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OECD - BEPSの最終パッケージを公表

OECD - BEPSの最終パッケージを公表

経済協力開発機構(OECD)は10月5日、税源浸食と利益移転(BEPS: Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトにおける15のBEPS行動計画(Action Plan)に関する最終パッケージを公表しました。これらの報告書は、G20財務大臣・中央銀行総裁会議(10月8日)及びG20サミット(11月15日・16日)にて報告される予定です。

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なお、今回の最終パッケージには、昨年9月の第一次提言において報告書が公表されていた7つの行動計画及び今年12月に公表される予定であった事項に関するものも含まれています。

Action 1 電子経済の課税上の課題への対処

Action 1については、昨年9月の第一次提言における報告書(2014年9月報告書)が公表されたのち、電子経済タスクフォースにおいて、継続的に検討が行われてきました。日本では、2015年度税制改正において、国境を越えた役務の提供(電気通信利用役務の提供)に係る消費税の取扱いについて、この報告書に沿った改正がなされています。

最終報告書では、以下の点などが確認されています。

  • 電子経済に関して生ずるBEPSの問題は、他のAction Planで対応しうるものであり、たとえば、恒久的施設(PE)の範囲の問題は、Action 7及びAction 15にて対応がなされる。
  • 電子経済に対応する課税制度のオプション(経済的なプレゼンスに基づいて課税する制度、一定の電子商取引について源泉税を課す制度等)が検討されたが、勧告には至らなかった。ただし、これらのオプションを各国が国内法に導入することを否定するものではない。

なお、かねてから検討されていたOECD国際取引に係る付加価値税ガイドラインの第3章(国境を越えたサービス・無形資産の提供に対する付加価値税)が、Annex Dにおいて示されています。

Action 2 ハイブリッド・ミスマッチの効果の無効化

2014年9月報告書を受けて、日本では2015年度税制改正において、外国子会社配当益金不算入制度の改正が行われ、外国子会社で損金の額に算入される配当については、それを受け取る日本の親会社において益金の額に算入されることとなりました。

今回の報告書は、国内法に関する勧告(Part I)及び租税条約の改正に関する勧告(Part II)で構成されているという点では、2014年9月報告書と同様ですが、国内法に関する勧告についての詳細なコメンタリーと80に上る事例が加えられています。

Action 3 有効な外国子会社合算税制(CFC税制)の設計

今回の報告書では、CFC税制を以下の6つの構成要素に分けて勧告を行っていますが、これらはミニマム・スタンダードとして示されたわけではなく、各国の税制等に沿って柔軟な制度設計をすることを認めています。

(1)CFC(対象外国子会社)の範囲
法的・経済的支配テストにおいて、親会社により直接・間接に50%超保有されていると判断される事業体をその親会社のCFCとする。

(2)閾値要件
CFCの実効税率が親会社所在地国の税率を基準とした一定水準を超えた場合は適用を除外する。

(3)CFC所得の定義
CFC税制にCFC所得の定義を設けることを勧告するが、その内容については各国に委ねる。(カテゴリーアプローチ、実質アプローチ、超過利潤アプローチが例示として紹介されています。)

(4)所得計算のルール
合算課税の対象となるCFCの所得は、親会社所在地国のルールにより計算する。また、CFCにおいて生じた損失の利用を制限するルールを設けるべきである。

(5)所得合算のルール
CFCを一定割合超保有する納税者がその割合に応じた所得を合算して申告し、親会社所在地国の税率で課税する。

(6)二重課税排除のルール
CFC税制には二重課税を排除するルールを設けるべきである。(二重課税排除の方法として、CFC所得の合算課税時における親会社所在地国とそれ以外の国との二重課税については外国税額控除が、CFCからの配当等に係る親会社所在地国における二重課税については免税措置が考えられる。)

Action 4 利子控除制限ルール

今回の報告書では、固定比率ルール(単体企業における純支払利子の所得(EBITDA)に対する比率が基準固定比率(10%から30%の間で各国が設定)を超える場合において、その超える部分の損金算入を制限するルール)の導入が勧告されました。グループ全体の比率を利用する方法等のオプションも示されており、これらを組み合わせることも認められています。

Action 5 有害税制への対抗

Action 5については、2014年9月報告書のほか、2015年2月に「知的財産優遇税制に関する修正ネクサスアプローチに関する合意文書」が公表されています。今回の報告書では、これまでの公表物の内容にその後の検討事項を追加して、以下の点が示されています。

  • 優遇税制の有害性の審査基準
    1998年の「有害な税の競争報告書」において示されたものに加え、実質的活動基準(知的財産優遇税制については、ネクサスアプローチ)を追加する。
  • 個別納税者に関するルーリング
    優遇税制、クロスボーダーのユニラテラルAPA、PE、導管取引等に関するルーリングを個別の納税者に対して提供した課税当局は、その納税者と取引のある関係会社及び納税者の親会社等の所在地国の課税当局へその内容を通知することを義務づける。

また、今回の報告書では、OECD加盟国及びBEPSアソシエイト諸国の43の優遇税制の審査結果も公表されました。これには16の知的財産優遇税制が含まれており、いずれも修正ネクサスアプローチによる基準を満たさないことから、これらの税制を有する各国は改正等に向けた取組みが求められることになります。

