自然資本プロトコルの原則と枠組草案の公表 | KPMG | JP

自然資本プロトコルの原則と枠組草案の公表

自然資本プロトコルの原則と枠組草案の公表

自然資本連合(Natural Capital Coalition)は、企業向けの自然資本評価の世界共通の枠組みとしての自然資本プロトコル(Natural Capital Protocol)の開発と、それを通じた将来的な基準策定への示唆を得ることを目指し、GRI、世界銀行、イングランド及びウェールズ勅許会計士協会(ICAEW)、UNEP、IFC、WBCSDにより設立されたマルチステークホルダーグループです。自然資本連合は2015年6月26日にプロトコルの「原則と枠組草案(Principles and Framework Draft)」を公表しました。

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草案は、4つの原則、4つのステージ、10のステップで構成されるアプローチを示しており、開発が進められているプロトコルの構成を大枠で知ることができます。

4つの原則

草案は、自然資本の評価の実施にあたっての原則として、関連性、厳格性、信頼性、整合性の4つを提示しています。これらの原則は、CDSB、GHGプロトコル、GRIガイドライン、IIRCのフレームワークなどを参考にして提案されました。

関連性 評価を通じて、自社のビジネスやステークホルダーにとって最も重要で関連性の高い自然資本への影響や依存度を特定することを求めている。そのような評価により、適時に有効な意思決定を行うための情報が提供されることが必要である。
厳格性 科学的・経済的・技術的に適切な情報やデータ、手法を用いて目的に適合した評価を行うべきである。
信頼性 評価は信用でき、妥当な範囲で透明性が高く、追跡可能であるべきである。全ての前提、データ、注釈事項、手法は公平で偽りなく伝達されるべきである。
整合性 整合的な範囲における影響と依存度を評価する。どの範囲で評価を実施するかはプロトコルの適用目的に応じ、組織によって決定される。

4つのステージと10のステップ

草案は、企業が自然資本の評価・管理を行う上での流れとして、枠組み、範囲、計測、評価・適用の4つのステージを示しており、4つのステージはさらに10のステップに細分化されています。

4つのステージ 10のステップ
枠組み 1 はじめに
「自然資本はなぜ、どのように自社と関わりがあり、重要なのか?」
範囲 2 目的を決める
「評価の目的は?」
3 範囲を決める
「目的を達成するためにふさわしい評価の対象範囲は?」
4 影響/依存度の決定
「評価するのは影響/依存度?それとも両方?」
計測と評価 5 計測と評価アプローチの選定
「目的や範囲に適合する計測や評価アプローチは何か?」
6 影響と依存度の計測
「影響や依存度をどのように計測するか?」
7 変化量の推定
「影響や依存によって自然資本の状態にもたらされる変化はどれほどか?」
8 影響/依存度の定量的評価
「評価された影響/依存度の定量的な価値はどれほどか?」
適用   9 結果の解釈
「結果は評価の目的に適合しているか?意思決定やコミュニケーションの役立つ示唆は得られるか?」
10 組み込み
「組織内でプロトコルの適用を拡大すべきか?その場合、どのように?どの範囲で?」

プロトコルが提供する主要な情報、取るべきアクション、期待される成果

1から10の各ステップには、そのステップにおいて自然資本プロトコルが提供する主要な情報、利用者が取るべきアクション、期待される成果がリスト化されています。例えば、「6 影響と依存度の計測」のステップに関しては以下のとおりです。

インプット アウトプット

このステップが提供する主要な情報

  • 影響と依存度に関連するデータソースの利用と選択に関する指針(例えば、消費量と排出量の特性など)
  • 一次データの集計に関する指針
  • 二次データに基づく推計に関する指針(異なる推計方法を採用した場合のメリットとデメリットを含む)

取るべきアクション

  • データ収集の計画策定
  • 十分なデータが得られたかどうかの評価
  • 一次データの集計/二次データに基づく推計の実施

期待される成果

  • 自然資本への影響/事業の自然資本への依存度の評価結果
  • 自然資本への影響/事業の自然資本への依存度に関する統合的で再現可能な評価・監視手法

プロトコルが提供する情報、しない情報

自然資本プロトコルはあらゆる業種において適用可能な枠組みを提示するものとなる見込みですが、プロトコル本体を補足する情報として以下が提供される見込みです。

  • 食品およびアパレル業界のセクターガイド
  • 経営者やステークホルダー向けのハイレベルガイド(プロトコルのダイジェスト版)
  • パイロット事業の事例集

一方で、プロトコルが「提供しないもの」としては以下が挙げられています。

  • 自然資本への影響に関する網羅的な「価格表」や数式、計算機能
  • モデル的な定量評価手法の記述
  • 評価結果の財務会計や開示への統合に関する指針
  • 自然資本とその評価に関する企業開示基準
  • 自然資本の定量評価や会計に関する包括的なトレーニング
  • 企業行動の指針となる倫理フレームワーク

プロトコルの開発状況

自然資本プロトコルは、WBCSDの主導で進められるコンソーシアムにおいて開発が進められており、プロトコル開発に参加する有志の企業による「ビジネスエンゲージメント・パートナーズ」からのフィードバックを受けています。このプロトコルの第0版は、2015年10月13日より40社のビジネスエンゲージメント・パートナーズから選定された企業による試行が始まっています。この試行プログラムの後、パブリック・コメントにかけられる予定です。

自然資本プロトコル第1版の公表は当初予定されていた2016年3月から遅れ、2016年7月と見込まれています。

自然資本の利用に伴う企業のリスクや機会に対する関心が高まる中、国際的に開発が進められている自然資本プロトコルは、将来的に世界における環境外部コスト評価の標準的な手法となることも予想されるため、その動向には注視していく必要があります。

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