スタジアム建設における財務計画策定のプロセス | KPMG | JP

スタジアム建設における財務計画策定のプロセス

スタジアム建設における財務計画策定のプロセス

今までの国内のスポーツ施設は、地域住民の健康増進や福祉の充実、防災拠点としての役割を主な目的として建設されており、スポーツ施設で収益をあげるビジネスは想定されていませんでした。今後バブル期に建設された施設の老朽化に伴い改修・更新期が到来することになりますが、地方財政の悪化や施設維持管理コスト負担増により改修ができない施設が多数顕在化するおそれがあります。

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欧米のプロスポーツではスタジアムが大きな収益を生み出す資産であると認識されており、スタジアムに投資し様々な工夫を凝らすことで収益をあげています。たとえば、スタジアム内に無線LANを導入することによるマルチアングルのライブ映像の配信や、チケットのナビゲーション、スムーズな物販といった従来にはないサービスを提供しています。

欧米の事例を踏まえると、日本においても綿密な計画策定、十分な調査を行いスタジアムに投資することで、スタジアムビジネスを成功させることは可能であると言え、改修・修繕コストを施設の収益で賄うことができると考えられます。

スタジアムの建設プロジェクトを成功させるためには、プロジェクトを構成する“建設プロセス”を正しく理解することが非常に重要となります。正しい理解がなされていない場合、間違った立地の選定、スタジアム周辺地域の市場調査不足、過剰な規模のスタジアム建設、十分なVIPシート・ビジネスシートや店舗を備えることができなかった等の理由により、当初予定していた収益が開業後に達成できないという問題が発生してしまいます。

上記のような問題を回避するために、“適切な専門家を”、“適切なタイミングで”、“適切な順序で”活用するためのスタジアム建設プロジェクトの概要を示すことが重要です。

なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。

ポイント

  • スタジアム建設を成功させるうえで計画策定のプロセスは非常に重要であり、精緻な計画であるほど見込んでいた収益が獲得できないリスクは小さくなると言える。
  • スタジアムを建設するためには公共機関の支援はもとより、地元コミュニティの協力も必要不可欠であり、建設予定地の経済効果を適切に算定し両者が納得するまで議論をしていく必要がある。
  • 資金調達方法に唯一最善なものは無く、その地域の特性、スタジアムの規模や設備、周辺の開発等を考慮して、各々の特徴に合った資金調達方法を選択するべきである。
  • スタジアム建設コストと座席数には相関関係がある一方で、座席数を増やすとチケットの平均販売単価は下がる傾向にあるため、スタジアムの座席数は慎重に決めなくてはならない。座席数を多くする場合には開業後に建設コストをどのように回収していくかについて事業計画を適切に策定する必要がある。

内容

I. スタジアム建設計画フェーズ

1. 建設予定地の評価

2. 市場分析

3. スタジアムのコンセプト作り

4. 事業収支分析

5. 資金調達及び業績分析について

II. 経済効果算定とリスク分析

III. スタジアム建設事例分析

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
スポーツアドバイザリー室
室長 パートナー 大塚 敏弘
スポーツ科学修士 得田 進介

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