Action 6 租税条約の濫用防止

Action 6については、2014年9月報告書が公表されたのち、2つのディスカッション・ドラフトにより議論が深められてきました。これらを踏まえて、今回の報告書には以下の内容が改めて示されました。

  • 租税条約濫用防止規定
    租税条約濫用防止規定として、主要目的テスト(Principal Purposes Test: PPT)・特典制限条項(Limitation on Benefits: LOB)を3つの方法(PPTのみ、LOB及びPPTの組合せ、LOB及び導管取引防止規定の組合せ)のいずれかにより租税条約に取り入れることが勧告され、OECDモデル租税条約及びコメンタリーの改正案が示された。
  • 個別的濫用防止規定
    租税条約の特典の適用を制限する規定をかいくぐることを防止するため、双方居住者のタイブレーカー・ルール、不動産関連法人の課税規定等に係るOECDモデル租税条約及びコメンタリーの改正案が示された。

Action 7 恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止

今回の報告書では、PEの定義規定に関して、以下の内容を含むOECDモデル租税条約の改正案が提示されています。

(1)代理人PEの範囲の拡大(コミッショネア契約等に対応する改正)

  • 企業に代わって行動する者のうち、企業の名において契約を締結する者に加え、企業の保有する物品の販売契約等を締結する者も代理人PEとする。
  • 企業に代わって行動する者のうち、契約を締結する者に加えて、契約の締結をもたらす主要な役割を果たす者も代理人PEとする。
  • 専ら関連企業のためにのみ業務を行う者を、独立代理人の定義から除外する。

(2)PEに該当しないものとされる活動の範囲の縮小

  • 活動内容にかかわらず、準備的・補助的活動に該当しない活動を行う場所は全てがPEに該当するものとされる。
  • 各拠点の活動が相互に補完的に行われている場合には、各拠点を一体の場所として取り扱い、PEに該当するかどうかの判定を行う。

上記のPEの範囲に関する改正に伴い、PEに帰属する利得に関するルールの見直しも必要となりますが、これについては、今後検討され、2016年末までに必要なガイダンスが公表される見込みです。

Action 8-10 価値の創造に則した移転価格税制

移転価格税制に関しては、2014年9月報告書のほか、いくつものディスカッション・ドラフトが公表されてきましたが、今回の報告書では、改めて、OECD移転価格ガイドラインの第1章(独立企業原則)、第2章(移転価格算定方法)、第6章(無形資産に対する特別の配慮)、第7章(グループ内役務提供に対する特別の配慮)及び第8章(費用分担取極)の改訂案が示されました。なお、バリュー・チェーンにおける取引単位利益分割法及び金融取引については、検討が継続されます。

Action 11 BEPSの規模・経済的効果の測定とモニタリング

既存のデータには相当な制約があり、BEPSの規模や経済的効果を測定するための指標や分析方法を特定するには至りませんでしたが、OECDは各国の協力のもと、より適切なデータの収集及びBEPSのモニタリングに向けた活動を継続することが勧告されています。

Action 12 義務的開示制度

Action 12では、納税者やプロモーターが一定のタックスプランニングを税務当局に開示することを義務づける制度の策定を検討してきました。今回の報告書では、開示義務者、開示対象取引、開示内容、開示手続等の項目について、複数のオプションが示され、各国がそれぞれの法体系に適したオプションを組み合わせて制度設計するモジュラー方式の勧告がなされています。また、クロスボーダー取引の開示ルールについても検討され、開示対象取引を特定する基準の策定にあたっては、クロスボーダー取引がもたらす影響を考慮すること等が勧告されています。

Action 13 移転価格文書化と国別報告書

Action 13については、2014年9月報告書においてOECD移転価格ガイドラインの第5章(文書化)の全面改訂案が提示され、多国籍企業に対して適用される移転価格文書化のルールとして、ローカルファイル、マスターファイル、国別報告書の三層構造アプローチが提案されました。また、2015年2月には「国別報告書ガイドライン」が、6月には「国別報告書実施パッケージ」(モデル当局間合意案・モデル国内法制)が公表されていました。今回の報告書は、これらが整理された包括的なパッケージとなっています。

Action 14 相互協議の効果的実施

今回の報告書では、実効的な相互協議の実施を推進するため、各国に対し、ミニマム・スタンダード及びベスト・プラクティスを勧告しています。また、各国のミニマム・スタンダードの実施状況をモニタリングする仕組みも提案されています。さらに、日本を含む20ヵ国が租税条約に義務的・拘束的な仲裁規定を導入することを表明したことが明らかにされています。

Action 15 多数国間協定の策定

BEPSプロジェクトにおける勧告を実施するためには、租税条約の改正が求められるものがありますが、3,000以上ある二国間の租税条約の改正には多くの時間を要することが考えられます。この問題を解決するため、Action 15では多数国間協定の開発について検討しています。2014年9月報告書において、多数国間協定が「実現可能かつ望ましい」ものであるという結論に至ったことが報告され、2015年2月には、多数国間協定の開発に係るマンデートも公表されました。今回の報告書には、2014年9月報告書の内容とマンデートが再録されました。多数国間協定は2016年末までに署名可能となるよう、準備が進められます。

KPMG Japan e-Tax News No.101掲載

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