日本監査役協会、「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」を公表

日本監査役協会、「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」を公表

会計・監査ニュースフラッシュ - 2015年11月10日、日本監査役協会は、「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」(以下「本指針」)を公表した。

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これは、2015年5月に施行された改正会社法により会計監査人の選解任・不再任議案の決定権が監査役等に移り、また、2015年6月より適用を開始しているコーポレートガバナンス・コードにおいて、監査役等が会計監査人の選定及び評価の基準を設けること等が求められていることを背景に策定されたものである。
本指針においては、会計監査人の評価基準と選定基準策定に関する実務指針として、評価基準項目例及び選定基準項目例が掲げられており、企業会計審議会が公表する「監査に関する品質管理基準」や日本公認会計士協会が公表する監査基準委員会研究報告第4号「監査品質の枠組み」等が多く参照されている。また、付録として、「会計監査人の評価基準項目例の時系列表示」、「監査調書例」、「用語解説」等が添付されている。

ポイント

  • 改正会社法の施行、コーポレートガバナンス・コードの適用等により、本実務指針が策定された
  • 本指針では、会計監査人の評価基準項目例(14項目)及び選定基準項目例(7項目)が記載されている
  • 本指針の適用に際しては、各社の置かれている環境を念頭に、取捨選択もしくは調整のうえ活用することが想定されている

1. 本指針の趣旨及び位置付け

1. 本指針の趣旨

1)策定の経緯
監査役もしくは監査役会、監査委員会または監査等委員会(以下「監査役等」)は、会計監査人の各事業年度の計算書類の監査の方法と結果の相当性を判断し、かつ、会計監査人の職務の遂行が適切に実施されることを確保するための体制に関する事項について、監査報告に記載しなければならない。また、2015年5月に施行された改正会社法では、監査役等が株主総会に提出する会計監査人の選解任・不再任議案の内容を決定することとなっている。さらに、2015年6月より適用が開始されているコーポレートガバナンス・コードの基本原則3において、情報開示の重要性とともに開示される情報が正確で有用性の高いものとなることが求められており、適切な監査の確保に向けて監査役会が会計監査人の選定及び評価の基準を設けること等が規定されている(補充原則3-2(1))。
このような中、本指針は適切な監査の確保に向け、監査役等が会計監査人を評価及び選定するに際し留意すべき点を、指針として供するものであるとしている。

2)本指針の目的
会計監査人の評価及び選定においては、各社の規模、業種、子会社及び海外展開の有無等、置かれている環境により考慮すべき事項やその重要度が異なるため、一律の基準を設けることは難しい。また、コーポレートガバナンス・コードにおいては、各原則の適用はそれぞれの会社が自らの置かれた状況に応じて工夫すべきものとされている。
このため、本指針は、基準の策定において考慮すべき事項として重要なものをできる限り多く取り上げたものでありながらも、各社が会計監査人の評価及び選定を行うに際して、各社の置かれている環境を念頭に、取捨選択もしくは調整のうえ活用することが期待されるとしている。
また、監査の品質向上の観点から会計監査人の評価及び選定のあり方は国際的に関心を集めており、米国をはじめとした各国において会計監査人の評価及び選定に関する指針等が公表されており、本指針の策定においても、それらの公表物が参考にされている。会計監査人の監査の品質や実効性の向上に関する議論の中で、会計監査人の評価及び選定についても、今後さらに議論がなされてゆくことが予想されることから、本指針の内容も適宜見直されることが想定されている。

2. 本指針の位置付け

日本監査役協会は、会計監査人の評価及び選定のほか、会計監査人との連携に関連するものとして「監査役監査基準」、「会計監査人との連携に関する実務指針」、「会計監査人の選解任等に関する議案の内容の決定権行使に関する監査役の対応指針」及び「監査役監査実施要領」を公表している。
本指針は、会計監査人を評価及び選定するに際しての留意点を詳細に列挙するものであるものの、会計監査人の評価は会計監査人との連携とも密接に関連するものであるため、監査役等の実務においては、これらの基準、指針等も併せて参照することが推奨されている。

