FASB - 金融商品に関する基準書、完成へ最終段階 | KPMG | JP

FASB - 金融商品に関する基準書、完成へ最終段階

FASB - 金融商品に関する基準書、完成へ最終段階

Defining Issues 15-54 - FASBが2015年11月11日の会議において、不良債権のリストラクチャリングの会計処理及び売却可能負債証券の減損について決定し、減損並びに分類及び測定に関する基準書の適用日が決定※1したことについて記載しています。減損に関する最終基準書は残りの論点を討議した後2016年第1四半期に、分類及び測定に関する最終基準書は2015年中に公表される予定です。

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※1 FASBは2015年11月11日に会議を開催した。FASB ASU案「金融商品 - 信用損失」2012年12月20日及びFASB ASU案「金融商品 - 全般:金融資産及び金融負債の認識及び測定」2012年12月20日。 www.fasb.orgより入手可能。

主な内容

  • TDRに分類されたローンの信用損失は、現在予想信用損失(current expected credit loss, CECL)モデルで測定する。
  • AFS負債証券の減損は、償却原価と公正価値の差額までに限定する。
  • SECへのファイリングを行う公開企業※2は、減損に関する基準書を2018年12月16日以降開始する会計年度及びそれに含まれる期中期間に適用する。
  • 公開企業は、分類及び測定に関する基準書を2017年12月16日以降開始する会計年度及びそれに含まれる期中期間に適用する。

※2 SECへのファイリングを行う企業とは、(a)SEC、または(b)1934年証券取引法のセクション12(i)項に準ずる企業については適切な規制当局のいずれかに財務諸表をファイリングまたは提出することが義務付けられている企業と定義される。その他のSECへのファイリングを行わない企業の財務諸表は、他のSECへのファイリングを行う企業の提出物にその財務諸表が含まれているとしても、この定義を満たさない。

主な影響

  • TDRに分類されたローンを事後測定において分離しなければならなかった企業は、この実務が不要になる可能性がある。
  • 新たな減損ガイダンスの適用日は、U.S. GAAPとIFRSで異なる。

減損

外部レビュー・ドラフト

2015年8月、FASBは、金融商品の減損に関する基準書の外部レビュー・ドラフトを、特定の利害関係者グループに配布した。FASBスタッフが受領した約950のコメントには、レビューワーにより重大な欠陥(fatal flaw)として識別された147のコメントが含まれており、FASBは、これらの一部の論点について、さらに詳細に審議を行う予定である。その他のコメントに関しては、スタッフは最終基準書の文言を明確化すると述べた。

適用日

FASBは、減損に関する基準書の適用日を以下のとおり決定した。

  • SECへのファイリングを行う公開企業は、2018年12月16日以降開始する会計年度及びそれに含まれる期中期間
  • SECへのファイリングを行わない公開企業は、2019年12月16日以降開始する会計年度及びそれに含まれる期中期間
  • すべてのその他の企業※3は、2019年12月16日以降開始する会計年度及び2020年12月16日以降開始する会計年度の期中期間

早期適用は、2018年12月16日以降開始する会計年度(その会計年度の期中期間を含む)から認められる。

※3 その他の企業には、非営利企業、並びにFASB ASC Topic 960「確定給付型年金制度」、FASB ASC Topic 962「確定拠出型年金制度」及びFASB ASC Topic 965「医療厚生給付制度」の適用範囲に含まれる従業員給付制度が含まれる。www.fasb.orgより入手可能。

KPMGの見解

2019年及び2020年の適用日まではまだ時間があるが、すでに多くの企業は基準書の影響に関する分析を行っている。企業は、会計プロセス及び内部統制の構築または見直しが必要となる可能性があり、これには重要な判断の適用及び新たな見積方法の導入が必要になる。ITシステムもまた、会計及び開示規定を裏付ける追加的なデータを捕捉するための修正が必要とる可能性がある。

IFRSとのコンバージェンスの検討

U.S. GAAP及びIFRSは、コンバージェンスされていないが、両基準とも新たな減損規定が含まれることになり、一般的に、信用損失引当金は、両基準とも現行のガイダンスに基づく計上額と比較して増加することになる。

それぞれの基準書の強制適用日は異なる点について留意が必要である。U.S. GAAPでは、当該基準書の適用日は2018年12月16日以降開始する会計年度より適用される。一方、IFRS第9号「金融商品」の減損ガイダンスは、2018年1月1日以降開始する会計年度から適用される。

AFS負債証券の減損の下限

FASBは、AFS負債証券は公正価値を下限とする減損額を認識することを決定した。よって減損額として、以下のいずれか少ない金額を認識する。

  • 償却原価と公正価値との差額
  • 信用損失額

AFS負債証券の減損認識に関する事例

前提 シナリオ1 シナリオ2 シナリオ3
償却原価 $100 $100 $100
公正価値 98 92 107
信用損失額 5 5 5
損益を通じて認識される 減損額 2 5 0

背景

FASBは、AFS負債証券に現行の一時的でない減損モデル(other-than-temporary impairment, OTTI)を引き続き使用することを過去に決定したが、信用損失の認識の適時性に関する懸念に対処するために、当該モデルに対して特定の修正を行うことを決定した。

FASBは、公正価値の下限(fair value floor)を取り入れることでAFS負債証券の減損モデルがさらに単純化されるか否か、外部レビュー・プロセスの一環として利害関係者のフィードバックを求めた。利害関係者は、一般的に、企業の負債証券の売却可能価額よりも原価ベースが低くならないことから、公正価値の下限を支持した。

