BEPSによる新文書化を通じた税務執行のグローバルシステム化 -日本企業による税務リスク管理の方向性 | KPMG | JP
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BEPSによる新文書化を通じた税務執行のグローバルシステム化 -日本企業による税務リスク管理の方向性-

BEPSによる新文書化を通じた税務執行のグローバルシステム化 -日本企業による税務リスク管理の方向性-

G20とOECDが検討を進めている「税源浸食と利益移転」(BEPS)への対抗措置のなかで、特に日本企業にとって深刻な影響を及ぼすと考えられる新しい移転価格文書は、税務執行のグローバルシステム化を目指すものです。早ければ2018年から提出が開始される国別報告書については、各国拠点の損益情報集約化という作業に加え、各国の税務当局が当該情報をどのように活用していくかに留意した対応が不可欠です。

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グローバルな損益配分にかかわるデータの共有が各国の税務当局間で進むこととなれば、多国籍企業グループと各国の税務当局との間の情報の非対称性は解決することとなり、税務当局が多国間で結集して、多国籍企業グループに対抗していくことが可能になっていくものと考えられます。

各国の税務当局間では、租税条約に基づく情報交換により、連携して調査等を行っていく可能性が高まり、多国籍企業の側においてもグローバルレベルで、子会社の利益水準について、整合的にコントロールし、子会社の業績と税務上の損益を調整していくためのコーポレート・ガバナンスも必要になってくるものと考えられます。

本稿はBEPSへの対抗措置のなかで、特に日本企業にとって深刻な影響を及ぼすと考えられる新しい移転価格文書を通じた税務執行のグローバルシステム化について解説しています。

G20とOECDが検討を進めている「税源浸食と利益移転」(BEPS:Base Erosionand Profit Shifting)への対抗措置のなかで、特に日本企業にとって深刻な影響を及ぼすと考えられる新しい移転価格文書は、税務執行におけるグローバルなシステム化を目指すものです。

新移転価格文書への実務対応では、国別報告書については、各国拠点の損益情報集約化という作業に加え、各国の税務当局が当該情報をどのように活用していくかに留意した対応が必要です。また、マスターファイルとローカルファイルについては、我が国だけでなく各国の税務当局の課税上の観点から、税務執行のグローバルシステム化の進展を認識したうえで対応していくことが不可欠です。

国別報告書は、早ければ2018年から究極の親事業体の所在地国の税務当局に対して提出が開始されますが、その本質は、米国等における情報申告制度に相当するものです。各国の税務当局は、自動的情報交換の枠組みにより情報を共有化して、必要に応じて多国籍企業グループのグローバルな損益配分を確認できる情報ネットワークを構築しようとしているわけです。

各国の税務当局は、近年、情報申告制度により収集した膨大なデータを活用したシステマティックな調査対応を進めてきており、こうしたデータの共有が各国の税務当局間で進むこととなれば、グローバルな情報に対する多国籍企業グループと各国の税務当局との間の情報の非対称性は解決することとなり、税務当局が多国間で結集して、多国籍企業グループに対抗していくことが可能になっていくものと考えられます。

各国の税務当局間では、租税条約に基づく情報交換により、連携して調査等を行っていく可能性が高まっていくことから、多国籍企業グループの側においてもグローバルレベルで、子会社の利益水準について、整合的にコントロールしていくことが求められ、子会社の業績と税務上の損益を調整していくためのコーポレート・ガバナンスも必要になってくるものと考えられます。

本稿はBEPSへの対抗措置のなかで、特に日本企業にとって深刻な影響を及ぼすと考えられる新しい移転価格文書を通じた税務執行のグローバルシステム化について解説しています。

ポイント

  • BEPSによる移転価格の新文書化は、税務執行のグローバルシステム化を目指すものである。
  • 国別報告書は、早ければ2018年から究極の親事業体の所在地国の税務当局に対して提出が開始されるが、その本質は、米国等における情報申告制度に相当するもので、各国の税務当局は自動的情報交換の枠組みにより情報を共有化して、多国籍企業グループのグローバルな損益配分を確認できる情報ネットワークを構築しようとしている。
  • グローバルな損益配分にかかわるデータの共有が各国の税務当局間で進むこととなれば、多国籍企業グループと各国の税務当局との間の情報の非対称性は解決することとなり、税務当局が多国間で結集して、多国籍企業グループに対抗していくことが可能になっていくものと考えられる。
  • 各国の税務当局間では、租税条約に基づく情報交換により、連携して調査等を行っていく可能性が高まり、多国籍企業グループの側においてもグローバルレベルで、子会社の利益水準について、整合的にコントロールし、子会社の業績と税務上の損益を調整していくためのコーポレート・ガバナンスも必要になってくる。

内容

  1. はじめに
  2. BEPSによる新文書化の目指すもの
  3. 新文書化の概要
    1. 文書化の目的
    2. 同時文書化
    3. 報告文書(マスターファイル、ローカルファイル及び国別報告書)の概要
    4. 国別報告書の報告対象企業
    5. 文書の作成期限
    6. 重要性の基準
    7. 文書更新頻度
    8. 使用言語
    9. 罰則
  4. 税務当局間の情報交換自動化
    1. 情報交換方式
    2. 補完的メカニズム(ローカルファイリング方式)
  5. 情報交換自動化による税務リスクの方向性
  6. 文書化対応の変化
    1. 従来の文書化
    2. 新文書化
    3. 従来の現地主導の文書化対応の限界
    4. 親会社主導による税務リスク管理の必要性
  7. 日本企業による税務リスク管理の方向性
    1. 各国税務当局による税務コンプライアンス管理への国際協力
    2. 日本企業による税務リスク管理の方向性

執筆者

KPMG税理士法人
国際事業アドバイザリー
パートナー 経営法博士 税理士 角田 伸広

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