2. 評価基準

監査役等は、会計監査人の監査の方法と結果の相当性の判断及び会計監査人の職務の遂行が適正に実施されることを確保するための体制に関して監査報告書に記載しなければならないことから、通常、期中の会計監査人との連携等を通じ評価を継続して行っており、再任手続において最終判断を実施することとなる。評価に際しては、監査役等による会計監査人に対する改善事項等の指摘に対し会計監査人がどのような対応を行うかについても重要なポイントとなるとしている。
本指針の第1部では、次表のとおり「監査法人の品質管理」、「監査チーム」、「監査報酬等」、「監査役等とのコミュニケーション」、「経営者等との関係」、「グループ監査」及び「不正リスク」の7つに分け、計14項目の会計監査人の評価基準が記載されており、各項目について、関連する確認・留意すべき事項の例、関連する基準等が解説として補足されている。

会計監査人の評価基準項目例
第1. 監査法人の品質管理

  1. 監査法人の品質管理に問題はないか。
  2. 監査法人から、日本公認会計士協会による品質管理レビュー結果及び公認会計士・監査審査会による検査結果を聴取した結果、問題はないか。

第2. 監査チーム

  1. 監査チームは独立性を保持しているか。
  2. 監査チームは職業的専門家として正当な注意を払い、懐疑心を保持・発揮しているか。
  3. 監査チームは会社の事業内容を理解した適切なメンバーにより構成され、リスクを勘案した監査計画を策定し、実施しているか

第3. 監査報酬等

  1. 監査報酬(報酬単価及び監査時間を含む)の水準及び非監査報酬がある場合はその内容・水準は適切か。
  2. 監査の有効性と効率性に配慮されているか。

第4. 監査役等とのコミュニケーション

  1. 監査実施の責任者及び現場責任者は、監査役等と有効なコミュニケーションを行っているか。
  2. 監査役等からの質問や相談事項に対する回答は、適時かつ適切か。

第5. 経営者等との関係

  1. 監査実施の責任者及び現場責任者は、経営者や内部監査部門等と有効なコミュニケーションを行っているか。

第6. グループ監査

  1. 海外のネットワークファームの監査人もしくはその他の監査人がいる場合に、特に海外における不正リスクが増大していることに鑑み、十分なコミュニケーションが取られているか。

第7. 不正リスク

  1. 監査法人の品質管理体制において不正リスクに十分な配慮がなされているか。
  2. 監査チームは監査計画策定に際し、会社の事業内容や管理体制等を勘案して不正リスクを適切に評価し、当該監査計画が適切に実行されているか。
  3. 不正の兆候に対する対応が適切に行われているか。

3. 選定基準

選定基準が必要となる場合としては、新規に会計監査人を設置する場合、会計監査人設置会社において会計監査人を解任または不再任とする場合、もしくは会計監査人が辞任した場合等が想定される。それぞれの局面に応じて選定に充てることのできる期間が異なることから、監査役等としては事前に選定基準を定めておき、手順について執行部門等と確認しておくことが望まれる。
後任となる会計監査人に対して十分な引継期間を設けることは円滑な監査を確保するために重要であり、監査役等は会計監査人間の引継に関する方針及び手続について説明を受ける必要がある。
本指針の第2部では、次表のとおり「監査法人の概要」、「監査の実施体制等」及び「監査報酬見積額」の3つに分け、計7項目の会計監査人の選定基準が記載されており、各項目について関連する確認・留意すべき事項の例が補足されている。

会計監査人の選定基準項目例
第1. 監査法人の概要

  1. 監査法人の概要はどのようなものか。
  2. 監査法人の品質管理体制はどのようなものか。
  3. 会社法上の欠格事由に該当しないか。
  4. 監査法人の独立性に問題はないか。

第2. 監査の実施体制等

  1. 監査計画は会社の事業内容に対応するリスクを勘案した内容か。
  2. 監査チームの編成は会社の規模や事業内容を勘案した内容か。

第3. 監査報酬見積額

  1. 監査報酬見積額は適切か。

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