KPMGの見解

公正価値の下限が設けられたが、売却予定の負債証券または償却原価の回復前に売却が必要となる可能性が50%超(more likely than not)の負債証券に公正価値の下限を取り入れても、減損の認識額は変わらない。これらの場合、損益で認識される減損額は公正価値と償却原価の差額に等しい結果となる。

公正価値の下限の影響

FASBの決定は、信用損失引当金の認識において、企業が負債証券の公正価値を下回る帳簿価額の減額を行わないようにしている。公正価値の下限がなければ、信用損失引当金により公正価値を下回る帳簿価額の減額が行われると、帳簿価額を上回る公正価値の超過額を利得として同時に、企業はその他の包括利益で計上することになる。

AFS負債証券の会計モデルに公正価値の下限を取り入れることにより、償却原価により測定される金融商品(例:満期保有目的負債証券)の信用損失引当金計上額との比較可能性はなくなることになる。

公正価値の下限に限定された信用損失引当金が当初の認識額である場合、当初認識後の公正価値の変動は、たとえそれらの変動が信用リスクではない要素(例:金利または流動性)による変動であっても、引当金の調整を要することになる。

不良債権のリストラクチャリング

FASBは、TDRに分類されたローンの信用損失は、他の償却原価で測定される金融資産すべてに適用されるCECLモデルを用いて測定を行うことを決定した。したがって、企業は、TDRの減損を、類似するリスク特性を有する他のローンとともに集合的に(プールで)評価する。TDRにおいて他のローンと類似するリスク特性を有していない場合は、減損を個別に評価する。

現行のU.S. GAAPと同様に、信用損失は、各報告期間に見直される引当金勘定を用いて、引き続き損益を通じて認識される。

背景

FASBは、TDRに対して減損を認識する場合、資産の償却原価ベースを調整することと過去に決定していた。新たな償却原価は、契約条件変更後の契約上のキャッシュフローの(資産の当初実効金利で割引いた)現在価値になるとしていた。利害関係者は、過去にTDRに分類したローンについて、適用時に必要な累積的影響額の移行時の調整の決定を含めて、原価ベースを調整する方法に伴うコスト及び複雑性に懸念を示した。

KPMGの見解

TDRにおいてCECLモデルの使用による測定を認めることは、企業が予想信用損失の見積り及び測定方法を開発する上で広い裁量権が与えられることになる。それらの方法は、継続的な適用が求められ、CECLモデルの主要な要素を反映しなければならない。これは、TDRにおいて割引後キャッシュフローの技法を用いて個別に測定することを求める現行のU.S. GAAPからの変更である。

TDRの適用・非適用に関わらず、予想信用損失の測定において同様の方法を用いることができるため、事後測定においてTDRに区分されたローンを分離しなければならなかった企業は、その分離が不要になる可能性がある。ただし、TDRに該当するローンの条件変更は、現行のU.S. GAAPと同様に、TDRに関連する減損額及び企業が減損額を認識した報告期間における投資計上額の両方を債権者は引き続き個別に開示する※4

FASBは、TDRにおける減損を測定するために、企業が使用可能な方法の決定においてより広い裁量権を与えることを決定した。ただし、借手の金利減免を通じて貸手が譲歩(concession)を与える場合に減損損失が認識されない測定方法を、FASBが認める意図があったか否かは不明である。

※4 FASB ASC Paragraph 310-40-50-4。www.fasb.orgより入手可能。

次のステップ

FASBは2015年末までに会議を開催して、費用対効果の検討及び重要ではないとは言えない(more-than-insignificant)信用の質の悪化が生じている購入金融資産の予想信用損失の測定に関連する論点を審議する予定である。FASBは、減損の最終基準書を2016年第1四半期に公表予定である。

分類及び測定

外部レビュー・ドラフト

2015年8月、FASBは、分類及び測定に関する基準書の外部レビュー・ドラフトを、特定の利害関係者グループに配布した。FASBが受領した約233のコメントには、レビューワーにより重大な欠陥(fatal flaw)として識別された36のコメントが含まれていた。スタッフは、FASBが審議すべき論点はないと結論付けた。

適用日


“FASBは、新たな分類及び測定に関する基準書の適用日と新たな減損に関する基準書の適用日を一致させないことを決定した。代わりに、FASBは、分類及び測定に関する基準書の適用日と収益に関する基準書の適用日を一致させた。”


FASBは、分類及び測定に関する基準書の適用日を以下のとおり決定した。

  • 公開企業は、2017年12月16日以降開始する会計年度及びそれに含まれる期中期間
  • すべてのその他の企業※5は、2018年12月16日以降開始する会計年度及び2019年12月16日以降開始する会計年度の期中期間

早期適用は、2017年12月16日以降開始する会計年度(その会計年度の期中期間を含む)から認められる。基準書の公表後、企業は会計年度の期首において、金融商品固有の信用リスクの変動から生じる(公正価値オプションを選択した)金融負債の公正価値変動部分を、その他の包括利益に個別に表示する規定を早期適用できる。

※5 その他の企業には、非営利企業、並びにFASB ASC Topic 960「確定給付型年金制度」、FASB ASC Topic 962「確定拠出型年金制度」及びFASB ASC Topic 965「医療厚生給付制度」の適用範囲に含まれる従業員給付制度が含まれる。www.fasb.orgより入手可能。

次のステップ

FASBは、新たな分類及び測定に関する基準書は、適用による便益がコストを上回ると結論付け、スタッフに書面投票を行うための最終基準書をドラフトするよう指示した。最終基準書は、2015年末までに公表される予定である。

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