して提出することになっていますが、このうちPhase I Reportが2016年3月31日にFSBに提出されました 。この中では、目的と範囲が定義され、開示原則などの枠組みが提示されています。Phase II Reportでは自主的な開示のための具体的な提言やガイダンスが示される見込みです。この最終報告書は2016年12月にFSBに提出され、最終化後、2017年2月に公表されることになっています。

Phase I Report

2016年3月31日に公表されたPhase I Reportは、気候変動情報開示の現状を概観するとともに、Phase II Reportの目的と範囲を提示しています。

Phase I Reportにおける気候変動関連情報開示の現状レビューの結果として、既に多くの国や地域の法令が財務報告における重要な気候変動関連リスクの開示を求めている一方で、気候変動関連情報開示は断片的であり、不完全であり、気候変動に関連する影響による財務リスクに焦点を当てた報告は限られていることが明確になりました。TCFDは、既存の開示慣行をベースとしながらも、物理的インパクトと非物理的インパクト(低炭素社会への移行に伴うインパクトと規制対応に伴うインパクト)に起因する財務リスクに焦点を当てることを計画しています。

TCFDの提言は、気候変動に関連するリスク・機会に関する市場の理解や評価を促進することを目的として、金融セクターおよびその他セクターの企業が直面する短期・中期・長期的な物理的・非物理的インパクトに関する気候変動関連情報開示に焦点を当てたものになると想定されています。また、提言では、定量的な情報と定性的な情報の開示について触れられるとともに、過去情報だけでなく将来情報についても開示を求めるようになると予想されています。

また、Phase I Reportは気候変動関連情報開示について以下の7つの基本原則を提示しています。

  1. 関連性のある情報を提示している
  2. 具体的であり完全である
  3. 明確であり、バランスが取れており、理解が容易である
  4. 経年的に一貫している
  5. セクター、業種、ポートフォリオ内で比較可能である
  6. 信頼性があり、検証可能であり、客観的である
  7. 適時に開示されている

最終的な提言

Phase II Reportで提示される最終的な提言は上場会社と金融セクターに向けられたものになる見込みであり、TCFDは、企業による自主的な採用を促すため、提言を以下のようなものにしようとしています。

  • 気候変動情報開示のベストプラクティスに関する共通認識を反映している
  • 好ましいガバナンス、受託者責任、スチュワードシップの原則を推し進めるものである
  • G20諸国の企業による首尾一貫した比較可能な情報開示の基礎となるものを提示する

2020年以降の気候変動対策の国際的な枠組みとなる「パリ協定」が2015年12月に採択されました。パリ協定は、世界的な平均気温上昇を産業革命以前と比べて2°Cより十分低く保つともに、1.5°Cに抑える努力を追求することを目的としていますが、これを実現するためには、できる限り早い時期に世界の温室効果ガス排出量をピークアウトさせ、減らしていくことが求められます。この過程では経済システムの転換に伴う混乱が生じ、これに迅速に対応できない企業にとってのリスクは大きいと予想されます。

TCFDの気候変動関連の財務情報開示に関する提言を受け、世界経済の低炭素化に伴って生じる企業のリスクに対する金融セクターの注目はますます高まると考えられます。

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