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経産省、「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」提言及び報告書を公表

経産省、「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」提言及び報告書を公表

会計・監査ニュースフラッシュ - 経済産業省より、平成28年4月21日に、「株主総会の招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大に向けた提言~企業と株主・投資家との対話を促進するための制度整備~」(提言)及び「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会報告書」(報告書)が公表されました。本報告書等には、企業と株主・投資家による建設的な対話を促すことを目的として、情報開示の充実、株主の議案検討期間の確保の方策が盛り込まれています。

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あずさ監査法人は、経済産業省からの委託を受けて、日本及び諸外国における株主総会プロセスの電子化等の状況を調査しており、調査結果が本報告書の参考資料として公表されている。

以下、本提言及び報告書の概要を紹介する。

ポイント

  • 本提言は、企業と株主・投資家との対話を促進するという観点から、招集通知関連書類の電子提供を促進・拡大させる方向での柔軟な制度整備を求めている。
  • 本報告書には、情報開示を充実させ、株主の議案検討期間を確保するための方策として、1.株主総会の招集通知等の電子提供、2.議決権行使プロセスの電子化、3.株主総会関連日程の適切な設定、4.対話支援産業への期待、5.フォローアップ会合の開催に関する提言が盛り込まれている。

I.本提言及び報告書の公表された背景

企業の持続的な成長や中長期的な企業価値向上を実現するうえでは、企業と株主・投資家が建設的な対話を行うことが重要である。しかしながら、我が国の株主総会プロセスに関しては、諸外国に比べ、株主総会日が集中していることに加え、株主による議案検討と対話の期間が十分に確保されているとは言えないなど、対話の質を高めるうえでの様々な課題が指摘されている。

これらの課題に対応すべく、「持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会」(座長:伊藤邦雄一橋大学大学院商学研究科特任教授)の報告書が、2015年4月に公表された。また当該報告書の方向性も踏まえ、2015年6月に閣議決定された「日本再興戦略改訂2015」においては、新たに講ずべき具体的な施策として、企業の情報開示や株主総会プロセス等を取り巻く諸制度や実務を横断的に見直し、全体として実効的で効率的な仕組みを構築すべく検討を進める旨が盛り込まれた。

これらを受け、株主総会プロセスの電子化を促進するための課題や必要な措置等について、IT利活用促進に係る政府全体の対応方針も踏まえつつ具体的な検討を行うため、「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」(以下「本研究会」)が設置され、2015年11月から計6回にわたり、主に次のような事項が検討された。

(1)株主総会の招集通知等の提供の原則電子化に向けた課題と方策

(2)議決権行使プロセス全体の電子化を促進するための課題と方策

(3)株主総会関連の適切な基準日設定に向けた対応策

(4)対話支援産業の役割 等

II.本提言の概要

1. 本研究会の認識

  • 我が国におけるインターネットの利用者はすでに1億人を突破しており、また上場会社の株主総会の招集通知等の情報もすでにインターネット上で提供されている。
  • インターネットを活用した情報提供は、株主にとって有用な情報へのリンクや動画提供等の工夫の余地を高めることで、株主総会前に提供される情報を充実させやすくするとともに、株主による議案の検討期間、株主と企業との対話期間の確保にも資するなど、「対話型株主総会プロセス」を実現するうえで有効な手段であるとの期待が高い。

2. 本提言の骨子及び留意点

本提言は、企業と株主・投資家との対話の充実を図るための環境整備の一環として、法改正も前提とする様々な考え方の議論を基に、株主の個別承諾なしに書面に代えて電子提供できる情報の範囲拡大等を内容とする「新たな電子提供制度」の整備を求めている。

また、制度設計に際しての留意点として、以下のような事項を提示している。

  • 今後の環境変化に応じて電子提供を行う範囲や手続を柔軟に変えていけるよう、企業に選択肢を与える方向で制度を整備していくこと
  • 制度変更により生じうる不利益があればそれに適切に対処しつつも、事務手続の煩雑さやコスト面に配慮し、企業実務の観点から利用しやすい制度設計にすること
  • 電子提供に伴う費用節減効果が情報提供の充実等に取り組むインセンティブとなりうる点も考慮し、書面により提供すべき情報の範囲は必要最低限にすること

III.本報告書の概要

1. 株主総会の招集通知等の電子提供

(1) 早期(発送前)Web開示
コーポレートガバナンス・コード等を受け、招集通知を発送する前に自主的にWeb開示する企業が大幅に増加している(2014年6月総会:91社⇒2015年6月総会:769社)。一方で、招集通知の発送日の1営業日前にWeb開示している企業もあるため、例えば、招集通知の印刷原稿の校了直後にWeb開示すれば、機関投資家等による議案検討期間の更なる拡大に寄与するとしている。また、Web開示した情報をタイムリーに機関投資家等に知らせるには、証券取引所が運営するTDnetに登録することが有益であるとしている。


(2) 招集通知関連書類(会社法上の事業報告・計算書類等)の原則電子化
「II.2. 本提言の骨子及び留意点」を参照。

2. 議決権行使プロセスの電子化

機関投資家による議案検討期間を拡大させるべく、電子行使プラットフォームへの参加企業数の更なる拡大に加え、国内在住の機関投資家によるプラットフォームの利用が拡がるよう、関係者による次のような事項の検討を求めている。

1)上場企業等によるプラットフォームへの参加拡大に向けた取組(上場企業等に対する広報活動の展開、議決権行使の事務プロセス一本化に向けた検討等)

2)プラットフォーム間の相互連携

3)プラットフォームの利用手続の円滑化に向けた検討 等

3. 株主総会関連日程の適切な設定

株主総会までの時間的余裕を確保(現行は、決算日から3ヶ月以内に株主総会を開催)するため、議決権行使基準日を決算日以降に定め、当該基準日から3ヶ月以内に株主総会を開催すること(例えば3月決算企業が7月に株主総会を開催すること等)が考えられ、その場合に企業が直面すると思われる課題や疑問について確認した結果を整理している。

4. 対話支援産業への期待

関係者において、招集通知の受取や議決権行使等をワンストップで行えるような情報プラットフォーム(個人株主向けプラットフォーム)の構築や、マイナンバー制度の活用等を通じたサービスの充実に向けて検討を進めていくことを求めている。

5. フォローアップ会合の開催

当分の間、関係者による取組についてフォローアップする会合を定期的に開催することで、企業・投資家・対話支援産業等の関係者の意識や行動変化を促していくことを提言している。

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