GRIによるサステナビリティ報告基準の検討 | KPMG | JP

GRIによるサステナビリティ報告基準の検討

GRIによるサステナビリティ報告基準の検討

GRI(Global Reporting Initiative)は、サステナビリティ報告に関する国際的なガイドラインの策定を使命とする非営利団体であり、2000年の初版発行以来、GRIのサステナビリティ・レポーティング・ガイドラインは組織の経済・環境・社会的インパクトの透明性向上を促すものとして国際的な支持を得ています。

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2013年に公表されたサステナビリティ・レポーティング・ガイドライン第4版(G4ガイドライン)は多くの日本企業にも利用されていますが、今回、このガイドラインが将来的に「基準」に移行することが発表されました。

2014年にGRI傘下に独立した機関として設立されたGSSB(Global Sustainability Standards Board)は、サステナビリティ報告基準の開発と承認を使命としています。このGSSBは、2015年11月4日、G4ガイドラインからGRIサステナビリティ・レポーティング・スタンダード(GRIスタンダード)への移行計画を承認しました。

この移行計画では、現行のG4ガイドラインの内容を新しいモジュール構造の様式に移しかえる点が注目されます。今後、GSSBはこれまで(G1からG4まで)実施されてきた形でのガイドラインの改訂は行わず、マルチステークホルダーの原則に従い、GRIスタンダードの改訂を行っていくことになります。また、GSSBの作業計画には、産業別スタンダードの開発も含まれています。

基準を求める背景

欧州では、2014年に企業の非財務情報開示の義務化に関する会計指令が承認・施行されており、EU域内の約6,000社に環境、社会、労働、腐敗防止、贈賄、人権など幅広い非財務情報の開示が義務づけられることとなりました。加盟国は2年間の猶予期間において自国の法規制を指令に適応させることになっており、2017年からは同指令に基づく企業の年次報告が始まります。CDSB(Climate Disclosure Standards Board)が2015年6月にCDSBフレームワークを公表し 、今回、GSSBがGRIスタンダードへの移行を発表したことは、EUにおける非財務情報の開示の義務化と無関係ではないと推測されます。このほかにも、国際統合報告審議会(IIRC)からは統合報告の枠組みが示され、米国ではSASB(Sustainability Accounting Standards Board)がESG情報に関する開示基準の策定を進めているなど、企業の非財務情報開示に対する複数の基準や枠組みが提唱されてきており、「基準間競争」とも呼べる状況です。こうした状況が将来的にどのような形に収斂していくかについて現時点で予測することは困難ですが、現在の状況は、企業が開示する情報がある程度比較可能性であり、情報利用者の意思決定のために有用であるためには、一定の枠組みや基準が必要とされているということを意味すると考えます。

今後の基準作成プロセス

今後のGRIスタンダードへの移行は以下の4つのフェーズに従い進められる見込みであり、GRIスタンダードの初版は2016年の第3四半期に公表される予定です。

フェーズ1 G4ガイドラインの全般的な使い勝手、技術的品質、剛健性を向上させるための改訂作業の実施
フェーズ2 パブリック・コンサルテーション
フェーズ3 パブリック・コンサルテーションによるフィードバックの分析と適用
フェーズ4 GRIスタンダードの公表

すでにG4ガイドラインへの対応を進めている企業にとっては今後の情報開示への影響が気にかかるところですが、GRIスタンダードはG4ガイドラインをベースに策定され、GSSBがGRIスタンダードへの移行を承認するまでは現行のG4ガイドラインが有効であるということを考慮すれば、短期的には大きな影響は及ぼさないと考えられます。非財務情報の開示に関する社会的な動きが活発化する今日、サステナビリティ情報開示の品質向上に向けては、こうした国際的な動向に注視しつつ、社内対応を着実に前に進めていくことが肝要であるといえます。

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